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第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 ■ 所得が拡大したときの効果

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1 第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 ■ 所得が拡大したときの効果
第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 ■ 所得が拡大したときの効果 名目所得MのみがM'までに増加した場合,予算制約線は右へ平行移動してシフトし,消費者が効用最大化行動によって,よりいっそう上位の無差別曲線上のE'点を選択することになる。実質所得「暮らし向き」が向上することを意味する。 このような所得が拡大したときの消費に与える効果は所得効果と呼ばれる。 x2 u' M'/p2 u M/p2 E' E u' u x1 M/p1 M'/p1 ミクロ経済学(Ⅰ)

2 第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 ■ 所得消費曲線
第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 ■ 所得消費曲線 このような所得Iの様々な変化に応じて均衡点Eの移動軌跡に沿って描かれた曲線を所得消費曲線(income-consumption curve)または支出拡張線(expenditure expansion curve)と呼ぶ。 x2 u' u 所得消費曲線 E' E u' u x1 ミクロ経済学(Ⅰ)

3 4. 所得と消費 x2 u' u ■ 正常財と劣等財 名目所得Iが増加した場合,普通の財であれば,生活水準の向上につれて,需要量も増える。このような財を上級財あるいは正常財と呼ぶ。 しかし,生活水準の向上につれて,需要量が減る財もある。このような財を下級財あるいは劣等財(inferior goods)と呼ぶ。 E' E u' u x1 x2 u' u E' E u' u x1 下級財 ミクロ経済学(Ⅰ)

4 4. 所得と消費 ■ 正常財と劣等財 2財がともに正常財である場合,所得消費曲線は右上がりの線である。(東北方に伸びる線である。)
4. 所得と消費 x2 u' u ■ 正常財と劣等財 2財がともに正常財である場合,所得消費曲線は右上がりの線である。(東北方に伸びる線である。) 片方の財が下級財である場合,所得消費曲線は右下がりの線である。(西北方あるいは東南方に伸びる線である。) 所得消費曲線 E' E u' u x1 u x1 x2 E u' 所得消費曲線 E' u' 下級財 ミクロ経済学(Ⅰ)

5 4. 所得と消費 ■ 正常財と劣等財 2財がともに正常財である場合,所得消費曲線は右上がりの線である。(東北方に伸びる線である。)
4. 所得と消費 x2 u' u ■ 正常財と劣等財 2財がともに正常財である場合,所得消費曲線は右上がりの線である。(東北方に伸びる線である。) 片方の財が下級財である場合,所得消費曲線は右下がりの線である。(西北方あるいは東南方に伸びる線である。) 所得消費曲線 E' E u' u x1 下級財 u x1 x2 E u' 所得消費曲線 E' u' ミクロ経済学(Ⅰ)

6 第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 上級財(正常財)では,所得が上昇すると共に需要が増加するので,エンゲル曲線は右上がりとなる。
第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 I I' I" エンゲル曲線 Engel curve 上級財 I x2 I" 所得消費曲線 I' I x2 x1 上級財 下級財 上級財(正常財)では,所得が上昇すると共に需要が増加するので,エンゲル曲線は右上がりとなる。 ミクロ経済学(Ⅰ)

7 第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 エンゲル曲線 Engel curve
第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 I I' I" エンゲル曲線 Engel curve I x2 I" 所得消費曲線 I' I x1 x1 下級財 下級財(劣等財)では,所得が上昇すると共に需要が減少するので,エンゲル曲線は右下がりとなる。 ミクロ経済学(Ⅰ)

8 第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 ■ エンゲル係数とエンゲルの法則
第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 ■ エンゲル係数とエンゲルの法則 エンゲル(Ernst Engel, ): ドイツの社会統計学者である。ザクセンとベルギー労働者の調査からエンゲルの法則を発見した。 エンゲルの法則: 家計の収入が下落するほど,家計の消費支出全体に占める食費の割合すなわちエンゲル係数が上昇するという法則である。 エンゲル係数 Engel's coefficient:   家計や国の総支出に占める食費の割合である。 エンゲル係数 = 総食費支出/総消費支出 ミクロ経済学(Ⅰ)

9 第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 ■ 需要の所得弾力性
第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 ■ 需要の所得弾力性 所得の変化率と財iの需要量変化率との比を財iの需要の所得弾力(income elasticity of demand)と呼ぶ。 財iの需要の所得弾力性ei=財iの需要量の変化率/所得の変化率 ei > 1 (弾力的) xi I I' 上級財 xi I I' 上級財 0 < ei < 1 (非弾力的) ei =1 xi I I' 上級財 DI DI DI Dxi /DI Dxi /DI Dxi /DI Dxi Dxi Dxi xi /I xi /I xi /I ミクロ経済学(Ⅰ)

10 第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 ■ 需要の所得弾力性
第3章 家計の消費行動 4. 所得と消費 ■ 需要の所得弾力性 所得の変化率と財iの需要量変化率との比を財iの需要の所得弾力(income elasticity of demand)と呼ぶ。 財iの需要の所得弾力性ei=財iの需要量の変化率/所得の変化率 ei > 1 弾力的(娯楽品,奢侈品) 所得の増加に対して需要量の増加が大きい 0 < ei < 1 非弾力的(必需品) 所得の増加に対して需要量の増加が小さい ei=0 (中立財) ei > 0 (上級財) 所得が増えると 需要は増加する ei < 0 (下級財) 所得が増えると 需要は減少する ミクロ経済学(Ⅰ)

11 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 価格変化の効果
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 価格変化の効果 財1の価格p1 のみがp‘1まで下落した場合,予算制約線が反時計回り方向へ回転してシフトし,消費者の均衡点はE点からE'点に変更する。 x2 u' u E E' p'1/p2 p1/p2 x1 ミクロ経済学(Ⅰ)

12 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ スルーツキー(Slutsky)分解 所得効果 income effect
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ スルーツキー(Slutsky)分解 所得効果 income effect 家計の実質所得が減少した効果である。(代替効果を排除した部分である。 E* → E ) p1の下落によって,より上位の無差別曲線上に均衡点が移り,効用はuからu'まで向上した。( u → u' ) x2 u' u 所得効果 E E' p'1/p2 E* p1/p2 x1 ミクロ経済学(Ⅰ)

13 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ スルーツキー(Slutsky)分解 代替効果 substitution effect
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ スルーツキー(Slutsky)分解 代替効果 substitution effect p1の下落によって,同一の効用水準を維持するには,無差別曲線上のE点からE*点へ変更する。つまり相対的高くなったx2の消費を減らし,相対的安くなったx1の消費を増やす。 ( E → E*, p1↓ → x1↑) 消費者が相対的に高くなった財2から相対的に安くなった財1への代替にもとづく効果である。(実質所得の変化の効果を抜いた相対価格の変化のみの影響である。補償需要への効果と呼ばれる。) x2 u' 代替効果 u 所得効果 E E' p'1/p2 E* p1/p2 x1 ミクロ経済学(Ⅰ)

14 第3章 家計の消費行動 スルツキー分解 5. 価格と消費 価格変化による需要の変化を代替効果と所得効果に分けることを,スルツキー分解と呼ぶ。
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費  スルツキー分解 価格変化による需要の変化を代替効果と所得効果に分けることを,スルツキー分解と呼ぶ。 第1財の価格の変化による,第1財の需要の変化: x1' -x1 =(x1*-x1)+ (x1'-x1* ) x2 u' 代替効果 u 所得効果 E E' x1 p'1/p2 E* x1' p1/p2 x1* 全体効果 代替効果 所得効果 x1 代替効果 全体効果 所得効果 ミクロ経済学(Ⅰ)

15 第3章 家計の消費行動 スルツキー分解 5. 価格と消費 ■ スルツキー方程式(p1のx1に与える効果)
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 Evgenii Slutskii (1880~1948) 20世紀初期のソヴィエト連邦・ウクライナの数学者・経済学者  スルツキー分解 第1財の価格の変化による,第1財の需要の変化: x1' -x1 =(x1*-x1)+ (x1'-x1* ) 全体効果 代替効果 所得効果 ■ スルツキー方程式(p1のx1に与える効果) 全体効果 代替効果 所得効果 ミクロ経済学(Ⅰ)

16 第3章 家計の消費行動 価格p1が下落する場合に,財1の需要量x1はどう変るか? 5. 価格と消費 結 論
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費  価格p1が下落する場合に,財1の需要量x1はどう変るか? 結  論 x1が正常財である場合,所得効果は正であるので,E'がE*の右にある。( p1↓ → x1↑) x2 u' 代替効果 u 所得効果 E E' x1 p'1/p2 E* x1' p1/p2 x1* x1 代替効果 全体効果 所得効果 ミクロ経済学(Ⅰ)

17 第3章 家計の消費行動 価格p1が下落する場合に,財1の需要量x1はどう変るか? 5. 価格と消費 結 論
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費  価格p1が下落する場合に,財1の需要量x1はどう変るか? 結  論 x1が正常財である場合,所得効果は正であるので,E'がE*の右にある。( p1↓ → x1↑) x1が劣等財である場合,所得効果は負であるが,正の代替効果に勝てず, E'がE*とEの間にある。( p1↓ → x1↑) x2 u' u E' x1' E x1 p'1/p2 E* p1/p2 x1* x1 代替効果 所得効果 全体効果 ミクロ経済学(Ⅰ)

18 第3章 家計の消費行動 価格p1が下落する場合に,財1の需要量x1はどう変るか? 5. 価格と消費 結 論
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費  価格p1が下落する場合に,財1の需要量x1はどう変るか? 結  論 x1が正常財である場合,所得効果は正であるので,E'がE*の右にある。( p1↓ → x1↑) x1が劣等財である場合,所得効果は負であるが,正の代替効果に勝てず, E'がE*とEの間にある。( p1↓ → x1↑) x1がギッフェン財の場合,所得効果は代替効果を超える大きな負であり,E'がEの左にある。 ( p1↓ → x1↓ ) x2 u' u E' x1' E x1 p'1/p2 E* p1/p2 x1* x1 代替効果 所得効果 全体効果 ミクロ経済学(Ⅰ)

19 5. 価格と消費 代替効果 所得効果 全部効果 ―――――――――――――――――― 正 常 財 + + + 劣 等 財 + ー +
5. 価格と消費 x2 u' x1 p1/p2 E E' u p'1/p2 E* x1' x1* 劣 等 財 (p1の下落がx1に与える効果) 代替効果 所得効果 全部効果 ―――――――――――――――――― 正 常 財 + + + 劣 等 財 + ー + ギッフェン財 + ー ー 正 常 財 u' x1 x2 p1/p2 E E' u p'1/p2 E* x1' x1* u' x1 x2 p1/p2 E p'1/p2 E* x1' x1* E' ギッフェン 財

20 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ ギッフェン財
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費  Robert Giffen  (1837 –1910) イギリスの経済学者,統計学者 ■ ギッフェン財 その財の価格の上昇(低下)にもかかわ らず,その財の需要が増加(減少)するよ うな財はギッフェン財と呼ばれる。 実例として,1845年にアイルランドでジャガイモ飢饉が発生した際,ジャガイモの価格が上昇したにもかかわらず,家計の余裕がない状況では,より品質の高い他の財に対する支出が抑制され,代わりにジャガイモの支出が増大した。 ギッフェン財の実例は非常に稀で,めったに観察されない。 ミクロ経済学(Ⅰ)

21 第3章 家計の消費行動 価格p1が下落する場合に,財2の需要量x2はどう変るか? 5. 価格と消費 ■ クロスの価格変化の効果 (交差効果)
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ クロスの価格変化の効果 (交差効果)  価格p1が下落する場合に,財2の需要量x2はどう変るか? u x1 x2 p1/p2 E' E u' p1'/p2 E* クロスの全体効果 x2 x2' ■ スルツキー方程式 (p1のx2に与える効果) 所得効果 x2" クロス代替効果 クロスの 全体効果 クロス 代替効果 所得効果 ミクロ経済学(Ⅰ)

22 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 代替財と補完財
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 代替財と補完財 第1財の価格が上昇(低下)すると,第1財の需要が減り(増え),第2財の需要が増加(減少)する場合,第2財は第1財の粗代替財と呼ぶ。 (ウイスキー ←→ 焼酎) クロスの代替効果がプラスに働く財を代替財と呼ぶ。 第1財の価格が上昇(低下)すると,第1財の需要が減り(増え),第2財 の需要が減少(増加)する場合,第2財は第1財の粗補完財と呼ぶ。所得 効果が含まれている。 (コーヒー ←→ 砂糖)(パン ←→ バター) クロスの代替効果がマイナスに働く財を補完財と呼んでいる。 *「粗gross」という文字がある場合に,所得効果が含まれている。ない 場合には所得効果が含まれていない。 ミクロ経済学(Ⅰ)

23 第3章 家計の消費行動 ■ 価格・消費曲線 5. 価格と消費
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費  ■ 価格・消費曲線 p1が次々に変化する場合には,そのそれぞれに応じて,消費者が効用最大化行動による決定される需要量移動の軌跡に沿って描いた曲線を価格・消費曲線price-consumption curveと呼ぶ。別名オーファー・カーブoffer curveである。 価格・消費曲線 x2 u" u' u N E" E' E M M' x1 ミクロ経済学(Ⅰ)

24 ■ 一家計の需要曲線 5. 価格と消費 p1の変化に対して,需要量x1がいかに反応するかを表す曲線である。
5. 価格と消費 x2 u" u'   ■ 一家計の需要曲線 p1の変化に対して,需要量x1がいかに反応するかを表す曲線である。 普通は需要曲線は右下がりの曲線である。 *注意点:この需要曲線は所得Mとその他の財の価格が一定で,p1のみ変化した場合のx1の変化を表している。 u p"/p2 E" E' E p/p2 p'/p2 x1 p1 需要曲線 p E p' E' p" E" x1 ミクロ経済学(Ⅰ)

25 ■ 一家計の需要曲線 5. 価格と消費 普通は需要曲線は右下がりの 曲線である。
5. 価格と消費 p1   ■ 一家計の需要曲線 普通は需要曲線は右下がりの 曲線である。 *注意点:この需要曲線は所得Mと その他の財の価格が一定で,p1のみ変 化した場合のx1の変化を表している。 (1) Mが変化する場合に需要曲線 はどのように変化する。 (2)その他の財の価格p2が変化する 場合に需要曲線はどのように変化する。 x1 x1が正常財であれば,Mが上昇すると,需要曲線は右へシフトする。 p1 x1 x1がx2の粗代替財であれば,p2が上昇すると, x1の需要曲線は右へシフトする。 ミクロ経済学(Ⅰ)

26 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 市場の需要曲線の導出 数値例: Aさんの需要関数 xA=10-p/2
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費  ■ 市場の需要曲線の導出   数値例: Aさんの需要関数 xA=10-p/2 Bさんの需要関数 xB=10-p 市場の需要関数 x=xA =10-p/ (p≧10) x=xA+xB=20-3p/ (p≦10) Aさんの個人需要曲線 x p Bさんの個人需要曲線 x p x p 市場の需要曲線 20 10 20 10 10 5 5 8 6 2 8 20 ミクロ経済学(Ⅰ) ミクロ経済学(Ⅰ) 26

27 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 市場の需要曲線の導出
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費  ■ 市場の需要曲線の導出 家計全体の需要曲線(市場の需要曲線)は,各個人(各家計)の需要曲線をそれぞれ横軸方向に合計して,求めることができる。 Aさんの個人需要曲線 Bさんの個人需要曲線 x1 p1 p 社会需要曲線 x1 p1 p p1 x1 ミクロ経済学(Ⅰ)

28 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要曲線のまとめ 定義:需要量と価格の関係を示す曲線 性質:通常右下がり,価格↓ ⇒ 需要量↑
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要曲線のまとめ 定義:需要量と価格の関係を示す曲線 性質:通常右下がり,価格↓ ⇒ 需要量↑ シフト・パラメーター(外生変数): 所得水準 競合する財の価格 天候・嗜好の変化など D p p1 p2 D x x1 x2 ミクロ経済学(Ⅰ)

29 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要の価格弾力性
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要の価格弾力性 ある財の価格の変化率とこの財の需要量変化率との比を財iの需要の価格弾力性(price elasticity of demand)と呼ぶ。 需要の価格弾力性ed=-需要量の変化率/価格の変化率 x p -Dx/Dp p2 Dp x2 -Dx/Dp A p1 x1 Dx B D ミクロ経済学(Ⅰ)

30 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要の価格弾力性
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要の価格弾力性 ある財の価格の変化率とこの財の需要量変化率との比を財iの需要の価格弾力性(price elasticity of demand)と呼ぶ。 需要の価格弾力性ed=-需要量の変化率/価格の変化率 x p x p 左右両図はどちらの需要の価格弾力性が大きい? A p1 x1 A p1 x1 B D B D ミクロ経済学(Ⅰ)

31 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要の価格弾力性
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要の価格弾力性 ある財の価格の変化率とこの財の需要量変化率との比を財iの需要の価格弾力性(price elasticity of demand)と呼ぶ。 需要の価格弾力性ed=-需要量の変化率/価格の変化率 px=a 需要曲線が直角双曲線の形をしている場合に,需要曲線上のどの点においても ed=1 である。 例: px=a (aは定数) ミクロ経済学(Ⅰ)

32 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要の価格弾力性
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要の価格弾力性 ある財の価格の変化率とこの財の需要量変化率との比を財iの需要の価格弾力性(price elasticity of demand)と呼ぶ。 需要の価格弾力性ed=-需要量の変化率/価格の変化率 ed=0 ed=∞ p p x x

33 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要の価格弾力性
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要の価格弾力性 ある財の価格の変化率とこの財の需要量変化率との比を財iの需要の価格弾力性(price elasticity of demand)と呼ぶ。 需要の価格弾力性ed=-需要量の変化率/価格の変化率 > 1 (奢侈品,密接な代替品のある財など) 弾力的elasticで,1%価格の下落に対し1%以上の需要が増えるので,売上高は増加する。 < 1 (必需品,密接な代替品のない財など) 非弾力的inelastic,1%価格の下落に対し1%以下の需要しか増えないので,売上高は減少する。 ミクロ経済学(Ⅰ)

34 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要の価格弾力性と収入 価格上昇 価格下落 ed < 1 非弾力的 売上収入増加
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 需要の価格弾力性と収入 需要の価格弾力性 > 1 需要の価格弾力性 < 1 p p p2 p2 Dp p1 p1 収 入 x x2 x1 x1 x x2 -Dx 価格上昇 価格下落 ed < 1 非弾力的 売上収入増加 売上収入減少 ed =1 売上収入不変 ed > 1 弾力的 価格が上昇すると,収入が減る。 価格が上昇すると,収入が増える。 ミクロ経済学(Ⅰ)

35 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 豊作貧乏 計算例
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 ■ 豊作貧乏 農産物が豊作となり価格が下落したために,農家の収入が低下して,採算が合わなくなる現象を豊作貧乏という。 計算例 白菜を1個200円で売ることを想定したとき,1200万個が売れる。しかし,豊作で白菜の収穫が1800万個もあって,1個50円でやっと完売した。 白菜の価格変化率 = (50-200)/ 200 = -75% 白菜の需要変化率 = (1800-1200)/ 1200 = 50% 白菜の需要の価格弾力性 = -(-50% / 75%) = < 1 収穫1200のときの売上収入=1200万個×200円/1個=24億円 収穫1800のときの売上収入=1800万個× 50円/1個= 9億円 ミクロ経済学(Ⅰ)

36 第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 代替と補完 > 0 粗代替財 関連財 < 0 粗補完財 独立財 =0
第3章 家計の消費行動 5. 価格と消費 代替と補完 需要の交差弾力性cross elasticity of demand i財の価格の変化率と関連するj財の需要量変化率との比である。 需要の交差弾力性eij=j財の需要量の変化率/i財の価格の変化率 > 0 粗代替財  関連財  < 0 粗補完財  =0 独立財  ミクロ経済学(Ⅰ)

37 循環構造 民間部門の経済循環の流れ circular flow 家 計 企 業 (価格メカニズム) 市場機構 が働く p 消費財市場 x
循環構造 民間部門の経済循環の流れ circular flow (価格メカニズム) 市場機構 が働く x p 需要 消費財市場 供給 支出 収入 家 計 企 業 供給 所得 費用 需要 生産用役市場 財・サービスの流れ 貨幣の流れ ミクロ経済学(Ⅰ)

38 第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択
第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択 家計の消費のために支出可能な名目(貨幣)所得額:M 家計の余暇活動に充てる時間数:F 家計の効用関数:U=U(M,F)  U3 余暇 F 所得 M O 所得と余暇は家計にとって望まし い財(正常財)であるとする。所得の 増加,または余暇時間の増加は効 用を上昇させる。 所得と余暇の間の限界代替率は 逓減することを仮定すると,無差別 曲線は原点に凸の右下がりの曲線 となる。 U2 U1 ミクロ経済学(Ⅰ)

39 第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択 家計が最大限使える時間数:T
第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択 家計が最大限使える時間数:T 家計の余暇活動に充てる時間数:F 家計の労働供給時間:L 時間の制約条件:T=L+F → L=T-F 予算制約線 余暇 F 所得 M O 市場の賃金率(時給):W L労働供給による報酬:W・L 家計のその他の所得:G 家計の所得総計: M= W・L + G 家計の所得総計制約(予算制約式) M= W( T-F ) + G W・T W・L1 W G T F1 労働時間 L1=T-F1 ミクロ経済学(Ⅰ)

40 第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択
第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択 家計の所得総計制約(予算制約式): M= W( T-F ) + G Wの下で,所得と余暇の選択はE点で決まる。 所 得:ME 余暇時間:FE 労働時間:T-FE=LE U3 予算制約線 余暇 F 所得 M O U2 U1 E ME FE W G T 余暇時間 労働時間 LE=T-FE ミクロ経済学(Ⅰ)

41 第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択
第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択 家計の所得総計制約(予算制約式): M= W( T-F ) + G Wの下で,所得と余暇の選択はE点で決まる。 所 得:ME 余暇時間:FE 労働時間:T-FE=LE U3 予算制約線 余暇 F 所得 M O U2 U1 市場の賃金率(時給)Wが 変化する場合に W1 → E1点選択:(F1 ,M1 ) W3 → E3点選択:(F3 ,M3 ) E3 M3 E F3 W3 ME FE E1 M1 F1 W1 W G T ミクロ経済学(Ⅰ)

42 第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択
第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択 市場の賃金率(時給)Wが 変化する場合に W1 → E1点選択:(F1 ,M1 ) W → E 点選択:(F ,M ) W3 → E3点選択:(F3 ,M3 ) 結論 賃金率がW1,W,W3へと上昇し ていくと, 所得はM1,M,M3へと増加していくが, 余暇時間は,F1,F,F3へと減少してから増加へ転じていく。 U3 予算制約線 余暇 F 所得 M O U2 U1 E3 M3 E F3 W3 ME FE E1 M1 F1 W1 W G T ミクロ経済学(Ⅰ)

43 第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択 結論
第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択 Wの上昇による余暇需要の代替効果と所得効果の方向は逆である。 結論 賃金率がW1,W,W3へと上昇し ていくと, 所得はM1,M,M3へと増加していくが, 余暇時間は,F1,F,F3へと減少してから増加へ転じていく。 余暇時間の減少から増加への 変化の理由: ① 賃金率Wは余暇の価格であるので,Wの上昇で代替効果として,余暇需要を減少させる。 ② 余暇は「正常財」であるので,Wの上昇で所得効果として,余暇需要を増加させる。 U3 予算制約線 余暇 F 所得 M O U2 U1 E3 M3 E F3 W3 ME FE E1 M1 F1 W1 W G T

44 |(-)代替効果| > |(+)所得効果|
第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択 Wの上昇による余暇需要の代替効果と所得効果の方向は逆である。 余暇時間の減少から増加への変化の理由: ① 賃金率Wは余暇の価格であるので,Wの上昇で代替効果として,余暇需要を減少させる。 ② 余暇は「正常財」であるので,Wの上昇で所得効果として,余暇需要を増加させる。 W1 ➡ W : |(-)代替効果| > |(+)所得効果| 余暇時間減少 U3 余暇 F 所得 M O U2 所得効果 U1 代替効果 E3 E W3 E1 W1 W G T

45 第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択 余暇時間の減少から増加への変化の理由:
第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択 Wの上昇による余暇需要の代替効果と所得効果の方向は逆である。 余暇時間の減少から増加への変化の理由: ① 賃金率Wは余暇の価格であるので,Wの上昇で代替効果として,余暇需要を減少させる。 ② 余暇は「正常財」であるので,Wの上昇で所得効果として,余暇需要を増加させる。 W1 ➡ W : |(-)代替効果| > |(+)所得効果| 余暇時間減少 W ➡ W3 : |(-)代替効果| < |(+)所得効果| 余暇時間増加 U3 余暇 F 所得 M O U2 所得効果 U1 代替効果 E3 E W3 E1 W1 W G T

46 第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 家計の労働供給曲線
第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 家計の労働供給曲線 賃金率Wの変化と,余暇・労 働時間の変化 W1 → W → W3 余暇: 減少→増加 労働: 増加→減少 U3 価格消費曲線 余暇 F 所得 M O U2 U1 労働 L 賃金率W 家計の 労働供給曲線 E3 W3 E W3 E1 W W1 W W1 G T ミクロ経済学(Ⅰ)

47 第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択
第6章 生産要素市場と所得分配 2 家計の労働供給(家計の消費行動理論の応用) ■ 所得と余暇の選択 賃金率Wの変化と,余暇・労 働時間の変化 W1 → W → W3 余暇: 減少→増加 労働: 増加→減少 後方屈曲的な労働供給曲線の 現実的な意味 労働時間の長さは消費者が自由に選択できる。 手当が出してくれれば,超過勤務 (残業)などをして労働供給を増や す人が現れることもある。 給与水準が高くにつれて,週休2 日制などへの要望が強くなる。 U3 価格消費曲線 余暇 F 所得 M O U2 U1 労働 L 賃金率W 家計の 労働供給曲線 E3 E W3 W3 E1 W W1 W W1 G T ミクロ経済学(Ⅰ)

48 循環構造 民間部門の経済循環の流れ circular flow 家 計 企 業 (価格メカニズム) 市場機構 が働く p 消費財市場 x
循環構造 民間部門の経済循環の流れ circular flow (価格メカニズム) 市場機構 が働く x p 需要 消費財市場 供給 支出 収入 家 計 企 業 労働供給H 賃金w 供給 所得 費用 需要 生産用役市場 財・サービスの流れ 貨幣の流れ ミクロ経済学(Ⅰ)


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