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Excelを用いたBODE線図の作成方法
平成18年8月 1.Windowsパソコンで広く使用されているExcelを用いて、できるだけ易しくBODE 線図の作り方を解説する。 2.Excelは応用範囲が広く、使い方も奥が深いが、ここでは逐一分厚いユーザーズ ガイドを見なくても学習が進められるよう、Excelの使い方に関する必要最小限の 知識を織り交ぜつつ、段階的にBODE線図が作成できる教材構成となるよう配慮 した。 3.教材の構成は以下の通りであり、以下、順を追って解説 していく。 (1)BODE線図について (2)モデルにした伝達関数 (3)BODE線図の作成範囲 (4)BODE線図作成に必要な計算式 (5)Excel上での変数の設定 (6)Excel上での計算式の書き方 (7)計算の実行 (8)計算結果を基にしたBODE線図の作成方法 (9)簡単な動画の作成方法 2019/4/23
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1.BODE線図について (1)伝達関数G(jω)は複素数なので、ωに対するG(jω)の変化の様子は、G(jω) の絶対値と位相角で表す。
(2)横軸に対数目盛りで表した 角周波数 ω [rad/秒] 縦軸に伝達関数の ◎ 絶対値のデシベル値 g [dB] ◎ 位相角 φ [度] をとって、G(jω)の変化の様子をグラフ化したものが BODE線図 である。 (3)BODE線図の一例を図-1に示す。 図-1 この図では ・・ g を Gain ・・φ を Phase で表 している。 2019/4/23
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2.モデルにした伝達関数 ・・・・・① (1)BODE線図作成の基本的事項が学習できるよう、下記の 一次遅れ の伝達関数 をモデルにする。
(2)この演習では、上記の伝達関数について、 絶対値のデシベル値 g と 位相角 φ をωの関数として求め、Excel を使って ω に対応する g と φ の値を計算し、 これを基に BODE線図を作成する。 ・・・・・① 2019/4/23
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3.BODE線図作成に必要な g と φ の計算式
(1)伝達関数の絶対値のデシベル g a.まず、伝達関数の絶対値|G(jω)|を求め、これをデシベル値 g になおす。 b.絶対値 |G(jω)| ・ ①式の分子は正の実数なので、そのままで絶対値になる。 ・ 分母の絶対値は、実数部 1 と虚数部 ωT の2乗和 1+ ω2T2を 平方根で開けば求まる。 ∴ (下図参照 ) ∴ c.X のデシベル値は 20 Log 10 X と表せるので、 X= として、 対数記号の中では、掛け算は和に、割り算は差に直せる 対数記号の中では、ルートは指数に直して外に出せる ∴ ・・・ ② d. 伝達関数の絶対値のデシベル値は 虚軸 (絶対値) jωT G(jω) (虚数部) 2019/4/23 実軸 0 1 (実数)
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・・・③ φ (2)伝達関数の位相角φ a.分母が複素数のままでは扱えないので、分母の共役複素数を分母と分子
(2)伝達関数の位相角φ a.分母が複素数のままでは扱えないので、分母の共役複素数を分母と分子 にかけ、式の値を変えずに分母を実数に、分子を複素数にする(有理化)。 = (実数部) (虚数部) b.複素ベクトルG(jω)と実数軸とがなす角度 φ が位相角になるので、 (下図参照 ) ∴ c.このままでは、単位が[rad]なので、単位を[度]に直して、位相角は ・・・③ (2π[rad]=360[度]) a tanφ=b/a 実軸 G(jω) φ 0 虚軸 j b 2019/4/23
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4.BODE線図の作成範囲 5.Excel上での変数の設定
(1)g と φの曲線の大体の様子を掴むため、ωを 0.001≦ω ≦100 の範囲に設定 して値を計算する。 (2)初めから全範囲に渡ってωを同じ刻みで計算しても効率が悪いので、以下の 表のように対数目盛に合わせた形で 値を設定する。 5.Excel上での変数の設定 (1)セルA1、B1、C1 にそれぞれ変数名 ω、g、φを記入。 (2)ωの値は、予めA列に入力しておく。 セルA1、B1、C1に変数名ω、g、φを記入 ①ωを 0.001~0.01 まで 0.001刻みで入力 ②ωを 0.01~0.1 まで 0.01刻みで入力 ωの入力 以下同様に100まで入力 2019/4/23
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【参考】 連続したセルへの入力と連続データの作成
【参考】 連続したセルへの入力と連続データの作成 (Excelのユーザーズガイドより) ①初期値の設定されたセル範囲を選択する ②マウスの右ボタンを押しながら、 フィルハンドルをドラッグして連続 データを入力する範囲を指定 ③マウスのボタンを離す とショートカットメュー が出てくるので、 [連続データ(加算)] コマンドを選択 ④ドラッグで指定した範囲内に増加傾向*)を直線に当てはめたデータが入力される 連続データ(加算)(L) *)この場合10を初期値として10刻みで増加させている もちろん、0.001を初期値として0.001刻みで増加させても問題はない 2019/4/23 ωの入力について : 数が多くなるとこの方法が役に立つ この他にも、[編集]- [フィル]-[連続データの作成]などの方法がある。
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6.Excel上での計算式の書き方 ・・・④ ・・・⑤ (1)Excelで定義されている特有の演算記号のうち、BODE線図の計算を行うために
必要な演算記号を整理しておく。(詳細は[挿入]-[関数]-[数学/三角]を参照) (2)本演習では以下の演算記号を使用する。 (通常の書き方) (Excel上の書き方) かけ算記号 × * 対数 p = Log a X (aは対数の底、Xは真数) p = LOG(X,a) べき乗 Xn X^n 逆三角関数 φ=tan-1X φ=ATAN(X) (3)従って、②式はExcel上では④の形で書き g=20*LOG(30,10)-10*LOG(1+(ω*T)^2,10) ・・・④ ω^2*T^2を短縮して(ω*T)^2の形で書いてある φ=-(180/3.14)*ATAN(ω*T) (4) ③式はExcel上では⑤の形で書く ・・・⑤ ◎π=3.14とした ◎*の記号は書き忘れやすいので注意すること 2019/4/23
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7.計算式の入力について ω (1)計算式中の変数、例えばωはセル番号でA2と書くことができる。通常は、この ままの形で計算は実行される。
7.計算式の入力について (1)計算式中の変数、例えばωはセル番号でA2と書くことができる。通常は、この ままの形で計算は実行される。 (2)技術計算の場合、変数をセル番号のままにしておくと、式の意味が分かりにくく、 変数が多くなって式が複雑になると、記入ミスなどの発生も考えらる。 この他にも、変数を定義してそのままの形で書くことにより、ブックの中で共通変数として使えるなど、 ユーザーズガイドには御利益がいろいろ書いてあるので参照されたい (3)このため、変数をそのままの形で使って式を書くことにする。 (4)しかし、単に g 、φ を ω の関数で書いただけでは、Excelが ω を変数として 認識しないので、計算は実行されない。試しに、定数 T=0.5 として、 o セルB2 に g の計算式・・・④ o セルC2 に φの計算式・・・⑤ を入力してみる。 ω ④、⑤式がωを認識していないので、計算が実行されない ωをセル番号A2で書いておけば 計算は実行される 2019/4/23 (5)次の章で、ωを変数として登録する方法を説明する。
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8.ωを変数として登録し計算を実行する手順
手順① Aをアクティブにする。 (A列全体がアクティブになる) 手順② [挿入]-[名前]-[定義] で、名前の定義のダイアログボックスを出す。 手順③ ωを変数として登録するため、 ‘bode’ ! ω を入力する。 (シート名) (変数名) A列のデータが全て変数として参照される シート名は仮に bode とした 2019/4/23
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これで変数の登録と計算は終了 手順④ OK ボタンを押す。 セルB2、C2にω=0.001の場合のgとφの値が表示される 手順⑤
手順④ OK ボタンを押す。 セルB2、C2にω=0.001の場合のgとφの値が表示される 手順⑤ ω に対応する g と φ を計算する。 セル B2、C2を同時にアクティブ にして、ハンドルをダブルクリック 全ての ω に対応する g と φ の値の計算が実行される 2019/4/23 これで変数の登録と計算は終了
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9.計算結果を基にしたBODE線図の作成方法
(1)0.001~100までの範囲のωに対応するgとφの値は下表の通り。 (2)初めに g のグラフを作図する。以下に具体的 な手順を示す。 【手順1】 ExcelシートのAとBをクリックして、A列とB列 を選択する。 2019/4/23
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【手順2】 [挿入]-[グラフ]-[グラフウィザード画面]-[散布図]
【手順2】 [挿入]-[グラフ]-[グラフウィザード画面]-[散布図] -[データポイントを平滑線でつないだマーカーなしの散布図]を選ぶ。 【手順3】 [次へ>]-[次へ>]で下の画面を出し、グラフのタイトルとX軸とY軸に名前をつける。 o グラフタイトル : g (自動で出力されたままにしてある) o X軸 : ω o Y軸 : g 2019/4/23
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【手順4】 グラフウィザードで完了をクリックすると以下のグラフが出力される。
【手順4】 グラフウィザードで完了をクリックすると以下のグラフが出力される。 (X軸の目盛りはまだ対数ではないので、 ωが小さい所はかなり圧縮されている) 【手順5】 X軸の座標を書き直す。グラフ上のX軸にカーソルを合わせて右クリックすると、 下の画面が出るので、軸の書式設定を選ぶ。 2019/4/23 X軸にカーソルを合わせて右クリック
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【手順6】下の画面が出てくるので、目盛のタブを選んで
o X軸の最小値を 0.001 o 〃 最大値を 200 o 目盛り間隔を 10 o 補助 〃 o 対数目盛を表示するにチェックマークを入れておく 合わせてチェックは外しておく 値の設定 チェック外す チェックマーク 【手順7】 OKボタンを押すと、X軸を対数目盛にした g のグラフが描ける 2019/4/23
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