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流氷運動の数値予測における氷の初速度の算定法について
船舶海洋工学科 70375 福成 洋
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研究の背景 → 氷況の詳細な認識の必要性 北極海航路 氷海開発 極東アジアーヨーロッパ間の船舶航行期間の短縮 船舶航行支援システムの開発
天然資源の豊富な氷海 安全性の確保 → 氷況の詳細な認識の必要性
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海氷の離散的な特徴を表現しつつ、広範囲での計算が可能な DMDFモデル (Distributed Mass / Discrete Floe Model)
氷盤 ●力学的な流氷運動の数値モデル 計算格子 氷群 ●海氷の運動の基礎式 : 運動量保存則 コリオリ力 海面傾斜に基づく重力
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計算対象海域:北極海
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北極海における氷況の計算 形山(1999)卒業論文
1995年7月1日の観測氷況 (密接度) 1995年7月4日の計算氷況 (密接度) 入力データ 密接度の初期値は、SSM/Iセンサデータを用いた。 海氷の初速度は、全て 0 とした。 海流は、大局的な海流図を作り、それを基に風成を 考慮したもの
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(1)SSM/Iセンサによる氷況データ センサデータ 数値化された密接度 ミッシングデータの補間 DMDFモデルの初期値 1995年
(Special Sensor Microwave / Imager) センサデータ 解析アルゴリズム 数値化された密接度 1995年 ミッシングデータの補間 DMDFモデルの初期値
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(2)氷の初速度の影響 相違の原因: 氷の初速度を 0 としていること。 主に、熱影響(氷の融解)を考慮していないこと。
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熱影響 1995年7月2日~7日の密接度の推移(変化) 観測で見られる減少(青)が計算では見られない。 観測による密接度の推移
増 減 増 観測による密接度の推移 計算による密接度の推移 観測で見られる減少(青)が計算では見られない。 熱モデルの必要性 ただし全計算領域について正確な入力データを得るのは難しい。 (気温、海水温、短/長波長放射熱等)
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(3)海流データ 海域によっては、海流が風の影響を受けすぎる ↑水深を一律にするなどのデータ不足が原因?
●大局的な海流図をもとに作成した定常流をつかい、風の影響を考慮した風成海流を用いている。 ・風成海流の計算には多層モデルを用いる。 ・鉛直方向の海水運動はない。 ・各層間に運動量伝達が行われる 海流計算における各層の厚さ 第1層:5.0m 第2層:10.0m 第3層:18.0m 第4層:27.0m 第5層:40.0 海域によっては、海流が風の影響を受けすぎる ↑水深を一律にするなどのデータ不足が原因?
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本研究のテーマ 北極海における氷況分布予測計算の 精度向上を目指し、以下について考える。 SSM/Iデータ(初期密接度)欠損の補間。
氷速度の初期値を導出。 昨年の卒論で作成した海流データを見直し。 熱影響の考慮は、今後の課題。
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SSM/Iセンサデータ欠損の補間 ●データ欠損格子を中心とする 3×3の格子の密接度データの平均 ※ 3×3の格子にデータが存在しない
場合は、4×4 ・ ※n×nの格子にデータが存在しない 場合は、(n+1)×(n+1)の格子の平均
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SSM/Iセンサデータ欠損の補間 ●データ欠損格子を中心とする 3×3の格子の密接度データの平均 ※ 3×3の格子にデータが存在しない
場合は、4×4 ・ ※n×nの格子にデータが存在しない 場合は、(n+1)×(n+1)の格子の平均
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海氷初速度の導出 方針・1 海氷分布の推移を主に移動によるものと仮定し、 SSM/Iセンサによる密接度分布の画像相関から 速度ベクトルを求める。 方針・2 運動している海氷はそれに働く外力が最小となる 平衡状態にあると仮定し、その平衡状態での速度 を初速度とする。
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密接度画像の相関 1995年7月2日と7月5日の密接度の二次元相関を採った。 海氷の分布は起伏がなだらかなため 相関は採りにくい。
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氷初速度の定常解 非平衡状態 2時間半後にほぼ収束 平衡状態 格子それぞれについて 定常値を計算し、 それを初速度データとする。 駆動力
外力成分 外力成分 2時間半後にほぼ収束 海氷 平衡状態 格子それぞれについて 定常値を計算し、 それを初速度データとする。 (等速直線運動)
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氷初速度の定常解 7/2の定常解法によって求めた海氷速度
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DMDFモデルによる計算の仕様 物理定数 計算条件 計算対象海域:北極海全域 計算格子 25km四方 計算格子数 304×131=39824
空気の密度 1.247kg 海水の密度 1.027kg 海氷の密度 8.0×102 氷/空気間の摩擦係数 0.001 海氷/海水水間の抵抗係数 陸地との摩擦係数 0(摩擦無し) 計算条件 計算対象海域:北極海全域 計算格子 25km四方 計算格子数 304×131=39824 計算時間間隔 60 sec. 3275km 7600km
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計算結果・氷初速度:定常解 海氷密接度分布の推移 7月2日 7月3日 7月4日
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初速度導入前後の計算結果 赤い部分は定常解計算が多く、 青い部分は初速度なし計算が多い。 (氷初速度定常解の計算の密接度分布)
-(氷初速度なしの計算の密接度分布) 計算開始1日目 減 計算開始2日目 減 計算開始3日目 赤い部分は定常解計算が多く、 青い部分は初速度なし計算が多い。 減 増
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初速度導入前後の計算結果
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初速度導入前後の計算結果 ●初速度の影響は、計算ではない。 ●初期速度の影響がない理由
・流氷の速度は大きいところで時速2~3㎞程度 ・SSM/Iデータの分解能、および計算格子の幅は25km ・シミュレーションでは、初速度を0としている影響は 約2時間でなくなる ●高分解能のデータ、計算格子を用いて数時間後の氷況分布を予測するシミュレーションでは、初速度の影響が現れる可能性がある。
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海流データの検討 →海流データは検討の余地あり シミュレーション入力データ(初速度以外)
・海氷密接度 (National Snow and Ice Data Center) ・風 (European Center for Medium-range Weather Forecast) ・海流 (大局的な海流図を基に昨年の卒論で作成) →海流データは検討の余地あり (定常流)
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風成海流を用いた 7/2→7/4の計算値 従来の定常海流を用いた 7/2→7/4の計算値 7/4の観測データ 差分 差分
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風成海流の方が精度の良い海域が + 定常海流の方が精度の良い海域が -
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以前の定常海流(形山作成) 7/3の風成海流 改定後の定常海流
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定常流修正前後の比較 修正した海流を定常にて 使用することにより、 最も観測に近い計算結果が 得られた。 減 増
(修正後の定常海流を用いた計算結果) -(従来の定常海流を用いた計算結果) 減 増 修正した海流を定常にて 使用することにより、 最も観測に近い計算結果が 得られた。
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本研究の結論 SSM/Iデータを使用し、25km四方の計算格子を用いた現在の計算では、初速度の影響はほとんどない。
気象条件より定常解を求めた初速度導出法は合理的であり、高い分解能が求められる計算では重要であると考えられる。 海流データに関しては、定性的ながらも局所的な傾向を考慮する必要がある。
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流氷運動の数値予測における氷の初速度の算定法について
船舶海洋工学科 70375 福成 洋
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風データ 7/2-00 7/2-12 7/2-06 7/2-18
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SSM/Iセンサデータ欠損の補間 ●データ欠損格子を中心とする 3×3の格子の密接度データの平均 ※ 3×3の格子にデータが存在しない
場合は、4×4 ・ ※n×nの格子にデータが存在しない 場合は、(n+1)×(n+1)の格子の平均
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SSM/Iセンサデータ欠損の補間 ●データ欠損格子を中心とする 3×3の格子の密接度データの平均 ※ 3×3の格子にデータが存在しない
場合は、4×4 ・ ※n×nの格子にデータが存在しない 場合は、(n+1)×(n+1)の格子の平均
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