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The size of the proton 陽子の大きさ R. Pohl et al
The size of the proton 陽子の大きさ R. Pohl et al., Nature 466, 213–216 (2010) 目次 実験目的 ミューオン原子 実験方法 実験結果 まとめ 物理学科4年 柴田研究室 国定 恭史 0:30 2010年にNatureという雑誌に掲載されたThe size of the proton という論文について発表します。 まず、実験目的について説明し、その後、ミューオン原子について、実験方法、実験結果、まとめの順で説明していきます。
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1.実験目的 ミューオン水素のラムシフトを測定する もっと精度よく測る陽子半径を測る方法はないか? これまでの陽子半径のデータ
電子ー陽子弾性散乱実験による値 𝑟 𝑝 = 𝑟 2 = fm 水素原子のスペクトロスコピーによる値 𝑟 𝑝 = 𝑟 2 = fm ※陽子の電荷分布は一様ではなく、(右図)指数関数型であるので、半径はroot-mean-square(二乗平均平方根) 𝑟 𝑝 = 𝑟 2 の値をとる 𝜌 1:30 図の説明を忘れない 実験目的について この実験の目的は、陽子の半径を測ることです。これまで、陽子の半径の値は、電子陽子弾性散乱実験では0.897(18)fm(フェムトメートル)、水素原子のスペクトロスコピーでは、0.8768(69)fmという値が得られています。括弧内の数字は、誤差を表しています。 この図は横軸を半径、縦軸を電荷密度にとった図です。陽子の電荷分布は、この図のように、指数関数型になっていて、陽子の淵はぼやけているので、ここでの陽子半径は、root-mean-square、 𝑟 𝑝 = 𝑟 2 二乗平均平方根の値をとります。 これまでの二つのデータよりも、もっと精度のよい方法として、ミューオン水素のラムシフトを測定するというものがあります。これはどういうことなのか、説明していきます。 r もっと精度よく測る陽子半径を測る方法はないか? ミューオン水素のラムシフトを測定する
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2.ミューオン原子 ミューオン原子 200 : 1 ミューオン水素の半径の比 原子中の電子を、 𝜇 − で置き換えた原子のこと
原子中の電子を、 𝜇 − で置き換えた原子のこと この実験では、水素原子の電子を 𝜇 − で置き換える(右図) 𝜇 − の電荷は電子と同じ 𝜇 − の質量は電子のおよそ200倍 ボーア半径の式𝑟= ℏ 2 𝑛 2 𝑘 0 𝑒 2 𝑚 より、このミューオン水素の半径は1/200になる 束縛エネルギーの式𝐸=− 𝑚 𝑘 𝑒 4 2 ℏ 2 𝑛 2 より、ミューオン水素のエネルギーは200倍になる 200 : ミューオン水素の半径の比 2:20 ミューオン原子について説明します。ミューオン原子とは原子中の電子をプロトンの一つであるμ粒子で置き換えたもののことです。特に、この図のように水素原子中の電子をμ粒子で置き換えたものをミューオン水素といいます。この実験ではこれを使います。μ粒子の電荷は電子と同じであり、質量は電子のおよそ200倍なので、ボーア半径のこの式から、分母にmがあるので1/200に、エネルギーはこの式から分子にmがあるので200倍になります。
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ミューオン水素のラムシフト ラムシフト 2S状態と2P状態の間にエネルギー差が生じる現象 F=2 ∆𝐸 𝐻𝐹𝑆 2 𝑃 3/2 ∆𝐸 𝐹𝑆 2𝑃 2p F=1 ∆𝐸 j=3/2 2 𝑆 1/2 (𝐹=1)→2 𝑃 3/2 (𝐹=2)のエネルギー差を計算する ラムシフト∆ 𝐸 𝐿𝑆 、微細構造∆ 𝐸 𝐹𝑆 2𝑃 、超微細構造∆ 𝐸 𝐻𝐹𝑆 2 𝑃 3/2 、 ∆𝐸 𝐻𝐹𝑆 2𝑆 の項をそれぞれ足し合わせると ∆𝐸 𝐿𝑆 F=1 ∆𝐸 𝐻𝐹𝑆 2 𝑆 3/2 2s j=1/2 F=0 ∆𝐸=∆ 𝐸 𝐿𝑆 +∆ 𝐸 𝐹𝑆 2𝑃 ∆ 𝐸 𝐻𝐹𝑆 2 𝑃 3/2 − 1 4 ∆𝐸 𝐻𝐹𝑆 2𝑆 3:50 ここは急ぎ目。 Δ𝐸= − 𝑟 𝑃 𝑟 𝑃 3 meV この遷移のエネルギー差∆𝑬が分かれば、陽子の半径を計算することができる
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3.実験方法 𝜋 − → 𝜇 − + 𝜈 𝜇 こうしてつくられたμ粒子をミューオンビームとして実験に使う
ミューオン水素をつくるには、 𝜇 − が必要 まず、 𝜇 − をつくる スイスのPSIの加速器を使う サイクロトロン加速器によって陽子を590 MeVまで加速 加速した陽子を炭素などの標的にぶつけると、標的の原子核と核反応を起こし、π中間子が放出 このπ中間子が下の崩壊をすることにより、 𝜇 − がでてくる 4:40 反ミューニュートリノ 𝜋 − → 𝜇 − + 𝜈 𝜇 スイスのPaul-Scherrer-Institute(PSI) こうしてつくられたμ粒子をミューオンビームとして実験に使う
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PSIの加速器からきた 𝜋 − は、CTに入る CT (Cyclotron trap)
ここで 𝜋 − は 𝜇 − に崩壊する。その後、薄い膜を通過することによって、減速される MEC (muon extraction channel) 磁場でミューオンビームを曲げることで中性子や電子などを分離 ソレノイド 5 Tの高磁場をかけ、ミューオンビームの半径を小さくする 二つの炭素箔 𝑆 1 , 𝑆 2 の役割は ①ビームの減速 ②ビームが通過するときに放出する電子を検出し、ビームの入射した時刻を測定 6:10 図の説明を必ずはじめに行うこと この図は実験装置の図です。PSIの加速器からきたπ-はCT、Cyclotron trapに入ります。 ↑ソレノイドの内側の拡大図 その後、ミューオンビームは 𝐻 2 ガス中で止まり、ミューオン水素がつくられる
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X線の量を測ることにより、どの波長のレーザーで遷移が起きたのかが分かる
ミューオンビームが 𝐻 2 ガス中で止まると、高励起状態のミューオン水素をつくる ミューオン水素はすぐに下方へ遷移を起こし、99%は1S状態に、残りの1%は2S状態になる 2S状態の寿命は比較的長い 2S状態のミューオン水素に、0.9𝜇𝑠後にレーザーをあて、2P状態へ励起させる 7:20 拡大図であることの説明 2P状態のミューオン水素はすぐに1S状態に落ちる その際1.9 keVのX線を発するので、LAAPDsという受光感度を上げたフォトダイオードでそれを検出する。 X線の量を測ることにより、どの波長のレーザーで遷移が起きたのかが分かる
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4.実験結果 ミューオンビームが入ってきた時刻を0 𝜇𝑠
すぐに大量のX線が検出されるが、これはミューオン水素が高励起状態から1S状態に落ちたときのもの(prompt event) レーザーをあてた0.9 𝜇𝑠後に現れたX線は2Pから落ちたときのもの(delayed event) 図aのようなデータがとれたときのレーザーの波長を調べれば、ラムシフトのエネルギー差が分かる 8:20 検出したX線のデータ aは2P→2Sの遷移が起きた場合の波長 bは起きなかった場合の波長
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今までよりも精度のよい実験を行った。しかし、今回の結果は、これまでの実験結果の誤差の範囲から大きくずれている。
Delayed eventとPrompt eventの比と、レーザーの周波数のグラフ ピークの周波数は 49,881.88(76) GHz エネルギーは ∆𝐸= meV ラムシフトの式から 𝑟 𝑃 = fm これまでのデータ fm、 fm と比べると小さい値 9:20 これまでの陽子半径のデータならば、イベントのピークは、■の位置にくるはず 今までよりも精度のよい実験を行った。しかし、今回の結果は、これまでの実験結果の誤差の範囲から大きくずれている。
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5.まとめ ミューオン原子とは、原子中の電子を 𝜇 − で置き換えたもの
ミューオン水素のラムシフトを測定することにより、今までより精度よく陽子半径を測ることができる ミューオン水素にラムシフト分のエネルギーのレーザーをあてることにより、ラムシフトを測定する 実験はスイスのPSIの加速器を使って行われた 陽子の半径はこれまでのデータよりも小さいという結果が出た このずれは新しい物理によるものである可能性もある 10:00
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補足スライド 実験に使用したレーザー ビームがソレノイドに入ってきた信号をフォトダイオードから受け取り、その時刻から0.9 𝜇s後にビームを発射する ビームのエネルギーを高めるために、増幅器を通している 途中で水蒸気にもレーザーをあてているのは、この水蒸気の吸収係数を測ることで正しい波長のレーザーが出ていることを確認するため
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