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横国大工 ○中津川 博、五味 奈津子、田中 紀壮
第16回日本MRS学術シンポジウム Pb添加されたCa3Co4O9の 結晶構造と熱電特性 横国大工 ○中津川 博、五味 奈津子、田中 紀壮 E2-008-G
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[Ca2CoO3]0.62CoO2 (Ca3Co4O9) CdI2-type conduction sheet Ca2+ 1.12Å
●Bi Å ●Pb Å Rock Salt-type block layer ・Ca3Co4O9 ρ= 15 mΩcm, α= 300K Y.Miyazaki et al, J.Phys.Soc.Jpn. 71 (2002) 491. ・[Ca1.8Bi0.2Co0.95Bi0.05O3]0.62CoO2 ρ= 24 mΩcm, α= 300K Y.Miyazaki et al, Trans.Mat.Res.Soc.Jpn 30 (2005) 499. ・Ca3Co4O9 (Ca349)はmisfit構造の熱電変換酸化物材料として注目を集めている。 ・結晶構造は、CdI2型の伝導層とRS型の絶縁層がc軸方向に平行に交互に積層した層状構造になっている。 ・また、伝導層と絶縁層のb軸方向のサイズミスマッチによって、p=bCoO2/bRS~0.62に象徴されるmisfit構造を取っている。 ・Ca349の熱電特性は、Miyazaki等によって、室温でρ=15mΩcm・α=130μV/Kという値が報告されている。 ・Biを添加したCa349では、室温でρ=24mΩcm・α=170μV/Kとなり、熱電特性が向上することが報告されている。 ・本研究では、CaサイトにPbを添加することによって伝導層のCo形式価数を変化させ、熱電特性の向上を目的としている。 E2-008-G
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[(Ca1-xPbx)2CoO3]0.62CoO2 ・ block layerを変化させることで、conduction sheetの Co形式価数を変化させ、熱電性能の向上を図る。 ・ conduction sheetのCo形式価数が熱電特性を支配 するので、Co形式価数を正確に評価する。 ・ conduction sheetのCo形式価数が減少すると、 → conduction sheetのホール濃度が減少 → ・つまり、 Pb添加することによって絶縁層を変化させることで、伝導層のCo形式価数を変化させ、熱電性能の向上を図る事を目的とする。 ・伝導層のCo形式価数が熱電特性を支配するので、第一に、Co形式価数を正確に評価する。 ・例えば、伝導層のCo形式価数が減少すると、伝導層のホール濃度が減少し、伝導率が減少・熱起電力が増加することが期待される。 減少 増加 E2-008-G
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Experimental 原料粉末: CaCO3 Co3O4 PbO 仮焼き: 920℃ 12h in air
測定装置 X線源 電圧・電流 測定範囲 Step 測定時間 スリット 構造解析 日本電子 JDX-3530 Cu-Kα線 λ= Å 40 kV ・30 mA 10°≦ 2θ ≦ 90° 0.02° 1 sec/step DS 1°, SS 1°, RS 0.2mm PREMOS91 ・ PRJMS ・ MODPLT リートベルト解析 ・ 結晶構造作図 ・ 変調波作図 仮焼き: 920℃ 12h in air 焼結: 920℃ 20h in air ・試料は原料粉末を湿式混合後、920℃12h大気中で仮焼きし、920℃20h大気中で焼結して、700℃12h酸素雰囲気中でアニーリングすることによって単相試料を作製した。 ・結晶構造はCu-Kα線を用いた粉末X線回折測定で確認し、構造解析はPremos91を用いて解析した。 ・解析の結果はPrjmsとModpltを用いてデータ処理した。 annealing: 700℃ 12h in O2 E2-008-G
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X-ray: [(Ca1-xPbx)2CoO3]0.62CoO2
四次元指数: [CoO2]層: RS 層: x=0.06 x=0.05 x=0.04 x=0.03 x=0.02 ・得られた粉末X線回折データは以下の通り ・x=0.00では未反応のCo3O4のピークが見られたが、x=0.02~0.06では単相の試料が作製できた。 ・ x=0.00 E2-008-G
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Lattice constants c a bRS p=0.618 p=0.617 p=0.617 p=0.618 p=0.619
・aはx=0.00~0.06で約0.01Å減少しているが、cは約0.05Åも増加している。 ・伝導層CoO2層のbは約2.82Åで一定であるが、misfitの指標pが大きなx=0.03でbRSの減少が確認される。 p=0.618 p=0.619 bRS E2-008-G
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熱電特性: [(Ca1-xPbx)2CoO3]0.62CoO2
23mΩcm 125μV/K ・抵抗率は、x=0.00からx=0.03まで減少し、x=0.04~0.06まで増加している。 ・熱起電力はPb添加によらず一定の値を示した。 ・300Kでは、x=0.03においてρ=23mΩcm・α=125μV/Kという値を得たが、Ca349を熱起電力一定である程度まで抵抗率を低下させる事ができる事が分かった。 ・Pb2+はCa2+に置換されるので、全体としてCoの形式価数に変化はなく3.23で一定である。しかし、抵抗率が変化している事から、伝導層のCoの形式価数が変化している事が予想される。 E2-008-G
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熱起電力: [(Ca1-xPbx)2CoO3]0.62CoO2
2次元伝導のゼーベック係数:Mandel et al 一定 n 減少 Co4+ 0.05Å増加 m* d ・Mandel等によると、二次元性伝導の物質のゼーベック係数は以下のように定義される。ここで、dは伝導面間距離であり、nはキャリア濃度、m*は有効質量である。 ・Pb添加に伴い、伝導面間距離、即ち、格子定数cは増加するが、伝導層のキャリア濃度は減少している。従って、両者が相殺し合って熱起電力一定が保たれていると考えられる。 ・ただし、低温ではx=0.05, 0.06のα/Tの値が大きくなっているが、これはx=0.05以上でキャリア濃度減少が強まっている事を示唆している。この傾向は抵抗率の結果に反映されている。 m* n Co4+ E2-008-G
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変調構造: x = 0.03 Bond Valence Sum formal valence state of Co : 3.23
i j ・一例として、x=0.03の変調構造を示す。 ・伝導層のCo-O距離と絶縁層のCo-O距離の変調構造を示しているが、伝導層のCo-O距離についてbond valence sumを取るとCoの酸化状態、即ち、Coの形式価数を見積もる事ができる。また、全体のCo平均化数は3.23で一定であるので、絶縁層のCoの形式価数も計算できる。 ・bond valence sum は陽イオンと陰イオンの結合距離だけから陽イオンの酸化状態を見積もる簡便な方法として広く普及している計算方法である。 ・0.37Åはイオンの組み合わせによらない一定値であり、1.70ÅはCo-Oのbond valence parameterである。 ・bond valence sumの結果、x=0.03では、伝導層のCo形式価数は3.04であり、その結果、絶縁層のCo形式価数は3.55となる事が分かる。 E2-008-G
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変調構造: conduction sheet
x = 0.02 x = 0.03 x = 0.04 x = 0.05 x = 0.06 ・構造解析の結果、伝導層内のCo-O平均距離はPb添加に従い増加している事がわかる。 ・つまり、Coの酸化状態が減少し、Co4+とCo3+の混合状態からCo3+へ変化する過程がvalence bond sumの結果からも読み取れる。 ・伝導層のCo-O距離の変調構造は、x=0.04で減少し、x=0.05以上で増加している。 ・Co形式価数が減少すればホール濃度も減少するので、抵抗率は増加すると考えるのが妥当であるが、実際はx=0.03で極小値を持っている。 ・抵抗率の減少および増加は、伝導層の変調構造の減少および増加が一つの要因となっていると考えられる。 E2-008-G
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変調構造: conduction sheet
・伝導層の6本のCo-O距離はこのような3種類のCo-O平均距離に分類できる。 ・赤と青は同じような変化を示すが、緑はそれと対照的な変化を示している。但し、x=0.04では3種類が1.95Å付近でほぼ一致している。 ・x=0.04までは変調構造が減少し、x=0.04以上では変調構造が増加している事がよく分かる。 ・一方、Co形式価数はx=0.03~0.04付近で踊り場的な変化を示しているが、全体として単調減少傾向にあり、Pb添加に伴いCo形式価数が3+に近づいている事がよく分かる。 E2-008-G
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変調構造: block layer x = 0.02 x = 0.03 x = 0.04 x = 0.05 x = 0.06
・全体のCo平均化数は3.23で一定であるので、絶縁層のCoの形式価数も計算するとPb添加に伴いCo4+の割合が増加傾向にある事がよく分かる。 ・絶縁層内のCo-O平均距離はPb添加量が増加してもほぼ一定であるので、絶縁層のCo-O距離の変調構造もほぼ一定で大きな変化は見られない。 ・しかし、格子定数cがx=0.00~0.06の間に約0.05Å増加しているので、これは絶縁層の増加ではなく、伝導層間の増加であると考えられる。 ・つまり、伝導層間が増加するという事はそれだけc軸方向の抵抗が増加する事を意味するので、x=0.03以上の抵抗率増加の一つの要因であると考えられる。 x = 0.02 x = 0.03 x = 0.04 x = 0.05 x = 0.06 E2-008-G
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変調構造: block layer ・絶縁層の6本のCo-O距離もこのような3種類のCo-O平均距離に分類できる。 ・赤と緑はほぼ一定値を取っているが、赤はx=0.03まで若干減少し、x=0.05以上で増加している。 ・絶縁層のCo-O距離の変調構造は、ほぼ一定で大きな変化は見られない事がよく分かる。 ・一方、Co形式価数はx=0.03~0.04付近で踊り場的な変化を示しているが、全体として単調増加傾向にあり、Pb添加に伴いCo形式価数が4+に近づいている事がよく分かる。 E2-008-G
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フェリ磁性 (T≦18K) x = 0.02 x = 0.03 x = 0.04 x = 0.05 x = 0.06 FC ZFC bRS
・30K以下の磁化率の結果に見られるように、磁性はフェリ磁性を示しており、約18Kのフェリ磁性転移温度を境にFCとZFCとの間に差が確認される。 ・フェリ磁性温度以下の磁化率の大きさと伝導率の大きさは定性的に大変よく一致している。フェリ磁性の最も大きいx=0.03は最も伝導率が大きく、フェリ磁性の最も小さいx=0.06は最も伝導率が小さい。 ・磁性を示すイオンがCo4+のみであると考えると、x=0.03が最もフェリ磁性を高めるようにCo4+が配置されていると予想される。実際、bRSがx-=0.03で最小となっているが、これはb軸方向のCo-Co間距離の減少を意味しており、結果として、Co-Co間の磁気相関が強まる事が考えられる。 E2-008-G
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Pb添加に伴う変化 伝導層のCo形式価数は3+に近づき、 Co-O距離の変調構造はx=0.04を境に減少から増加へ変化している。
抵抗率は、変調構造の減少によりx=0.03まで減少し、Co形式価数の減少と格子定数cの増加により、x=0.04以上で増加すると考えられる。 熱起電力は、格子定数cの増加とキャリア濃度の減少により常に一定が保たれていると考えられる。 磁化率(T≦18K)と伝導率(T≦400K)の変化は、定性的によく一致している。 ・ E2-008-G
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