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北海道大学・環境科学院 藤原正智 http://wwwoa.ees.hokudai.ac.jp/~fuji/
地球惑星科学II 宇宙論(3/4) 北海道大学・環境科学院 藤原正智
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「銀河宇宙」という描像 “天の川”は、我々の太陽系が属する“天の川銀河”(“銀河系”)の円盤面方向に対応
天の川銀河は、アンドロメダ銀河に似たひとつの渦巻銀河 [全て、地学図表より]
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宇宙の階層構造 [地学図表より]
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膨張宇宙の発見(1/2) 理論研究の側から: アインシュタインの一般相対論(1915年)
理論研究の側から: アインシュタインの一般相対論(1915年) 特殊相対論(1905年): 光速度不変を満たす時間空間構造。ただし、万有引力は 瞬時に伝わってしまう(光速より速い)ので不完全 一般相対論では: 万有引力は時空の歪みを通して伝わると見る 一般相対論による「アインシュタインの重力場方程式」: 物質場を与えた場合の時空の歪みを示す式 この式を用いて「宇宙においてどのような天体分布が安定か」という問題に取り組む ところが、安定解が存在しないことが判明(膨張か収縮かしかない) 宇宙は定常(安定)であるべきと考えたアインシュタインは、万有引力を打ち消す (人工的な)“宇宙斥力”(宇宙項;距離が離れると効いてくる力)を想定・導入 後年「生涯最大の失敗」と述懐(物理学に基づく結論と自らの思想が合致せず) “フリードマン宇宙”:宇宙項のない膨張する宇宙 (ただし、近年、“宇宙項”がゼロでないことが観測的に明らかになってきた: 現在の宇宙の膨張速度は一定ではなくわずかに加速している。 2011ノーベル物理学賞)
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膨張宇宙の発見(2/2) 観測研究の側から: ハッブルの法則(1929年)
観測研究の側から: ハッブルの法則(1929年) ほとんどの銀河は赤方偏移(ドップラー効果)を示す(つまり我々から遠ざかっている)が、 その速さはそれぞれの銀河までの距離に比例する(ハッブル定数) 1932年、アインシュタインとド・ジッターが、「膨張宇宙」の証拠であると指摘 (あくまで「宇宙“空間”が膨張している」のであって 「空間は定常で銀河が動いている」(新たな天動説!)とはとらえない) (これは銀河群以上のスケールの話。銀河系、太陽系のスケールでは 当然万有引力が効いている) [地学図表より] ハッブルのウィルソン山天文台[宇]
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宇宙の膨張宇宙の年齢 宇宙は膨張している!(観測事実!) 時間を戻すと宇宙の体積がゼロだった時刻が存在
時間を戻すと宇宙の体積がゼロだった時刻が存在 つまり、宇宙には“始まり”があり、“年齢”がある! では、物質や力はいつどのようにして“誕生”した? (新たな難問!) しかし. . . 当初のハッブル定数により見積もると、 現在の宇宙の年齢は約20億年 他方、地球の年齢はもっと長いことが当時すでに知られていた 「ゼロから始まる膨張宇宙」は20C半ばまで半信半疑
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参考― 地球の年齢に関する議論 多くの天地創造神話では大変長いと考えられていた
旧約聖書「創世記」ではその細かい記述の解釈によるとせいぜい6000年程度(しかも6日間で天地の完成) 西欧では17Cのガリレオやデカルト達の登場まで、聖書の強い影響下 (この頃インドや中国へ出かけた宣教師達が、より長い歴史を持つことを“発見”。ノアの洪水の記録は中国にはない!) 18C~19C:地球はどろどろに溶けた熱い星として始まったという考え 熱した金属・岩石が冷える時間から推定数万年~数億年 19C初頭:“化石”が過去の生物の遺骸であること確立。 化石を用いた地層順序決定法確立。(生物種の“絶滅”!) 19C半ば:ダーウィン「種の起源」-生物の進化という発想が広く世に流布 進化にかかる時間、という問題に直面 19C末:放射能、放射性元素の発見 地球に熱源(冷える時間が伸びる)、崩壊速度・半減期により時計として使える “放射年代測定法” (ウラン鉛の崩壊を利用し、1907年には、16億年の年代を持つ岩石資料の存在確認) 1911年:地質年代(顕生代(6億年前まで))に絶対年代入る 1960年頃:35億年前に生成した岩石 1953年:隕石(太陽系形成初期に生成)の鉛同位体比 45.5億年に冷え固まった:これが地球の年齢
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ビッグバン宇宙と物質の起源 宇宙に始まり物質(元素から銀河まで)はいつどこでどのようにして生成?
物質に関する新しい物理学の誕生 : 量子論(原子物理・光と物質の相互作用、原子核物理、素粒子物理) 1869:メンデレーエフによる最初の周期表; ~1911:ラザフォードのアルファ線の研究と原子模型(太陽系モデル); 1913:ボーアの原子模型(量子論); 1932年:中性子の発見; 1935年:湯川秀樹による陽子・中性子を結びつける力「中間子理論」 [地学図表より] ・メンデレーエフ 各元素の相互関係の 整理・体系化を志す ・原子番号 電子数=陽子数 (元素の化学的性質) ・中性子数~陽子数 同位体:中性子数異なる ・原子量、“核” 陽子数+中性子数 ・放射性元素 不安定なため、一定 時間後核分裂して 別の元素になる
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ビッグバン宇宙と物質の起源 太陽はなぜ、どれだけの期間、光っているのか 化学(電気)、重力エネルギーではなく核エネルギー
化学(電気)、重力エネルギーではなく核エネルギー 原子核同士の衝突・融合(核融合)が星の輝きの源 星の内部で元素が生成(ホイル他、1957) つまり、「星には一生がある」、「地球上等に見られる各種元素は恒星内部で作られる」 しかし、ヘリウムの宇宙存在量は、星の理論と比べて多すぎる。 多すぎる分はどうやって作ったのか? 一方、ガモフによる元素合成の研究(1947)によると 元素が星内部で核融合で合成されるには、星の温度は低すぎる 宇宙初期の収縮状態があったのなら超高温のはず。そこで合成すればいい “火の玉宇宙” 初期宇宙(誕生後1~1000秒、温度1億度以上、高密度): 陽子、電子などから、水素、ヘリウムが生成 つまり「宇宙は大爆発から始まった」(ガモフ) 論敵のホイルがからかい半分に「ビッグバン」とラジオで命名
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ビッグバン理論とその証拠 ・宇宙背景放射の発見: 1948年、アルファとハーマンの予言:ビッグバンという超高温の時代があったのであれば、
1948年、アルファとハーマンの予言:ビッグバンという超高温の時代があったのであれば、 名残りの電磁波が宇宙に満ちているはず。宇宙膨張とともに冷えて5K程度になっているはず。 1965年、ペンジアスとウィルソンによる一様な“雑音電波”の発見2.7K宇宙背景放射 (宇宙背景放射は実は目で見える。放映後のブラウン管テレビのちらつき(電波ノイズ)のうちの一部。) ・他に、ビッグバン理論の証拠として、宇宙膨張とヘリウムの遍在(3つも証拠があると言える) ・宇宙の年齢の確定 ハッブルの当初見積もりは20億年。銀河の動きの観測精度向上により1990年には90億年 一方、星の進化理論より最古の星団の年齢は140億年近い。 アインシュタインの宇宙項の再考膨張加速超新星の観測により、わずかな加速判明 現在では、宇宙の年齢と天体の年齢に矛盾はなくなり、宇宙の年齢は約140億年 [地学図表より;地球惑星科学入門] COBE, 1989; WMAP, 2001 (背景放射とそのゆらぎの精密観測) ・ほぼ等方: ビッグバン ・非等方性: 地球の相対運動~700km/s ・ゆらぎ: 宇宙初期の量子ゆらぎが インフレーションにより引き 延ばされたもの 物質密度の不均一、すなわち、 銀河や銀河団の形成の原因 2006ノーベル物理学賞(COBE)
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恒星の一生と元素合成 ・星の進化の道筋と寿命の長さはその重さで決まる。 ・太陽は現在“主系列星”(宇宙の星の90%)の状態にある。
[ブロッカー「なぜ地球は人 の住める星になったか?」 ブルーバックス] [地学図表より] ・星の進化の道筋と寿命の長さはその重さで決まる。 ・太陽は現在“主系列星”(宇宙の星の90%)の状態にある。 ・太陽より重い恒星の内部では、CNOサイクルによりHe以降の 元素が生成され、その際の核融合エネルギーにより星は光る ・燃料欠乏再収縮内部温上昇より重たい元素の生成 という過程を繰り返しながら、赤色超巨星化していく ・鉄までは核融合で安定化するので、上記過程で生成する。 ・鉄まで出来ると核融合熱を出せなくなり星は潰れ始めるが、 その際の重力エネルギー解放による昇温により鉄が分裂し、 粒子数増大圧力増大超新星爆発となる。 この時に鉄以降の元素が中性子捕獲+放射性崩壊により生成。 ・重さが太陽の30倍以上の星は、重すぎて爆発出来ず収縮し 続ける中から光さえ出て来られないブラックホールとなる
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ブラックホール
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まとめ ー 宇宙論(3/4) ー 「銀河宇宙」という描像 宇宙の階層構造 膨張宇宙の発見 宇宙の年齢、宇宙のはじまり
ビッグバン宇宙と物質の起源 恒星の一生と元素合成 復習・および若干の予習として: 地球惑星科学入門・第30章・宇宙とその進化 参考図書(次回の予習にもなります): 村山斉「宇宙は何でできているのか-素粒子物理学で解く宇宙の謎-」幻冬舎新書 (新書大賞2011第1位)
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NHK クローズアップ現代 <http://cgi4. nhk. or. jp/gendai/index
史上最大の電波望遠鏡「アルマ望遠鏡」(チリ・アタカマ砂漠:降雨少) 66台(直径12mを50台と「ACAシステム」16台)の高精度アンテナ 同時に動作させ1台の巨大アンテナとして稼動 国立天文台・元教授・石黒正人氏らが30年前から取り組んできた「日本発」の国際共同プロジェクト(野辺山天文台がスタート) M100銀河の中心のブラックホールにCO(-256℃)等が吸い込まれていく様子 可視光線でなく電波だと、アミノ酸(C-Nの三重結合)等の高分子が“見える”生命の起源を探る 北大・低温科学研究所・渡部直樹教授: 星間空間における原子・分子過程 Credit: ALMA(ESO/NAOJ/NRAO) Official Website:
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