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繊維業界のための EPAにおける原産判定と発給申請の方法、留意点
2010年10月 日本商工会議所
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コンテンツ はじめに EPA利用の進め方 EPAを利用できるのは「生産者」と「輸出者」では、 その他の関係者は?
原産判定と発給申請の関係 特定原産地証明書の発給申請要領と留意点 特定原産地証明書利用上の留意事項
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1.はじめに EPAの活用⇒ ①締約国を市場として製品、商品の供給 ②締約国でさらなる加工のための原料、材料の供給 特定原産地証明書
①締約国を市場として製品、商品の供給 ②締約国でさらなる加工のための原料、材料の供給 特定原産地証明書 一般原産地証明書 利用目的 特恵関税(EPA税率)の適用 L/C要件、転売目的、通関etc. 申請方式 電子申請 専用紙にタイピング 発給機関 日本商工会議所 各地商工会議所 原産性の確認 経済連携協定に基づく 原産地規則 関税法を準用 対象国(地域) 協定の締約国 制限なし
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2.EPA利用の進め方 特定原産地証明書の申請を始める前に
Step0: EPA特恵関税を利用して締約相手国に輸出できる繊維 同製品は「日本産」(原産)だけ。 「日本産」の定義はEPA協定ごとに細かく規定され、この 規定に合致することが必要。 「日本産」の確定は、利用者の申請(立証)を基に、指定 発給機関の審査・判定によって行う。 「日本産」との承認を受けた繊維・同製品は、「EPA特定 原産地証明書」にその内容が記載され、この証明書に より輸出を行えば、特恵関税が適用される。
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2.EPA利用の進め方 EPA特定原産地証明書の取得手順
Step1:指定発給機関である日本商工会議所に企業登録 Step2:まず、輸出される繊維・同製品が日本産である ための条件を満たしているかの判定「原産判定」から Step3:特定原産地証明書の発給申請へ(輸出者のみ) Step4:指定発給機関の窓口で、発給手数料を支払い、 「特定原産地証明書」の交付を受ける(原則) Step5:交付を受けた「特定原産地証明書」は、輸入者 を経由して輸入国税関に提出され、関税が減免
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特定原産地証明書の手続きの流れ 日本商工会議所への企業登録 原産品判定 (同意通知) 発給申請 特定原産地証明書
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企業登録 1.企業登録とは 本邦にある事業体であることの確認が目的 1企業1登録 全てのEPAに対し、登録は共通(有効期間:2年)
(注)事業所移転、代表者変更、組織変更(合併、分割など)が 生じる場合は、速やかに日本商工会議所にご連絡を ○登録に係る手数料は不要 ○登録申請書の作成は、WEB上での電子申請 ○法人の登記事項証明書(履歴事項全部)を郵送 ※個人登録はマニュアル参照
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企業登録 2.サイナー登録 登録企業による特定原産地証明書に係る申請意思を 確認するための社内委任
・代表者から企業内の役員、従業員への委任行為 1登録企業に複数のサイナー登録可能(上限なし) サイナーのサインの有効期間: 企業登録の有効期間内 登録されたサインが、特定原産地証明書に申請企業 の申請代表として印字される サイン登録も手数料等は不要
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3.EPAを利用できるのは「生産者」と「輸出者」 では、その他の関係者は?
Step3:特定原産地証明書発給申請⇒輸出者のみ Step2:「原産判定申請」⇒原則、生産者 *生産データ(生産工程、原料や材料の原産国などの 詳細情報)を確認できることが必須要件 *輸出者が「生産者」から生産データの提供を受け、そ のデータを基にする場合に限り、「生産者」に代わって 原産判定申請をすることも可能 *「生産者」または「輸出者」以外の者は、EPA利用の 対象に含まれないのが原則
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原産判定申請の資格者を確認するための フローチャートのポイント(繊維分野の特例)
◆生産者の場合 *日本で2工程以上を1社で行っている。 *1工程のみでも他社の1工程以上の生産資料を確保 ◆輸出者の場合 *生産の全工程を把握し、1社又は複数の生産者から 生産資料を確保 ◆その他関係者(コンバーターなど) *生産の全工程を指図し(原則)、1社又は複数の生産者 から生産資料を確保 【注意】原産判定を受ける品目に限られ、品目ごと、 生産工程ごとに個別に適用される方式
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4.EPA原産地規則:主な留意点 HSコードの入力は6桁 ・原則:HS2002 ・スイスEPA、ベトナムEPAではHS2007
・原産性判定基準(個別品目規則)が異なるため 原産品判定申請の前に、輸出品が日本産であること を立証できる資料の整備は必須 (原産判定申請前に完了) ・当該資料の提出は原則不要 ・発給機関が求める場合は、即時に提出が必要
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4.EPA原産地規則 原産判定申請に係る主な留意点
原産品判定申請の資格者: 輸出産品の生産者か輸出者のみ ・生産者が原産品判定申請を行い、輸出産品が日本原産 であると確認された場合、当該産品に「原産判定番号」が 付与される *繊維分野の特例: フローチャートの要件を満たす者も生産者 ・生産者が上記産品の輸出を輸出者に委ねる場合: 「原産品判定番号」の使用を認める旨を、発給機関と当該 輸出者に通知=同意通知 標準処理日数:3営業日(申請に不備あれば無期限) 原産品判定に手数料は不要
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5.繊維分野のEPA原産地規則 □関税番号変更基準が原則 □2工程以上が条件 □EPA締約国の材料(織物/編物)を使用して日本で
染色等を 行えば、関税番号の変更が起こっていなく ても、原産資格が得らえる品目も ◆留意事項 ・最終工程が日本で行われること:必須要件 ・加工工程基準(生地への染色ルール)では「生機」が日本 又はEPA相手国で製造されていることが条件 (日本と締約国以外の関与は「日本産」との判定において 「無効」が原則)
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5.繊維分野のEPA原産地規則(協定別概要)
備考 シンガポール マレーシア タ イ インドネシア ブルネイ フィリピン ベトナム ASEAN包括 ●関税番号変更基準 ●ASEAN累積 ●2工程のうち最初の1工程は締約国以外 のASEAN加盟国で実施されてもOK (日タイEPAでは衣類等のみに適用) ●編物・織物には染色ルールを適用 AJCEP未発効のASEAN加盟国での加工は、考慮されない チ リ スイス ●原則、関税番号変更基準 ●繊維原料・紡績品、一部産業資材等1工程 ●衣類、家庭用品2工程 メキシコ ●繊維原料・紡績品、一部産業資材等2工程 ●衣類、家庭用品3工程
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5.繊維分野の原産地規則 個別品目ルール(PSR)の読み取り方
【例】日ASEAN包括EPA(AJCEP)個別品目ルール ≪HS54・07-54・08≫ 関税番号 変更基準(CTC) CTH(第五五・一二項から・・(中略)・・・除く)(第五四・〇一項から・・・(中略)・・・完全に紡績され、又は浸染され、若しくはなせんされる場合に限る) 又は いずれかを選択 産品が完全に浸染され、若しくはなせんされること及び・・・・(中略)・・・・締約国において完全に製織されること(CTCを必要としない) 加工工程基準
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5.繊維分野の原産地規則 副資材に関する考え方
HS61‐63類の産品 原則:原産地規則の対象には副資材を含まない (例)AJCEP附属書2注釈2 *副資材に該当するか不明の場合は、原産判定申請 の前に指定発給機関に照会を 【注意】 上記は、縫製品の輸出に係る考え方 縫製品のための構成材料をEPA締約国(ベトナム等) に輸出し、相手国で縫製する場合、材料ごとに原産 判定が必要 (例)ファスナー、肩パット、裏地など
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5.繊維分野のEPA原産地規則 重要なその他のルール
◆累積 輸出品の生産過程で、EPA締約相手国の原産品を材料と して使用する場合、この材料を「日本産」の材料とみなす ことができる。 (注)裏付け資料として相手国発行のEPA原産地証明書等が 必要(保存資料の一部) ◆僅少 関税番号変更基準における救済措置 <例>日ASEAN協定(AJCEP)の定め ・関税番号変更基準を満たさない日本産以外の材料(国籍不明を 含む)の重量が、輸出品の重量の10%以下であれば原産地規則 の条件を満たすものとする。
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5.繊維分野のEPA原産地規則 原産判定申請のための立証、保存書類
◆原産判定申請のための資料 <例>(経済産業省、2009年12月) ①輸出産品とその製造に使用した全ての材料・部品との対比表 ②対比表に記載された材料、部品で製造されたことを裏付ける資料 ・総部品表 ・製造工程フロー図 ・生産指図書 ・各材料の投入記録(在庫の蔵入蔵出記録など) ③「原産」(日本産又は締約相手国産)と扱った材料について、その原産性 を立証する書類 ◆繊維製品の原産地規則・証明方法に関する留意事項 (経済産業省、2010年3月) 2工程以上の加工を行う生産者以外の関係者が、その生産者に 代わって原産判定申請を行う場合に揃えておくべき資料等
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6.原産判定と発給申請の関係 ■原産判定の結果 ・日本産(原産)と承認された産品には、原産判定番号が 付与される。(固有の判定番号)
付与される。(固有の判定番号) ・原産判定に係る資料及び内容は、申請者と判定機関のみ が確認し、輸出者はじめ第三者には一切提示されない。 ・原産判定番号を受けた生産者等(判定申請者)は、輸出者 に対して原産判定番号の使用の許可だけを行う。 (「同意通知」:期間限定:最大3年) ・承認された産品の材料や加工内容が変更になった場合、変 更が生じた時点で判定結果は無効となり、変更後の新しい 内容で原産判定の申請を新規に必要。
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6.原産判定と発給申請の関係(2) ■特定原産地証明書の発給申請
・生産者等から原産判定番号の使用許可を得た(同 意通知を受けた)輸出者は、指定発給機関(日本商 工会議所)に特定原産地証明書の発給申請を行う。 ・自ら原産判定申請をし、原産判定番号を受けた輸出 者は、同番号の使用権を有するため、自己に同意 通知の必要はなく、直ちに、特定原産地証明書の発 給申請を行える。
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7.特定原産地証明書の発給申請の 要領と留意点(一般事項)
7.特定原産地証明書の発給申請の 要領と留意点(一般事項) 発給申請できるのは「輸出者」のみ 申請情報入力の主な留意点 ・出航日の入力は必須 ・特定原産地証明書に印字される産品名は、原則として 原産判定済みの産品名称と同一であることが必要 *ブランド名や型番等を、産品名称の後ろに括弧書き で付記することは可能 ・根拠インボイス日付に未来日は絶対不可(入力不能) ・L/C等で求められても、法定された事項以外の文言等 を特定原産地証明書に記載は認められない
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7.特定原産地証明書の発給申請の 要領と留意点(一般事項)(2)
7.特定原産地証明書の発給申請の 要領と留意点(一般事項)(2) 特定原産地証明書のイメージの確認: 「保存」にすればイメージプレビューで確認可能 標準処理日数:2営業日(不備等があれば無期限) ・同じ産品を21回以上利用:加算額は50円に 原則は、日本商工会議所各事務所(全国21カ所)の 窓口で手数料と引換えに原産地証明書交付 ・郵送可能(事前の振込み必要)
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8.特定原産地証明書利用上の留意事項 ■特定原産地証明書の特徴 1.わが国で発給の特定原産地証明書は、電子出力される 正本(オリジナル)1通のみ(全ての協定で同じ) ・締約相手国・地域では別途謄本が発給される協定もあり (例:AJCEP) 2.印字は所定の項目のみ 3.言語は英語のみ 4.協定ごとに書式、証明書の色が異なる ■特定原産地証明書の性格 1.輸出産品がEPA協定で規定された日本国産であることを 証明する公文書 2.EPAに基づく締約国での特恵関税の適用が唯一の目的
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8.EPA特定原産地証明書利用上の留意事項 BACK-TO-BACK原産地証明書
日ASEAN協定(AJCEP)のみ ASEAN域内での無加工流通用 原産国は、最初の原産地証明書発給国 <事例>シンガポールの倉庫を拠点に、ASEAN各国に日本産の 素材を供給するケース ・シンガポールで加工が施されないことが条件 ・日本産の特定原産地証明書をシンガポール政府に提出、同国発行 のBACK‐TO‐BACK原産地証明書を取得すれば、AJCEP締約国に シンガポールに貯蔵の産品を日本産として輸出し、輸入国でAJCEP 特恵税率が適用される。 (注)インドネシアはAJCEP未締結のため、対象から除外 (注)タイ(BOI)やマレーシア(MIDA)などの投資優遇措置を利用して 無税(または優遇税率)で現地工場に原材料を供給している場合、 それら原材料はEPA/FTA原産地規則とは無関係なため、原産性 立証には注意を要する
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8.EPA特定原産地証明書利用上の留意事項 関税番号(HSコード)の判断の相違
■特定原産地証明書に記載のHSコードと輸入国(締約 国)税関の判断によるHSコードが異なる場合 ・(原則)輸入国税関の判断が優先 (注)輸入者都合によるHSコードの変更等は認められない ・問題の解決は政府間協議である「小委員会」で議論 ■事前教示 ・輸入国(締約国)税関に、事前にHSコードの確認を行う ・タイ、マレーシアなど (インドネシア、ベトナムでは本制度の公式な便宜無し)
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8.EPA特定原産地証明書利用上の留意事項 書類等の保存義務、不正への罰則
特定原産地証明書の発給を受けた輸出者、原産品判定依頼を行った生産者 は、特定原産地証明書の発給日から5年間(ブルネイ協定、スイス協定、AJCEP ベトナム協定:3年)、その特定原産地証明書に記載された産品の原産性を判断 するために用いた情報や書類を保存する義務あり。 罰則 その他不正行為 特定原産地証明書への所定記載事項以外の文言等の書込み は、公文書偽造罪⇒刑法罰の対象
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