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鳥インフルエンザに関するリスク・コミュニケーション

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1 鳥インフルエンザに関するリスク・コミュニケーション
平成19年度 家畜衛生講習会(鶏疾病特殊講習) 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 鳥インフルエンザに関するリスク・コミュニケーション 鹿児島大学農学部獣医公衆衛生学教室 岡本嘉六 本年の国内発生を教訓に 宮崎県と岡山県で高病原性鳥インフルエンザの発生が報告された。マスメディアの報道も、これまでより控えめになっているが、無用な不安に基づく騒動に発展しないことを願っている。 国内発生で国民の関心が高まっている間に、インフルエンザは食の安全問題ではなく、新興感染症としての世界流行を如何に防ぐかの問題であることを周知する必要がある。2回目の国内流行であったが、国民意識は余り変わっておらず、その原因は世界各国の衛生状態の違いとそれを踏まえたWHOの世界戦略についての広報が不十分なためである。このまま推移して新型ウイルスが誕生したら、日本はどのようなパニックに陥るのだろうか・・・・・。

2 特集 高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)
岡本個人の見解 2回目の国内発生(2007年) 2007/4/17 最初の国内発生(2004年) 2004/11/15 海外情報 WHOの基本的情報 2007/9/26 FAO、国際獣疫局(OIE) ● H5N1鳥インフルエンザ:主な出来事の時系列 ● WHO暫定的実施要綱:汎流行インフルエンザの発生初期における封じ込めのための迅速な活動(迅速な対処と封じ込めのためのインフルエンザ汎流行に対するWHOの実施要綱草案) ● 第60回世界保健総会 議題項目12.1 インフルエンザ世界流行の事前対策: インフルエンザ・ウイルスの共有およびワクチンとその他の便益の入手 ● WHOの報道記者用手引き書:インフルエンザ世界流行 ● 汎流行インフルエンザ・ワクチンに関する質問と回答 ● 水を介した鳥インフルエンザ(H5N1)の潜在的伝播、衛生設備と公衆衛生、および人の健康に対するリスクを減少させる方法に関する質問と回答 ● インフルエンザ汎流行に対するWHOの戦略活動計画 2006–2007 ● 汎流行インフルエンザに対するワクチン供給確保のための世界規模での活動計画 ● 汎流行インフルエンザ・ワクチン開発のためのインフルエンザ・ウイルスの早期譲渡 ● 新たな組換えH5N1ワクチン・ウイルスの利用可能性

3 パート 1 パート 2 パート 3 パート 4 ヒトの高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)感染の推移
インフルエンザの感染機序、ウイルスの再集合 パート 3 インフルエンザのリスク要因、感染防御 パート 4 新型インフルエンザの世界流行に対する国際的取組み 動物における蔓延防止とともに、ヒトの感染防止に関して、獣医師が適切なリスク・コミュニケーションを行うことが必要とされている。家畜衛生と公衆衛生の境界線はなく、獣医衛生として連携・協力する。

4 ヒトの高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)感染の推移 1997年5月 香港においてヒトへの初めての感染が起きた
パート 1 ヒトの高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)感染の推移 1997年5月 香港においてヒトへの初めての感染が起きた

5 2月: 中国福建省への直前の旅行歴のある香港の一家族において、鳥インフルエンザH5N1感染の2症例(内1名死亡)が確認された。その家族の3人目は重篤な呼吸器疾患で中国本土に滞在中に死亡したが、臨床材料は採取されなかった。 11月: 鳥インフルエンザH5N1感染による24歳男性の死亡例が中国の北京で発生したが、重症急性呼吸器症候群(SARS)によるものとされた。しかし、 本件は2006年8月にH5N1 によるものと遡及的に確認された。 中国では重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生し、 H5N1 との鑑別診断を行う余裕なかった。WHOは、1997年の香港での発生から2003年2月の香港症例までを「初期の出来事」、2003年の11月の北京の症例以降を「その後の出来事」としている。

6 ベトナムとタイでの発生が続いた。 日本でも山口、大分、京都で家禽の発生があり、アジアの各地で家禽における流行が起きたが、中近東以西からの家禽における発生報告は未だなかった。

7 ロシア、カザフスタン、トルコ、ルーマニア、クロアチア、クウェート等から家禽や野鳥の感染が報告された。
宇宙から見た青海湖。 中国最大の湖であり、地球上でも米国ユタ州のグレートソルト湖に次いで2番目に大きな内陸塩湖である。 百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より 西方への伝播 ロシア、カザフスタン、トルコ、ルーマニア、クロアチア、クウェート等から家禽や野鳥の感染が報告された。 ベトナムで猛威を振るい、カンボジア、インドネシアへと広がった。 4月: 何十万羽もの渡り鳥が集まる中国中央の青海湖で野鳥が死に始めた。その後の数週間で様々な種の6,345羽の鳥が死亡した。これは、高病原性鳥インフルエンザが野鳥の大量死を引起した最初の報告事例である。

8 家禽や野鳥の感染が、ヨーロッパ、アフリカの各国から報告された。 動物衛生研究所海外研究拠点(タイ国)「人獣感染症共同研究センター」が始動
トルコ、イラク、アゼルバイジャン、エジプト、ジブチは最初の症例を確認した。 インドネシアで多数の患者が発生したが、国際協力に関する意見の不一致が起こり、WHOの調査が困難になった。 家禽や野鳥の感染が、ヨーロッパ、アフリカの各国から報告された。 動物衛生研究所海外研究拠点(タイ国)「人獣感染症共同研究センター」が始動

9 インフルエンザ・ウイルスの国際的共有に関しての解決策がジュネーブのWHO世界保健総会で合意に達した(5月23日)。
インドネシアとエジプトにおける患者発生が収まらない。

10 2003年以降、12ヶ国で328名の患者が発生した。

11 WHOによるH5N1感染確定症例数 (2007年10月2日)
2003 2004 2005 2006 2007 合計 アゼルバイジャン 8 5 カンボジア 4 2 1 7 中 国 13 3 25 16 ジブチ エジプト 18 10 20 38 15 インドネシア 55 45 32 28 107 86 イラク ラオス人民主共和国 ナイジェリア タ イ 17 12 トルコ ベトナム 29 61 19 100 46 合  計 98 43 115 79 66 329 201 確定症例数、死亡例数、致命率=61% (201/329) WHO HPより

12 発症日および国別にみた鳥インフルエンザA(H5N1)感染症例数
(2007年9月10日現在) 多発国: ベトナムとタイ⇒インドネシアとエジプト 致命率: 当初より低くなったが、2006年以降漸増 症例数 致死率(折れ線)

13 発症日および転帰別にみた鳥インフルエンザA(H5N1)感染症例数
(2007年9月10日現在) 致死率は、ベトナムで多発した2005年に一旦低下したが、その後漸増している 症例数 致死率(折れ線)

14 年齢および国別にみた鳥インフルエンザA(H5N1)感染症例数
(2007年9月10日現在) 感染症例数は、10~19歳が最も多く、40歳以上は少ない この傾向は、1918年のスペイン風邪に類似 症例数

15 年齢および転帰別にみた鳥インフルエンザA(H5N1)感染症例数
(2007年9月10日現在) 致死率は、10~19歳が最も高く、40歳以上は比較的低い この傾向は、1918年のスペイン風邪に類似 症例数 致死率:61.9 44.7 75.3 66.1 66.7 43.8 25.0 60.0 25.0 39.4

16 男子では1917~19年と1920~22年との両期間で年齢ピークの位置が異なっているのに対し、女子ではいずれの期間においても24~26歳の年齢域でピークを示している。また、女子のピークが男子に比して高いことも特筆に値する。 日本におけるスペインかぜの精密分析 東京都健康安全研究センター年報、56巻 (2005)

17 インドネシアは、当初の流行国 ベトナムを上回る
インドネシアは、当初の流行国 ベトナムを上回る 100 患者数(人)・致命率(%) 80 60 40 20 中 国 タ イ 中 国 タ イ エジプト ベトナム エジプト ベトナム インドネシア インドネシア 患者数 致命率 :2003 :2004 :2005 :2006 :2007 :計


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