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Published byJean-François Bouffard Modified 約 6 年前
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博士たちの愛する線形代数 徳山 豪 東北大学 Linear algebra that professors love
Mathematics that the professor loved 徳山 豪 東北大学 Linear algebra that professors love 博士たちの愛する線形代数
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グラフと線形代数 線形代数: 今日のテーマ: 数学の多様さと「広い知識」の必要性 注意: 集中しないと落ちこぼれるテーマです。
線形代数: 皆さん教養課程で学ぶ数学 線形代数なしには現代の工学、理学はありえない 力学、電磁気、量子力学、理論化学その他全て 今日のテーマ: 線形代数の威力: そのグラフ理論への利用 情報理論→グラフ理論→線形代数の筋道 数学の多様さと「広い知識」の必要性 注意: 集中しないと落ちこぼれるテーマです。
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誤りのない情報伝達 Claude Shannon (1916-2001)
情報の定量的な評価=情報理論の生みの親 ノイズによる情報ロスのある情報通信(通信チャネル)で、情報を伝達したい。 ロスを防ぐ方法: 符号化 (誤り訂正など) モデル: M通りの電気信号を用いて通信を行う。 そのうちのいくつかは、ノイズによって他と混同される可能性がある。 目的: 「伝達した情報量」と「伝達に要する通信量」の比(情報伝達比, information rate)の最大化
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シャノンの問題(1956) 5通りの電気信号を用いよう。 ノイズで混同される可能性のある信号の対を辺で結んだ「混同グラフ」GがC5とする。
このとき、誤謬のない通信を行う符号化での最適なInformation rate を求めよ。 アイデア1. aとdは混同されないので、この2通りの信号だけを用いて通信を行おう。 a e b 「独立集合」 (independent set): 集合内の頂点を結ぶ辺のない頂点集合 左のグラフの最大独立集合は2つの頂点からなる d c
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シャノンの5角形問題 a e b アイデア1. aとdは混同されないので、この2通りの信号だけを用いて通信を行おう。 d c
アイデア2. 2文字の組を用いて通信しよう。 aa,bc,ce,db,ed は混同されない。 長さLの通信で、アイデア1だと2L=4L/2通り、アイデア2だと5L/2通り、つまりアイデア2のほうが通信効率が良い。 Information rate: R=情報量の(2を底にした)対数/ 通信長 アイデア1なら R=1 アイデア2なら R=(log2 5)/2 > 1 多くの自然言語は複数文字を組み合わせた「単語」を利用してノイズによる混同を排除している。
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アイデア2をグラフの言葉にする G=(V, E), H=(W, F) 2つのグラフの直積グラフ
G×H =( V×W, E×F) : vwとv’w’は、e=(v, v’)がGの辺、f=(w,w’)がHの辺であるときに辺で結ばれる。 G2 = (V2, E2) = G×G、 Gk=G×G×…×G aa ab ac ad ae aa ab ac ad ae ba bb bc bd be
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G=C5のときのグラフG2 ae ab ac ad aa be bb bc bd ba ce cb cc cd ca de db dc dd
ee eb ec ed ea
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G2 の最大独立集合 ae ab ac ad aa be bb bc bd ba ce cb cc cd ca de db dc dd da
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G2 の最大独立集合 ae ab ac ad aa be bb bc bd ba ce cb cc cd ca de db dc dd da
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グラフの独立集合とチャネル容量 α(G): Gの最大独立集合の要素数 α(Gk): Gkの最大独立集合の要素数
Information rate: R = log ( α(Gk) 1/k ) Θ(G) = sup k≧1(α(Gk))1/k 混同グラフGを持つ(誤謬無し)通信でのチャネル容量 α(C52)=5なので、Θ(C5) ≧ 51/2 =2.2362 問題:Θ(C5)を求めよ.(23年間未解決) シャノン自身の成果: Θ(C5) ≦ 2.5 グラフのクリーク(完全部分グラフ)を利用
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Lovaszの解法(1979) 定理: Θ(C5)= 51/2 証明が非常にエレガント グラフGを、ベクトル集合を用いて表示する
代数学(リー環論)では、「ルート系」と呼ばれるベクトル集合をグラフで表す手法(ディンキン図形)の歴史があり、その逆を利用している。 最大独立集合の要素数をベクトルの長さで評価 Gk に対して、ベクトルの「テンソル積」を利用して解析を行う。
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Lovaszの解法(1979) グラフGの直交表現 (注意:以下、太字はベクトル) 頂点に長さ1のベクトルを対応させる
辺で結ばれないベクトルは互いに直交する つまり、内積値がゼロ たとえば、(1,0,0), (0,1,0), (0,0,1), (1,1,1)/31/2 は右の木の直交表現 T = {v1, v2, v3,.., vn }の重心をuとする。 σT =<u, u> とする <u, vi> が iに依存しないとき、重心平衡な直交表現 このとき、<u, vi>= σT 目的とする定理: Θ(G)≦σT-1
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Θ(G)≦σT-1 の利用法 C5の中心平衡な直交表現{v1, v2, v3, v4, v5}で、
逆向きの不等号は前に示したので、等号で成立 正5角形を底辺とする5角錐 ベクトルの長さ(稜線の長さ)は1 隣接しないベクトル(赤と青)の角度が90度 この角錐の高さ=重心ベクトルの長さ 高さの二乗の逆数を計算すると、51/2 LovaszのUnbrella ピタゴラスの定理+中学の幾何で出来ます。演習問題にします
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定理: Θ(G)≦σT-1 の証明(1) (α(Gk) )1/k ≦ σT-1 を全てのkで示せばよい
v1,v2,..vnの非負線形和で係数和が1であるものを考える。 x= x1v1+x2v2+…+xnvn, ∑xi =1 μT(G)=|x|2 の最小値 μT(G)≦ 1/α 独立集合に入るviでxi=1/α、残りは0にする 一方、中心平衡だと、 μT(G)=σT 一般にはCaucy-Schwarzの不等式を利用して証明 よって、α(G)≦ σT-1
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定理: Θ(G)≦σT-1 の証明(2) (α(Gk) )1/k ≦ σT-1 を示せばよい Gの直交表現Tと Hの直交表現Sがあるとき、
ベクトルのテンソル積 Gの直交表現Tと Hの直交表現Sがあるとき、 はG ×Hの直交表現になる。 中心平衡性も保たれる 重心を考えると、σT×S=σTσS Tk= T×T×…×TはGkの直交表現 α(Gk) ≦ (σTk)-1 σTk =(σT)k なので、定理を得る。
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Lovaszの傘の一般論 一般の混同グラフGのときの「傘」は? 良い(小さい)σT-1 の見つけ方
半正定値対称行列(SDM)の主軸分解を利用 PCA(principal component analysis): 現在のデータ処理の主要な手法 データマイニング、テキストマイニング、テキスト検索、画像検索 固有値が全て非負である対称行列は、ベクトル集合の内積を表現する。 そのベクトル集合を求める手法が主軸分解 Gの隣接行列 A=A(G)からSDM行列Mを作る Mの主軸分解でTが求まる (重心平衡性はGに依存) σT-1 自体は、より簡単にもとまる場合がある。
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行列の隣接行列とSDM G=(V, E) : V={v1,v2,..,vn} Gの隣接行列Aは、0と1を値に持つ対称行列で、 線形代数の知識
aij= 1 ⇔ (vi, vj) ∈E 線形代数の知識 その1: 対称行列の固有値は実数 その2: 固有値の和はトレース(対角成分和) Aのトレースは0なので、最小固有値は負 = - p M= p I + A はSDM (Iは単位行列) 他にAから作るSDMとして、「ラプラシアン」が有名 ベクトル v1,v2,..,vn の内積行列がMになる
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特別な場合 Gがn頂点のサイクルCnの場合 行列Aは“循環行列” 全ての固有ベクトル、固有値が簡単に計算できる
全ての固有ベクトル、固有値が簡単に計算できる 最小固有値 -pは -2cos π/n T1は中心平衡 ここからσT = (1 + (cos π/n ) -1 )/n Θ(Cn)= ? 計算してみてください n =5 なら、先に出した値 5½
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