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B-TACEのための肝癌結節の分類
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初めに 現在、私が行っているB-TACEの方法は2種類あります。3 step B-TACEとRAIB-TACEです。具体的な方法はそれぞれ後に詳述しますが、ここでは、肝癌結節の数、位置、大きさについて分類し、それぞれに最適なB-TACEの方法を提案したいと思います。 肝癌治療の柱は2本です。肝切除術とRFAであり、B-TACEは根治性という点ではこの2つには及びません。よって、B-TACEの適応は、肝切除とRFAの適応がないということからスタートします。もちろんRFAのスキルレベルによってもB-TACEの適応には施設間で異なると思います。 肝癌結節の血管構築は、水溶性抗がん剤およびリピオドールの挙動を考察するうえでとても重要です。特にGlissonに接する結節の血管構築は特殊であり、TACE技術の改良の余地はまだまだ存在していると考えております。
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肝癌結節分類の要素 Glissonに接しているか、離れているか。 5cm以上か、以下か。 多数結節か、否か。
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Glissonに近接しているか? Glissonに接する結節は、RFAでの治療は胆道障害のリスクを伴うためTACEの適応となることが多いです。しかしながらTACEにとってもGlissonに接する結節は治療を行いにくいものです。この認識がとても重要です。つまり、RFAを熱心に行っている施設では、TACEが適応される結節は、TACEによる治療が困難なものが多いということです。TACEの有効性に関し、施設間で認識の差が生じる原因です。 Glisson近傍の結節の場合、太い血管から細かい血管が多数分岐し、腫瘍を栄養することが多いです。これらの細い血管全てにカテーテルを挿入することは技術的にとても困難です。 一方、Glissonから離れた結節の栄養血管の数は少なく、標的TACEは容易ですが、逆にこれらの結節はRFAの適応であることが多いです。 つまり、多くの施設では、TACE治療にはGlissonに近接した、やや大きめの、制御困難結節が回されてきます。
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Glisson近傍HCC結節の血管構築 Glissonに近接する結節の場合、多数の細い血管が直に近位部の太い血管から分岐し結節を栄養しているため、いわゆるsuperselective TACEは困難である。
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5cm以上か、以下か 腫瘍が5cmを越えると、経験上結節はGlissonに接している頻度が高くなります。また、リピオドールの使用上限量を10mLとした場合、腫瘍体積が大きいために結節全体にリピオドールを充分に充填することが困難となります。 さらに肝外側副路から栄養されたり、TACE中にvascular lakeを生じたり、あるいは肝内多発転移を伴っている頻度が高くなります。 更に7cmを越えると、多くのIVRistが制御は更に困難になると考えているようです。 5cmを越える結節は、現在はリピオドールを用いず、新しいB-TACEであるRAIB-TACEを主に施行しております。
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多数結節か否か 多数結節の定義は難しいですが、標的治療をあきらめるという観点から考えると片葉5個以上と考えております。
多数結節が存在していると、いくつかはGlissonに接している確率が高くなります。もちろん、各腫瘍栄養血管を選択しての高濃度の薬剤注入は技術的に不可能となります。 もし、多数結節を制御できる広範囲に対するTACE技術が開発されたなら、TACEの適応を大きく変化させる可能性を有しているといえます。なぜなら、そのTACE技術による肝障害程度は軽くなければならず、しかも多数結節が制御できるなら限定領域の標的TACEにも応用可能だからです。多数結節を制する者はTACEを制するといえます。 肝障害が少なく効果が高いTACEの方法として、私自身はRAIB-TACEが最も理想に近い方法と考えております。
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リピオドールの功罪 B-TACEの役割はあくまでRFAで治療困難な結節を治療することにあります。前述のようにRFA困難な結節はTACE困難でもあります。実際カテーテルをできる限り末梢に進めてリピオドール(ミリプラチン)を用いてB-TACEを行う頻度は、現在では全症例のたった10%です。 残りの90%はいわゆるTACE困難症例です。これらの症例に対し、現在はリピオドールを用いないRAIB-TACEを施行しております。なぜならば、これら90%の症例ではリピオドールの有用性よりも副作用の方が際立ってしまうからです。 リピオドールを用いないRAIB-TACEはまずは肝機能不良例、多数結節例に導入しました。また、球状塞栓物質ではリピオドールを用いずとも良好な腫瘍制御を達成しており、このこともRAIB-TACEの適応拡大につながりました。
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