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第Ⅰ部 非協力ゲームの理論 第6章 情報の価値 2008/07/01(火) ゲーム理論合宿 M2 渡辺美穂.

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1 第Ⅰ部 非協力ゲームの理論 第6章 情報の価値 2008/07/01(火) ゲーム理論合宿 M2 渡辺美穂

2 内容 1.情報の需要価値 2.情報の戦略価値 情報構造と情報の需要価値 情報の価値の負になるゲーム 情報の取引 情報エージェントの存在
非協力ゲームの情報の価値

3 情報の需要価値(情報構造と情報の需要価値)
降水確率80% 情報の価値 映画 映画 ・行動を確定的にする. ・情報を得たプレーヤーや他のプレーヤーの利得を変化させる. ディズニーランド 利得減少↓ 利得増加↑ 情報を得ることによって利得は増加することも減少することもある. 情報の需要価値・戦略価値 【定義】情報の需要価値=【その情報がある場合の獲得可能な最大利得】           -【その情報がない場合の獲得可能な最大利得】

4 情報の需要価値(情報構造と情報の需要価値)
・状況は非協力ゲームの展開形であたえられているとする.  G=〔N,K,P,p,U,h〕 ・新しい情報の取得は情報構造の変化を意味する   G’=〔N,K,P,p,U’,h〕 ・プレイヤーiにとっての追加情報ΔIの需要価値は, ・獲得可能な最大利益  -ゼロ和2人ゲーム:均衡利得v  -上記以外の非協力ゲーム:部分ゲーム完全均衡点における均衡利得 【定理】偶然手番のないゼロ和2人ゲームにおいては,情報の需要価値は        常に非負である. ゼロ和2人ゲームではない非協力ゲームでは必ずしも非負ではないので,問題が起こり,情報の戦略価値が生じる.

5 情報の需要価値(情報の価値の負になるゲーム)
『自然がAとBの選択肢をもつ非ゼロ和対称2人ゲーム』 (2<ω<8) ω=8のとき 玉がでる日 パチンコする パチンコ しない 玉がでない日 ω=2のとき 晴れの日 雨の日 ディズニーに行く 漫画喫茶 に行く (1)無情報の場合 L R 4,4 ω/2,4 4,ω/2 ω/2, ω/2 P2 P1 ・すべての組みが均衡点 ・2人がともに最善を尽くした場合,あるいは友情原理による均衡利得は(4,4)

6 情報の需要価値(情報の価値の負になるゲーム)
(2)個人情報をもつゲーム ・プレーヤー2のみ自然の結果についての情報を持つ ・プレーヤー1はプレーヤー2が自然の結果についての情報をもっていることを知っている ・プレーヤー2はプレーヤー1が知っていることをしっている 情報構造についての共通認識有 ・均衡点(R,LR) ・均衡利得((3+ω)/2, ω) LL LR RL RR L 4,4 5/2,5 (3+ω)/2,3 ω/2,4 R 4,ω/2 (3+ω)/2, ω 5/2,0 ω/2, ω/2 P2 P1

7 情報の需要価値(情報の価値の負になるゲーム)
(1)無情報の場合と(2)個人情報を持つゲームの場合  のプレーヤーの利得変化 プレーヤー1: (3+ω)/2-4 =(ω-5)/2 プレーヤー2:ω-4 ・プレーヤー1の利得は,プレーヤー2が情報を持ったとき,ω<5の場合には利得が減少するが,ω>5ならば情報のただ乗りができる. ・プレーヤー2にとってω<4の場合にこの情報の価値は負になる. ・4<ω<5のときこの情報はプレーヤー2にとってのみ得 ・5<ωのとき,両者にとって情報は得

8 情報の需要価値(情報の価値の負になるゲーム)
(3)プレイヤー2が秘密情報を得る場合 ・プレイヤー2が自然の選択について秘密に情報を得ている ・プレーヤー1はプレーヤー2が情報を得ていることを知らない ・プレーヤー2がプレイヤー1がそのことを知らないことを知っている. 情報構造についての共通認識無し L R 4,4 ω/2,4 4,ω/2 ω/2, ω/2 P2 P1 ・プレーヤー1:無情報ゲーム→L ・プレーヤー2:Aならば(L,L)→(5,5)         Bならば(L,R)→(0,5)      期待利得(2.5,5) (1)無情報の場合と比べると,プレーヤー2の利得は無条件に1増加し,プレーヤー1の利得は無条件に1.5減少

9 情報の需要価値(情報の価値の負になるゲーム)
(4)公開情報のゲーム ・プレイヤー1・2ともに自然の選択について情報を得ている Aの場合 L R 5,5 ω,3 3,ω 0, 0 Bの場合 L R 3,3 0,5 5,0 ω, ω ・部分ゲーム完全均衡点を考えると    Aならば(L,L)→(5,5)    Bならば(R,R)→(ω,ω)      期待利得((5+ ω)/2,(5+ ω)/2)

10 情報の需要価値(情報の価値の負になるゲーム)
・プレイヤー1にとっての情報の需要価値は,プレーヤー2が個人情報を持つ時と,公開情報の時の利得の増加分として表される. (5+ ω)/2-(3+ ω)/2=1 つまり,プレーヤー1にとっての情報の需要価値は無条件に1増える. ・このとき,プレーヤー2の利得は, (5+ ω)/2-ω= (5-ω)/2 よって, ω<5の場合は増加し, ω>5の場合は減少する. ・またω<3の場合,無情報の場合と比較すると,2人のプレーヤーにとって情報の公開は有害である.

11 情報の需要価値(情報の取引) プレイヤー間で情報の受け渡しをする契約. ・プレイヤー1がプレイヤー2から情報の提供を受ける
情報構造:個人情報→公開情報 プレーヤー1の利得:(5+ ω)/2-(3+ ω)/2=1増加 プレーヤー2の利得:ω-(5+ ω)/2= (ω-5)/2減少 つまり,契約金pが, (ω-5)/2≦p≦1の範囲であれば,この契約によりプレーヤー1・2ともに利益を得る. これを満たすωの範囲は,2< ω ≦7. * ω>7の場合:プレーヤー2は契約せず,情報を独占する * ω≦5の場合:プレーヤー2は自分が費用を負担しても情報を伝達する * ω<3の場合:↑と同様.ただし,契約しても無情報の場合より利得は減少する

12 情報の戦略価値(情報エージェントの存在)
・プレーヤーとは別に,情報エージェントの存在を考える.  -エージェントは2人のプレーヤーに情報を伝達することができる立場にあっ   てエージェントとして独自の立場で自分の利益を最大にするように行動する.  -エージェントは契約したプレーヤーに情報を正しく伝達するものとし,次の   4つの純戦略をもっているとする.   a.だれにも情報を伝達しない   b.プレーヤー1にのみ情報を伝達する.   c.プレーヤー2にのみ情報を伝達する.   d.情報を公開する. エージェントは,4つの純戦略により,期待利得の異なる4つの情報構造に誘導することが可能

13 情報の戦略価値(情報エージェントの存在)
ω=2.5のとき(両者とも情報を求めない) 均衡点:(H,H)(N,N) 『情報を公開するぞ』という脅し エージェントがプレーヤーと結ぶ契約金(q)の取りうる値 誘導可能集合 エージェントにとっての情報の価値

14 情報の戦略価値(情報エージェントの存在)
ω=7.5のとき(片方が情報を持っているとき伝達は起こらない) エージェントにとって誘導可能な利得の和の上限 =12.75 誘導可能集合 エージェントにとっての情報の価値

15 情報の戦略価値(非協力ゲームの情報の価値)
・非協力2人ゲームに,エージェントが情報の提供者として参加した場合のエージェントにとっての情報の価値(v) ※誘導可能集合をXとする ・有限非協力n人ゲームにおけるエージェントにとっての情報の価値(v) ※誘導可能集合をXとする


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