Presentation is loading. Please wait.

Presentation is loading. Please wait.

分散型エネルギーシステムを活用したリソースアグリゲーションビジネス の 実現に向けた取組に関する調査

Similar presentations


Presentation on theme: "分散型エネルギーシステムを活用したリソースアグリゲーションビジネス の 実現に向けた取組に関する調査"— Presentation transcript:

1 分散型エネルギーシステムを活用したリソースアグリゲーションビジネス の 実現に向けた取組に関する調査
経済産業省 資源エネルギー 庁 省エネルギー・新エネルギ ー部 新エネルギーシステム 課 御中 平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査 分散型エネルギーシステムを活用したリソースアグリゲーションビジネス の 実現に向けた取組に関する調査 報告書 2018年3月30 日 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

2 目次 概要 電力取引におけるVPP活用に向けた情報収集・整理 ・ ・ 2 ・ ・ 5 III. VPP活用に向けたDSRの評価方法整理
・ ・ 2 ・ ・ 5 III. VPP活用に向けたDSRの評価方法整理 ・・ 37 IV. 実証結果の分析 ・・ 78 V. VPP構築に向けた既存通信規格の整備検討 ・・ 92 VI. 検討会・WGの開催 ・・ 102 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 1

3 Ⅰ.概要 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 2

4 Ⅰ. 概要 -目的および全体像 - プロジェクトの目的および全体像は以下のとおり。 背景・外部環境変化 目指すべき姿 政策の方向性
Ⅰ. 概要 -目的および全体像 - プロジェクトの目的および全体像は以下のとおり。 <仕様書より> (1)太陽光発電設備のように天候により発電量が変動する再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、火力発電による部分負荷運転の増 加など、電力 システムに非効率が生じつつあり、系統安定化システム(調整力、需給バランス、周波数、潮流の制御)の一層 の高度化が課題。 (2)今後更なる普及が期待される需要家側エネルギーリソース注1を、VPP注2により供給力・調整力等として活用することが検討され ている。アグリゲーター は新たに設備を設置する場合と比較して低コストで調整力等を生み出すことができると期待されている が、エネルギーリソースをアグリゲートするために は、蓄電池等の統合・遠隔制御などの技術的課題があるため、政府としては 、平成28年度より、実証事業でこれらの課題の解決を図ってきた。 (3)DRの一つであるネガワット取引に関する市場環境の整備や、需要家側エネルギーリソースの遠隔制御の際に使用する通信規格の 整備等を官民で 検討する場として、ERAB検討会を設立。同検討会においてアグリゲーションビジネスの普及に向けた検討を進 め、その成果として、ネガワットガイドライ ン改定版や拡張された通信規格の仕様書などを作成・公表してきた。 (4)検討の過程において、一部の需要家側エネルギーリソースを遠隔で制御するための通信規格の整備や、需要家側エネルギーリソ ースから得られる電 力量を個別に計量する方法の確立などの課題が残っている。本調査では、これらの技術的・制度的課題に 対し適切な措置を講じるための調査・検 討を行うことが目的。 注1 太陽光発電設備やエネファーム等の創エネルギー設備、蓄電池や電気自動車等の蓄エネルギー設備及びディマンドリスポンス等の需要家側の省エネルギー の取組み 注2 需要家側エネルギーリソースを遠隔・統合制御し、あたかも一つの発電所(バーチャルパワープラント)のように機能させる 背景・外部環境変化 目指すべき姿 政策の方向性 再生可能エネルギーの導入拡大 系統安定化システムの更なる高度化 需要家側エネルギーリソースの活用 電力システムを含めた社会コスト低 減 各種電力取引市場の整備・活性化 新たなエネルギービジネスの台頭 需要家側エネルギーリソースを活 用した 電力取引市場の整備 アグリゲーションビジネスの成立・拡大に 向けた市場環境・規格等の整備 需要家側エネルギーリソース活用による新たなエネルギーシステムに関する政策決定に資する材料を提 供 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 3

5 Ⅰ. 概要 -実施項目- 調査・検討内容のうち、以下の項目を実施 した。 文献調査等を通じて以下に関わる調査を実施 ≪Task 1≫
Ⅰ. 概要 -実施項目- 調査・検討内容のうち、以下の項目を実施 した。 ≪Task 1≫ 電力取引におけるVPP活 用に向けた情報収集・整 理 文献調査等を通じて以下に関わる調査を実施 ① 制度設計検討のために必要な情報収集・整理 VPPの調整力公募への円滑な参加に向けた制度設計 需要家リストの取り扱いについて VPP実証結果に基づく調整力公募メニューの提案 公募電源の細分化案の作成 容量メカニズムにおけるVPPの活用方法の整理 ② 各種審議会の進捗整理 ≪Task 2≫ VPP活用に向けたDSRの 評価方法の整理 類型2におけるDERから生み出される電力の評価方法 上げDRの評価方法 DERを周波数調整に用いる際に必要となる短周期変動に対する機器の評価方法 容量メカニズム及び卸電力取引市場においてDERが提供可能な電力の評価方法 DERの制御を通じて提供される電力をリソース別に評価する方法 発電機等を用いたDRが需要を上回り逆潮流した場合の電力の評価方法 ≪Task 3≫ 実証結果の分析 省新部新エネシス課から提供を受けるH29年度VPP実証データに基づき、以下の分析を実施。 実証の中で実施する、調整力公募を想定した需要調整メニューに基づく需要調整指令に対する アグリゲーターの需要調整の成功率 アグリゲート手法・工夫点 等 ≪Task 4≫ VPP構築に向けた既存通 信規格の整備検討 検討会・WGの議論等を通じて、以下の整理・検討を実施。 ECHONET Liteの規格の整備 需要家とアグリゲーター間の通信プロトコル(OpenADR)の改定要否の検討 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 4

6 Ⅱ.電力取引におけるVPP活用に向けた情報収集・ 整理
調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要 件 容量市場におけるDER/VPPの活用 その他関連政策動向 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 5

7 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -市場整備のタイム ライン-
各制度改革項目のスケジュール案が示されている。2020年に向けて、少なくとも制度面では電力システム改 革の主要構成要 素が整う。 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度~ ベースロ ード 電源市場 2019年度目途に取引開始 受渡開始 (年複数回オークション開催を検討)(4月から受渡開始を検討) 間接オークションの 導入 間接的送電権 地域間連系線 の利用ルール (同時に経過措置を付与)(エリア間値差ヘッジ商品)の 導入 容量市場創設・ 初回メインオーク ション 初回追加 オークシ ョン 容量契約発効 容量市場 実需給4年前 実需給1年前 2024年度~ 調整力公募 代表会社によるシステム 発注 需給調整市場創設 二次調整力②、三次調整力① ② の広域調達・運用 受渡開始 に向けた仕様確 定 ( 東京オリンピック・パラリンピック との関係性 需給調整市場 も踏まえ時期を検討 ) ~2017年3月末 2020年4月~ 三次調整力②(低速枠) の 広域調達・運用 2020+X年~ 非化石価値 取引市場 FIT電源:初回オークシ ョン (2017年4-12月分対象) 非FIT電源:初回オークシ ョン (2019年度分対象) 2018年4月第4週~5月上旬 できるだけ早い時期の取引 開始を 目標とする 先物取引開始 先物取引 2018年9月~ 経過措置の再設 定 小売料金規制 導入目標 出所)資源エネルギー庁「制度検討作業部会 中間論点整理(第2次)について 概要資料」49頁 等を基に三菱総研 作成 送配電部門の法的分 離 〇導入目安 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 6

8 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -各市場の関係(1/2 )-
各市場の関係及びその取引する価値は以下のとおり。 調整力は「調整力公募」「リアルタイム市場(需給調整市場)」で取引されるものであり、こちらへのVPPの活 用を調査検討した。 出所)資源エネルギー庁「基本政策分科会電力システム改革貫徹のための政策小委員会 第5回 資 料7」1頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 7

9 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -各市場の関係(2/2 )-
現状のそれぞれの市場で想定している価値を鑑みると、現状の調整力公募・需給調整市場の関係は以 下のとおり。 電源等(DR対象設備も含む)における費用は、各市場で回収されることが想定される。 容量市場が開設される年以降は需給調整市場ではkW価値を除くΔkW価値とkWh価値のみで値付けされると想定される。 供給力 調整力 稀頻度リスク対応供給力注3 燃料費 (≒kWh価値) 卸電力市場 相対契約 需給調整市場 電源Ⅱ 需給調整市場 運転維持費注1 (≒ΔkW価値) 需給調整市場 電源Ⅰ注4 需給調整市場 電源Ⅰ’ 資本費注2 (≒kW価値) 容量市場注5 類型1①、類型1 ② 類型2 注1 人件費、修繕費、諸費、業務分担費の 合計 注3 厳気象対応のみ 注5 詳細は未定。今後の制度検討作業部会(TF)にて決定される見通し 注2 建設費、固定資産税、水利使用料、設備の廃棄費用の合計 注4 第18回制度設計専門会合における旧一般電気事業者へのヒアリング結果より Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 8 出所)各種資料を基に三菱総研作 成

10 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -課題に対する検討 状況-
諸外国の事例と、日本での検討状況は以下のとおり。 諸外国の状況 日本での検討状況 a. 需要家リストの取扱 米国カリフォルニア州などではスケジューリング コーディネー タ(SC)とDERPという2層構造( 日本で言うリソースア グリゲータ(RA)とアグ リゲーションコーディネーター (AC))での事業が行われている。 SCに対しては要件が課せられているが、傘下の DERPに 対してはSCの責任の下での運用であり 需要家リストは存 在しない。 調整力公募においては需要家リストの提示がH30年度 公募でも求められており、その実効性確保のためという目 的で需給調整市場でも残る可能性。 一方、容量市場においては、数年前からの公募 であるこ とから、需要家リストの提示はその段 階では求められず、 実効性テストを実施する方 向性。 b. VPP実証結果に基づ く調整力公募メニューの 提案 ドイツや英国では最低入札容量を引き下げている事例が ある。 反応時間は日本と同程度である一方で、持続時間 は比 較的日本より短めのものが大半。 最低入札容量については、電源単位で無くアグリゲー ター単位での入札を認める方向性。 持続時間の考え方が諸外国と異なる可能性があ り、検 討・整理が必要。 需給調整市場の商品設計はブロック単位での調達 と4h 程度の持続時間となる方向性。 c. 公募電源の 細分化案の作成 米国PJMや英国National Gridでは周波数調整機能 を持つ電源を別枠にて募集し調整力を確保している。 OCCTOにおける検討では、需給調整市場は10商品 (上げ下げ5商品ずつ)となる見通し。 特徴のある電源に対して特別な商品化をする検 討は現 時点で行われていないが、電源の評価に 応答性の早さ 等を例示している。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 9 出所)各種資料を基に三菱総研作 成

11 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術 要件
-欧州における需給調整市場の概要 - 欧州各国における需給調整市場の概要を下記に整 理。 ドイツ 英国 フランス 調達主体 ドイツの4つのTSOが、全国需給調整市場 (Regelleistung)を活用した需給調整能力の 確保,Grid Control Cooperation(GCC)と呼 ばれる広域的な連携体制を構築 系統運用者であるNational Gridが調達 RTE(TSO)が需給調整メカニズムを運営し、市 場および義務的調達にて確保 調達単位 ポートフォリオ(BG)単位 ユニット単位 調整力の種類 (ENTSO-e の 分類) 周波数制御 予備力 FCR Primary Control Reserve Mandatory Frequency Response Firm Frequency Response Frequency Control by Demand Management Enhanced Frequency Response FFR Bridging Contract Primary Control 周波数回復 予備力 FRR Secondary Control Reserve Fast Reserve BM Start-up Fast Start Secondary Control 代替予備力 RR Minute Reserve(Tertiary Control Reserve) STOR(Short Term Operating Reserve) STOR Runway Complementary Reserve AOE(Demand Response Call for Tender) 調整力の確保手段 ドイツ全国需給調整市場への入札による市 場 調達 PCR、SCRに関しては、週次オークションで必要 量が不足する場合は、2回目のオークション実施 2回目のオークションでも不足する場合は、各 TSOが相対契約や指令を通じ必要量を確保 供給義務および相対取引と市場調達の組み合 わせ 需給調整市場(資格審査を受けた発電・ 需要 が参加可能) Secondary Controlは義務的調達(DRは二 次市場のみ参加可能) 調整力提供に対する対価 の基本的考え方 kW価格のみ(PCR) kW価格とkWh価格(SCR、MR) kW価格とkWh価格(FCR、FRR、RR) kW価格とkWh価格 出所) REGELLEISTUNG.NET( National Grid UK Balancing Services ウェブサイト( ) ※DRが参加可能な調整力商品を赤字で表 記 RTE ウェブサイト( Smart Energy Demand Coalition “Explicit Demand Response in Europe Mapping the Markets 2017” (2017) 等各種資料を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

12 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術 要件
-米国における需給調整市場の概要 - 米国における需給調整市場の概要を下記に整 理。 PJM CAISO NYISO 調達主体 RTO(地域送電機関)であるPJMが運 営す る市場にて確保 RTO(地域送電機関)であるCAISOが運 営 する市場にて確保 RTO(地域送電機関)であるNYISOが 運 営する市場にて確保 調達単位 ユニット単位 調整 力の 種類 周波数制御予備力 Regulating Reserve Regulation Regulation Up Regulation Down 瞬動予備力 Spinning Reserve Synchronized Reserve 10-Minute Spinning Reserve 非瞬動予備力 Non-Spinning Reserve Non-synchronized Reserve Non-spinning Reserve 10-Minute Non-Synchronized Reserve 補助予備力 Supplemental Reserve Day-ahead Scheduling Reserve 30-Minute Spinning Reserve 30-Minute Non-spinning Reserve 調整力の確保手段 市場調達 ※DRが参加可能な調整力商品を赤字で表 記 出 所 )PJM “PJM Manual 11: Energy & Ancillary Service Market Operations” CAISO “Business Practice Manual for Market Operations” NYISO “Manual 2 Ancillary Services Manual” ISO-NE “Section Ⅲ Market Rule 1 Standard Market Design”等各種資料を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

13 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 - VPP事業者の位置 付け-
電気事業者として取引を行うための資格者が定義されている国・地域が存在する。 米国の一部地域では、VPP事業者(アグリゲーター)を、他の事業者(発電事業者、送配電事業者、小売事業者等)とは区別し、その 位置づけを制 度上明確化し、アグリゲーターに対する取引条件などを定義している。 VPP事業者の位置付けを明確化していない地域もあり、FERCは各制御エリアに対して、位置付け明確化を働きかけているとされてい る注1。 概要 電気事業者として 取引を行うための資格名称 以下のように各地域で取引資格者が定義されている <米国> CAISO:Scheduling Coordinator (SC) PJM: Member ERCOT:Qualified Scheduling Entity (QSE) <欧州> ドイツ:Prequalified providers / Certificated trader VPP事業者として VPP事業者(アグリゲーター)の位置付けが制度上明確化されている地域もある CAISO:Distributed Energy Service Provider (DERP) PJM: Curtailment Service Provider (CSP) 注 1 FERC “Docket Nos. RM and AD ” Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 12 出所)各種資料を基に三菱総研作 成

14 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -米CAISO(1/2 )-
米国では一部、家庭需要家の設備をVPPで活用する事例があるが、その場合もスケジューリングコーディネー タ(SC)とDERPと いう2層構造の事業者にすることで系統運用者は分散型エネルギーリソースの詳細は把握し ていない形態をとっている。 CAISOではSCの登録企業が100社以上存在するが、電力会社を含めそのほとんどが自社リソースの集約およ び市場参加のみ を実施。 SCおよびDERPの市場参加要件を設定 CAIS O リソース・金銭・制御指 令を やり取り 如何に信頼性のあるアグリゲートされたリソース をISOおよび電力会社に対して提供できるかが SCの競争要因 SCとしてはエージェント機能とプラットフ ォームが 重要 エージェント機能はISOや電力会社との やり取 りを実施するために必要な知識や体制 プラットフォームはリソースをまとめ て市場に投 入する機能 CAISOには100社以上がSCとして登録し ている が、9割以上が自身が保有するリソ ースのみを対 象とし、第3者に対してサ ービス提供をしていない プラットフォームを構築し、市場 参加のた めのリソースアグリゲー ションを実施 DERPの登録要件を設定 リソースを直接制御するケースが存 在 Scheduling Coordinator リソース・金銭・制御指令を やり取 り 顧客 アグリゲ ータ DRアグリゲ ータ 顧客 顧客 顧客 アグリゲ ータ 出所)ヒアリング調査および公開資料を基に三菱総 研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

15 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -米CAISO(2/2 )-
スケジューリングコーディネーターの要件 CAISOの場合、CAISOでの電力取引(卸電力取引、調整力取引)を行うには、下記の要件を満たし、当該認定を得る必 要がある。 CAISO スケジューリングコーディネータに課せら れている要件 分類 SC認定要件 概要 経営基盤 CAISOとの財務セキュリティを確立し 、最低 参加要件(FERC Order 741 )を満たす 100万ドルの有形純資産を有する、または1,000万ドルの総資産を有する もしくは「適切」な資格を持つ他団体からの保証書または信用状の形での信用サポートを受けている 運営体制 連絡先の提出 CAISOとやり取りを行う組織の連絡先を最低2つ用意している アプリケーションへのアクセス獲得 アクセス管理ツールを通して、CAISO市場の各アプリケーションに参加するためのデジタル証明書を 獲得している 決済品質メータシステムへのアクセス 確立 オペレーションメータの分析と報告を行うシステムを活用し、決済品質メータのデータをCAISOに提 出できること 証書の提出 倒産等による事業継続が困難な場合に備え、管理しているリソースの振替ができる証明書を用意して いる 事業実施能力 ネットワークインターフェイスの確立 CAISOが規定しているネットワーク接続セキュリティ要件を満たしている インターネットもしくはECNを選択(ECNはAT&Tの私設ネットワーク) トレーニングへの参加 四半期ごとに開催されているCAISOのSC認証ワークショップへ参加したことがある 市場取引テスト CAISOのSC認証ワークショップで実施される、複数タイプの入札およびスケジューリングに対応で きるかを証明する試 験に合格している 電子振込テスト Federal Reserve Wire Network(米連邦準備銀行の決済送金システム)やACT(小口決済システ ム)の 活用による電子決済機能を使用できる。CAISOとの金銭のやり取りがつつがなく可能かを確 認済みである SC緊急時対応計画の提出 (第3者のリソースを取り扱うSCのみ対 象) SCの主要施設が電力供給できない場合の代替入札およびスケジューリング機能を提供する方法を記 載した書類を 用意している グリッド連携テスト 24時間のリアルタイム対応能力およびタイムリーにディスパッチ命令に正しく対応するために必要 となるCAISO市場 の十分な理解があることを証明する試験に合格している 自動ディスパッチシステムへのアクセス 確立 アンシラリーサービスに活用可能な発電施設やDR機器を取り扱うSCは自動ディスパッチシステムを 使用できること 停電管理システムへのアクセス確立 発電施設やDR機器を取り扱うSCは停電管理システムを使用できること 情報管理 取引用ID 取引を行うリソースについて、使用時間帯やアンシラリーサービスへの対応可否等について、 CAISOが提示するテン プレートに記載できること 地域市場の電力緩和要件対応 CAISOがリソースを適切な供給先へ提供できるよう、管理している組織および関連情報を提出できる こと 市場取引テストや電子振込テスト 等 を実施することでその実効性 を担保 リソースに対して取引用IDの管 理は している 出 所 )CAISO “Business Practice Manual for Scheduling Coordinator Certification & Termination and Convergence Bidding Entity Registration & Termination” を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

16 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -市場参画促 進-
諸外国における、VPPおよび分散型エネルギーリソース(DER)の市場参画を促す事例としては、「①市場の 特別枠」、「②入 札単位の変更」、「③標準化」、「④DER諸手続きの簡易化」等がある。 VPP/分散型エネルギーリソース(DER)の市場参画を促す諸外国の事例 概要 主な事例 VPP ① 市場の特別枠 VPP/DERなどに対して市場参画を促すために、卸市場や調整 力市場において特別な参加市場を策定。 特に蓄電池については、その応答性の速さなどを背景 に別の市 場枠を策定している動きもある。 【米国PJM】Reg-D(Fast response調整力) 【英国】STOR Runway/Enhanced Frequency Response等 ② 入札単位の変更 より小規模な電源が直接参加できるようにするため、最小入札 単位を押し下げている。 規制当局からの要請に基づき市場運用者が変更する場合が 多 い。 【英国】FFR注1への提供容量が50MWから10MWに 引き下げ 【ドイツ】TCR,SCR注2の参画要件として最小入 札単位 は制度開始当初は50MWであったが、 2011年に 10MW、2012年からは5MWに緩和 ③ 標準化 技術性能、情報通信プロトコル、情報セキュリティなどに関して最 低限満たすべき最低要件を定めることで、より多くのVPP/DER の参画を促す。 【EU】VHP Ready(欧州におけるVPPの標準規 格) 【米国】Open ADR(DRシグナルの通信デ ータモデ ル) DER ④ DER諸手続きの 簡易化 DER系統連系等において、一定規模容量以下の設備に対して、 手続き等を緩和することで参入障壁を下げる。(規制側の効率 化が主目的であると思われる) 【米国】系統連系上のファストトラック 注 1 FFR:Firm Frequency Response 注2 TCR:Tertiary Control Reserve、SCR:Secondary Control Reserve 出所)資源エネルギー庁「諸外国におけるバーチャルパワープラントの実態調査」97頁を基 に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

17 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -独 最小入札容量引き 下げ-
ドイツでは、より小規模な電源が参加できるようにするため、調整力入札における最小入札容量が引き下げられ ている。 PCRの最小入札容量は、2011年、5MWから1MWへ引き下げ。 SCRの最小入札容量は、2011年、10MWから5MWに引き下げ。 TCRの最小入札容量は、2012年、10MWから5MWに引き下げ。 ドイツにおける調整力の種類 ENTSO-Eによ る 分類 名称 概要 所定出力 到達時間 所定出力 持続時間 最小入札 容量 入札頻度 リソース タ イ プ 方向 周波数制御予備力 (FCR) 一次制御予備力: PCR(Primary Control Reserve) ガバナフリーによる自律 制御能 力 30sec以 内 0sec~ 15min 1MW (5MWよ り引き下 げ) 毎週 発電 需要 単一商 品 :上げ 代 /下げ代 の容 周波数回復予備力 (FRR) 二次制御予備力: SCR (Secondary Control Reserve) TSOの給電指令に対して15分 以内に出力調整を行える、一般 に自動周波数制御(AFC: Automatic Frequency Control)機能付き発電ユニッ トにより提供される出力調整能 力 5min以内 30sec~ 15min 5MW (10MW より引き下 げ) 発電 需要 4商品: ピーク、 オフピーク 時間帯 に対して上 げ代/ 下げ代 代替予備力 (RR) ミニット予備力 (Minute Reserve) :TCR (Tertiary Control Reserve) 供給力不足が起こった際に TSO の給電指令から5分以 内に負荷 追従を行え、二次 予備力レベル の回復に資す る調整能力 主として火力プラントにより提供 され、揚水プラントやガスタービン、 遮断可能需要によっても提供さ れる 15min以 内 (手動) 15min~ 4hour 毎日 12商品: 4時間 毎に対して 上げ 代/下げ代 出所)REGELLEISTUNG.NET( 覧) 16 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

18 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -英国 調整力調達の細 分化(1/2)-
英国 National Gridは、応答速度の速い蓄電設備を主な対象とした周波数応答サービスの調達について、競争 入札を実施 し、2017年より、調達を開始。 また、需要側事業者の参画機会創出を意図し、最小入札単位を引き下げた特別枠の設置を検討。 ENTSO-E による分類 National Grid 名称 概要 所定出力 到達時間 所定出力 持続時間 最小入 札 容量 調達方法 リソー ス タイ プ 周波数制御 予備力 (FCR) Frequency Response (周波数応 答) Mandatory Frequency Response 系統接続するすべての電源に義務付け られた、周波数変化に対応した有効電 力による自動出力調整能力 周波数変化と給電指令後の応答時間 の違い等により、Primary Response、 Secondary Response 、 High Frequency Responseの3種類 Primary 10秒 20秒 - 供給義務 発電 Secondary 30秒 30分 High Frequency 無制限 Firm Frequency Response 入札により調達され、周波数応答 義務 を補完する役割 Mandatory Frequency Response と同様、Primary Response、 Secondary Response 、 High Frequency Responseの3種類 10MW 公募入札 相対契約 発電 需要 High Frequency Frequency Control by Demand Managemen t 周波数低下リレーが作動した際に、自 動的に需要家への供給を遮断することで 周波数調整を提供するサービス 2秒 3MW 相対契約 需要 Enhanced Frequency Response 応答速度1秒以内のリソース(主 に蓄 電池)をターゲットとした、 周波数提供 サービスとして2015 年に追加 1秒 15分 公募入札 発電・ FFR Bridging Contract デマンドサイドマネジメント提供 事業者に 容量10MW未満のFFRサ ービス契約の 機会を与える レビュー実施中 Enhanced Frequency Response いわゆるFast Responseリ ソ ース(主に、蓄電池)をター ゲ ットとしたサービス。2016年 入 札実施、2017年調達開始。 FFR Bridging Contract FFRの最小入札容量を引き 下 げた枠を設け、デマンド サイドマ ネジメント時業者 の参加を促す 出所)National Grid UK Balancing Services ウェブサイト( )等各種資料を基に三菱総研 作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

19 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -英国 調整力調達の細 分化(2/2)-
再エネ発電余剰時の上げDRの個別切り出し(Demand Turn-Up)や、STORへの需要家リソース参加促進を意図 した特別 枠の設定を行っている。 ENTSO-Eによ る 分類 名称 概要 所定出力 到達時間 所定出力 持続時間 最小入札 容量 調達方法 リソー ス タイ プ 周波数回復 予備力 (FRR) Fast Reserve 必要時に発電側の出力増加と需 要 側の需要抑制による調整能力 を提 供するサービス 4分 15分 50MW 25MW/分 公募入札 相対契約 発電 需要 BM Start-up National GridがBMUの追加的起 動を必要としたとき、当日稼動してい ないBMUを起動し電力を供給する サービス 89分 As agreed - 相対契約 Fast Start 緊急時に停止状態から迅速に起動 し定格出力を供給するサービス 5分(自動) 7分(手動) 4時間 代替予備力(RR) STOR(Short Term Operating Reserve) 追加的に有効電力を供給するサービ ス 通常20分 (最大で 4時間) 2時間 3MW 競争入札 発電 需要 STOR Runway STORへの需要リソース参加を促進 するため、需要リソースについて入札 時に最低容量3MWに達していなくて も、参加を認めるもの 契約期間内 に3MWまで 到達 発電 需要 その他 Demand Turn-Up 低負荷時に再エネ発電量が超過 す るおそれがある場合に、需要 増を行う もの。いわゆる再エネ 発電余剰時の 上げDR(需要創 成型DR)サービ スを個別に切 り出して募集。2016 年開始。 1MW Demand Turn-Up いわゆる再エネ発電余剰時の上げDR (需要創成型DR)サービスを個別に 切り出して募集。2016年開始。 STOR Runway 発電事業者や需要家が契約条件に 応 じた出力増加又は負荷抑制を行 うサー ビスであるSTORへの需要リ ソース参加 を促進するため、需要リ ソースについて 入札時に最低容量 3MWに達していなく ても、参加を 認めるもの 出所)National Grid UK Balancing Services ウェブサイト( )等各種資料を基に三菱総研 作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

20 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -英国 蓄電池向け周波数 応答サービス-
Enhanced Frequency Response(EFR) 2015年、National Gridは、従来の周波数応答サービスに、Enhanced Frequency Response(EFR) と呼ばれる、よ り高速に 予備力を提供可能なサービスを追加。 従来、周波数応答サービスの応答時間は10秒以下または30秒以下であったが、EFRは応答時間が1秒以下のリソース(主に蓄電池)が 対象。 2016年8月、National Gridは、EFRの公募入札を実施。64の入札(うち、蓄電池:61、デマンドアグリゲーション:2、BMU:1)の中 から、8事業者の蓄 電池を落札。調達期間は4年間。調達容量は合計201MW、総落札金額は£6,600万。 National Gridは、従来、周波数応答予備力の調達に年間£1億6,000万~£1億7,000万を拠出してきたが、EFRの導入により、4年間 で計£2億の コスト削減効果があるとしている。 2016年8月実施 EFR落札結 果 EFRと従来の周波数応答サービスの 関係 事業者名 リソース 種別 地点名 容量 (MW) 開始年月 (予定) サービス 提供時間数 (h) 落札額 (百万£) MW・時間あたり 単価 (£/MW・h) EDF Energy Renewables 蓄電池 T_WBURB-4 49 35,088 12.035 7.00 Vattenfall Pen Y Cymoedd 22 2017-4 5.749 7.45 Low Carbon Cleator 10 33,760 2.681 7.94 Glassenbury 40 2018-3 33,764 12.668 9.38 E.ON UK Sheffield 3.891 11.09 Element Power TESS 25 2018-2 10.079 11.49 RES RESEFR7- PT 35 14.651 11.93 Belectric Nevendon 4.200 11.97 合計 201 65.954 9.44 出所)National Grid “System Operability Framework 2016” (2016 Nov)87頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)National Grid “EFR Full Results” (26 Aug 2016) を基に三菱総研作 成 19

21 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -フラン ス-
フランスでは、市場改革により、需給調整市場の全商品で需要リソースが参加可能 になっている。 DR専用商品であるAOEが、DRの最大市場となっている。 フランスにおける調整力の種類 ENTSO-Eの 分類 名称 概要 所定出力 到達時間 持続時間 最小入札容量 調達方法 リソース タイ プ 方向 周波数制御予 備力(FCR) Primary Control (Réglage Primaire de Fréquence) 周波数変動に対する自動 周波数調整能力 30秒 15分以内 1MW 入札 注1 (以前は 義務的調 達) 発電・需要 上げ代/下 げ 代(単 一商 品) 周波数回復予 備力(FRR ) Secondary Control (Réglage Secondaire de Fréquence) 事象後400秒以内に自 動で発動される 400秒 15分以上 発電事業者 に供給義 務 (DRは、二 次市場のみ 参加可能) 上げ代/下げ 代(単一商 品) Fast Reserve (Réserves rapides) 事象後13分以内に手 動 で発動される 系統に接続可能な最大の 発電ユニットの損失を想定 13分 2時間 10MW 入札 (年1回) 上げ代/下げ 代 代替予備力 (RR) Complementary Reserve (Réserves complémentaires) 事象後30分以内に手動 で発動される 30分 1時間30分 Demand Response Call for Tender (AOE:Appel d’Offres d’Effacement) 負荷の急激な増減に 柔軟に対応するための2時 間以内に提供可能な負 荷削減 30分~2時 間 需要 上げ代 出所) RTE ウェブサイト( Smart Energy Demand Coalition “Explicit Demand Response in Europe Mapping the Markets 2017”(2017) 等を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

22 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 ー米国における調整力の分類と 要件-
NERCによる分類は下表の通りであるが、各系統運用機関の調整力分類は、下記を踏まえつつも、多少の差異が ある。 運用断面の調整力は通常時の調整力(Frequency Response、Regulating Reserve)と緊急時の調整力 Contingency Reserve(Spinning、Non-Spinning、Supplemental Reserve)、その他調整力(Voltage Support 、Black Start)に大 別される。 種類 概要 所定出力に達す る までの所要時 間 所定出力の 運転継続時間 周波数応答 (Frequency Response) NERCのControl Performance Standard (CPS)に従って、システムの需 要変動や 発電機の予定外の出力変動に対して、ガバナ制御によって周波数変 動を抑える発電機 数秒 20秒以内 周波数制御予備力 (Regulating Reserve) NERCのControl Performance Standard (CPS)に従って、システムの需 要変動や 発電機の予定外の出力変動に対するべく、出力の上げ・下げ指令に 、AGCによって、即 座に対応する発電機 1分以内 数分~1時間 負荷追従(Load Following) ※NERCでは明確な規定なし 5~10分 5分~数時間 瞬動予備力 (Spinning Reserve) 同期済みであり、NERCのDisturbance Control Standardに従って、大き な発電機 停止や停電の発生時に即座に対応し、10分以内に定格出力を達成 する同期発電機 数秒~10分 10~120分 非瞬動予備力 (Non-spinning Reserve) 上記と同様だが、同期している必要は必ずしもなく、対応開始は遅れてもい いが、10分 以内に定格出力を達成できる発電機 10分以内 補助予備力 (Supplemental Reserve) 稼働した瞬動予備力と非瞬動予備力を平時の状態に戻すために必要な電力。 分で所定出力に達する必要がある 30分以内 2時間 電圧制御 (Voltage Support) 系統の電圧崩壊や停電を起こさないために、電圧がある一定の範囲に収まる よう、無効 電力を供給する発電機 ブラックスタート (Black Start) 系統で停電が発生しているときに、系統からの電力供給を得ずとも、発電所 内で発電を 開始し、系統の他発電所に起動用電力を供給する発電機 数分 数時間 平常時 調整力 緊急時 調整力 その 他 調 整力 出所)電力広域的運営推進機関「欧米における需給バランス調整および周波数制御のための調整力確保の考え方等に関する調査」(平 成27年度) NERC “IVGTT Task 2.4 Report: Operating Practices, Procedures and Tools” (2011)を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

23 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -米国アンシラリー市場( 1/2)-
米国ISO/RTOアンシラリー市場での周波数調整型DRの制度比較 ERCOT PJM NYISO MISO プログラム名 Regulation up Regulation down Regulation Market DSASP Regulation (DRR Type IIが参加可能) ISOからの指令間隔 N/A 2秒(Regulation指令値) 10秒(Regulation割当) 6秒 4秒 ISOへの通信間隔 2秒(Regulation応答、 Regulation可能量) 2秒 登録負荷要件 QSEと契約していること 調整幅0.1MW以上 ERCOTからのRegulation 信号に5秒以内で応答可 能なこと Fast Responding Regulation Service Up/ Downに参加している負荷 はERCOTの指令から1秒以 内に応答可能なこと PJMの通信システムeLRSに 登録していること 需要側資源が占める割合 は最大25%となること 最大供給力を信号受信後 5分以内に供給できること エネルギー貯蔵装置を 含む 電源と、Demand Side Resourcesが登 録可能 計測・制御・通信装置の設 置 MISO か ら Capacity Resourceとして登録さ れた 需要家の他、LSE 、アグリ ゲータが参加 可能 周波数調整・同期予備力・ 非同期予備力合計必要量 のうち、需要側資源の占め る割合は最大30% 過去の調査結果 (聞き取り調査含む) 35MW※ (2011年3月実績) ※Regulation Serviceへの参加 ・初登録は2011年、上下水 プ ラントの大型ポンプ ・2.46MW(2013年実績) ・約150[MW*h] (2012年7月実績) ・約1400[MW*h] (2013年2月実績) ・2012年に通信環境を改善 し た結果、100MWの登録 があっ た ※周波数調整と予備力の合計 需要側資源 の 最新参加 状況 Regulation up: 37MW Regulation down: 0MW (2014年実績) なし (2013年9月時点) 出所)電力中央研究所「米国におけるアンシラリーサービス供給のための需要側資源の活用動向」 (2015年)37頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 22

24 当該Reserve サービスの需要 側 参加上限
1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -米国アンシラリー市場( 2/2)- 米国ISO/RTOアンシラリー市場での予備力型DRの制度比較 ERCOT PJM NYISO ISO-NE MISO プログラム名 Responsive Reserve Non- spinning Reserve Synchroniz ed Reserve Day ahead Scheduling Reserve DSASP DARD Spinning Reserve Supplemental Reserve Reserve種類 周波数低下継電 器付き負荷によ る10分予備力 30分非同期 予備力 同期予備力 30分非同期予 備力 10分同期予備力 10分非同期予備力 30分運動予備力 30分非同期予備力 10分非同期予備 力、30分運転予 備力の2種類か ら 選択 非同期予備力 登録負荷要件 2種共通の要件 ・QSEと契約していること ・調整幅0.1MW以上 ・PJMの通信システムeLRSに登録している こと ・計測・制御・通信装 置の 設置 ・5分おきの予備力用信号 の受信と6秒おきの運転状 況の送信が可能 ・制御センターとの通信に 求められるインターフェイス を備えていること ・冬季も夏季も1MW以上 の付加削減が可能である こと ・計測・通信機器 (RTU: Remote Terminal Unit)の設 置 ・10分または30分で指 令に追従可能であるこ と ・1MW以上の需要規 模、1MW以上の削減 ・12か月以上の継続 登録 ・出力変化後10秒で ISOに結果を送信でき ること ・MISOから Capacity Resourceとして 登 録された需要 家の 他、LSE、 アグリゲー タが 参加可能 ・計測・制御・通信 装置の設置 ・自動的に信号に 反応できること ・MISOから Capacity Resourceとして登 録 された需要家の 他、 LSE、アグリ ゲータが参 加可能 ・計測・制御・通信装 置の設置 ・指令後10分以内 に応答すること ・継電器を備えた負 荷資源であること ・瞬動予備力としては 周波数低下継電器 にて系統周波数が 59.7Hzに低下したと きに、20cycleで負 荷遮断できること ・指令後30分以 内に応答すること ・10分以内に応動 が可能 ・需要実績の1分間 隔での計測 ・30分以内に応動 当該Reserve サービスの需要 側 参加上限 継電器付き負荷 電 源は Responsive Reserve前容量の 50%まで N/A 33% 25% 周波数調整・予備力合計で、最大30% 過去の参加状 況 調査結果( 聞き 取り調査 ) 2,383MW(2011 年3月) 0MW(2011年 3月) ・2012年に通信環境を 改 善した結果、 100MWの 登録があっ た ※周波数調整と予備力の 合計 最新参加状況 ・3,300MW (2014年) ・0MW 605,521MWh (2013年実績) 0MWh 0MW 0MW(2014年2月) 出所)電力中央研究所「米国におけるアンシラリーサービス供給のための需要側資源の活用動向」 (2015年)38頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 23

25 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -米国PJM RegDの導入-
米国PJMは2012年10月、周波数調整力(Regulation)の調達に際し、容量に加えてパフォーマンス(稼働実績 )に対して も報酬を支払う、Performance Based Regulation(PBR)を開始。 PBR導入にともない、 短周期の調整はRegD信号、長周期の調整はRegA信号として、リソースの特性を考慮した 出力調整信 号が指令されることとなった。 RegA:石炭火力、LNG火力など、従来から周波数調整を担い、相対的に応答性が低い設備向け RegD:蓄電池やフライホイールなど、応答性の高い設備向け Regulationの調達量(MW)は、2011年から2016年までの間に、約41%減少。特に、PBRの導入を境に、調達量 が大きく低 減。 RegA 信号 PBR開始とRegulationの年累計調達量の推移(各年1月~12月 ) スポット調達 セルフスケジュール 相対取引 石炭火力、LNG火力など、従来から周波数調整を担い、相対的に応答性が 低いリソースに対して2秒毎に送られる出力調整信号 RegAリソースは、PJMからの起動指令(RegA)に対して、5分以 内に最大 出力で周波数調整力を提供する必要がある リソースの出力維持期間は無制限 9.0 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 PBR導 入 年間累計調達容量( TW) RegD 信号 蓄電池やフライホイールなど、応答性の高いリソースに対して2秒 ごとに送られる 出力調整信号 RegDリソースは、PJMからの起動指令に対して、数秒以内に応答 し、1~2分 以内に最大出力で周波数調整力を提供する必要 リソースの出力維持時間は限定的 RegD信号は、電池の充放電量が15分毎の累計で±0になるように送ら れる (充放電ニュートラルのサイクルを長時間化すべく、現在検討中) 出所)Monitoring Analytics “2016 State of the Market Report for PJM Appendix“ 488頁(2018) Monitoring Analytics “2016 State of the Market Report for PJM Appendix“ 444 頁 (2017) Monitoring Analytics “2015 State of the Market Report for PJM Appendix” 409 頁 (2016) を基に三菱総研作成 出 所 )Monitoring Analytics ”State of the Market Report for PJM Appendix”を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 24

26 ≪参考≫米国PJM RegD導入効果の検 討
RegD導入に先立ち、KEMA(現DNV-GL)がPJMからの受託により、RegDの導入効果に関する評価を 実施。 1 年間の各月から選定した12日をベースケースとし、全周波数調整容量に占める高速リソースの割合( 0%~50%まで5%刻みで 11ケース)と日 最大負荷に対する周波数調整力の要調達量の割合( 0%から50%まで5%刻みで11ケース)の組み合わせによる 121ケース、計1,452ケースのシ ミュレーションを実施。下図は、年間12日のうちの1日のシミュレーション結果。 上記調査の結果、応答性能の高いRegDリソースの導入割合には一定の最適点があり、導入量が過剰となる と逆に系統 の信頼性が悪化することが示された。 KEMAにおける高速リソース導入による影響分析( 2011年4月11日CPS1のシミュレーション結果) 赤いライン(点C~点D~):最低限許容できる ライン (CPS1=100%) 従来型電源のみの場合と同様 高 全 速 周 リ 波 ソ 数 ー 調 ス 整 の 容 割 量 合 に ( 占 % め 点B:従来型リソースと高速リソースの適切な割 合 (CPS1をベースケースと同様に保ちつつ、周波数調整 必要量を最小限に削減) 点A:ベースケース (Regulation Requirement=1%、従来型電源のみ) 日最大負荷に対する周波数調整力の要調達量の割合(%) 出所)KEMA “KERMIT Study Report : To determine the effectiveness of the AGC in controlling fast and conventional resources in the PJM frequency regulation market “ (2011)に三菱総研加筆 ※ Control Performance Standard 1, 周波数維持に対する当該系統の貢献度合いを評価する指標。 ACEの変動および周波数エラーとの関係の統計的数値。値が大きいほどACEの変動が小さく、系統信頼性が高い。最大値は200 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

27 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -需給調整市場の創 設-
調整力は、2017年3月より公募調達による系統運用が始まった。2020年の送配電部門の分離を控え、将来的 には、諸外 国のように調整力確保のための市場創設を視野にいれたもの。 現在、需給調整費用は託送費用の内数に含めた上で、別途、実際の費用とはリンクしないインバランス料金が徴収されている。 今後、調整力公募制度は需給調整市場に移行し、送配電会社が需給調整市場で支払う費用がインバランス料金(ないし、アンシラリー サービス料金類 似の料金)として小売事業者に課金されることとなる。 ~2016年度 2017~2019年度 2020年度~ 出所)資源エネルギー庁「電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会 第7回 資料3」1頁に三菱総 研加筆 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

28 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -需給調整市場検討の枠組 み-
2020年度以降の需給調整市場の創設に向けては、調整力公募の評価も踏まえつつ、資源エネルギー庁・広域機 関・監視等 委員会において、一体的に検討を進める。 OCCTOでは調整力の質・量等の条件検討、市場運営等の検討のため需給調整市場検討小委を新たに設置 制度設計作業部会(TF ) 調整力及び需給バランス評価等に関する委 員会 制度設計専門会合 需給調整市場検討小委員会( 追加 ) 出所)資源エネルギー庁「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 第5回 調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業 会 電力システム改革貫徹のための政策小委員会 資料3」17頁に三菱総 研加筆 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

29 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -平成30年度向けの調整力公募の概 要-
以下の6つの募集区分にて公募。 電源Ⅱ-b、電源Ⅱ’についてはH30年度公募から追加。 出所)電力・ガス取引監視等委員会「制度設計専門会合 第22回 資料5」5頁 、7頁 28 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

30 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -反応時間・持続時間の関 係-
現在検討されている商品設計を反応時間と持続時間で分類すると大きく3つの区分で分け られる注1。 持続時間 16h 30min 反応時間が短く 、 持続時間が長 いDR 反応時間・持続時間 が 比較的長いD R 新商品設計(案) 現在の調整力公募 電源Ⅰ-b 電源Ⅰ-a 11h 二次調整力 (EDC-H) 三次調整力① (EDC-L) 7h 電源Ⅰ’ 三次調整力② (低速枠) 3h 一・二次 調整力 30min 15min 4min GF 相当枠 反応時間・持続時間 が 比較的短いD R 10s 4min 5min 15min 30min 1h 注1 電源Ⅱは応動時間、持続時間という概念はないが、各社ごとにaは5分以内、bは15分以内での出力変動幅などを設定。 3h 反応時間 出所)電力広域的運営推進委員会「調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会」を基に三菱総 研作成 29 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

31 1. 調整力公募/需給調整市場におけるDER/VPPの技術要件 -調整力の商品設計 案-
現時点で需給調整市場で想定されている商品は、5区分×2(上げ・下げ)の10商品。 二次調整力の変化速度による更なる調整力細分化は調達要件で対応する見通し。 DRなど新規参入者の参入障壁とならないことも考慮しつつ、発動までの応動時間、継続時間の数値およびその他要件は 引き続き検討。 一・二次調整力(GF・LFC)注3 二次調整力② (EDC-H) 三次調整力① (EDC-L) 三次調整力② (低速枠) 一次調整力 (GF相当枠) 指令・制御 指令 監視の通信方法 オンライン 回線注4 専用線等 簡易指令システ ム 等も可 発動までの応動時間 10秒以内 240秒以内 5分以内 15分以内 1時間以内 継続時間注1 240秒以上 15分以上 7~11時間以上 3時間程度 応札が想定 さ れる主な 設備 発電機 DR 蓄電池 自家発余剰 商品区分 上げ 下げ注2 注1 最大値または指令値を継続して出力し続けることが可能な時間 注2 現状の運用においてはBG計画の中で下げ側の調整幅は十分にあり、事前に送配電が確保しておく必要性は少ない。 注3 一次・二次(GF・LFC)の細分化については参入状況等を考慮して検討 注4 求められるセキュリティ水準も含め今後更なる検討が必要 出所)電力広域的運営推進機関「第21回 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会 資料3」21頁を基に三菱総 研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

32 2. 容量市場におけるDER/VPPの 活用 -諸外国における容量市場の概要 - 諸外国における容量市場の現状は以下のと おり。 31
米国PJM 英国 フランス 類型 容量オークション(一括購入) 供給力確保義務(小売事業者) 必要量の算定主体・方法 NERC信頼度基準(LOLE=0.1日/年)に 基づき、系統運用者が算定 政府の信頼度基準(LOLE=3時間/年)に 基づき、系統運用者が算定 LOLE=0.1日/年に基づき、系統運用者 が算 定 容量を確保する時期 Base Residual Auction:受渡し3年前 Incremental Auction:受渡し20か月前、 10か月前、3か月前 T-4オークション:受渡し4年前 T-1オークション:受渡し1年前 既存発電所:3年~4年 新規発電所:4年~2ヶ月 DR:4年~2ヶ月 契約期間 既存リソース 1年 新設/改修リソース 最長3年まで ・新設リソース:最長15年まで ・改修を要するリソース:3年 有資格者 発電事業者 新規、既存ともに参加可能 RO、CfD、小規模FITによる支援を受けた 電源 は参加不可 DR 可能 事前資格審査 あり 小売事業者の義務 各小売事業者(LSE)の需要規模とPJMが 決 定する適正予備率に基づいて確保する 義務あり 容量確保に要する費用を確保期間中のピ ーク 需要のシェアに基づいて負担する 義務あり 参考情報に基づいて事業者が事前に確保 した 容量が、需要量に基づき事後に算定 された確 保期間中の必要量を満たす必要 あり 調整係数の設定 (電源の立地、特性等) サイトごとに、設備容量に過去5年間の 事故停 止率(既存リソース)または電源 種別の前年 の事故停止率実績平均値(新 設リソース)を 乗じることで、有効設備 容量を算出 電源ごとに一定の調整係数(De-rating factor)を設定し、最大出力に乗じること で、有 効設備容量を算出。同係数は電源 種別の稼 働実績の平均値によって設定 サイトごとの過去実績に基づき設定 変動型電源に関しては一律係数が設定 容量を確保できなかった場合に 課されるペナルティ 必要量を満たさない場合、LSEにペナルテ ィが発 生する 供給事業者が容量協定に定められた容量供 給 に失敗した場合、ペナルティが発生する 事後算定された必要量を満たなさない場合 、小 売事業者にペナルティが発生する 出所)PJM “PJM Manual 18 PJM Capacity Market” (2017) PJM “RPM 301 Performance in Reliability Pricing Model” (2017) National Grid “The Capacity Market (Amendment) Rules 2017” National Grid, Capacity Market DSR Testing Process (2017) 経済産業省 資源エネルギー庁「平成28年度電力系統関連設備形成等調査事業(海外の容量メカニズムに関する調査)調査報告書」(2017)を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 31

33 2. 容量市場におけるDER/VPPの活用 -諸外国におけるDRの取り 扱い-
米国PJMや英国の容量市場では、DRに対し、平常時のリクワイアメントおよび需給ひっ迫のおそれがあるとき の追加的なリクワイ アメントが設けられている。 米国PJM 英国 入札対象リソース 発電、DR、省エネ(Energy Efficiency)、輸入、アグ リ ゲート(間欠性発電・蓄電池・DR等) 2MW以上の電源※、DR、輸入 ※FIT、CfD、ROなど再エネ支援インセンティブを受けている設 備は除く DRに対する リクワイアメント 供給期間を通じ、十分な容量(UCAP)を保持し ている かアセスメントが実施される。 容量市場にコミットしたDRリソースは、PJMの負荷削減プロ グラム(Load Response Program)に登録し、需給 ひっ迫時等緊急に負荷削減が必要な際に、PJMからのディ スパッチ要請に応答可能でなければならない。 契約容量を提供可能であることを証明するテスト (DSRテ スト)に通過しなければならない。 容量市場にコミットしたDRリソースは、発電リソースと同様、 需給逼迫時に、事前に定められた負荷削減量を提供しな ければならない。 DRに対する ペナルティ アセスメントの結果、容量(UCAP)が不足する 場合は、 金銭的ペナルティが課せられる。 定められた負荷削減に失敗した場合、不足分に応じて金 銭的ペナルティが課せられる。 負荷削減が要請されなかったDRに対しては、別途、負荷 削減テストが複数回実施され、通過できない場合には、金 銭的ペナルティが課せられる。 負荷削減に失敗した場合は、金銭的ペナルティ( 容量に 対する支払いの一部返金)が課せられる。 出所)資源エネルギー庁「電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会 第16回 資料3」 55頁を基に三菱 総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

34 ≪参考≫諸外国における中長期の供給力確保 策
諸外国における中長期の供給力確保策の類型を分類すると下図の とおり。 価格設定方式 容量支払 スペイ ン 容量メカニズム 中 長 期 の 供 給 力 確 保 策 戦略的予備力 独、スウェーデン、フィ ンランド 容量設定方式 供給力確保義務 (小売事業者) 市場大メカニズ ム フランス、米 CAISO 容量オークショ ン (一括購入) 米PJM、 英 容量支払無し (人為的なスパイク) 米TX州ERCOT、大陸欧 州、 オーストラリ ア 信頼度オプショ ン 出所)資源エネルギー庁「電力システム改革貫徹のための政策小委員会 市場整備ワーキンググループ 第4回 資料4」4頁(2016年11月)および 資源エネルギー庁「平成28年度電力系統関連設備形成等調査事業(海外の容量メカニズムに関する調査)調査報告書」(2017)を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

35 ≪参考≫米国における容量メカニズム導入地域 -PJM RPM-
PJM Reliability Piking Model (RPM) PJMが小売事業者(LSE)に供給力確保義務を課す。PJM がプール全体の適正予備率を決定し、各 LSE に 「各LSE需 要規模×(1+PJM が定める予備率)」を義務量として割り当てる LSEは、割り当てられた容量をRPMオークションまたは、FRR制度を通じて調達する。 RPMオークション(Reliability Pricing Model Auction):中長期的な発電設備の維持・投資を促す価格シグナルを提供するために、 2007年に導 入されたForward型の容量市場。自己保有や相対取引で供給力クレジットを確保できないLSE に代わって、 PJM がプー ル全体で必要となる容量を一 括して調達した上で、事後的に調達した供給力の対価をLSEから回収する仕組み。3年前に初回のオー クションが開催され、需給予測の変動を踏まえた 過不足分を、追加のオークション(計3回)で調整 FRR制度(Fixed Resource Requirement):LSE は自らの供給力確保義務を満たすために必要な供給力を、①自己保有、②相対 契約いずれ かで自主調達してよい(FRR容量計画として認定を受ける必要がある) PJM 供給力確保の流 れ RPMオークションのス ケジュール 電源(発電事業者) 5月実施 3年 9月実施 20ヶ月 参加義務(相対取引以外) 7月実施 10ヶ月 容量 $ RPMオークシ ョン 2月実施 3ヶ 月 FRR (相対契約) $ 容量(必要な供給力を LSE に代わり一括で買取 り) 受け渡し 年 PJM 基本オークシ ョン 第1回 追加オークション 第2回 追加オークション 第3回 追加オークション 6月1日 5月31日 容量(義務として必要な供 給 $ 力を買取り ) LSE(小売事業者) 相対契約 出所)PJM, PJM Manual 18 PJM Capacity Market PJM, RPM 301 Performance in Reliability Pricing Model(2017)を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

36 再生可能エネルギー大 量 導入・次世代電力 ネット ワーク小委員 会
3. その他関連政策動向 -概要- 現在開催されている審議会のうち、DR/VPPに関連するテーマ及びその概要は以 下のとおり。 資源エネルギー庁の審議会に加え、EGC、OCCTOでも検討が行われている。 審議会等 主催 概要 電力取引 市場 制度検討 作業部会(TF) 資源エネルギー 庁 電ガ部 電力基本政策小委の傘下に設置。貫徹小委の中間とりまとめを受けて引継ぎ。 ベースロード電源市場、地域間連系線ルール、容量市場、需給調整市場、非化石 価値取引 市場等、電力システム改革の根幹となる制度設計の検討を実施。 制度設計 専門会合 電力・ガス取引 監視等委員会 (EGC) 現状の電力取引の状況を把握するとともに、制度的改善点を検討。 グロスビディング、託送料金改革等が主テーマ。 調整力及び需給バランス 評価等に関する委員会 OCCTO 需給調整市場の具体的な制度設計を検討。 傘下に、需給調整市場検討小委、調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関す る作 業会が設置されている。 容量市場の在り方に関す る勉強会・検討会 容量市場の具体的な制度設計を検討。 需要曲線の詳細(供給力量、目標価格水準)、DR等のリクワイアメントのあり方に ついて検討。 再エネ VPP 再エネ大量導入研究会 省新部 電ガ部 FIT法改正を節目とし今後の再生可能エネルギーの政策課題を検討する場として設置 。 論点としてコスト競争力の強化、FIT制度からの自立に向けた施策、系統への円滑 な受け入れ のための施策の3点をあげ、それぞれについて課題解決に向けた方向性 を提示。 再生可能エネルギー大 量 導入・次世代電力 ネット ワーク小委員 会 再エネ導入拡大による系統運用、調整力確保、FIT制度からの自立等の政策課題を 検討する 場として設立。 第1回は再エネ太陽導入研究会での議論内容の確認が主な内容でありコスト競争力 や系統制 約対応(コネクト&マネージ)に加えて、調整力(蓄電池・ERAB)等に ついても言及。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)各種資料を基に三菱総研作 成

37 3. その他関連政策動向 -関連審議会の概観 - 関連する審議会は以下のとおり多岐に渡 る。注1 総合資源エネルギー調査 会 研究会
3. その他関連政策動向 -関連審議会の概観 - 関連する審議会は以下のとおり多岐に渡 る。注1 再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員 会 基本政策分科会 総合資源エネルギー調査 会 電力システム改革貫徹のための政策小委員 会 省エネルギー小委員会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会 系統WG 資源・燃料分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委 員会 電力・ガス事業分科会 電気・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会(TF) 研究会 エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビ ジネス検討会 再生可能エネルギーの大量導入時代における政策課題に関する研 究会 エネルギー情勢懇談会 電力・ガス取引監視等委員 会 送配電網の維持・運用費用 の 負担のあり方検討WG 制度設計専門会合 調整力の細分化及び広域調達の 技 術的検討に関する作業会 調整力及び需給バランス評価等に関する委 員会 電力広域的運営推進機関 (OCCTO) 需給調整市場検討小委員会 容量市場の在り方に関する検討会・勉強会 地域間連系線及び地内送電系統の利用ルール等に関する検討 会 注1 平成28年度以降に開催されていない、または関連が薄い委員会、分科会、小委員会、 WGは除外。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)各種資料を基に三菱総研作 成

38 Ⅲ.VPP活用に向けたDSRの評価方法整 理
上げDRにおける評価方法 類型2における評価方法(ベースラ イン) 計量に関する課題整理 ネガワット調整金関連の情報整理 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

39 1. 上げDRにおける評価方法 -上げDRのユース ケース-
上げDRの用途(調達主体、目的)の観点からユースケース(UC)3点を整理した。 いずれの用途においても、上げDRを実現する仕組みを構築するために、追加的なコストおよびシステムの 構築が必要となる。 以降は、UC①とUC②について主に論点整理を行った。 調達主体 目的 概要 UC① 出力制御回避 実需給前日夕方に出力制御指令を予告*された再エネ事業者は、契約 する アグリゲーターに上げDRを依頼。アグリゲーターが上げDRの実 施を確認し、送 配電事業者は当該上げDRを踏まえ、当該再エネ事業 者は出力制御を回避。 *高圧PVは前日夕方にて、出力制御が確定 上げDRの仕組みを新たに構築する必要がある。 再エネ事業者が、自 ら の出力制御を回 避する ために確保 再エネ事業 者 UC② 下げ代不足対策注1 前日の実需給バランス計画において、供給力が需要を上回ると予測 される場 合、送配電事業者が前日午後に上げDRをアグリゲーター から調達する。送配 電は、上げDRを踏まえ実需給バランス計画を 修正の上、それでも供給量が上 回る場合、出力制御指令を出す。 DRを優先給電ルールに位置づける必要がある。 実需給の前日、需給 計画策定段階で、下 げ 調整を実施するた めに 確保 送配電事業者 UC③ 調整力提供 予測誤差および時間内変動から供給過多となる状況を回避するた め、送配 電事業者が、調整力を確保。 需給調整市場の創設前は、調整力公募にて、開設後は需給調整市場 にて、 上げDRが応札される必要がある。 GC後の需給バラン ス調 整のために確保 送配電事業者 注1 本業務におけるユースケース②の検討後、 第3回再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(2018年2月)において、本ユ ースケースとは別に 再エネ買取事業者による「再エネ誤差対応」が提示された。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

40 1. 上げDRにおける評価方法 -上げDRのユースケース(取引類型によ る整理)-
各ユースケースについて想定される取引類型を整理した。 出力制御回避(UC①)は、再エネ発電事業者が調達を行う形態(類型1-②の派生)での取引が想定される。 他方、下げ代不足対策(UC②)及び調整力提供(UC③)では、系統運用者が調達を行う形態(類型2)での 取引が 想定される。 UC①:出力制御回避において想定される取引類型 再エネ発電事業者が出力制御回避のために需要増加 量 を調達する(類型1-②の派生) UC②:下げ代不足対策、UC③:調整力提供に お いて想定される取引類型 系統運用者が需求調整の一環として、需要増加 量を 調整力として調達する(類型2) 発電 出力制御回避 サービス契約 再エネ発電 発電 再エネ発電 卸供給契約 接続・特定契 約 卸供給契約 接続・特定契 約 ※調整金等 ※調整金等 小売 アグリ ゲーター 系統 運用者 小売 アグ リ ゲ ーター 系統 運用者 ※系統運用者が一定の検証 を 行うことが想定される。 小売契約 下げ代不足対策 ・ 調整力契約 (上げDR) 小売契約 上げDR 取引契約 上げDR 取引契約 需要家 需要家 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)各種資料等を基に三菱総研作 成

41 1. 上げDRにおける評価方法 -上げDRのユースケース(取引時間によ る整理)-
各ユースケースについて、想定される取引時間について整理した。 優先給電ルールを踏まえた出力抑制指令のタイミングは以下の通り。 ① 実需給の前々日16時に、送配電事業者は発電計画を策定し、小売事業者に通知( FIT特例制度①) ② 前日に予想し、卸電力市場を経由して、小売事業者に引き渡し(FIT特例制度③) ③ 前日午前中、送配電事業者は需給バランスを計画し、優先給電ルールに基づき、出力抑制を検討 ④ 前日17時、送配電事業者は出力制御予告を再エネ事業者に連絡 ⑤ 当日4時、当日需給バランスを策定。それを踏まえ、当日9時~16時に出力制御を実施。解除される場合、朝6時ごろ、 解除指令が配信 前々日 1. 16時 前日 4. 17時 当日 5. 2. 3. 5. 再エネ事業者 12時 4時 9時 16時 実需給 UC 1 発電 出力制御の準 備 出力制御 抑制指令 抑制指令 UC2 需給バランス策 定 (出力制御含む) 送配電事業者 UC 3 発電計画策定 出力制御 需給バランス策 定 (当日) 出力制御 インバラ ンス 調 整 発電計画 指示(1)注1 指示(2)注 供給(特例③ ) JEPX 発電計画 通知 (特例①) スポット市場 (前日10時まで) 時間前市場 (前日17時~GC) 小売電気事業者 (発電BGも含む) 調達 (FIT含む) 需給計画 見直し 調達 (FIT電源以外) 供給 需給計画の策 定 注1 旧ルールは(1)の段階で前日指示、必要に応じて(2)の段階で特高再エネ事業者は解除される。指定ルールについては(1)の段階で予告連絡、(2) の段階で配信。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)各種資料等を基に三菱総研作 成

42 1. 上げDRにおける評価方法 -上げDRのユースケース(UC①出力制御 回避)-
論点 概要 出力制御回避の 制度上の位置付け 上げDRによる出力制御回避は再エネ電源の最大限の活用に貢献する一方、FIT制度下においては、再エネ電源 の買取量抑 制が回避されることで、買取総額が抑制時より増加する。 系統運用者にとっても、上げDRの位置づけが無い中、出力制御取消の指令が実務上困難。 以上の観点から、FIT法上における出力制御回避の位置付けの明確化が必要。 下げDR同様、託送供給約款における位置づけが必要(不足インバランスと扱わない) 上げDRの原資についても整理が必要(本資料では、発電事業者からの持ち出しを想定) 出力制御の 公平性ルール に おける取扱 い エネ庁において出力制御の機会の公平性等を定めた「出力制御の公平性の確保に係るガイドライン」を策定。 出力制御回避を実施した場合、当該発電設備における出力制御実績としてカウントされるか等、公平性ルール における整理が 必要。(カウントされない場合は再エネ事業者にとっての上げDRのインセンティブが無くなる 一方、上げDR資源確保の公平性も 論点となりうる) 市場活用のあり方 現在検討中の出力制御ルールでは、時間前市場の取引前に出力制御指令が出され、出力制御回避の取引は時間前 市場と 同時間帯に行われると想定される。 出力制御回避の取引における時間前市場活用の可能性について検討が必要。 出力制御システム との連携のあり方 系統運用者ー再エネ発電事業者間における出力制御システムの検討がNEDO実証において検討されている。 出力制御回避には、上記システムと連携した中給ーアグリゲータ間における新たなシステム構築が必須となる ため、当該システム の要件やコスト負担のあり方に関する検討が必要。 特に、一部電力では中給から発電事業者への単方向通信のシステムが一部整備済みであり、新規システムとの 共存のあり方も 論点。(発電事業者からはアグリゲーター経由で中給に通信する必要) Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

43 ≪参考≫ 出力制御指令のタイミ ング 系統WGで示されている出力制御システムの概要は以下の通り。 出力制御方式 配信方法
比較的大規模な発電設備に対しては専用回線での出力制御を志向する一方、比較的小規模な発電設備では、発電設備の数が膨大 であり、 個別に管理することが現実的でないことから、出力制御スケジュールを発電事業者がインターネット等を通じて入手し 、出力制御を行う方式を検討。 なお、固定スケジュールによる出力制御は、出力制御が不要な場合にも制御を行う必要があるなど、発電事業者にデメリットが 大きいことから、通信 回線の開設が現実的でない山間地の発電設備等に限定する方針。 出力制御方式 配信方法 制御指令のタイミング 指令頻度 適用が想定される設備 予告 指令 専用回線による出力制御 専用通信回線を介し た 遠隔指令 前日 リアルタイム注1 都度 特別高圧連系 (比較的大規模) 出力制御スケジュー ルの 書き換えによる 出力制御 インターネット等を 介した スケジュール 配信 前日また は 当日 早朝 1回/日注2 高圧以下連系 (比較的小規模) 固定スケジュールによ る 出力制御 現地書換(1回/年) 年1回 通信回線の利用 が 現実的でない 設備 (山間地に立地等) 注1 指令方法については、リアルタイムでの検 討を実施 注2 当面は1回/日での配信を検討 出所)資源エネルギー庁「系統ワーキンググループ」資料を基に三 菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

44 1. 上げDRにおける評価方法 -上げDRのユースケース(UC②下げ代不 足対策)-
送配電事業者は、実受給の3日前程度に、需要予測や提出された発電計画に基づき、追加する調整力を決定。 その後、前日午前中までに、気象データに基づき需要予測と再エネ発電計画を見直し、優先給電ルールに基づく出力抑制を計 画。 実受給断面では調整力電源により調整が実施され、発電計画との差に基づき精算が実施される。 前週~ 3日前程度 GC前 電源Ⅰ、Ⅱにつ い ては調整単価 (kWh単価)によ り精算 電源Ⅲについてはイ ンバランス精算 実受給時点 需要予測 発電BG計画 ○一般送配電事業者による計 画 ○一般送配電事業者による抑制指令後の計 画 ○一般送配電事業者による指令後の実 績 出力 電源Ⅰ、Ⅱの中 か ら、電力量 (kWh)価格によ 出力 予測 修正 優先給電ル ー ルによる 抑制 出力 自 然 変 動 電 源 メリットオーダー により 出力増、 出力減を 長 期 固 定 電 源 自 然 変 動 電 源 バ イ オ マ ス 電 源 長 期 固 定 電 源 自 然 変 動 電 源 バ イ オ マ ス 電 源 指令 り追加等を決 定 バ イ オ マ ス 電 源 長 期 固 定 電 源 電 源 Ⅲ 電 源 Ⅲ 電 源 Ⅲ Ⅱ Ⅰ 上げ DR 上げDRを計画するこ とで 優先給電ルールによ る抑 制を回避できる 可能性 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 43 出所)各種資料等を基に三菱総研作 成

45 1. 上げDRにおける評価方法 -上げDRのユースケース(UC②下げ代不 足対策)-
後者の場合、「優先給電ルールとの整合性」及び「調達方法」について検討が必要。 下げ調整力の活用 電源Ⅰ(一般送配電事業者があらかじめ確保)の出力抑制と揚水運転 現状調整力公募にて調達 電源Ⅱ(一般送配電事業者からオンライン調整可能)の出力抑制と揚水運転 出 力 の 抑 制 等 を 行 う 順 番 下げ調整力が不足する場合の措置 1.電源Ⅲ(一般送配電事業者からオンライン調整不可)の出力抑制と揚水運 転 2.長周期広域周波数調整(連系線を活用した広域的な系統運用) 優先給電ルール上の順位 、 調達方法の検討が必要 3.バイオマス専焼電源の出力抑制 4.地域資源バイオマス電源の出力抑制 5.自然変動電源(太陽光、風力)の出力抑制 6.電気事業法に基づく広域機関の指示(緊急時の広域系統運用) 7.長期固定電源(原子力、水力、地熱)の抑制 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 44 出所)電力広域的運営推進機関「送配電等業務指針」を基に三菱総研 作成

46 1. 上げDRにおける評価方法 -上げDRのベース ライン-
【論点1】 総需要量の評価方法 上げDR実施時でも、省エネ推進の観点から、総需要量の増 加は極 力抑えることが望ましい。 省エネ法の範囲で省エネが担保されているか、整理が必要。 【論点2】 反応時間・持続時間 ベースライン設定方法の検討に際しては、現行のガイドラ インと同様、 反応時間・持続時間別に定めることが望まし い。 具体的な上げDRのユースケースにおける反応時間・応答時間 の検 証が必要。 【論点3】 ゲーミングの排除 適正なDR拡大のため、ベースラインのゲーミングの排除は 重要であ る。 下げDRとの違いに留意しつつ、上げDRのベースラインにお けるゲーミン グの可能性に関する検討が必要。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 45

47 1. 上げDRにおける評価方法 -上げDRのベースライン(総需要量の評価 方法)-
省エネ法では、電気のみならず、熱や燃料も含めたエネルギー全体での合理化を求めている。 省エネ法では、年間でのエネルギー使用量の合理化および電気需要平準化の取組みを規定している。 すなわち、上げDRによる総需要増加に対しては、現行省エネ法において措置済みと整理される。 上げDR分を打ち消す電力需要抑制を求める場合の論点として以下が想定される。 電気のみで総需要量抑制を求めると、電化や蓄電池等による上げDRの取組み等を阻害する恐れがある。 上げDRが抑制対象予定だった再エネの有効活用という位置づけであれば、むしろ季節間変動も含めた需要平準化を進めること が適切であり、短 期的な総需要抑制は馴染まない。 実負荷 上げDR 要請時間 ベースライン Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)各種資料等を基に三菱総研作 成

48 1. 上げDRにおける評価方法 -上げDRのベースライン(反応時間・持 続時間)-
このため、ネガワットガイドラインにおける 「反応時間・持続時間が比較的長いDR」当該DRのベースライ ン設定方法に基づき、 上げDRのベースライン設定方法を検討することが妥当と考えられる。 調整力提供にかかる ネガワットガイドラインにおけるベースライン設定方 法 (反応時間・継続時間が比較的長いDR) ネガワットガイドラインの 対象DR ベースライン BL算出方法 【標準BL】 High 4 of 5 (当日調整あり) 直近5日のうち、需要の多い4日の平均 (※土日、祝日の場合は、直近3日のうちの2日) 【代替BL】 (当日調整なし) 【代替BL 】 同等日採 用法 DR発動時間を除く時間帯の過去30日間の需 要 データのうち、発動日との差が最も小さい 非発動日3 日間の平均 【代替BL 】 事前 計測 DR実施時間の4時間前~1時間前の平均 【代替BL 】 発電機等 計測 発電機又は蓄電池等の専用メーターによる計測 (ベースラインは常にゼロ) 持続 時間 上げDR(出力制御回避)の位置付 け 反応時間・持続時間が 比較的長いDR 比較的短いDR 反応時間 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)各種資料等を基に三菱総研作 成

49 1. 上げDRにおける評価方法 -上げDRのベースライン(ゲーミン グの排除)-
ベースライン設定にあたっては、優位なベースラインを維持するために需要を意図的に変化させる行為(ゲ ーミング)の排除が 重要である。 以下に整理したとおり、上げDRでは、下げDRと比較して、ゲーミングのメリット、予見可能性の観点から、 ゲーミングが生じやすい と考えられる。 ゲーミングに関する上げ/下げDR の比較 下げDR 上げDR(出力制御回避) ゲーミングによるメリット ゲーミングによって需要を増やす行 為自体に 電力量(kWh)費用が必要 なため、ゲー ミングによるメリット は限定的。 ゲーミングによって需要を減少させ る行為に 電力量(kWh)費用の削減 効果が含ま れるため、ゲーミングに よるメリットは大きい。 DR発動の予見によ る ゲーミングの可 能性 ネガワット取引の起点は複数あり、 かつ一つ の指標であるスポット価格 の予測は比較的 難しい。 このため、DR指令前から需要増加 を行う ゲーミングの可能性は低い 。 中長期的な需要予測と再エネの発電 量予 測により、出力制御の発生時期 を一定程 度予見することが可能。 予測に基づき、DR指令前から需要削 減を 行うゲーミングが可能。 当日調整時による ゲーミングの可能性 前日市場のスポット価格等に基づき 、前日 にDR発動予告が行われた場合 には、当日 調整によるゲーミングが 可能。 出力制御指令(予告)は概ね前日に 発 出されることから、当日調整によ るゲーミン グが可能。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

50 1. 上げDRにおける評価方法 -海外における上げDR事例(イ ギリス)-
英国National Grid は,風力発電の夜間の余剰電力を吸収するため,電源の出力の抑制または負荷の上昇を行 う DR、い わゆる”Footroom”を定めている。再エネ導入進展に伴い、Footroom必要量の増加が予測されてお り、2017年には、3GWh から5GWhのFootroomを予定。 Footroomの1つの手段として、Demand Turn Up(DTU)と呼ばれる、発電余剰時に、大規模需要家や送配電ネ ットワーク に接続した需要側設備の需要量増加または発電量抑制を行うサービスを追加。2016年より、入札 による調達を試行的に開 始。 2017年は、サマータイム期間(2017/3/ /10/28)に調達。事前入札と調達期間中の追加入札により、 必要量を調 達。 2016年 Demand Turn Up調達デー タ 合計調達容量 309MW 加重平均利用価格 £61.41/MWh サービス提供回数 323回(5月~9月の5か 月間) 平均サービス利用時間 4.30時間 合計電力量 10,800MWh 平均応答時間 約18分 出所)National Grid ”Demand Turn Up 2017” (2016) National Grid “Demand Turn Up Frequently Asked Questions version 3.0” (2017) National Grid Webサイト ( Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

51 1. 上げDRにおける評価方法 -海外における上げDR事例(イ ギリス)-
Demand Turn Upサービスへの参加要件および調達枠は以下の 通り。 容量1MWから入札に参加可能であり、アグリゲーションも認められ ている。 応答時間や最低出力持続時間に関する条件は設けられていない。 Demand Turn Up 参加要件 Demand Turn Up 調達枠 参加可能な技術 バランシングメカニズム(BM)に参加 していない 大規模需要家や需要側設備( CHP、蓄電池 等すべて) 最低容量 計1MW 各0.1MW以上の容量のアグリゲーションが認めら れる。 立地による制約は設けられていない 応答時間・最低 出力持続時間 応答時間や最低出力持続時間に関する条件 は 設けられていない サービス提供希望者は、入札時に上記情報を National Gridに提出する必要 指令発出方法 (及び補助的にSMS)を用いて、 National Gridからサービスプロバイダー に対して サービス容量とサービス提供時 間枠を連絡 サービスプロバイダーは、指令発出後30分以内に National Gridに対して指令の受領を報告した 上で、サービス提供を実施。 その他 毎分または30分単位計測のメーターを具備 固定/携帯電話または による連絡が可能 であること 夜間帯 (毎日) 昼間帯 (週末・銀行休日) ベース月(3月、4月、5 月、 9月、10月) 23:30~08:30 13:00~16:00 ピーク月(6月、7月 、8 月) 23:30~09:00 Demand Turn Up 調達枠イメー ジ ※2017年の調達期間は、サマータイム期間(2017/3/ /10/28) 上記以外の時間帯にも、必要に応じて追加の調達枠(Optional Window)を設け、 Demand Turn Up Option(DTU Option)として上げDRを提供可能 出所)National Grid ”Demand Turn Up 2017” (2016) National Grid “Demand Turn Up Frequently Asked Questions version 3.0” (2017) National Grid Webサイト ( Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

52 1. 上げDRにおける評価方法 -海外における上げDR事例(イ ギリス)-
2017年2月の固定DTUの事前入札では、9事業者から計262,2MWの入札があった。 入札価格(MW価格・MWh価格)・応答時間・持続時間・立地等に基づき、6事業者・計138.6MW を落札。 入札リソースは、需要負荷及び需要側発電設備のみ。蓄電池の入札はなかった。 2017年2月実施 固定DTU 落札リソースの入札情報 サービスプロバイダー 最大契約容量 (MW) サービス提供可 能 時間に対する 報酬 (£/MW/h) サービス提供実 績 に対する報 酬 (£/MWh) 最小サービス 提供可能時間 (分) 最大サービス 提供可能時間 (minutes) 指令発出から契約 最 大出力に達する まで の応答時間 ( 分) 地域 設備タイプ Simec Lochaber Hydropower 2 Ltd 30 1.50 60.00 120 無制限 15 Scotland 発電:スタンバイ/バックアップ SSE Hornsea Ltd 10 68.00 60 300 85 Yorkshire and The Humber 需要負荷 19.4 74.80 ENGIE 6 97.00 20 London 発電:バランシング サポート 2 1.75 75.00 7 80.00 North West England MVV Environment Ridham Limited 89.00 South East England REstore Wales 5 North East England Alkane Energy Limited 0.9 720 East Midlands 3.8 70 1.4 4 0.7 1.2 1.1 Yorkshire and The Humber 出所) National Grid Webサイト Fixed DTU 2017 results Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

53 1. 上げDRにおける評価方法 -海外における上げDR事例(イ ギリス)-
英国National Gridの上げDRサービスであるDemand Turn Upの場合、試行期間(2016年)は、サービスプロ バイダーが前 日10時以前に提出する予測値(30分間平均値)と実際値の差分に基づき、サービス提供実績量 を算定。 2017年より、予測値による算定に加え、ベースラインを用いた算定も導入。(入札時に予測値による算定か ベースラインによる 算定かを選択) DTUサービス提供日の7日前、14日前、21日前、28日前の同時間帯における負荷または発電(MW)のメーター値の単純平均 をベースライン として用いる。 ベースラインの設 定例 日付 サービス提供時間 帯 における需要 サービス提供日 2017/6/20 - ベースライン算出対象日①-7日 前- 2017/6/13 5MW ベースライン算出対象日②-14日 前- 2017/6/6 4MW ベースライン算出対象日③-21日 前- 2017/5/30 6MW ベースライン算出対象日④-28日 前- 2017/5/23 ベースライン=5+4+6+5=5( MW) ※ただし、ベースライン計算対象日①~④のいずれかに Demand Turn Upを提供した場合には、当該日をベース ライン算出対象から 除外し、さらに前週の同日同時間をベ ースライン計算対象日とする (左記例の場合、2017/5/16を対象日とする) 出所)National Grid ”Demand Turn Up 2017” (2016) National Grid “Demand Turn Up Frequently Asked Questions version 3.0” (2017) を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

54 1. 上げDRにおける評価方法 -海外における上げDR事例(フ ランス)-
フランスでは、再エネ電力の余剰時に、一部休止中の生産設備に増産を要請し需要を創出する取組みを実施 し、実効性を 実証している。 フランスにおける上げDR事例 出所)資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの大量導入時代における政策課題に関する研究会 第1回 資 料3」25頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

55 2. 類型2における評価方法 -諸外国における「反応時間が短く、持続時間が長いDR 」のBL-
反応時間が近いものは事前計測もしくは事前事後計測のものが太宗を占める。 持続時間 16h 30min 電源Ⅰ-b 現在の調整力公 募 海外の対象調整 力 電源Ⅰ-a 11h 7h 英 国 STOR 電源Ⅰ’ 4h 事前計測 ドイツ TCR ランス 3h 事前計測 2h CAIS O Fast Reserve 30min Proxy Demand 30min 15min 4min Resourc e 事前事後計測 事前事後計測 4min 10min 10 s 15min 20min 30min 1h 3h 反応時間 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 54 出所)各種公募資料等を基に三菱総研作 成

56 2. 類型2における評価方法 -米国におけるベースライン設定の基本的考 え方-
2. 類型2における評価方法 -米国におけるベースライン設定の基本的考 え方- 米国のISO/RTO等によれば、ベースラインの設定に際しては、「正確性」、「単純性」、「完全性」の観点 からバランスの取れた ベースラインであるかが重要となる。 正確性 Accuracy 需要家が、実際に供給した制御量に相当する対価を受け取ることができるベースライン であること 制御量を正確に評価するためには実需要と誤差の少ない推計が必要 単純性 Simplicity エンドユーザーを含めた全てのステークホルダーにとって分かりやすく、運用が容易なベースラインである こと。 リアルタイムでの制御量モニタリングのため、DRイベント発動以前または発動中に、 ベースラインを決 定可能であること 完全性 Integrity 需要家による人為的なベースラインの歪曲やゲーミングを可能とするような、特性を 含まないベースラ インであること 出所)EnerNOC “The Demand Response Baseline White Paper” (2011)等を基に三菱総研 作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

57 2. 類型2における評価方法 -米国におけるベースライン 類型-
2. 類型2における評価方法 -米国におけるベースライン 類型- 北米エネルギー標準規格委員会(NAESB)はDRのベースラインを以下のように5つに類型 化している。 概要 備考 統計的推計負荷 類型Ⅰ (Baseline Type Ⅰ) 個々の需要家の過去の需要データを用いてベースラインを推計。 High X of Y(平均化法)が最も広く一般的に用いられて いる。 算出対象日・当日調整方法等により多 くの 種類が存在。 気象等のデータを活用する場合もある 。 統計的推計負荷 類型Ⅱ (Baseline Type Ⅱ) 統計的サンプリングにより、同タイプの需要データを用いて、ベース ラインを計算。 個々の需要家のインターバルメータのデータ が使用できないとき、代替として活用。 最大基準負荷 (Maximum Base Load) 最大電力需要の値をベースラインとする。 容量用途のプログラムにおいて多く用いられ る。 事前・事後計測 (MBMA: Meter Before/ Meter After) DRイベントの開始前・開始後の電力量をベースラインと する。 短周期のDRプログラムにおいて用いら れる。 発電計測 (Metering Generator Output) 自家用発電設備に設置したメーターの計測値を用いる。 バックアップ発電機等を活用したDRにおいて 多く用いられる。 出 所 )North American Energy Standards Board “Measurement and Verification for Demand Response”(2013) DNV KEMA “Development of Demand Response Mechanism Baseline Consumption Methodology – Phase 1 Results” (2013) 等を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

58 2. 類型2における評価方法 -米国ISO/RTOにおけるベースライン 類型-
アンシラリーである予備力(Reserve)や周波数制御(Regulation)は「事前事後計測」 が中心。 容量 Capacity エネルギー Energy 予備力 Reserve 周波数制御 Regulation PJM 統計的推計負荷 最大基準負荷 発電機計測 事前・事後計測 ERCOT MISO NYISO ISO-NE CAISO 出所)DNV KEMA “Development of Demand Response Mechanism Baseline Consumption Methodology – Phase 1 Results” (2013) 等を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

59 2. 類型2における評価方法 -米国における「反応時間が短く、持続時間が長いDR」の BL設定-
(Ramp Period) 持続時間 (Sustained Response Period) 利用可能なベースライン PJM Economic Load Response (Synchronized reserves) 10 min As Scheduled / Dispatched 事前事後計測 (PJM-MBMA-Reserve) Economic Load Response (Day ahead scheduling reserve) 30 min NYISO Demand Side Ancillary Services Program 10 min / 30 min (NYISO-MBMA) MISO Demand Response Resource Type-I (Reserve)注1 As Scheduled / Dispatched with 1 Hour (Minimum) (MISO-MBMA-Single-Read) AESO Spinning Reserves 1 Hour (Minimum) (AESO-MBMA) Supplemental Operating Reserves ERCOT Non-Controllable Load Resources providing Responsive Reserve Service -- Under Frequency Relay Type 10 min (Verbal) 30 Cycles (Relay) As Dispatched / Recalled (ERCOT-RRS) Controllable Load Resources providing Non-Spinning Reserve Service (20 min to release capacity to SCED) As Dispatched / Following SCED Base Points until Recalled ERCOT-BPD(ERCOT独自のリ アルタ イム評価ベースライン)また は統計的推 計負荷類型Ⅰのうち 、いずれか1つ注2 CAISO Proxy Demand Resource Product 2 Hours (Maximum) (CAISO-MBMA) またはCAISO-10-in-10 (Energy Payment) 注1 Type-Ⅱも存在するが条件は同じ 注2 ERCOT-Regression、ERCOT-Mid 8 of 10、ERCOT-Matching Day Pair、ERCOT Control Groupか ら選択可能 出所)ISO RTO Council(IRC) “2015 North American Demand Response Characteristics Comparison”(2016年)を基に三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

60 ≪参考≫米国におけるベースライン設定方法の採 用理由
米国のISO/RTOにおけるベースラインは、需要の正確性や運用の簡便性に基づき設 定している。 一方、ステークホルダーからのフィードバックに基づいて、継続的な検討を行って いる。 ベースラインの設定理由に関するヒアリング回答 PJM PJMは以下の3つの基準に基づき、ベースラインを選択している。 実証の基づくベースラインのパフォーマンス(正確性、偏り、変動性) 運用上の負荷および実施時の簡便性 ゲーミングおよびフリーライダーの最小化 ERCOT プログラム開始時には回帰モデルを用いていた。 サービスプロバイダーによる回帰モデルの複製(replicate)が困難であるという参加者からのフィードバックを受け、 Middle 8 of 10およびday-pair matchingを開発した。 ISO-NE ベースライン選択に際して考慮する要因は、第1に正確性、第2に運用上の課題(特にデータストレージ)である。 NYISO 商品タイプ、スケジューリング頻度、およびステークホルダーからのフィードバックに基づき、ベースラインを選択している。 CAISO ステークホルダーやコンサルタントからのフィードバックに基づき、ベースラインを選択。 PJMが先行して採用していたベースラインも参考にした。 MISO NAESBのプロトコルを出発点とした。 PJMやISO-NEが先行して採用していたベースラインも参照した。 出 所 )DNV KEMA “Development of Demand Response Mechanism Baseline Consumption Methodology – Phase 1 Results” (2013) のISO/RTOに対するヒアリング調査結果を基に三菱 総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 59

61 ≪参考≫米国におけるベースライン設定方法の評 価結果
CAISOやPJMは、正確性や偏り等を評価項目としたベースラインの評価 を実施。 ベースラインの評価事例 CAISO PJM 評価主体 米国ローレンス・バークレー国立研究所 KEMA(PJMより委託) 期間 2005/5-2005/9 お よ び 2006/5-2006/9 2008/6/ /9/30 適用したベースライ ン 当日調整の有無を含む7種類のベースライン 11の基本ベースライン×4種類の調整 = 44種類のベースライ ン 評価項目 正確性(Accuracy)⇒ 時間毎のパーセント誤差の絶対 値 平均偏り(Bias) ⇒ 時間毎のパーセント誤差の平均 イベント日の需要抑制量 正確性(Accuracy)⇒ RRMSE(相対誤差二乗平方根) 偏り(Bias)⇒ 相対誤差平均(ARE) 変動性(Variability) ⇒ 相対誤差比(RER) 需要家件数 DRプログラムに参加する33の業務、学校、店舗、軽工 業などの 需要家 緊急または経済プログラムに参加する11,730件の需要家の うち、約 40%の4,505件の需要家+プログラムに非参加の 16,000件の業 務・産業需要家 評価結果 現状使用されている3 of 10 は、当日調整により改善 され る。 需要変動の大きい需要家に対する適切なベースライン方式 はない。 当日調整(需要データ調整)後のX of Y方式は、回帰方式 と同 程度の正確性である。 調整なし、又は気温感度調整よりも当日調整のほうが性能が高い。 X of Y方式は性能が良いが、変動性の大きい需要家に対しては良 い結果が得られない。 課題・提案 特定タイプの需要家に対しては、より適切な方式の 選択肢 を設けるべきである。 変動性の大きい需要家に対しては、あらかじめ容量レベルを 定める契約により、需要抑制を行うよう求めるルールとすべき である。 適切な需要家ベースラインの評価を行うには、実証分析と 、管理費 用、需要家の戦略的行動を考慮する必要がある。 変動性の大きい需要家に対しては、異なる市場ルールやベースラ イン計算方法を適用すべきである。 出所) 電力中央研究所「デマンドレスポンスにおける需要家ベースライン選定に関する北米評価事例の調査 調査報告:Y12021」(平成25年) KEMA “PJM Empirical Analysis of Demand Response Baseline Methods” (2011) Ernest Orland Lawrence Berkeley National Laboratory “Estimating Demand Response Load Impacts: Evaluation of Baseline Load Models for Non-Residential Buildings in California” (2008) 等を基に三菱総研作 成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 60

62 2. 類型2における評価方法 -欧州における「反応時間が短く、持続時間が長いDR」のBL設 定方法-
概要 反応時間 持続時間 最低容 量単位 方向 提供者 ベースライン STOR (Short Term Operating Reserve) 追加的に有効電力を供給するサ ービ ス 通常20分 以内(最大 で4時間) 2時間以 上 3MW 上げ代 発電 ・ 需 要 事前計測の一種 (DR発動指令を 発出した時間と直 前3分間の4コマ (4分間)の平均 需要量) STOR Runway 発電事業者や需要家が契約条件 に 応じた出力増加又は負荷抑制 を行う サービスであるSTORへ の需要リソース 参加を促進する ため、需要リソースに ついて入 札時に最低容量3MWに達 してい なくても、参加を認めるもの 通常15分 以内(最大 で4時間) 2時間以 上 契約 期間 内に 3MW まで到 達 発電・ 需要 TCR (Tertiary Control Reserve, Minute Reserve) 供給力不足が起こった際にTSOの給 電指令から15分以内に負荷追従を 行い、二次予備力レベルの回復に資 する調整力提供サービス 15分以内 (手動) 15分 ~ 4 時間 5MW /下げ 代 事前事後計測 の 一種 Fast Reserve (Réserves rapides) Primary Control 、 Secondary Controlで対応できない場合に発動。 需給バランスの緩やかな変化に対応。 電話による指示など手動で発動。 13分以内 30分~2 時間 10M W (DR発動指令前 の30分間(1コマ =10分 3コマ分) の平均需要量) Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 61 出所)各種公募資料等を基に三菱総研作 成

63 2. 類型2における評価方法 -STOR(英国) -
英国National Gridの主な下げDRサービスであるSTOR(反応時間:通常20分以内、持続時間:2時間以上)で は、DR 発動指令を発出した時間とその前3分間の4コマ(4分間)の平均需要量をベースラインとして採用。 National Grid STORにおけるSTORのDRベースライン 設定例 STORサービス提供中の需要変動を考慮したベースライン のイメージ 時間 需要 DR指令発出-3分前- 10MW DR指令発出-2分前- 12MW DR指令発出-1分前- 16MW DR指令発出 22MW ベースライン=( )÷4=15(MW) 出 所 )National Grid ”Short Term Operating Reserve (STOR) Participation Within Day Variable Demands” (2012) Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

64 2. 類型2における評価方法 - TCR(ドイツ )-
ドイツ TCR( Tertiary Control Reserve )のサンプ ルログ 指令値 応答値 出所)Regelleistung ” Musterprotokoll zum Nachweis der Erbringung von Minutenreserveleistung” Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

65 2. 類型2における評価方法 - Fast Reserve(フランス )-
フランスにおけるバランシングサービスの一種であるFast Reserve(反応時間:13分、持続時間:30分~2時間 )の上げDR/ 下げDRでは、DR指令前の3コマ(1コマ=10分)の平均値をベースラインとしている。 DR市場におけるベースライン設定(フラ ンス)注1 上げ/下げDRのベースライン(フランス バランシ ング市場) DR市場 バランシング市場 DR方向 上げ/下げ ベースラインの 設定 DR発動指令前の30分間(1コマ=10 分 3コマ分)の平均需要量をベース ラインと する ゲーミ ング と の関係 DR発動のタイミングはRTEが決 定するた め、右記のベースライン でゲーミングを防ぐ ことが可能 注1 アンシラリー市場では、ベースラインの設定は行わない。 RTEからの上げ方向・下げ方向の指令に対する追従性等によるパフォーマンス評価を実施 出所)資源エネルギー庁「平成27年度新エネルギー等導入促進基礎調査 ネガワット取引の経済性等に関する調査 報告書」(2016) Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

66 3. 計量に関する課題整理 -論点整理(総論)-
3. 計量に関する課題整理 -論点整理(総論)- 電源I-bなど、30分未満の早い応答が必要な調整力へのERAB実現に向けた、計量面での論点を以下に整理 No. 項目 論点 1 現在の電源I-b等の運用 方式 現在、電源I-b等の運用実態はどうなっているか(制御時間中の指令値変更の実際、応動 の監視・モ ニタリング方法、精算方法、等) kWh以外(瞬時電力、瞬時電流 等)の評価も必要か 「精算」「監視・モニタリン グ」に必要な技術的正確 性・制度的正確性 30分未満の早い応答が必要な調整力へのERAB実現を目指した場合、「精算」「監視・ モニタリング」 でどの程度の技術的正確性・制度的正確性(計量法への準拠)が必要か 分散型リソースの活用において、常時「監視・モニタリング」は必要なのか 調整力公募から需給調整市場への移行による影響はあるか 制度的正確性を求める 場合のBルート活用方法 「精算」「監視・モニタリング」双方で制度的正確性(計量法への準拠)を求める場合、 Bルートを活用 するということでよいか。 Bルートを活用する場合の諸課題(⇒次ページ) 4 制度面の許容性を認める 場合の計量方法検討 制度面での許容性を認める場合、技術的正確性の程度に応じて様々な計量方法が存在。 その場合の諸課題(⇒次ページ) Echonet コマンドについては、第三者機関による認証の方向性は考えられるか 5 計測装置の所有者/設 置者 上記検討の結果、計量機器の追加設置が必要となった場合、計測装置の所有者/設置者を どうする か。(アグリゲーター変更の可能性を考慮した場合の対応) 6 監視・モニタリング主 体 「監視・モニタリング」を行う場合、個々のリソースの監視主体は誰か(系統運用者、親 アグリゲーター、リ ソースアグリゲーター) データの受け渡しはどういったスキームを想定するか(誰から誰に何の情報を受け渡す) か(リソース →RA→親アグリゲータ→系統運用者か) Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

67 3. 計量に関する課題整理 -論点整理(Bルート活用 )-
No. 論点 状況 1 Bルートデータの取得ス キーム BルートデータはHEMS等のサービス事業者もしくは需要家から送配電事業者/アグリゲ ータに共有する 必要がある。 アグリゲータと小売事業者が同一ではない場合、スマートメーター番号とアグリゲータ契 約を紐付ける仕 組みがないため、別途スキームの確立が必要。 スマートメーターとHEMS等Bルート取得設備(以下HGWと呼ぶ)は1対1の接続が限定 であるため、 既存サービス事業者がBルートを使用している場合はBルートの取得ができ ない Bルートデータの取得タイミ ング・粒度 スマートメーター側の取得情報はある程度定まっているが、HGWがスマートメーターに データ送信を要求 するタイミングや要求するデータの粒度はHGW側の設定であるため、 HGWメーカーによってバラバラであ る。(ECHONET Lite WG等で規定が必要。古 いHGWは置き換えが必要なケースも想定される。) 900MHz帯の場合、ARIB STD-T108の規定を守る必要があり、Bルートデータの標準的 なデータ量 を想定すると、約0.32秒に1回が最短の通信頻度である。 Bルート通信の制限 Bルートで主に使用されるのは900MHz帯の無線通信(Wi-Sun)であるため、有線通信 と比較する とデータ欠損・遅延(再送信)が発生する可能性は高い。遅延発生頻度は各 家庭の通信環境に依 存するため想定は困難。 HGWから先の通信は需要家が契約するインターネット回線であることが多いと想定され 、セキュリティレベ ルの担保や通信料負担についても整理が必要。 4 Bルートデータの精算 への 利用 Bルートデータについては、スマートメータ制度検討会にてBルートから得られる電力等 使用情報を用いた 取引・証明に、計量法の問題はないと整理されている。 5 買電メーターと売電 メー ターの連携 現状、HGW側では合算値を表示する機能がないことが想定されるため、HGW側に機能追 加を規定す るか、送配電事業者・アグリゲーター側でデータ加工の準備が必要である。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

68 3. 計量に関する課題整理 -計量の類型化:「監視・モニタリング」 「精算」-
3. 計量に関する課題整理 -計量の類型化:「監視・モニタリング」 「精算」- 遅い応答の精算は、Aルートデータで十分。kWhに基づく精算のみでよいかを電源Ⅰ-bの実態を ふまえる必要。 Bルートデータの活用は監視。速い応答の監視にも活用できる可能性。 監視・モニタリング 精算 概 要 指令に対して、正しい制御・パフォーマン スを提供 できているかを監視・モニタリン グ 系統運用者がどの粒度のデータを把握する 必要が あるかに依存する 正しい制御ができていない場合、追加の指令 などを 出す等の対応が必要となるためリア ルタイムでの状 況把握が必要 正しい制御が行われていたかを事後的に評価し、 その対価を支払う kWhはスマートメータの未整備のため約1 ヶ月程 度の時間が精算のために必要 計量に基づく精算であることから計量法 に基づい た取引である必要 遅い応答 (反応時間30分以上) Aルート、Cルート (ただしリアルタイムでの把握は困難) Bルート その他(パルス、CT) 原則、Aルートデータにおける30分値を利用 速い応答 (反応時間30分未満) ※電源Ⅰ-bの精算にもAルートデータを利 用 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

69 ≪参考≫ Bルート取得スキームの必要性に ついて
現状Cルートの提供に対しては、小売事業者がスイッチングシステムを介してスマートメーター番号と紐付 けられているため、間 違った事業者にデータ提供してしまうリスクは少ない。 他方、アグリゲータ(必ずしも小売事業者とは限らない)の場合はスマートメーター番号とアグリゲータ契約 が紐付いていないた め、新たに管理方法を検討する必要がある。 スマートメーター番号と紐付け が無いため、間違った事業者に データ提供するリスクあり 送配電 事業者 アグリゲー ター スイッチング情 報 で紐付けが 可能 Bルートデータの 提供 出所)資源エネルギー庁「スマートメーター制度検討会 第14回 資料3」2頁に三菱 総研加筆 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

70 ≪参考≫ BルートとHGW接続に関する規定
スマートメーターとHGW(HEMS)の接続については1対1とすることが規定されている。 出所)経済産業省「HEMS-スマートメーターBルート(低圧電力メーター)運用ガイドライン[第 4.0版]」31頁 69 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

71 ≪参考≫ Bルート取得タイミングに関す る規定
ARIB STD-T108の規定を守るためには、標準的なBルートのデータサイズの場合、約0.32秒に1回が最短の通信 頻度となる。 1回当たりの通信時間=0.032秒 1時間当たりのデータ送信時間の上限が360秒以下であるため、 360÷0.032=11,250回の通信が1時間で可能。 1時間=3,600秒÷11,250回=0.32秒/回(最短の通信頻度) 出所)経済産業省「HEMS-スマートメーターBルート(低圧電力メーター)運用ガイドライン[第 4.0版]」36頁 70 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

72 ≪参考≫スマートメーターからHEMSに提供さ れる情報
出所)経済産業省「HEMS-スマートメーターBルート(低圧電力メーター)運用ガイドライン[ 第4.0版]」3頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

73 4. ネガワット調整金関連の情報整理 -ネガワット調 整金の概念-
4. ネガワット調整金関連の情報整理 -ネガワット調 整金の概念- 類型1②では、需要家がネガワット事業者の要請に基づき節電を行った際に、小売事業者に発生した、ネガ ワット取引により 供給量の転売が行われることを前提に、調達した際の費用と、ネガワット事業者に発生す る、当該ネガワットによる電気を活用 し、ビジネスを行うことによる便益の不一致を調整するべきかを契約 において規定する必要がある。 出所)資源エネルギー庁「ネガワットWG 第3回 資料3-4 」25頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

74 4. ネガワット調整金関連の情報整理 -ネガワット調整金に関す る過去の議論-
4. ネガワット調整金関連の情報整理 -ネガワット調整金に関す る過去の議論- ネガワット調整金の必要性については、小売の売上補填の観点で議論がなさ れてきた。 出所)資源エネルギー庁「制度設計WG 第11回 資料8-4」 32頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

75 4. ネガワット調整金関連の情報 整理 -平成28年度 ネガワットWGにおけるネガワット調整金に関す る論点- ネガワット取引普及促進のためには、ネガワット事業者(アグリゲーターまたは需要家)と小売電気事業者間の 民民の契約に一 定の自由度を持たせながらも、手続きがボトルネックとなってネガワット取引普及が阻害さ れないようにすることが必要。 そこで、ネガワット調整金についても、ベースライン設定方法と同様、ガイドラインで規定する方針として、 平成28年度 ネガワット WGにおいて議論が行われた。 平成28年度 ネガワットWGにおいて示されたネガワット調整金に関する論点と事務局案 出所)資源エネルギー庁「ネガワットWG 第1回 資料3 」30頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

76 4. ネガワット調整金関連の情報整理 -ネガワット取引における類型別のネガワット調 整金の取扱い-
4. ネガワット調整金関連の情報整理 -ネガワット取引における類型別のネガワット調 整金の取扱い- 平成28年度 ネガワットWGにおける議論では、類型1②におけるネガワット調整金のあり方が主要な論点と なった。 類型1①については、ネガワット調整金は規定されるものではないという整理がなされた。 類型2におけるネガワット調整金に関する議論は、現時点では、未着手である。今後、調整力公募やリアルタ イム市場等が具 体化する中で、定められると整理された。 ネガワット 取引 の類 型 「ネガワット取引におけるガイドライン」における記述(抜粋) 類型1① なお、類型1①については、小売電気事業者の意思に基づき、需要削減を行うものであるので 、小売電気 事業者へのネガワット調整金支払いという概念は存在しない。 類型1② 需要削減が実施されると、小売Xの需要家に対する小売供給量が減少することから、小売X は需要削減 分の電気の調達費用を回収できない。 一方、ネガワット事業者は当該需要削減分 の電気を活用してビジ ネスを行うこととなる。そのため、小売Xとネガワット事業者との間 に生じる費用と便益の不一致を調整するべ く、ネガワット事業者が小売Xに対して支払う調 整金(ネガワット調整金)について契約において規定する 必要がある。 類型2 また、類型2については、系統運用者が行う調整力の公募(電力システム改革第2段階)、 及びリアルタ イム市場(電力システム改革第3段階)が具体化される中で、今後定められる こととなる。 出所)資源エネルギー庁「ネガワット取引におけるガイドライン(平成 28 年 9 月 1 日改定)」を基に 三菱総研作成 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

77 ≪参考≫フランスにおける補填 価格 フランスにおいては、四半期ごとに補填価格が算定されている(スマートメーターが導入されている場合)。
さらにフランスでは、補填価格が非ピーク時間・ピーク時間ごとに算定される。ただし、フランスの場合、補 填価格は規制価格であ り、系統運用機関のRTEにより算定されるのに対して、日本では補填価格は民・民の契 約の中で決定される。 出所)資源エネルギー庁「ネガワットWG 第1回 資料3 」34頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

78 ≪参考≫フランスにおける事業者間の 関係 フランスでは、NEBEF※という取り組みを通じて、類型1②に該当するネガワット取引(電力量の取引所取引) を実施している。 ※)Notification d’echange de bloc d’effacement(英名:The Block Exchange Notification of Demand Response Mechanism) :卸電力市場における取引価格低減 等 を目的に、卸電力市場(前日スポット取引)におけるネガワット取引を行う取り組み。 2013年12月より、CRE(フランス電力規制委員会)の承認の下、RTE( 送電事業者)が運営。 NEBEFでは、DRオペレータからの補填価格が、過去の市場価格の平均値に基づいて定められた単価によって行 われている。 出所)資源エネルギー庁「ネガワットWG 第1回 資料3 」35頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

79 Ⅳ.実証結果の分 析 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

80 実証から得られた課題 -指令値との乖離 - 指令値との乖離が大きく、達成率が悪いチームが存在した。
実証から得られた課題 -指令値との乖離 - 指令値との乖離が大きく、達成率が悪いチームが存在した。 指令値との乖離が大きくなる原因とその対応策、次年度実証で検証すべき点については以 下の通り。 指令値との乖離が大きくなる原因 達成率との乖離を小さくするための対応策 来年度実証で検証すべき点 BLとなかりせば需要の差異が 大きくなった。 特に低圧需要家は需要の変動が大きく、BLとの差異が大きくなりやす いため、グ ループ化やPV発電量補正等を考慮したBLの策定が必要 。 BLとなかりせば需要に差異が出ることは必須であるため、リソース の需要削減量 は一定に保つのではなく、受電点の需要変動に応じて 調整する必要がある。 (指令値が10[kW]であった場合、受電点の需要がBLに対して既に 7[kW]下がっ ていれば、リソースの需要削減量は3[kW]にする等の調整 が必要) BLとなかりせば需要の差異をリア ルタイムで把握することができるか。 十分な可容量が確保できなかった。 可容量の精度向上。 可容量回答における回答量の制約を厳しくする。 実需要の変動によるBLとの差異を考慮した可容量の確保を行う。 可容量をD事業者に報告・申請するタイミング(発動〇時間前 等) の検討が 必要。 事前もしくはリアルタイムで適切な 可容量を把握することができるか。 リソースの特性に応じた 制御が できていない。 事前にB事業者毎、リソース毎、需要家毎に、制御の正確性や容量の 確実性な どを精査・分類し、容量を出すもの、最終の微調整をするも の、と役割分担して、 親アグリゲータで最適なポートフォリオを形成 する必要がある。 最適なポートフォリオ形成、 補完 的なフィードバック制御 を行うことに より、リアルタ イムのBLとなかりせば 需要 の差異や可容量に応じたリ ソ ースの制御ができるか。 制御量不足時にB事業者間 で 補完ができていない。 A事業者はB事業者間の補完的なフィードバック制御をすることが必要 。 B事業者はリソース間の補完的なフィードバック制御をすることが必要 。 リソース数・容量が少ない。 (制御量不足時の代替リソースが ない、かつ需要変動の影響を受け やすい) リソース数・容量を増やすことにより、制御量不足時にリソース間で補完を行う。ま た、ポートフォリオ効果による需要の平準化が期待できる。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作 成

81 実証から得られた課題 -制御報告の遅延 - 制御報告時間は+1~+2秒のチームもあったが、多くが+10秒を超過しており+60~+240 秒程度。 制御報告に時間を要する原因とその対策、次年度実証で検討すべき点については以下の通 り。 報告時間の制約(+10秒)の必要性については、コストの観点も考慮しつつ検討を進める 必要がある。 制御報告に時間を要する原因 制御報告時間を短縮するための対応策 来年度実証で検証すべき点 リソースが広範囲に分散しているため、 全てのリソースのデータ収集・集計に時間を要する。 リソースを密集させる。 コスト負担にならない範囲で、システムのスリム 化、効率化を行うことにより、どの程度制御報告 時間を短縮することができるか。 計量システム、通信システム、制御シ ステムに 不具合が生じた。 システムの不具合を低減させる。 不具合が生じたときの代替策を検討する。 A事業者とB事業者間、もしくはB事業者とリソース 間のデータ授受を周期的に行っている場合、その 周期のタイミングでしかデータを授受できない。 (周期が1分の場合、データの授受を行うまで最 大1分間待機する必要がある) OpenADR 2.0b Rev1.1へ対応することに より、 周期に依存ぜずにデータの授受を行 うことができる。 OpenADR 2.0b Rev1.1へ対応することによ り、どの程度制御報告時間を短縮することがで きるか。 事業者毎に計測周期やタイムスタンプに ずれがあった。 測定・収集方法の標準化が必要。 どのような測定・収集方法であれば、制御 報告 時間を短縮することができるか。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作 成

82 H29年度 VPP構築実証事業 -採択事業者一覧-
全6チームが採択。制御対象機器は申請ベースで20MWの 見通し。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)資源エネルギー庁「ERAB検討会 第6回 資料4-1」 10頁

83 H29年度 VPP構築実証事業 -実施概要- -注2 6チームの実証項目ならびに規模、特徴は以下の とおり。 82 実証項目 電源Ⅰ-b
リソース規模注1 特徴 上げDR インバランス アズビル 260kW (1.6MW) ディスパッチ、BL計算を経常的に行い、需要家BEMSに指令・制御 を行う AutoDRTMシステムを構築。 上げDRでは、蓄熱槽、蓄電池、CGS、空調 等といった需要家側 の複数リ ソースを活用。 SBエナジー 1kW (7.8MW) 通信は3Gで自社の基地局経由でクラウドサーバーとやりとり(い わば無線の 専用線) データ蓄積もベースライン算定もエッジ側で実施。親アグリ側で は、モニタリング や修正指令、同時同量確認を自動実施するシス テムを構築 上げDR実証ではスケジュール配信サーバー上の出力制御スケジュ ールを書き 換えて出力抑制回避を行う エナリス -注2 360kW (4.8MW) 市場価格と連動した低圧PV+蓄電池による逆潮流も含む制御量を原 資とし た事業を想定。 小売の既存の需給管理システムと連携。 関西電力 570kW (14MW) 中給からの指令に基づく親アグリの要件定義を行いシステムに落とし 込み済 指令・制御の仕組みは完了で、今後は精度向上・事業性の検討に注力 グローバル エンジニアリング 7,000kW (44MW) 蓄電池・自家発の組合せによりMW級の制御量を供出。制御中の指 令値変 更(7,000kW→2,000kW)も実施 低圧蓄電池のBL・制御量のあり方について分析・検討中 ローソン 7kW (918kW) マルチベンダーでシステムコストの冗長性を持たせることで将来 の電力取引市 場に柔軟に対応可能 小売向けの調達費用削減を収益の軸にし、それ以外の時間帯での 調整力 提供を想定 注1 電源Ⅰ-bの指令値を元に作成。カッコ内は実証を通じて対象としたリソースの規模。 注2 実施予定ではあるが、現時点では実 施できていない。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 82 出所)各社ヒアリング結果等を基に三菱総研 作成

84 ①(受電点)High4of5、②(受電点)事前計測、
電源Ⅰ-b相当実証 -結果概要- 全6チーム(親アグリゲータ23社、リソースアグリゲータ35社)において、電源Ⅰ-b相当の早い応答の VPP実証を実施。 系統運用者からの指令を模擬した発動に対し、最大で9,419kWのリソースを活用し制御を行った。 実証の概 要 達成率が良好だったA事業者の実証 結果 D事業者より以下の2種類のメニューで発動を 行った。 全6チームのうち、最も達成率が100%に近かったA事業 者の結果 は以下のとおり。 Aメニュー Bメニュー 反応時間 15分 5分以内 (できるだけ早く) 実績報告時間 反応時間+10秒 反応時間+α秒 リレー回数 2回以上のリレー (延べ3つ以上のリソースをリレー) ベースライン ①(受電点)High4of5、②(受電点)事前計測、 ③(個別)事前計測、④(個別)運転計画 実証対象地域 東京電力、関西電力、九州電力管内 実施期間 1月8日~2月16日のうちの平日 実施回数 4回 ① Aメニ ュー 制御量実績 平均:2,641 kW 最大注1:9,419 kW 指令値への達成率注2 平均:84 % 最良:102 % 制御報告時間注3 平均:240 秒 最良:180 秒 ② Bメニ ュー 制御量実績 平均:2,332 kW 最大注1:6,061 kW 指令値への達成率注2 平均:93 % 最良:109 % 制御報告時間注3 平均:180 秒 最良:180 秒 注1 最大制御量は制御量を30分単位で平均した値の最大値を表す。 注2 達成率は指令値(kW)に対する制御量の割合のこと。毎分の達成率(4時間で240コマ)を平均した値を 記載。 注3 末端のエネルギーリソースのある時点(12:00:00)における計測値情報について、A事業者がB事業者の情報を集約しD事業者まで報告(12:01:03)するまでにかかる時間(1:03)(次頁参照)。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 83 出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作 成

85 ≪参考≫制御報告時間につい て 制御報告時間は、リソースが対応する時間のある時点において制御した量について、D事業者に報告するま でにかかる時間を 想定。 指令時刻 D事業者 A事業者 B事業 者 リソー ス 持続時間開始時刻 B→Aの 報告所要時間 ③集 約 ①計測 ・ ②通 信 A→Dの 報告所要時間 ④通 信 ⑤集 約 ⑥通信 持続時間終了時刻 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 84

86 電源Ⅰ-b相当実証 -事例紹介- 電源Ⅰ-b相当の実証における実際の実績値、ベースライン、指令値、制御量の例は以 下のとおり。 制御開始
制御終了 15,000 実績値、目標値、ベースライン [kW]注1 10,000 5,000 ベースラインと実績値の差分=制 御量 ベースラ イン 目標値注2 実績値 13:4 5 14:0 0 14:1 5 14:3 0 14:4 5 15:0 0 15:1 5 15:3 0 15:4 5 16:0 0 16:1 5 16:3 0 16:4 5 17:0 0 17:1 5 17:3 0 17:4 5 18:0 0 制御開始 制御終了 2,000 実績値、ベースライン [kW]注1 指令値 制御量 1,500 1,000 500 -500 13:4 5 14:0 0 14:1 5 14:3 0 14:4 5 15:0 0 15:1 5 15:3 0 15:4 5 16:0 0 16:1 5 16:3 0 16:4 5 17:0 0 17:1 5 17:3 0 17:4 5 18:0 0 注1 各データの1分値を示している。 注2 目標値はベースラインから指令値を差し引いた値。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作 成

87 電源Ⅰ-b相当実証 -リソース種別の達成率とその標準偏差の関係( 1/2)-
リソース別の達成率とその標準偏差を分析。 自家発は平均達成率・その標準偏差ともに優良な結果を示している。 蓄電池は複数の事業者が対象としておりプロットが多いが、一定範囲に収まっているものとそうでないも のが混在している。 リソース種別の平均達成率と達成率の標準偏差の関係注1 悪 い 各コマの達成率が100%±50%以内におおよそ 収まっ ている範囲注2。比較的優良な結果と言え る。 良 い 各コマの達成率が100%±100%以内におおよ そ収 まっている範囲注2。 悪 い 良い 悪い 注1 制御しているリソースが1種類のみであるB事業者の値をプロットしているため、2事業者の値のみ記載されている。 注2 標準偏差は全データのうちの2σが入っている割合である点に留意が必要。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作 成

88 電源Ⅰ-b相当実証 -リソース種別の達成率とその標準偏差の関係( 2/2)-
リソース別、かつ事業者の違いによる傾向を分析。 A2事業者は全体的に結果が良好。特に、自家発は優良な結果を示している。蓄電池も一定の範囲に収まっているものが多い。 A1事業者の産業用蓄電池の一部についても優良な結果を示している。 平均達成率と達成率の標準偏差の関係 A1事業者 A2事業者 家庭用蓄電池 産業用蓄電池 空調 自家発 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作 成

89 電源Ⅰ-b相当実証 -課題①:達成率向上 -
今実証において、指令値との乖離が大きい結果となったチームが存在した。 各リソースが提供できる“可容量注1”は時間帯によって変わる。 今実証では朝の時間帯に蓄電池のSoCが十分でなく指令値を満たせなかった、電源Ⅰ’の発動があったため指令値を満たせなか った等があった。 各リソースの可容量に応じて指令値が設定されるため、達成率向上のためには可容量をD事業者に報告・申請するタイミング (発動○時間前 等)を検討する必要がある。 今実証での可容量の報告 将来的な可容量の報告方法(案) 可容量登録(数日前) 指令のタイミ ング 可容量登録 指令のタイミ ング D事業者 (送配電事業者) 指令値の登録 登録値に基づき 指令 指令値の 仮登録 指令の予告 指令値の 再登録 登録値に基づき 指令 A事業者 (親アグリゲーター) 可容量の報告 可容量の報告 可容量の確認 可容量の報告 可容量の集約 可容量の集約 可容量の集約 B事業者 (リソースアグリゲー ター) 可容量の報告 可容量の報告 可容量の確認 可容量の報告 注1 可容量は単体リソースもしくは複数リソースが提供できると見込まれる制御量。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

90 ≪参考≫達成率向上に向けた制御量の誤差に関する 考察
リソース制御の安定性の指標として、制御量の達成率および達成率の標準偏差が挙げられ、この値が小さいほ ど安定している と考えられる。 一方、実証で得られた制御量の達成率とその標準偏差は小さくなく、その要因分析は今後重要となる。 指令値に対する制御量の達成率の差が発生する要因としては以下の3点が考えられる。来年度以降実証で取得 するデータを 整理し、分析していくことが重要と考えられる。 要素 差が発生する要 因 差を最小化するための 対策 BLと実需要の差 BL計算で実需要の完全再現は困難。 BLと実需要の差はリソースを制御しなく ても制御 量として発生する。 High 4 of 5:需要家の日間の需要変動の 最小化 事前:需要家の時間帯別変動の最小化 需要家を束ねることによるならし効果 需要家設備による差 受電点で計測した需要から制御量を計算する 場合、制御リソース以外の需要変動の影響が 差として現れる。 需要家の需要[kW]に対する、リソース制御量 (指令値)[kW]が大きいほど、他設備の影響 は相対的に小さくなる。 リソースの制御差 リソースの使用状況や外部環境により、リソース に対する制御指令に対して安定した制御量が 発揮されない可能性がある。 設備の適切な運用・メンテナンス。 外部環境のコントロール(例:リソース 制御中 は関連ラインを稼働させないなど )。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

91 電源Ⅰ-b相当実証 -課題②:制御報告時間 -
制御報告時間注1は、全チームとも+10秒を超過しており、+60~+240秒程度となった。 A事業者からD事業者への報告には時間がかからないが、A事業者がB事業者の報告を通信・集約するのに時間を要している と推察される。 報告時間短縮に向けてはB事業者からの報告方法の工夫が必要。  +10秒という制約の必要性を確認するとともに、VPPとしてどの程度短縮可能か引き続き精査が必要。 制御量報告までの概念 図 想定されるプロセスにおける時間短縮に向 けた論点 集約 演算にかかる時間を短縮できるか データが受信できない場合(欠損)どのように補完す るか 通信 上位事業者との通信頻度はどう設定するか (データ欠損等で報告時間に間に合わない場合、次の報 告のタイミングにずれ込む可能性) 通信頻度を細かくすると、コスト増等の問題は発生す るか 低コスト・正確に上位の事業者とやり取りする方法が あるか 計測 実制御断面の計測を正確に、かつ即座に測れるか データ欠損の場合の扱いはどうするか D事業者(送配電事業者) 受領 A事業者(親アグリゲーター) 集約 通信 B事業者(リソースアグリゲータ ー) 集約 通信 計測 太陽光発電 (FIT/非FIT) 電力需要 蓄電池 注1 末端のエネルギーリソースのある時点(12:00:00)における計測値情報について、A事業者がB事業者の情報を集約しD事業者まで報告(12:01:03)するまでにかかる時間( 1:03) Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

92 電源Ⅰ-b相当実証 -制御報告時間(例)-
A事業者はB事業者からの実績報告が全て揃い次第、D事業者への実績報告を 行う。 そのため、A事業者の報告時間は最も報告の遅いB事業者に左右される。 8:00 8:01 8:02 8:03 8:0 4 8:0 5 8:04:3 2 D A事業者 8:01:0 1 8:04:2 2 A B1事業 者 8:01:1 0 A B2事業 者 8:00:4 0 B 事 業 者 の 集 約 完 了 A B3事業 者 8:00:0 0 A B4事業 者 指 令 8:02:1 3 A B5事業 者 A B6事業 者 8:00:5 8 A B7事業 者 A報告 :B事業者からA事業者への実績報 告 D報告 :A事業者からD事業者への実績報 告 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 91 出所)各社実証結果報告を基に三菱総研作 成

93 Ⅴ.VPP構築に向けた既存通信規格の整備検 討
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 92

94 VPP構築に向けた既存通信規格整備の方 向性
第2回ERAB検討会で、下図のとおり、VPP構築における通信規格整備の方向性が決定されている。 VPPとして、仕様拡張の是非を検討するのは、ECHONET Lite(需要家~機器領域)とOpenADR(アグリゲータ ー~需要 家領域)である。それぞれ、ERAB 検討会配下のECHONET Lite WG・OpenADR WGにて、VPPのユー スケースから仕様の拡 張案が検討されている。 次ページ以降、それぞれの検討状況・今後の論点について整理する。 通信規格に関する検討の方向性 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 93 出所)資源エネルギー庁「ERAB検討会 第2回 資料3-2 」4頁

95 ECHONET Liteの通信規格整備に関する検討 状況
需要家~機器領域(xEMS以下)の通信規格については、主に家庭向けのリソース制御についてECHONET Liteの仕様拡 張が検討されてきている。(ビルや工場についてはBACnet、FL-net等既存規格からの仕様拡張 は検討しない。) 平成28年度に、蓄電池・業務用エアコン・ヒートポンプ給湯器・業務用ショーケース・EVPS・エネファーム の仕様拡張案を策定、 平成29年度は、照明・HEMSコントローラー*の仕様拡張案の検討を実施した。拡張案 については、準備のできたものから、エ コーネットコンソーシアムから仕様書がリリースされ、AIF認証仕 様書が策定されている。 *HEMSコントローラーの仕様拡張案の確定はH30年度となる見込み。 平成28年度・平成29年度の検討状況 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 94 出所)資源エネルギー庁「ERAB検討会 第6回 資料6」 38頁

96 ECHONET Liteの通信規格整備に関する今後の 論点
ECHONET Liteの仕様拡張に関しては、当初想定していた8機器のうち、HEMSコントローラーの拡張案の確 定を残すのみと なっている。 今後はVPP実証の結果等を踏まえ、仕様拡張案に変更が必要か、他に仕様拡張を検討すべき機器はあるか、議 論する必要 があると考える。 また、リソースの応動・計量について、スマートメーターのBルートデータを活用する場合は、VPPにおける ユースケース(データ取 得タイミング等)を定義した上で、ECHONET 機器オブジェクト詳細規定の低圧ス マート電力量メータクラス規定やコントローラ クラス規定等の見直しが必要となる可能性も考えられる。 ECHONET Liteの仕様拡張に関する今後の 論点 Bルートデータによる応動・計量確認 の課題 論点 概要 仕様拡張案の確認 H28年度、H29年度に策定した拡張 案 について、VPP実証での結果等を 踏まえ、 修正の必要性があるか検討 が必要。 対象機器の追加 アグリゲーター等の意見を踏まえ、 現状の 8機器以外にVPPリソースと すべき機器は あるか検討が必要。 Bルートデータの活 用 リソースの応動・計量の確認にBル ート データを活用する場合は、 スマートメー ターやコントロー ラーのECHONET Lite 機器オブ ジェクト詳細規定の見直しが必 要 となる可能性あり。 リソースの応動・計量の確認方法につい ては制御量評価WGで検討される。 現状、スマートメーターから、HEMSに提供される情報は 規定されて いる(次ページ参照)が、HEMSからスマート メータ-に情報提供 を要請するタイミングは随時とされ ており、HEMSメーカー毎にタイミン グが異なる。 VPPのユースケースとして、例えば5分間隔でのデータ取 得が必要と なれば、ユースケースに対応した規定をコン トローラ(もしくはスマー トメーター)の規定に反映 することが必要と考える。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 95 出所)資源エネルギー庁「スマートメーター制度検討会 第14回 資料 3」19頁

97 OpenADRの通信規格整備に関する検討状 況
アグリゲーター~需要家(GW)領域の通信規格は、競争領域として残しつつも、アグリゲーションサービスの普 及拡大を目指し、 OpenADRをベースとして検討を進めることが、第2回ERAB検討会にて決定されている。 平成29年度は、VPP実証にて電源Ⅰ-b要件相当が実証メニューとされたこと、調整力公募オンライン化への対応 が必要となった ことから、デマンドレスポンス・インターフェース仕様書に記載された評価ユースケースのう ち、特に調整力公募に対応するUC-1:ア グリゲーターDRの該当部分について記載内容を見直した、デマンドレ スポンス・インターフェース仕様書1.2版が策定された。 今後、イベント、リポート要求が増加し、高速配信の必要性が高まることが想定されるため、OpenADR 2.0b Rev1.1への対応が 必要となるが、多くの事業者にとって認証取得が必要となるため、具体的な対応時期は別途検討される。 デマンドレスポンス・インターフェース仕様書の 主な改定内容 UC-1でのシーケンスフロー(仕様書1.2版改 訂案) 改定ポイント 概要 LOAD_DISPATCH/ Delta H29年度VPP実証結果より、必須 化 へと変更(1.1版では非必須) Marketcontext (サービス識別子) の追加 DRリソース利用者(送配電事業 者の エリアや小売事業者名等) やDRメ ニュー(電源Ⅰ’等)を表す識別子を 追加 実用事例の追加 実用事例として、調整力公募にお ける 電源Ⅰ’、電源Ⅱ’のペイロー ド例の記 載を追加 出所)資源エネルギー庁「ディマンドリレスポンスインタフェース仕様書1.2版 (改訂案)」16頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 96

98 OpenADRの通信規格整備に関する今後の 論点
H29年度VPP実証はOpenADR機器別実装ガイドライン1.0版の内容に基づき実施されている。H30年度以降では、 アグリゲー ターやシステム実装者の意見を集約しながら、ガイドラインの改定が必要か、他に追加すべき機器は あるか、検討する必要がある。 デマンドレスポンス・インターフェース仕様書についても、UC-1以外の部分、特に市場取引に関するUC-2、 UC-3について、電力広 域的運用機関で検討されている需給調整力市場のシステム構築状況等を踏まえながら記 載内容を見直す必要があると考える。 また、平成30年に予定されているOpenADRの国際標準化の進捗や、IEC61850、IEEE (SEP 2.0)等、DER を統合制 御する他の通信プロトコルの状況についても、継続して確認することが必要と考える。 OpenADRの通信規格整備に関する今後の 論点 デマンドレスポンス・インターフェース仕様書 の評価用UC 論点 概要 機器別実装ガイ ドラ インの改訂 検討 VPP実証結果を踏まえ、アグリゲー ターや システム実装者から、改訂 案や追加機 器の要望を整理。 他ユースケース への 対応検討 市場取引に関するUC-2、UC-3等 につ いて、OCCTOの検討状況を踏 まえ、DR インターフェース仕様書 の記載を見直す。 標準化・他通信プ ロ トコルの進捗確認 平成30年に想定されている OpenADR のCDV(国際規格原案 の照会)の状 況確認。 IEC61850やSEP2.0を活用したDER 制御の動向についても確認。 平成29年度の仕様書改版(1.2版)は調整力公募への対応 が 必要となったことから主にUC-1に関連するものが中心 。 電力広域的運用機関でも需給調整力市場のシステム構築 検討 が本格的に開始されたことから、市場取引と関連の 深いUC-2、 UC-3についても見直しが必要と考えられる 。 評価用UC ユースケース名 UC-1 アグリゲーターDR UC-2 ネガワット市場取引A UC-3 ネガワット市場取引B UC-4 ネガワット相対取引 UC-5 直接負荷制御 UC-6 ブロードキャスト型 UC-7 管外ネガワット取引 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 97 出所)資源エネルギー庁「ディマンドリレスポンスインタフェース仕様書1.2版 (改訂案)」6頁

99 ≪参考≫OpenADRの国際標準化の状 況
Open ADRの次回CDV(国際規格原案の照会)については、平成30年5月末を予定。 前回までの投票結果のフォローとして、日本のPC118関連メンバーとPC118幹事等との事前打ち合わせは実施済 み。 米国カリフォルニア州では、Energy Commissionが制定するTitle24-Part6(CA Building Energy Efficiency Standards)の 改定作業が進行中。そのドラフト版として、「すべてのDR対応システムはOpenADR2.0aまたは 2.0b認証取得したVENを備える こと」を必須要件にすることと記載されており、OpenADRの積極的な活用に 向けて取り組まれている。(2018年3月時点ではド ラフト版に対し意見募集されている段階。改訂版の発行は 2020年を予定。) 次回CDV投票に向けた対応状 況 CA Building Energy Efficiency Standards ドラフト版の記載 内容 次回PC118WG(2018年5月30-31日@LA)では、 OpenADR2.0b(IEC )のCDV投票が実 施さ れる見込み。 採択に向け下記の対応を実施。 (a) Demand responsive controls. 1. All demand responsive controls shall be an OpenADR 2.0a or OpenADR2.0b Virtual End Node (VEN), as specified under Clause 11, Conformance, in the applicable OpenADR2.0 Specification. OASIS EIのProfileであるという表記を削除 (表題を含む文言) OASIS EI / WS Calendar / EMIXへの参照部分 を記述に修正 セキュリティはTC57WG15の意見を聞く 出 所 )California Energy Commission ”2019 Building Energy Efficiency Standards Rulemaking 45-day Express Terms 2019 Standards Ch 2”44頁を基に三菱総研作成 出所)資源エネルギー庁「ERAB検討会 第7回 資料4 」9頁 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 98

100 ≪参考≫IEC61850によるDERの 制御 IEC61850は、変電所機器の保護監視制御を目的とした情報交換に関する規格であるが、IEC では、 DERとして 太陽光や燃料電池が規定されており、それらの監視・制御や電力系統への接続のための通信規格が 定義されている。 IEC61850で規定されているDERは、燃料電池、レシプロエンジン、太陽光発電、熱併給発電、電力貯蔵設備 の5つである。 ミリ秒単位など、非常に短時間での制御を想定した規格であるが、需要家リソースのような小規模DERを制御 するには仕様が 複雑等、課題が考えられる。 IEC によるDERの接続イメージ Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 99 出所)IEC “IEC ” 10頁を基に三菱総研作 成

101 SEP2.0とOpenADR・ECHONET Liteの比較
≪参考≫SEP2.0によるDERの 制御 SEP2.0(Smart Energy Profile)はIEEEの規格であり、IPベースでマルチベンダーの機器制御を実施することを 想定した通信 プロトコルである。 2016年にthe California Public Utility Commission (PUC) によってDERを系統連系する際のデフォルト通信プロ トコルとして 規定される他、同じくカリフォルニア州のVehicle-Grid Integration (VGI)でも通信プロトコルの 候補の1つとして検討されるなど、 米国を中心として検討されている。 機器側が自立的に電力需要抑制に対応することが想定されており、デマンドレスポンスよりはDLC(Direct Load Control)に 近い制御が想定されている点がOpenADRとの違いである。 SEP2.0とOpenADR・ECHONET Liteの比較 国内では、アグリゲーター~需要家(GW)の通信規格をOpenADR、需要家~機器領域(xEMS以下)をECHONET Liteの活 用を前提としているが、SEP2.0はその双方の領域をカバーすると考えられる。 一方でOpenADRと比較し制御レベルが粗いことや、エネルギーマネジメントに特化したプロトコルであるためECHONET Liteのように ホームオートメーションの通信規格として利用することが難しい等、国内での活用を想定する場合には、SEP2.0の長所/短所を詳細に 見極める必要がある。 ECHONET Lite 家庭内機器 OpenADR xEM S GW OpenADR or 独自仕様 アグリゲー ター ビル設備 分散電源等 SEP2.0のカバー 範囲 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 100

102 Ⅵ.検討会・WGの開 催 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 101

103 エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検 討会
ERAB検討会の概 要 ERAB検討会はERABフォーラムと連携し、主に制度的課題の全体像を整理す る主体。 4つのWGとVPP実証を管轄。ERABにかかる実務的課題は制御量評価WGにて 議論。 エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検 討会 【新エネルギーシステム課】 ERABの発展に向けた、官主体の検討会 制度的課題について省内各検討会等と連携し、全体像を整理 VPP等の予算措置も効果的に活用 DRAS構 築 VPP構築実証事 業 ECHONET Lite WG サイバーセキュリテ ィWG 制御量評価WG Open ADR WG 一般送配電事業者 において、DRAS を試 験的に構築 電源Ⅰ-b相当の 制 御技術等の習得 を 目指す OpenADRの機器 別実装ガイドライ ンの 有効性を検証 する 照明、HEMSコ ント ローラ-等 のVPP対 応仕様 を検討する アグリゲーターが 一般 送配電事業 者と接 続する場 合のサイ バーセ キュリティ対策 の あり方を検討する 電源Ⅰ-b相当の制 御を行う場合の計 量 方法及びベース ライン の設定方法 等を検 討する 機器別実装ガイド ラ インのあり方 を検討 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 102 出所)資源エネルギー庁「ERAB検討会 第6回」資料を基に三菱総 研作成

104 検討会・WGの開催状 況 以下のとおりそれぞれ 開催。 主な議 題 ERAB 検討会 第6回 (2017/9/29) 実証の進捗報告
第7回 (2018/3/23) 2017年度予算事業の報告 電源Ⅰ’の発動状況 制御量評価 WG 第1回 (2017/6/8) ERABに関する用語の定義 上げDRの整理 ネガワット調整金 第2回 (2017/8/8) 同上 第3回 (2017/11/30) 電源Ⅰ-b相当への対応に向けた検討 計量方法を含むその他の論点 第4回 (2018/3/7) ベースラインの設定及び応動確認の方法 VPP実証における検討の紹介 ECHONET Lite WG 照明 各ユースケースにおける状況の紹介 拡張案の提示 HEMSコントロー ラ (2018/1/30) (2018/3/14) 拡張案の提示(後日、書面にて意見交換を実施) Open ADR WG (2017/8/9) デマンドレスポンス・インターフェース仕様書1.1版の改定の方向性 OpenADRアライアンスへの対応・国際標準化に向けた取組 (2018/3/8) OpenADRアライアンスへの対応・国際標準化に向けた取組と今後の検討 ディマンドリスポンス・インターフェース仕様書1.2版の改定案の提示 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 103

105 制御量評価WG -今年度の検討項目 - 前半 後半 1. VPP・DRに関する定義 4. 電源Ⅰ-bへの対応に向けた検討
2018年度調整力公募の時期(秋頃)を境に前・後半を分けてそれぞれ議論を 行った。 ~2017年9月 ~2018年3月 前半 後半 1. VPP・DRに関する定義 4. 電源Ⅰ-bへの対応に向けた検討 VPP・DRといった用語はこれまで色々なところで 使われてい たが、その正確な概念や関係性につい てこれまで十分に整 理されてこなかった。 今回はVPP・DRの関係やその定義について改めて 整理。 現行のネガワットガイドラインでは、反応時間・ 持続時間が ともに比較的長い、もしくは比較的短 いDRに関するベース ライン設定方法が定められ ているところ。 調整力公募における電源Ⅰ-b相当の「反応時間が短 く、 持続時間が長いDR」に関するベースライン設 定方法は定 められていないことから、これらのあ り方について検討を行う。 2. 上げDRについての整理 平成28年9月に策定したネガワットガイドラインで は、下げ DRについて整理を行ったところ。 今後VPP実証等で検討される上げDRについても、 ベースラ イン設定方法について整理が必要。 5. 計量方法に関する論点 上記電源I-b、電源I-aなどへの対応において、こ れまでの 計量方法で適切に計量可能かの検証が必 要である。 各種市場の設計内容等を踏まえつつ、 VPP・DR の制御 実績の計量方法について整理を行う。 3. ネガワット調整金 ネガワット調整金についてはその必要性や額の計 算方法、 支払のタイミングなどを議論しガイドラ インに定めたところ。 調整金契約の実務が開始されたことに伴い、算定 方法の 見直しについて検討。さらに、類型2につ いても位置づけ、 計算方法について整理を行う。 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 104

106 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
105

107 KEMAにおける高速リソース導入による影響分析( 2011年4月11日CPS1のシミュレーション結果)
(様式2) 二次利用未承諾リス ト 平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(分散型エネルギーシステムを活用したリソースアグリゲーションビジネスの実現に向けた取組 に関する調査)報告書 平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(分散型エネルギーシステムを活用したリソースアグリゲーションビジネスの実現に向けた取組に関する調査) 株式会社三菱総合研究所 図表番号 タイトル 19 EFRと従来の周波数応答サービスの関係 25 KEMAにおける高速リソース導入による影響分析( 2011年4月11日CPS1のシミュレーション結果) 50 Demand Turn Up 調達枠イメージ 53 フランスにおける上げDR事例 62 National Grid STORにおけるSTORのDRベースライン設定例 STORサービス提供中の需要変動を考慮したベースラインのイメージ 63 ドイツ TCR( Tertiary Control Reserve )のサンプルログ


Download ppt "分散型エネルギーシステムを活用したリソースアグリゲーションビジネス の 実現に向けた取組に関する調査"

Similar presentations


Ads by Google