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北大MMCセミナー 第92回 附属社会創造数学センター主催 Date: 2018年11月20日(火) 16:30~18:00
Speaker: 住野 豊(東京理科大学応用物理学科) Yutaka Sumino (Tokyo University of Science) Place: 電子科学研究所 中央キャンパス総合研究棟2号館 5F北側講義室(北12条西7丁目) Title: 会合体生成が起因となり生まれる界面不安定性 Dynamical interfacial instability generated by aggregate formation Abstract:生体の運動機構で,会合体の生成・崩壊は重要な役割を果たしている.また,溶岩の流れや地盤改良に伴うプロセスなど,溶液の流動と会合体生成が結合することで界面の複雑な運動が生じる事も知られている.そこで,本研究では2種類の粘性液体に混合することで会合体を生成する化学種を導入し,液体が接触する系を構築した.すると会合体生成と流動が結合することで,液体間の界面形状が不安定化することを見いだした[1,2]. まずはじめに,結合することで凝集体を生成する,水ガラス-金属塩水溶液系に関して紹介する[1].本系では2種の溶液はほぼ同様な粘性を持つように調製した.この系において,水ガラスを薄いセル中に静置した後,セルの中心より金属塩水溶液を注入すると注入速度に応じて,注入溶液の先端が複雑な形状を示すことを見いだした.このような空間パターンを説明する数理モデルを紹介する共に,最近行っているセル形状に不均一性を導入した実験における結果に関しても述べる. また,異なる実験系として,水ー油-界面活性剤系に関しても紹介する[2].本系においては,水・油それぞれに界面活性剤が混合されており,この2種の界面活性剤が水相中で混合されるとゲル状の会合体を生成する.この系では,溶液を静置した状態でも油水界面が会合体生成に伴って複雑な伸縮運動を示すことが見いだされた.本系に対し,小角散乱を用いた解析を行うと会合体が生成直後に構造転移を示すことが見いだされた.そこで,この構造転移に伴い会合体が収縮することを仮定すると,界面運動が説明できることを数理モデルに基づき見いだした.本セミナーではこの実験結果と,数理モデルに関しても述べる. [1] Shu Wagatsuma, Takuro Higashi, Yutaka Sumino, and Ayumi Achiwa, "Pattern of a confined chemical garden controlled by injection speed",Phys. Rev. E 95, (2017). [2] Yutaka Sumino, Norifumi L. Yamada, Michihiro Nagao, Takuya Honda, Hiroyuki Kitahata, Yuri B. Melnichenko and Hideki Seto, "Mechanism of Spontaneous Blebbing Motion of an Oil-water Interface: Elastic Stress Generated by a Lamellar-Lamellar Transition", Langmuir 32, (2016). アブストラクト: 等高線法を用いた結晶のスパイラル成長の数理モデルを用いて、共回転対と呼ばれる、 同じ回転方向を示すらせん転位の対による結晶表面の成長速度について考察する。 Burton-Cabrera-Frankによると、対の距離がある臨界距離より遠い場合は 単独のらせん転位による結晶表面の成長と見分けが付かないとされる。 他方その臨界距離より近い場合は、対を限りなく近づけた時の成長速度が 単独のらせん転位の2倍になるとされるが、その中間の距離において 成長速度がどうなるかという評価式は与えられていない。 そこで上記の事実について数値計算実験を行った結果、臨界距離にずれがあることを発見した。 そこで共回転対による成長速度の評価を行い、その観点から臨界距離の新しい定義とその数値を与え、 これが数値計算実験の結果と非常に良く合うことを報告する。 評価と臨界距離の改善において重要な役割を果たしたのは単独のらせん転位により 与えられるスパイラルステップの回転速度で、Burton-Cabrera-Frankはこれを アルキメデスのらせんによる近似から計算していた。この結果をより精度の良いものに 改めることによりある程度の指標となる成長速度の評価式を得ることができた。 連絡先: 北海道大学電子科学研究所 附属社会創造数学研究センター 人間数理研究分野 長山 雅晴 内線: 3357
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