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<PC48> エゾマツ・トドマツ稚樹群の動態に 環境条件が与える影響
<PC48> エゾマツ・トドマツ稚樹群の動態に 環境条件が与える影響 飯島勇人1)・渋谷正人・斎藤秀之・高橋邦秀(北大院農・造林学) 1) Tel: 1. 研究背景と目的 ・エゾマツ(Picea jezoensis)とトドマツ(Abies sachalinensis)実生の更新:主に倒木上に多い ・しかし、更新密度は倒木によってかなりばらつき、全ての倒木が更新に適しているわけではない ・なぜばらつくのか?→コケの高さや倒木の硬度、すでに定着している個体のサイズといった倒木上の微環境が局所的に異なり、これらが発芽や生残に悪影響を及ぼすと考えられる。 ・光環境も局所的に異なり、暗い環境では生残率が低下する ・倒木の微環境や光環境が実生の生残に与える影響を明らかにすることで、これら2種の更新に必要な環境条件を明確にできる 本研究の目的 エゾマツとトドマツ実生の更新に倒木の微環境と光環境が与える影響を検討する 2. 材料と方法 調査地 ・北海道沙流郡日高町 日高北部森林管理署 110林班(42º 55’ N, 142º 45’ E, a.s.l. 1038m) 調査林分 ・エゾマツ(胸高断面積合計BAで50%)とトドマツ(BAで30%)を主体とする針葉樹天然林 調査方法(右図参照) ・2004年秋に林内の29本の倒木上の全針葉樹の樹高と根元直径を測定(当年生実生は数のみ)。2005年秋に各個体で樹高のみ再測。 ・環境条件として、各倒木1m(ブロック)ごとにrPPFD(最上層)、コケの高さ、倒木の硬度、倒木の面積、ブロック内の最高個体の樹高を測定。 ・各個体のrPPFD:17のブロックで最高個体の上と倒木表面のrPPFDの差を取り、最上層からの距離と光の減衰率の関係を回帰で構築した。各個体と最高個体の樹高差をこの関係に当てはめて算出した。 全個体の樹高・ 根元直径 rPPFD・倒木の硬度・ 倒木の面積・コケの高さ 1m (ブロック) 統計解析 ・当年生実生数:rPPFD、倒木の面積、倒木の硬さ、コケの高さ、最高個体の樹高を独立変数、ブロック内の当年生実生数を従属変数としたGLM(Generalized Linear Model)で検討した。 ・実生の生残:各個体のrPPFD、倒木の硬さ、コケの高さ、最高個体の樹高、2004年時点での樹高を独立変数、各個体の生残を従属変数としたGLMで検討した。 ・rPPFD < 10%を被陰下と定義し、被陰下における生残率の種間差を、生残個体と死亡個体の割合の違いをFisherの正確確率検定で検定することで検討した。 統計解析にはフリーウェアのRを用いた。 3. 結果と考察 3-1. 当年生実生の定着 3-2. 定着した実生の生残 表 エゾマツとトドマツの当年生実生数に影響する環境要因. n.s.はモデル選択の結果選択され なかったことを示す. 表1. エゾマツとトドマツの稚樹の生残に影響する環境要因. n.s.はモデル選択の結果選択 されなかったことを示す. ・トドマツ:2年間で共通して当年生実生数に影響していたのは倒木の面積と倒木の硬度のみであった。硬い倒木ではトドマツの発芽は妨げられる傾向にあった。 ・エゾマツ:2年間で全ての環境条件の影響を受けており、暗いほど、倒木の面積が小さいほど、倒木が硬いほど、コケが高いほど、周辺個体の樹高が大きいほど当年生実生は少なかった。倒木は腐朽に伴い柔らかくなるが、同時にコケ群落も発達し、また侵入個体数が増加するため、エゾマツの定着可能な期間は短いと考えられる。 表2. 被陰下(rPPFD < 10%)におけるエゾマツとトドマツの生残率の違い. ***は0.1%水準で有意差があることを示す(Fisherの正確確率検定). ・2種の生残に共通して影響していたのはrPPFDと元々の樹高であった。小さい個体ほど死亡率が高く、また暗いほど死亡率が高い傾向が見られた。 ・被陰下での生残率はトドマツの方が大きかった。 ・エゾマツ実生の定着はトドマツよりも倒木の微環境の影響が大きかった ・エゾマツ実生の定着は、発生した倒木が柔らかくなり始めるわずかな期間に限定されていると考えられた ・2種とも明るいほど生残率はよい傾向が見られた ・被陰下における生残率はエゾマツのほうが小さく、エゾマツのほうが耐陰性が低いと考えられた
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