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学生ボランティアを中心とした障害学生支援の課題 日本福祉大学における障害学生支援を手がかりとしての考察
障害学会第6回大会 ポスター報告 学生ボランティアを中心とした障害学生支援の課題 日本福祉大学における障害学生支援を手がかりとしての考察 はじめに 報告者は2005年4月から2009年3月まで日本福祉大学(以下、日福)に在籍し、障害学生として、教材の点訳をはじめとする様々な支援を受けてきた一方、ビデオ教材の字幕付けをはじめとする障害学生支援実践の担い手として活動。また、2007年度及び2008年度には、美浜キャンパスにある障害学生支援センターにおいて、障害学生支援に関する諸活動の運営補助等を行う学生スタッフとして活動。 1.日福における障害学生支援の概要 ●通信教育部及び大学院を除く全学生数5351名、うち障害学生145名(94名が障害学生支援センターに登録)。 ●障害学生支援活動のほとんどは学生が無償のボランティアで担っている。 → 点訳、音訳、パソコンテイク、ビデオ教材の字幕付け等を行うサークルによる支援、友人関係に基づく個人的な支援。 ●障害学生支援センター(1998年設置):支援活動そのものを行うのではなく、学生等による支援活動を側面から支援し、支援活動に 必要な環境を整備するとともに、障害学生が自ら支援を得るための諸活動を支援する役割。 → 何らかの支援を必要とする障害学生は、自ら支援者を探し、必要な支援を依頼することが原則。 2.直面する課題(報告者が直面した課題を中心に) 報告者が日福において4年間で履修した授業のうち、テキストが指定されていた科目は30科目。 → うち、大学の費用負担により当該書籍が点訳されたものは2科目、 大学組織や教員を通して当該書籍のテキストデータを受け取ることができたものは7科目。 その他のものについては報告者自身が何らかの対応。 → 学内の点訳サークル・音訳サークル等で全て対応することは困難。 → 30科目中8科目のテキストについては、自ら利用できる媒体のものを入手できず。 支援者の慢性的な不足 → 障害学生が自らに必要な支援の担い手を確保するための活動に奔走。 ex:「ノートテイカーの奪い合い」と称される聴覚障害学生の熾烈な戦い。 自らが履修したい、あるいは履修しなければならない授業よりも、支援を受けられる、あるいは 受けやすい授業を優先して履修する障害学生。 → 必要な支援を受けることができないリスクを軽減する時間割。 (1)支援の量的不十分さ (2)自ら支援者を確保 することによる負担 (3)奪われる学びの主体性 3.課題の要因と背景 (1)学生生活と支援活動の両立の限界性 進級に従って相対的に減少する支援学生。一方で増大する障害学生の支援ニーズ。 (2)学生の流動性 学生が障害学生支援の諸活動に積極的に取り組むことのできる期間は僅か。 (3)学生が無償のボランティアで障害学生支援を担う意義 「障害学生も、非障害学生も、教職員も、ともに学び育ちあう」という日福の障害学生支援の理念。 → 支援を通した学びあいや育ちあいは、学生ボランティアによる障害学生支援を必然化するものではない。 4.障害学生支援の主体と役割の検討 支援活動の直接的な担い手:大部分が非障害学生による無償のボランティア。 支援の調整(コーディネート):一部を除きそれを担う主体が不明確。 費用負担:原則として費用負担が発生しない仕組み。(一部大学の負担有) 学生のみで障害学生の支援ニーズを充足しうる十分な支援を行うことは困難。 → 学内にとどまらず、学外からも確保することが必要。 → 日福においては、障害学生支援を担いうる機関や人材が大学の周囲に少ない。 → 学外から支援者をどのように確保するかについては要検討。 学外から支援者を確保するには多額の費用が必要。 障害学生が大学で学ぶことを権利として認識 ↓ その権利を保障するという社会の役割 その結果として、大学が支援の調整の 公的に費用を負担していく仕組みの整備が必要。 役割を積極的に担うことが可能となる。 (1)日福における現在の 障害学生支援の主体と役割 (2) 支援活動の直接的な担い手 (3)支援の調整(コーディネート)と費用負担 おわりに 障害学生支援を通した学びあい・育ちあいのなかで涵養されるもの: ひとりでできることを目指す「自立」の価値、助け合い精神 → 貧困な自立観・障害観 障害学生の支援ニーズを充足しうる支援の実現 → 全てを学内で完結させるような仕組みにとどまらない検討が必要。 安田真之(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
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