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J: 連続吸収 2006年12月18日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一

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1 J: 連続吸収 2006年12月18日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一
来年は1月22日に最後の授業があります。 レポート提出の最終期限は当日授業終了時です。 天文事務へのレポート郵送は1月21日着を期限とします。 単位名   学部  :天体輻射論I   大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一 授業の最後に出す問題に対し、レポートを提出。 成績は「レポート+出欠」でつけます。 授業の内容は下のHPに掲載されます。 E; 吸収係数

2 J.1. 水素原子のBound-Free 吸収
原子による吸収には、(1)b-f 吸収、(2)f-f 吸収、(3)b-b 吸収の3つがある。b-f とf-f は連続吸収、b-b は線吸収である。 b-fのbはbound stateのb、 f は free state の f である。下図は水素のエネルギーレベルと対応する b-f 吸収を示す。 自由状態 (Unbound State) n= 3 n= 2 n= 1 Paschen 連続吸収 束縛状態 (Bound State) Balmer 連続吸収 Lyman 連続吸収 E; 吸収係数

3 水素原子の b-f 吸収係数 κbfρ=N1σ1+N2σ2+N3σ3+……
σ(b-f) 吸収端   σn(λ):HI(主量子数=n)のb-f 吸収断面積 σn(λ) = σn(λn) (λ/λn)3G (λn) (λ<λn)   ここに、λn=912×n2 Å(オングストローム)= 吸収端波長         σn(λn)=吸収端における吸収断面積 = (16/3π√3) (πe2/mc)(λL/c)nG          = 0.791×10-17nG cm2         G= Gaunt Factor = 量子力学的補正項(1から数%以内) λ E; 吸収係数

4 H原子のb-f 吸収断面積 σn(λ) n=1 Lyman cont. n=2 Balmer cont.
Paschen cont. n=4 Brackett cont. 3 2 1  σn(λ) (10-17 cm2) λ(μ) E; 吸収係数

5 両方の掛け算から、T=5,000Kと20,000Kでのn=1,2,3,4からの 吸収係数への寄与を比べてみると、
H原子各順位の存在量 ボルツマン分布) ここに、θ=5040.2/T 一方、 σn(λn) = 0.791×10-17 nG cm2 両方の掛け算から、T=5,000Kと20,000Kでのn=1,2,3,4からの 吸収係数への寄与を比べてみると、 T=5000K   n σn(λn) ( cm2 ) - - - -17 Nn / N1      ー - ー12      Nnσn(λn) / N1     T=20,000K n Nn / N Nnσn(λn) / N1   ー ー ー ー19 E; 吸収係数

6 基底状態にある水素原子1個当りのb-f吸収断面積
log (Nnσn / N1) (cm2/H) -17    -20 -25 -30 ‐ ‐ ‐ logλ(μ) 20,000K Lyman 912 A Paschen 8206 A Balmer 3646 A Brackett 14584A 5,000K E; 吸収係数

7 ne np / nH =(2πmekT/h2)3/2 exp(‐I/kT) を使うと、
J.2. 水素のFree-free 吸収 自由電子 自由状態 free state 光子 陽子 束縛状態 bound state κff (λ,T)ρ=α(λ, T) ne np ne np / nH =(2πmekT/h2)3/2 exp(‐I/kT)    を使うと、  κff (λ,T)ρ = α(λ, T) nH (2πmekT/h2)3/2 exp(‐I/kT) = nH λ3g(10-13.6θ /θ) cm-1 ここに、 g=Gaunt factor λ=波長(μ) θ=5040/T E; 吸収係数

8 J.3. Negative Hydrogen  H- Electron affinity = 0.70 eV
Hylleraas,E , Zs.f.Phys.,65,209.  量子力学的エネルギー極小(変分計算)   H- Electron affinity = 0.70 eV Wildt,R., ApJ, 89, 295.      H, Li, O, F, Cl 等の計算結果(1930-1932)から星の大気中に    負イオン存在の可能性を指摘。更に、H+e→H-の衝突断面積σの計算   値(Massey, 1936)から吸収係数 k を出した。      1939, ApJ 90, 619. 水素負イオンによる連続吸収。2 10‐17cm2/H-  当時、実験室では知られていなかったが量子力学の計算から予測。   E= -0.754 eV (1.645 μ) 準位は一つ。多分 (1s)2 1S0                  b-b 吸収 なし。   E; 吸収係数

9 低温の星ではバルマー不連続が極度に大きくなるはず。
b-f 吸収 E>E0=0.754eV (λ<1.644μ) f-f 吸収 Eは自由。 E0=0.754 eV (1s)2 1S0 水素原子連続吸収問題:  低温の星ではバルマー不連続が極度に大きくなるはず。 (Nσ)- Nσ (Nσ)+ λ T , , , ,000  比    0.3647μm      実際にはバルマー不連続 (Balmer jump)はA0で極大。 ――> 中性水素以外の連続吸収源が低温度星で必要。 ――> Negative Hydrogen が探されていた吸収を与えた!  E; 吸収係数

10 復習 A++e-A=0 (I=inization energy)
H- の 存在比 復習 A++e-A=0  (I=inization energy) n( A+)n(e)/n(A) =[u(A+)2/u(A)](2πmekT/h2)3/2 exp(‐I/kT)    log[n( A+)/n(A) ]    =log[ u(A+)/u(A) ]+log 2 +(5/2) log T -log Pe-Ⅰ(eV)(5040/T)-0.48                                (Peの単位は erg/cm3) Negative Hydrogen に上の式を適用すると、     H+e-H- =0  (E=inization energy=0.754eV) n( H)n(e)/n(H-) =[u(H)2/u(H-)](2πmekT/h2)3/2 exp(‐E/kT)    log[n(H)/n(H-) ]    =log[u(H)/u(H-)]+log 2 +(5/2) log T -log Pe-E(eV)(5040/T)-0.48           u(H)=2、 u(H-)=1、 E=0.754     =0.125-log Pe+2.5 logT-0.754(5040/T)    =9.381-log Pe-2.5 log(5040/T)-0.754(5040/T) E; 吸収係数

11 前々ページのσbf(λ) と前ページの[n(H)/n(H-) ]を合わせ、
H- の b-f 吸収係数 前々ページのσbf(λ) と前ページの[n(H)/n(H-) ]を合わせ、 水素原子H 1個当たりのNegative Hydrogen H-のb-f吸収断面積として、 κ(H-)bf = [ N(H-) / N(H) ]σbf = 4.158×10-10 σbf (λ) Pe (5040/T)5/ (5040/T)   (cm2 / H atom) σbf (λ) はλ=0.85μm 付近で最大値、4×10-17 cm2 をとる。 H- の f-f 吸収係数                   Belland Berrington 1987 J Phys. B 20, 801. κ(H-)ff =10-26 Pe 10A   (cm2 / H atom)    A=fo+f1 logθ+f2log2θ) fo=-2.276- logλ+ log2λ- log3λ f1= - logλ+ log2λ- log3λ f2=- logλ- log2λ log3λ- log4λ θ=5040 / T、 λ(in A) E; 吸収係数

12 H- の b-f 吸収断面積    by Wishart 1979 MN 187, 59P
10 σbf (10-17 cm2) 1 0.1 λ (μm) 0.754eV σbf(λ)=( X X X X4 – X X6) 10-18 cm2      ここに、Ⅹ=λ(μ) E; 吸収係数

13 J.4. 吸収係数の計算 ここは、恒星大気の代表的な値に基づいて、水素連続吸収を計算する。ここにあげ
たスペクトル型より低温(晩期型)では分子吸収、高温(早期型)では電子による 散乱が効いてくるので、ここでは取り上げない。 スペクトルを計算する星のパラメターは以下のようである。 スペクトル型   Te      Pg(erg/cm3)    Pe(erg/cm3) K  4000    100,   G 6000 ,000         F0 7500     17,   A0 10000  1, B0.5     25000 , E; 吸収係数

14 N-、n1、 n2、 n3、n4、Ne Peが与えられているので、電子は水素の電離で形成されると考えると、P(HI)は
N(He)/N(H)=1/9 として、        P(HI)=(Pg-2・Pe)/1.1   (HIは中性水素原子の意味)で決まる。 次にP(H-)はSAHAの式に今求めたP(HI)を代入して、次の式で決まる。 数密度は k=1.3806・10-16 (erg/K) を使って、 Ne=Pe/kT、 NI=P(HI)/kT、 N-=P(H-)/kT で求まる。 n1、 n2、 n3、n4 をNI= n1+n2+ n3...からもとめるには、NI= n1と近似して、 n2 = n1 ×4×10-10.20θ n3 = n1 ×9×10-12.08θ n4 = n1 ×16×10-12.75θ       (ボルツマンの式) で計算する。θ=5040/T。  E; 吸収係数

15 次に、上の値を用いて連続吸収係数を計算する。
   T   Pg  Pe P H Ne NI N n n n n n5 K (5) (-4) 3.2(11) 1.7(17) 1.9(8) 1.6(17) 9.2(4) 8.9(2) 2.2(2) 1.4(2) K (4) (-4) 1.3(12) 1.1(17) 2.5(8) 1.1(17) 2.3(7) 6.7(5) 2.5(5) 1.9(5) G (4) (-4) 1.6(13) 6.8(16) 1.1(9) 6.8(16) 7.3(8) 4.3(7) 2.1(7) 1.8(7) F0 (4) (-4) 1.2(14) 1.4(16) 9.5(8) 1.4(16) 8.2(9) 1.0(9) 6.3(8) 6.1(8) A (-5) 3.0(14) 2.7(14) 2.0(7) 2.7(14) 7.9(9) 2.0(9) 1.6(9) 1.8(9) B (14) 3.4(10) 3.3(2) 3.4(10) 1.2(9) 1.1(9) 1.4(9) 1.9(9) 次に、上の値を用いて連続吸収係数を計算する。 E; 吸収係数

16 σn(λ) = σn(λn) (λ/λn)3 (λ<λn)
(1)HIのb-f 吸収 κbfρ=n1σ1+n2σ2+n3σ3+……         G=1で計算する。    σn(λ) = σn(λn) (λ/λn)3 (λ<λn)    λn=0.0912×n2 μm    σn(λn)= 0.791×10-17 ・n (cm2 )  (2)H-のb-f 吸収    σbf- (λ)=( X X X X4 – X X6) 10-18 cm2        ここに、Ⅹ=λ(μ)    から、N- σbf- (λ)を計算する。 (3)H-のf-f 吸収 NeN-α-ff (λ, T)=10-26・NHI・ Pe (erg/cm3) ・ 10C   (cm-1)  C=fo+f1 logθ+f2log2θ  ただし、θ=5040.2 / T、λ(in A)である。 fo=-2.276- logλ+ log2λ- log3λ f1= - logλ+ log2λ- log3λ f2=- logλ- log2λ log3λ- log4λ E; 吸収係数

17 前節で求めたκ(λ)に基づいて、κRを計算する。
ロスランド平均吸収係数κR 前節で求めたκ(λ)に基づいて、κRを計算する。 Te(K)     4000   5000  6000  7500  10000  25000 κR(cm-1)  3.84E E E E E E-09  E; 吸収係数

18 恒星表面でのフラックス W(λ)=λ・F(λ) はしたがって、
こうして、Te、kλ、kR が揃ったので、ある波長λでτλ=2/3になる深さでの温度T(λ)はエディントン大気を仮定して下のように求められる。 恒星表面でのフラックス W(λ)=λ・F(λ) はしたがって、 以下に、このようにして求めた、kλ、W(λ)をグラフで示す。 E; 吸収係数

19 E; 吸収係数

20 E; 吸収係数

21 E; 吸収係数

22 E; 吸収係数

23   λ T=6000 0.3737 0.565 0.426 0.597 0.501 0.697 0.699 0.914 0.866 1.092 1.225 0.769 1.655 0.36 2.097 0.433 他の温度も求めてみた。 E; 吸収係数

24

25 E; 吸収係数

26 E; 吸収係数

27 E; 吸収係数

28 E; 吸収係数

29 E; 吸収係数

30 E; 吸収係数


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