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多摩川水系におけるHBCDの 排出実態について

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Presentation on theme: "多摩川水系におけるHBCDの 排出実態について"— Presentation transcript:

1 多摩川水系におけるHBCDの 排出実態について
    東京都環境科学研究所           ○西野 貴裕、加藤みか、下間 志正 東京都環境科学研究所の西野でございます。昨年度から東京都内の公共用水域を対象として、臭素系難燃剤のひとつでありますヘキサブロモシクロドデカンの汚染実態、そして排出源に関する調査を進めてきましたので、その内容について報告いたします。

2 臭素系難燃剤ヘキサブロモシクロドデカン(HBCDs)について
α体 β体 γ体 工業用 HBCDの組成比 γ: 75-89%, α: 10-13%, β: 1-12% 用途 発泡ポリスチレン製の住宅建材や樹脂用難燃剤、ポリエステル製の難燃カーテンなどの繊維用難燃剤 まず、ヘキサブロモシクロドデカン略称はHBCDといっていますが、ここにいらっしゃる方は皆さんご存知のことと思いますが、これまでポリスチレン等の住宅建材や樹脂用の難燃剤、あるいは何年カーテンなどの難燃剤として、国内で多い年は年間3500トン程度の規模で出荷されてきました。しかし、2013年にPOPs条約の対象物質に追加され、その1年後に化審法の第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入が禁止になっています。しかし、このような規制がなされてからも、HBCDを使用した製品の廃棄、あるいは洗浄を通じて環境中へ排出されていることを想定し、水環境中での実態調査を行うことにしました。 2013年、POPs条約対象物質に追加 2014年、化審法第一種特定化学物質

3 HBCDのPOPs追加、化審法第一種特定
調査内容 HBCDのPOPs追加、化審法第一種特定 化学物質指定に伴う、排出の削減  多摩川水系における排出実態調査 多摩川へ放流している下水処理場    ・流入水、放流水中のHBCD濃度の定量    ・多摩川への負荷量を算出  この動きに伴い、各業界による自主的な使用や排出の削減活動が行われているということを受け、水環境への流入が減少することが考えられました。 このため、我々はこれまで多摩川をメインフィールドとして扱ってきましたので、引き続き多摩川でPFOS、PFOAを中心に濃度や負荷量をそくていしました。そして、排出削減活動が行われる前の平成17年にも国立環境研究所と同様の調査をしてきましたので、そのデータと比較することでで、どれだけ活動前後で変化したかを追跡しました。

4 調査対象地点 多摩川 下水処理場A~F6ヶ所の流入水、放流水(いずれもコンポジット試料)を採取 調査時期:2014年11月および12月
 調査時期:2014年11月および12月 多摩川 永田橋 日野橋 関戸橋 多摩川原橋 ■       10km ●:多摩川本川の主要地点 ■:下水処理場放流口(A~Fの6ヶ所) 4

5 調査対象物質 物質 α-HBCD β-HBCD γ-HBCD δ-HBCD ε-HBCD サロゲート シリンジ スパイク
シリンジ スパイク D18-α-HBCD 今回の調査対象物質です。まずカルボン系の物質は、骨格炭素数6のものから12のものまでの7種類、スルホン系は同じく炭素数4~10までの5種類、計12物質としました。定量は後ほどお話しますLC/MS/MSにより内部標準法で行いましたが、それぞれの物質に対応する内標物質がそろっていない状況なので、極力炭素数の近いもので代用しました。

6 分析方法 水試料 固相抽出 洗浄 溶出 濃縮、定容 精製 LC/MS/MS 濃縮 精製2 流入水の場合、以下を追加 サロゲート混合溶液
EmporeDisk C18 60%メタノール水溶液 30mL 50mL/min 超音波抽出装置 アセトン、ヘキサン シリンジスパイク溶液 濃縮、定容 精製 窒素吹付 EnviCarb 80%メタノール水溶液1mL LC/MS/MS 濃縮 ロータリーエバポレーター 5%アセトン/ヘキサン 10mL 流入水の場合、以下を追加 フロリジルPR 2g、無水硫酸ナトリウム0.5g、44%硫酸シリカゲル2g、無水硫酸ナトリウム1g 精製2 ヘキサン10mL(廃棄)⇒ 30%ジクロロメタン/ヘキサン40mL

7 分析条件 LC/MS/MSの分析条件です。まずLCの方は、Waters社製Alliance2695を使用しました。溶離液として10mM酢酸アンモニウム溶液とアセトニトリルを55:45の比率で流しました。カラムはAgilent製のXDB-C18を用い、40℃一定のもと、流量は一分あたり0.2mLとしました。MSに関しては、イオン化法はネガティブモードのESIとし、MRMモードで測定しました。測定イオンに関してはこちらに示すとおりです。

8 検出下限値・定量下限値(ng/L) α~εHBCD各10ng/mL混合溶液20μLを超純水1Lに添加(HBCD濃度:各0.2ng/L)
7回繰り返し分析後、標準偏差算出 α β γ δ ε MDL 0.16 0.10 0.09 0.25 0.07 MQL 0.41 0.24 0.64 0.17 分析を進めるにあたって、検出下限等を算出しました。黒本調査のやり方に従い、HBCD各異性体濃度が水ベースで0.2pptになるように調整した水溶液を7回、先ほど示した方法で繰り返し分析して算出しました。今回は5つの異性体を対象としましたが、δ体は他と比べて同一濃度あたりのピーク面積がかなり小さいため、高めの濃度になりました。

9 回収率50%未満の試料 二重測定により±30%以内を確認
サロゲート回収率等について 流入水に対して 13Cα-HBCD・・・32~78% 13Cβ-HBCD・・・37~60% 13Cγ-HBCD・・・57~79% 回収率に着目すると、サロゲートとして添加した13Cラベル化体の回収率は、ご覧の通りでした。一部で50%を割る検体がありましたが、全体的には90%以上の試料がほとんどでした。なお、操作ブランクは、全ての試料で検出下限値未満でした。 回収率50%未満の試料 二重測定により±30%以内を確認

10 下水分析結果(流入水) δ、ε体は、全試料でN.D.

11 下水分析結果(放流水) 流入水と比較して95%以上減少

12 下水処理場から多摩川への 負荷量(g/日)
PFOSの約7g/日1)と比較して1/10未満 回収率に着目すると、サロゲートとして添加した13Cラベル化体の回収率は、ご覧の通りでした。一部で50%を割る検体がありましたが、全体的には90%以上の試料がほとんどでした。なお、操作ブランクは、全ての試料で検出下限値未満でした。 水溶解度   PFOS:519~670mg/L        HBCD:8.6×10-3mg/L     1)西野ほか:環境化学,23,pp (2013)   

13 既存毒性データとの比較 水生生物への影響に関する毒性情報との比較 放流水のデータ 最大値(ΣHBCDで1.1ng/L)
藻類(Skeletonema Costatum)の 増殖阻害に関するEC50:9.3~12μg/L(72時間) オオミジンコの繁殖阻害に関するNOEC:3.1μg/L(21日間)                (PNEC:0.31μg/L)     放流水のデータ 本データを、既存の毒性情報と比較してみました。HBCDに関しては水生生物への影響に関するデータが複数報告されています。今回測定した事業場排水データのうち最大値を、甲殻類に対するNOEC、あるいはPNECと比較すると、それぞれ20分の1、2分の1といった具合でした。水生生物へのPNECは、さらに安全性を考慮した設定になっていると思われますが、このような排出源の近傍における影響について今後、付近の底質を調査したりなどより重点的に調査する必要があろうかと考えています。 最大値(ΣHBCDで1.1ng/L) で、PNECの1/300程度          

14 底生生物への影響、高次捕食生物へのリスクが懸念 環境省環境リスク評価では、一部の地点でPEC/PNEC比1以上
今後の課題と予定 HBCDのLogPow:5.07~5.47 底生生物への影響、高次捕食生物へのリスクが懸念 環境省環境リスク評価では、一部の地点でPEC/PNEC比1以上 底質、水生生物の調査の実施 今後の課題と予定ですが、HBCDはPOPsや化審法第一種特定化学物質になるだけあって水オクタノール分配係数も高く、底質や生物への蓄積、ひいては底生生物や高次捕食生物へのリスクが懸念されます。実際に環境省の実施したリスク評価では一部の地点でPECとPNECの比率が1を超える地点もあるとの報告もあります。これを受け、特に排出源近傍地点の底質や水生生物を対象とした調査を進めていきたいと考えています。


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