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第4章 貨幣数量説は正しいか リカードからクルーグマンまで

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1 第4章 貨幣数量説は正しいか リカードからクルーグマンまで
第4章 貨幣数量説は正しいか リカードからクルーグマンまで A班 天野、菊地、寺内、     宇野澤、晒名、青木

2 貨幣数量説って何? 「貨幣数量方程式」 byフィッシャー MV=PQ ・・・① 「貨幣の需給均衡式」 byマーシャル M=kPY ・・・②
1 経済学はデフレを止められるか 貨幣数量説って何? 「貨幣数量方程式」 byフィッシャー       MV=PQ    ・・・① 「貨幣の需給均衡式」 byマーシャル       M=kPY    ・・・②  M:名目貨幣数量 P:一般物価水準 V:貨幣の流通速度 Q:実質的な取引量  Y:実質所得(GDP) k:貨幣の流通速度(マーシャルのk)

3 1 経済学はデフレを止められるか ①のとき… Vは一定,Qも完全雇用水準で与えられると仮定 ②のとき… Kは一定,Yも所与と仮定 ⇒いずれの場合もPはMに比例する! =「ある国の物価水準は、その国に流通している貨幣の量に比例して決まる」ということ。 (ex; 貨幣が2倍になれば物価も2倍になる。)

4 1 経済学はデフレを止められるか っということは、 学者「デフレだからマネーサプライを増やせばデフレ→インフレになるんじゃ?。。。」 But!!!!! 長期的にみて取引量(Q)が一定で貨幣の流通速度(V,k)も一定という仮説は× Because ①日本の最近の経済成長率こそゼロに近いが、依然として成長を続けている ②貨幣の流通速度は長期的には低下(マーシャルのkは上昇)を続けている。

5 1 経済学はデフレを止められるか 相対価格:財Aで測った財Bの相対価格とは、財 単位と交換される財Aの量である。 絶対価格:貨幣価格ともいう(=物価) サービスの価値を貨幣額で表示したもの。 ・デフレ=貨幣的現象だからマネーサプライなどの金融政策によって決まる。 ⇒相対価格と絶対価格を区別することが重要

6 ◆内生的貨幣供給と利子率 <貨幣数量説の考え方> ・中央銀行が貨幣数量 M を「外生的」に決めると考える(主流)
1 経済学はデフレを止められるか ◆内生的貨幣供給と利子率 <貨幣数量説の考え方> ・中央銀行が貨幣数量 M を「外生的」に決めると考える(主流) ・貨幣数量は「内生的」ないし「受動的」に決まる、という考え方 ○なぜマネーサプライは内生的、受動的に変化するのか。     もしマネーサプライが受動的に変わらなければ、利子率が変動することになるから   (中央銀行はその時々に目標とする政策金利の水準を持っているから、この金利水準を維持する限り、マネーサプライは受動的に変化しなければならない。)

7 ◆テーラー・ルールとブラックの言葉 <テーラー・ルールとは> <フィッシャー・ブラックの議論> テーラー・ルール=最適な金利変更ルール
1 経済学はデフレを止められるか ◆テーラー・ルールとブラックの言葉 <テーラー・ルールとは> テーラー・ルール=最適な金利変更ルール (失業率が上がれば金利を下げる、逆に物価上昇が高くなれば金利を上げる) <フィッシャー・ブラックの議論> ブラックの理論は、「合理的期待理論」の影響を色濃く反映したものである。   ブラックによると、インフレーションとは人々の、そうなるだろうという期待水準によって決まる。期待によって決まるのだが、期待に合理的なルールはない、とも述べている。

8 ◆フィリップス・カーブ <フィリップス・カーブ> ・ケインズ経済学での、価格を決めるロジックに対する答え。
1 経済学はデフレを止められるか ◆フィリップス・カーブ <フィリップス・カーブ> ・ケインズ経済学での、価格を決めるロジックに対する答え。 ・19世紀以降のイギリスの名目賃金の変化と失業率の間にみられる右下がりの関係。(=失業率が高くなると名目賃金の上昇率は低くなるという、ある意味常識的な関係) <マネーサプライM についての注意~ケインズによる定義づけ~> industrial circulation・・・ M は直接的には市中の民間金融機関の貸出によって増加する。 financial circulation ・・・貸出による株や土地など資産取引をファイナンスするマネー。 financial circulationが膨張するときにはマネーサプライM と物価P のリンクは弱くなる。(financial circulationが膨張した1980年代後半より)

9 マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間
1 経済学はデフレを止められるか マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間 日本以外の先進国では、テーラー・ルールに基づく金融政策によって  物価の安定と順調な経済成長(1990-2000) 日本では、バブル崩壊後 経済が低迷(唯一例外) ⇒1999年2月、コールレートがゼロの「ゼロ金利」 景気が過熱すれば、金利を上げる 不況の時には金利を下げる ゼロ金利が奪う ゼロ金利の下での金融を「緩和」 =マネーサプライを増やす=量的緩和 デフレを止める・・・マネーサプライを増やす テーラー・ルールのように金利を下げる 名目金利はゼロ以下に下がらない

10 マネーは効かない 日銀が直接的に関与=ハイパワード・マネー (民間銀行の預金準備) 小宮 先行き資金需要の増大が予想される際
1 経済学はデフレを止められるか マネーは効かない 日銀が直接的に関与=ハイパワード・マネー (民間銀行の預金準備) 小宮 先行き資金需要の増大が予想される際 ⇒超過準備を持つのは 合理的 ※短期金利がプラス&変動が大きい ゼロ金利下では、短期債権の流動資産を日銀当座預金に換えられる ⇒「資本損失」「売却損」は考えなくてよい ⇒超過準備は基本的に必要ない ・・・資産運用対象なし コストもゼロ MB供給変化なし

11 マネーサプライを増やせば、デフレが止まるという考え ⇒データによる裏付けを欠いている
1 経済学はデフレを止められるか マネーサプライを増やせば、デフレが止まるという考え ⇒データによる裏付けを欠いている 2008年9月5日 リーマン・ブラザーズが破綻 ⇒先進各国の中央銀行は「非伝統的な政策」を行う バランスシート拡大 金融機関に超過準備を大量供給する「金融緩和」 金融市場の機能・安定性維持を目的とし、 リスク資産を購入する「信用緩和」 の組み合わせ ⇒中央銀行のバランスシートの動向は、「金融緩和」と直結しない マネーの対GDP比は、欧米よりもはるかに高い ゼロ金利での下での金融政策運営の難しさ、広がっている 量的緩和の限界への認識、広がっている QE3=「金融緩和」と「信用緩和」の合わせ技 ⇒量的緩和の限界を示すもの

12 2.クルーグマン・モデル = 量的緩和 → 「流動性のわな」脱出 ■「流動性のわな」を脱出するには・・・? ①金利政策
 = 量的緩和 → 「流動性のわな」脱出 ■「流動性のわな」を脱出するには・・・?  ①金利政策   流動性のわな = 名目金利がゼロ                →金利はゼロ以下に下げられない                →「金利政策」は無効 そこで   ②量的緩和   金利を下げることに代わるマネーサプライの増大                        =「量的緩和」                     →流動性のわなの下では困難                     ∵利子率0だと貨幣数量説は不成立

13 2 クルーグマン・モデル しかし ③将来を考える クルーグマン・モデルでは 「現在」流動性のわなに陥っていても、「将来」は陥っていないと仮定 ∴将来のマネーサプライ増大への期待(※) → インフレ率上昇 → 実質利子率低下 → 需要が刺激される ⇒ 「流動性のわな」から脱出 ※将来のマネーサプライの増大を知らせるには「現在」の「量的緩和」 ∴ 量的緩和 → 流動性のわな脱出

14 2 クルーグマン・モデル ■クルーグマン・モデルのやや詳しい説明 ◆p129(4.4)式=個人の効用関数 ・・・基準となる時点から見たそれぞれの将来の期間の効用の「割引現 在価値」 を足し合わせ、その合計を最大化する。 ◆p129~131の計算の意味 利子率が正である「正常」な状態では 「将来」は貨幣数量説が成立(名目物価PとマネーサプライM間に) ↓ 将来を静態的均衡に転換 「現在」も貨幣数量説が成立

15 2 クルーグマン・モデル ◆p131(4.9)式=消費者の異時点間の効用最大化を考える ⇒名目利子率の決定要素 ①消費者の主観的割引率 ②期待物価上昇率 ③経済成長率 ◆「流動性のわな」の到来まで (1)M増大 → 第1期のPが上昇 (2)M*の減少が予想される → 「将来」の物価水準P*が下落 (3)実体経済の成長率が低下 いずれかが原因で、第1期の名目利子率が低下 →下限ゼロに到達 →金利がゼロの資産が存在 = 債権の利子は負にならない ⇒「流動性のわな」の到来

16 2 クルーグマン・モデル ■伸縮価格経済 物価Pが伸縮的で名目利子率iが0の場合、 ◆p134(4.13)式=成立 →価格と貨幣数量は無関係 ◆p135(4.14)式=Yは「完全雇用」状態にある ◆「伸縮物価経済」では実質利子率は正常な経済 と変わらない!また、実質利子率が負になったとしても 「完全雇用」は維持される!

17 2 クルーグマン・モデル ■不完全雇用均衡 物価Pが非伸縮的でYが変数である場合、 ◆p136(4.16)式=名目利子率iが正のとき、「完全雇用」 p137(4.17)式=名目利子率iが0のとき、「不完全雇用」 →物価が下方に硬直的経済のとき、「わな」に陥る! ◆流動性の「わな」から抜ける政策は? ・「将来」の物価水準Pを上昇させる! =期待インフレを創出する

18 3.クルーグマン提案の問題点 ①期待インフレの創出 「将来」経済はP*=M*/Y*の等式で成り立つ。
したがって、「将来」の物価水準P*は「将来」のマネーサプライM*に比例して変化 「将来」の物価水準ないし期待インフレに関して、ハイパーインフレーションを起こすことができるのは、中央銀行のみ P*はM*で決まるから、今期Pの下落は期待インフレを「高め」、Yを上昇させるデフレは良薬 中央銀行が狂ったようにあらゆる資産を買えば、物価は上昇するかもしれないが、価値水準としての円を動揺させるような効率のインフレは経済を混乱に陥れることになる。また、足許のデフレが逆に期待インフレを生み出すというのは、現実には起こり得ない。 しかし…

19 ②利子弾力性の問題 期待インフレが1%上昇すると、消費需要は異時点間の消費の代替の弾力性1/pに等しい%だけ増大
3 クルーグマン提案の問題点 ②利子弾力性の問題  期待インフレが1%上昇すると、消費需要は異時点間の消費の代替の弾力性1/pに等しい%だけ増大 実質利子率が低下すれば、消費など需要が速やかに増大することになっている 投資の利子弾力性が代表的消費者の異時点間の消費の代替の弾力性に等しい、という保証はない 日本のコールレートは8.6%から0.5%、長期金利も3.5%から1.8%へと大幅に低下したにも関わらず、投資や消費は力強い回復を示さなかった 「弾力性」は、利子率が変わったとき日本経済という「マクロの系」がどう反応するか、という問題に関わる概念であり、ミクロの分析ではとらえることができない ◎クルーグマンモデルに代表される「代表的消費者」の仮定に基づく「ミクロ的基礎づけ」はまったく理論的根拠を欠いたものである →こうした状況は「流動性のわな」「不確実性のわな」と呼ばれている しかし…


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