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pp-wave上の共変的超弦の場 における低エネルギー作用
お茶大 知崎 陽一 (立教大の矢彦沢氏との共同研究) 基研研究会『場の理論と弦理論』
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『背景場のある共変的な超弦の場の理論について』
§1. イントロダクション 『背景場のある共変的な超弦の場の理論について』 背景場中の超弦の場 一般にさまざまな背景場がある場合、 共変的な超弦の場の理論に矛盾は無いか? 重力場、反対称テンソル場、ディラトン場、・・・ 通常、超弦の場は平坦な時空で用いられるが、 ブラックホール内部の理解やAdS/CFTの理解には、 背景場中の超弦の場の理解が重要である。 AdSでチェックできれば非常におもしろいが、非常に難しい。 まずは、単純なNS-NS pp-waveでチェックする。 背景場中の超弦の場の理論の第一歩となるだろう。
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チェックの方法 ①以前の研究(NS-NS pp-wave上の超弦の第一量子化した一般解)を用いて、 共変的な超弦の場の作用を定義する。(低エネルギー部分に注目する) ②一方、超重力作用を背景のNS-NS pp-waveから2次摂動展開する。 ③具体的にこれら超弦の場の作用と超重力場の2次展開作用を比較し、 両者の一致を示す。 一致するか? NS-NS pp-wave上の超弦の場の作用 (NS-NSセクターの低エネルギー) NS-NS pp-wave上の超重力2次展開作用
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§2 NS-NS pp-wave上の超弦の一般解のモードと低エネルギー状態
この背景場中の超弦の一般解 (その他の成分は略) 自由フェルミオン場 ツイストボソン場 ツイストフェルミオン場 すべて自由モードでだけで展開できるが、それらは時空のモードを表していない
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モードの定義 モードの一例 このように複雑な相互作用を含んでいるが、低エネルギーの場合、 期待値をとると相互作用はほとんど消えて、次の座標依存性だけが出る。 モードに座標依存性が 登場することが重要!! (微分に注意が必要) モードは量子化されており、期待値は時空の計量(pp-wave)となる。
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NS-NSセクターの低エネルギー状態 重力場、反対称テンソル場 “ディラトン”場 補助場 平坦時空の超弦の場と同様の構成だが、モードに座標の依存性を含んでいる。 また、モードを対称・反対称に組まず、場の対称・反対称で定義する。
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§3. NS-NS pp-wave上の超弦の場の作用
簡単のため、弦の場の相互作用は考えないが、 状態やBRSTチャージは、背景場に依存している。 BRSTチャージは、NS-NS pp-wave上で厳密に量子化されている。 今、低エネルギーに注目すると次の項が効いてくる。 このような演算子的なアノマリーは最終的に消える 作用は、期待値をとるとモードの生成消滅の関係から残るものが決まっており、 ゴーストモードの計算を先に行うと、作用は次のようになる。 ただし、最終的に部分積分して同類項になるものは、あらかじめ、 まとめておくことにする。(全微分は落とす。)
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補助場の運動方程式の解は青色部分で、補助場の運動方程式の解を代入すると
作用は次の形にまとめることができる。 ただし、次のようにおいておく ヴィラソロ演算子と超ヴィラソロ演算子についてみてみよう。
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ヴィラソロ演算子、超ヴィラソロ演算子は次の形にできる
これらの演算子が場やモードにかかったときの振る舞いが重要となる。 特にモードの座標依存性や との関係、最終的な期待値の計算が重要。
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計算のポイント(重要な例) ヴィラソロ演算子の中の2階微分の所 微分はモードに対して1回ずつかかる。 このため、作用に重力場等の2階微分以外に1階微分や微分の無いものが登場する。 (背景場のクリストッフェル記号や共変微分と関係する) 超ヴィラソロ演算子の中の一階微分も同様
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モードの微分 右モードも同様 (符号程度異なる) さらに との交換関係も重要 についての交換関係は同様である。ただし右モードのときは符号が変わる 期待値は次式で計算する
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ヴィラソロ部分 超ヴィラソロ部分 も同様 それぞれの期待値を計算した後で、場 の対称・反対称に注目して、作用を重力場と反対称テンソル と相互作用に分解する。 (次ページに計算の一例を示す)
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計算の一例 すべての項が[反対称] ( は同様) (対称) [反対称] 重力場と反対称テンソルでは登場する項が異なる
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のみの部分 黒はヴィラソロからの寄与、赤は、超ヴィラソロ からの寄与 青は両方の合計からの寄与 ただし、この時点では、まだ重力場のトレース項は登場しないが あとでディラトンの置き換えから登場する。 これについては後で説明する
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のみの部分 黒はヴィラソロからの寄与、赤は、超ヴィラソロ からの寄与 青は両方の合計からの寄与 相互作用部分 (2階微分のところは逆符号で自然に消える)
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“ディラトン”を含む部分 ディラトン のうち をゲージ変換の自由度を使って消去する すべての場のゲージ変換については現在チェック中だが、 少なくともディラトンについてのゲージ変換は確認した。 作用は、超ヴィラソロの寄与だけから来る ここで、次の置き換えをすると重力場のトレース項が登場する
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§4. 超重力作用の2次摂動展開(NS-NS部分)との比較
この作用にNS-NS pp-waveの背景場を代入し、共変微分を計算して すべて成分表示したものと、超弦の場の低エネルギー作用は厳密に一致した。
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まとめ “低エネルギー”の超弦の場の作用と2次摂動展開した超重力場の作用は、NS-NS pp-wave上で厳密に一致することを確かめた。
背景場中の超弦の一般解による、第一量子化の方法をもとにして、超弦の共変的な場の理論の構成ができる。
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