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邑久(おく)天文台サーベイによる新変光天体の検出 中島洋一郎 、大倉信雄 (MISAOプロジェクト)
1. はじめに 新天体の検出は、アマチュアの得意とする領域である。 10年ほど前までは、主に眼視と写真によって観測されていたが 現在では冷却CCDの発達により、はるかに多くの暗い星が撮影可能になった。 我々は、写真レンズや短焦点の望遠鏡に冷却CCDを取り付け、 サーベイを行ってきた。 検出は、MISAOプロジェクト(主催 吉田誠一氏)天体画像自動検査システムPIXY2で行い、変光星などの新天体を多数検出したので報告する。 4. 観測施設と観測方法 (1)観測施設 ドーム(図3):視野を確保するため ドームスリット下部を 地上6 mに設定した。 (2)観測装置 望遠鏡 : ① C14 (セレストロン)口径355mm F11 (シュミットカセグレイン式) 高感度ビデオカメラを付け、モニター用 ② 25cmライトシュミット、fl1050mmF4.2(日本特殊光学製) CCDカメラ ST-1001E取付 ③ その他fl500mm写真レンズなど CCDカメラ ST-8 4台取付 赤道儀 : GN-30N (三鷹光器製) (3)観測 ① 冷却CCD ST-1001E 120秒露光 ST-8 90秒露光で撮影。 ②撮影画像の2/3が重なる様に 東に移動しながら連続撮影。 ③赤経30m撮影(5台で50枚~75枚) 撮影初めと終わりの画像中心位置 を測定後MISAOプロジェクトに送信。 ④白鳥座からぎょしゃ座の天の川の 領域を撮影。 図3 邑久天文台外観 2. サーベイの歴史と概要 (1) 歴史 MISAOプロジェクトは1998年に吉田誠一氏、門田健一氏により立ち上げられ、「美スターサーベイ」 「上尾サーベイ」などで撮影された画像より、今までに1441個の新変光星を発表している。 我々は2000年2月よりMISAOプロジェクトに参加し、多くの新天体を検出してきたが、2006年11月よりそれまでの妹尾観測所を引き継いで、邑久天文台で新天体検出の観測を開始し、現在に至る。 (2) 妹尾観測所(2000~2006)の新変光天体検出 妹尾観測所(大倉信雄)でのサーベイで撮影された画像より、 今までに428個の新変光星が発表されている。 その中で特筆すべき天体は、2002年発見の新変光星MisV1147で、その特徴は、スペクトル型B2の早期型星であるにも関わらず、非常に大きな振幅の減光が観測されたことである。1) また見逃されていた2001年の新星を、2002年になってから発見。 2001年9月には12.7等、11月には14.3等で写っていたが、2002年10月には、20等にまで減光していた。 過去のパロマー乾板やDSS画像には写っていない。2) 図4 ドーム内と観測室(左 中島、右 大倉) 5. 邑久天文台での主な成果 (1)2007年1月より今までに75個の新変光星が検出されている。 (2)その中で特筆すべき天体は、2008年2月発見のクエーサーQSO で、可視光でも18等から14等に増光した、「ブレザー」であることが分かった。 このクエーサーの距離は70億光年を越える(赤方偏移z=0.859)ものが、 14等の明るさに達した事からきわめて光度および増光幅の大きな天体と考 えられる。4) 図5 観測機材 図1 MisV1147 図6 QSO 図2 妹尾観測所 観測機材 6. 今後の展望 (1) 撮影領域の移動を、赤道儀駆動装置の改造により撮影の効率化を図る。 (2) 撮影領域の分担と、撮影画像の解析の分担が出来るようになればよい。 (3) 吉田誠一氏作成の天体画像自動検査システムPIXY2で検査できる人 がふえ(岡山理科大学・田辺研究室では取り組み中)より多くの新天体の 検出が出来るよう撮影画像を提供したい。 3. 邑久天文台サーベイの概要 (1) 邑久天文台サーベイの特徴 冷却CCD5台により天の川に沿って赤緯方向に幅5度の帯状の 領域を撮影し、画像をMISAOプロジェクトに送る。 (2)変光天体の検査 MISAOプロジェクト(主催 吉田誠一氏)では天体画像自動検査 システムPIXY2で検査し、変光星などの新天体を捜索する。3) 参考文献 1) M.Uemura et al PASJ Special lssues Vol.56.No.SP1(2004) Deep Fading of the New Herbig Be Star MisV1147 2) IAUC 8014: POSSIBLE NOVA IN CEPHEUS (Nov. 10, 2002) 3)MISAOプロジェクト 4) CBET 1249: QSO (2008 Feb. 9)
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