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2 第1時限 特許制度概要(1)

3 第1時限 目次 1-0 導入 1-1 特許制度とは 1-2 「発明」ってなんだろう 1-3 「特許」になる発明とは
第1時限 目次 1-0 導入 1-1 特許制度とは 1-2 「発明」ってなんだろう 1-3 「特許」になる発明とは 1-4 特許を受けることができる者、職務発明 1-5 特許の申請(「出願」)をするには 1-6 特許権の効力(存続期間)、利用

4 導入:身近にある知的財産 1-0 企業の発明 アーティストの発明 身近な特許・意匠・商標 (例)パーソナルコンピュータ
受講者の興味や専門性に応じて適切な事例を選んで下さい。 企業の発明 (例)フローリングワイパー(クイックルワイパー) ※製品画像をはり付けて下さい。 アーティストの発明 (例)マイケルジャクソンの「ZERO GRAVITYシューズ」( 米国特許 USP5,255,452 ) ※例えば 「Smooth Criminal」のビデオクリップ画像などをはり付けて下さい。 身近な特許・意匠・商標 (例)パーソナルコンピュータ <ハードディスク、プログラム(特許)> <外観デザイン(意匠)> <ロゴマーク(商標)> 〔狙い〕 身近にみられる知的財産権の具体例を示すことで、知的財産権を身近なものと感じさせる。 〔説明〕 事例は適宜選択して説明する。参考文献にあるような事例からピックアップして紹介する。 ※ほかにどのようなものがみられるか、知っているかを学生に考えさせて事例を挙げさせて、それについて解説する。 参考: 事業戦略と知的財産マネジメント 経済産業省 特許庁監修 独立行政法人 工業所有権情報館 企画発行  がんばろう日本!知的財産権活用企業事例集2011

5 導入:身近にある知的財産 1-0 (例)ルンバ (例)黒烏龍茶 ウーロン茶重合ポリフェノール 機械系 化学系
受講者の興味や専門性に応じて適切な事例を選んで下さい。 (例)ルンバ 【発明の名称】自律的床清掃ロボット 【出願番号】特願2003-403161 【出願日】平成15年12月2日 【公開番号】特開2004-195215 【公開日】平成16年7月15日 【出願人】アイロボット コーポレイション (例)黒烏龍茶 ウーロン茶重合ポリフェノール 【発明の名称】リパーゼ阻害活性を有する新規化合物 【出願番号】特願2004-182471 【出願日】平成16年6月21日 【公開番号】特開2006-1909 【公開日】平成18年1月5日 【出願人】サントリー株式会社 機械系 化学系 ※製品画像や公報図面を はり付けて下さい。 ※製品画像や公報図面を はり付けて下さい。 〔狙い〕 身近にみられる知的財産権の具体例を示すことで、知的財産権を身近なものと感じさせる。 〔説明〕 事例は適宜選択して説明する。参考文献にあるような事例からピックアップして紹介する。 ※ほかにどのようなものがみられるか、知っているかを学生に考えさせて事例を挙げさせて、それについて解説する。 参考: 事業戦略と知的財産マネジメント 経済産業省 特許庁監修 独立行政法人 工業所有権情報館 企画発行  がんばろう日本!知的財産権活用企業事例集2011

6 導入:パテントコンテスト 1-0 知的財産制度の理解を促す!
※特許庁、都道府県、大学は「パテントコンテスト」等と称したイベントを開いている。 一般人・学生等の知的財産マインドの育成 〔狙い〕 特許、発明が身近であって、自分に関係するものであることを実感させる。 〔説明〕 パテントコンテストが毎年行われていること、そこでは、高校生、大学生が自分の発明を応募し、特許取得に至っていることなどを紹介する。 知的財産制度の理解を促す!

7 導入:1年間でこれだけの発明が! 約7,000件 約30万件 1-0 約34万件 大学も出願 企業の出願数 日本の特許出願数
 (学生が発明者に含まれる場合もある) 順位 大学名 件数 東京大学 299 東北大学 276 東京工業大学 243 大阪大学 187 名古屋 大学 147 〔狙い〕 発明、特許が身近なものであること、自分が将来発明者となる立場であることを実感させる。 〔説明〕  1年間に30万件以上の特許出願がされていることを説明し、その全てがノーベル賞級ではないことが当然であることを説明するなどして、特許には画期的なものもあるが、ちょっとした改良、工夫が特許となることもあることを説明する。  特に大学生が特許を取得していることなどを説明したり、企業での出願ノルマの話などをすると、将来自分も特許出願する可能性が高いことが伝わりやすい。 2011年大学別出願件数  ※特許行政年次報告書2012年版を基に作成

8 導入:特許制度と関連する他の制度 発明 日本 1-0 知的財産 実用新案制度 意匠制度 特許制度 商標制度 著作権制度 アメリカ ヨーロッパ
著作物 発明 アメリカ ヨーロッパ 中国 韓国 意匠制度 特許制度 その他対象物によっては、以下の制度とも関わりをもつことになる。 不正競争防止法、種苗法、半導体集積回路配置法、 民法、刑法、独占禁止法、PL法(製造物責任法、外為法など 〔狙い〕 知的財産権法には何があるのか、また、それ以外に技術者・開発者として知っておくべき関連法の存在を知らしめる。また、国際化社会の現在、知的財産制度はグローバルに関連すること、特許出願件数が多い主要な国の存在も知っておくとよい。 〔説明〕 特許制度を中心として、関連する知的財産制度を概観し、技術者として知っておくべき存在として、PL法、独禁法等という法律を例示 ・PL法:製造物責任法 ・独占禁止法:私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 ・外為法:外国為替及び外国貿易法 安全保障貿易 ・半導体集積回路配置法:半導体集積回路の回路配置に関する法律 3極(日欧米)から日米欧中韓の5極へ 日本は、2005年までは世界一の特許出願件数であったが、2006年には米国に抜かれ、2010年からは中国にも抜かれて世界3位に。 中国は、2010年にわが国を抜き、さらに2011年には米国を上回って世界第一位の出願件数となった。 2011年各国の出願件数:中国(52.6万件 前年比34.6%増) 米国(50.4万件) 日本(34.3万件) 韓国(17.7万件) 欧州(14.3万件) ※出願件数は特許庁年報2012より 各国ごとに制度が異なる 著作権制度 商標制度

9 導入:主要五か国の近年の出願件数の推移 1-0 ※特許行政年次報告書<統計・資料編>2010年版、2011年版、2012年版を基に作成
〔狙い〕  出願件数の推移を説明することで、近年の中国の台頭を理解するとともに、我が国の発明件数が相対的に減少しつつある傾向を説明し、この状況がどのような意味を持つかを考察させる。 〔説明〕  数字を指摘しながら、我が国がかつて世界一の出願件数を誇ったこと、及び、近年の状況を比較するとともに、我が国の技術開発力の低下の現実を認識させる。  日本は、2005年までは世界一の特許出願件数であったが、2006年には米国に抜かれ、2010年からは中国にも抜かれて世界3位に。  中国は、2010年にわが国を抜き、さらに2011年には米国を上回って世界第一位の出願件数となった。  2011年各国の出願件数:中国(52.6万件 前年比34.6%増) 米国(50.4万件) 日本(34.3万件) 韓国(17.7万件) 欧州(14.3万件) ※出願件数は特許庁年報2012より ※特許行政年次報告書<統計・資料編>2010年版、2011年版、2012年版を基に作成 9

10 導入:特許制度にかかわる人たち 1-0 産業界 大学 官 〔狙い〕 知的財産に関わる人たちについて、主に特許制度を例にとって図解している。
一般消費者 一般社員 知財翻訳者 知財情報提供業者 弁理士 技術スタッフ 弁護士 企業の知財部員  個人発明家 裁判官 調査官 専門委員 企業研究者・開発者  研究者(大学)       <発明者> 公的研究機関の研究者 学生・生徒    <発明者> 特許法研究者 〔狙い〕  知的財産に関わる人たちについて、主に特許制度を例にとって図解している。 〔説明〕  図には、大学、企業、公的研究機関等で研究に携わるもの、ここでは「発明者としてかかわる人たち」とし、受講する学生の位置づけの確認、また発明が特許となるまでに関わるであろう人たちについて概観する。 特許庁 審査官・審判官 (発明者としてかかわる人たち) 産学連携本部職員 (手続等に直接かかわる人たち) 大学

11 導入:研究者・開発者の使命 科学的に思考し、科学的に行動する 1-0 産業の発達 多様化 人類の共存のための知恵・ツールの創造 現代科学
あるべき姿 目的 理念 産業の発達 技術革新をめざす力 多様化 〔狙い〕 理工系学生に対して、研究者・開発者の使命について、レクチャーする。 〔説明〕  知的財産制度(特許制度)を学ぶ前提として、研究者・開発者は社会的にどのような使命を負っているか、図示した。  研究者・開発者は現代科学を駆使し、科学的に考え・行動することで、人類の共存のための知恵・ツールを創造することが求められる。  その過程においては、人類のあるべき姿を念頭に置き、潮流を理解し、時流を読むことが求められる。 人類の共存のための知恵・ツールの創造 潮流を理解し  時流を読む 目的と理念 (哲学)を持つ

12 導入:知的財産活動の意義 1-0 事業等の安全性の確保 事業等の優位性の確保 知的財産活動 事業等の市場形成 知財リスクの低減 他者特許対策
競争力を高める 知的財産活動 (無形財産の創出) 〔狙い〕 知的財産活動が企業の事業に対してどのような役割を果たすのかを説明することで、企業にとっての知的財産権の重要性を理解させる。 〔説明〕 ○事業等の安全性の確保 世界に知財紛争リスクを知らしめた事例:コダックポラロイドの特許紛争 コダックのインスタントフィルムがポラロイドの特許を侵害するとして1980年代に1000億円規模の賠償金をコダックが支払と製品廃棄を命じられた事例 ⇒これによりコダックはインスタントカメラ事業から撤退 ○事業等の優位性の確保:たとえば、その技術分野の核となる技術を中心に特許網を構築すれば、優位な競争をすることができる。 キヤノンのインクジェットプリンタ技術(バブルジェット方式) ○事業等の市場形成:知的財産権により他社の参入障壁を構築して市場の独占化を図ることができる。 事例:青色LEDは、日亜化学工業と豊田合成が必須特許をそれぞれ保有していたため、ローム等の企業の参入が大幅に遅れた 事例:クローズからオープンへの切り替えにより、市場規模の増大に対応する 事業等の市場形成 市場(マーケット)への影響力 市場参入障壁の構築、対応

13 導入:無形財産の創出 1-0 投資 資金回収・情報取得 無形財産の創出には創出するための環境(構築)力が不可欠である
無形財産の創出のサイクル 研究 人材 製造 製品・サービス 投資 情報 技術 〔狙い〕 無形財産は何のために、どのような形で創出されていくのか概要を理解させる。 〔説明〕  上記、図形の色付き部分(知的財産権の対象)について概説する。  研究・技術開発に基づいて製造という工程を介して具現化された成果物「製品」を市場に供給し、その消費によって得られた資金を次の研究・技術開発にまわしていく。即ち、資金の回収と投資が持続的に行われてこそ企業(事業等)等の存在価値がでてくる。  投資は研究開発・技術開発を行う人材、製造力を強化し保持する人材等々にも、それぞれに投資されていき、その無形財産力を伝承し継続していく。  一方、投資は有形財産にも投資され、開発などに係る環境インフラにも投資されていくことは勿論である。  企業(事業等)は社会に貢献することでその存在価値を認知されることになる。  無形財産を創出することは知的財産活動の源となる。  この知的財産活動によって創出者利益の確保と競争力、持続力などを維持していくことになる。 流通 消費 評価 資金回収・情報取得

14 導入:知的財産創出のサイクル 1-0 創造 (新技術開発等) 保護(権利化等) 活用・利益 (ライセンス契約等) 〔狙い〕
導入:知的財産創出のサイクル  製品の差別化 利益 研究  開発 技術など 知的財産 資本    創造 (新技術開発等) 保護(権利化等) 〔狙い〕 開発技術を権利として保護し、その活用により技術開発投資の回収を可能とすることで、知的財産創造のための投資のインセンティブを確保するという知的財産制度の役割を理解させる。 〔説明〕 製薬企業の新薬開発への多額の投資が必要となる事例などが典型である。 活用・利益 (ライセンス契約等)

15 特許制度とは -イメージをつかむー 1-1 審査 出願公開 思想・アイデア 発明 自由に使える 特許として 保護される 特許庁に出願する
特許制度とは -イメージをつかむー ※目に見えない、 頭の中にあるもの 思想・アイデア 発明 審査 出願公開 自由に使える 特許として 保護される (出願から20年間 〔狙い〕 着想から発明、権利化までの大まかな流れを理解させる。権利化のためには特許出願が必要であり審査を経て特許となることを理解させるとともに、特許出願によりその発明が世の中に公開されることを認識させる。 〔説明〕 着想が具体化されて発明が創生されることなどを説明し、発明が日々の研究活動から生じることについても言及する。 <参考条文> (特許出願)第36条 特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。 (審査官による審査)第47条 特許庁長官は、審査官に特許出願を審査させなければならない。 (出願公開)第64条 特許庁長官は、特許出願の日から1年6月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。次条第1項に規定する出願公開の請求があつたときも、同様とする。 (特許権の設定の登録)第66条 特許権は、設定の登録により発生する。 (存続期間)第67条 特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもつて終了する。 (参考)著作権は著作物の創作とともに自動的に権利が発生する。 20年経過 特許庁に出願する 試作品を 作るなど して具体化

16 特許制度とは 1-1 一定期間独占権の付与 (模倣に対してやめなさい! と言える権利) 特許は発明をオープン にすることが前提 (目的)
第1条 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を  奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。 一定期間独占権の付与 (模倣に対してやめなさい!  と言える権利) 発明の保護 (権利者) 勝手に使ったらダメ! 特許は発明をオープン にすることが前提 〔狙い〕 特許制度の目的を理解する。 〔説明〕  特許制度は、発明を公開することで技術開発の促進を図り、発明の利用の普及による国民生活の利便性の向上を期する。  そのために発明を公開させ、その代わりに、一定期間その発明について独占権を付与するという仕組みをとっていることを説明する。 公開された発明をもとにした改良 技術の開発(改良発明の誘発、 新たな発明の機会)、 発明の利用等の促進 発明の利用 研究開発の無駄 (ロス)をなくす

17 「発明」ってなんだろう 1-2 技術的 思想 発明であること! 〔狙い〕
×自然法則以外の法則 →経済法則等 ×人為的取り決め →商売方法等 ×自然法則自体(「利用」にあたらない        →「エネルギー保存の法則」、「万有引力の法則」自体 技術的 思想 高度性 創作性 自然法則の利用 ×いわゆる技能 →フォークボールの投げ方 ×単なる情報の提示 →デジタルカメラの撮影データ ×美的創作物 →絵画、彫刻 〔狙い〕 特許制度により保護される「発明」となるための4つの要件が、具体的にどのようなものであるかを理解させる。 〔説明〕 特許法における「発明」の定義が「自然法則を利用した」「技術的思想の」「創作のうち」「高度のもの」の4つの要件であることを説明。 各要件の具体的な事例を示して、発明該当性を検討させるのが有効である。 Ex. 有機合成により得られた新しい化学物質→○ Ex. アマゾンの奥地で発見した新しい植物→× Ex. 一定の電流をかけたときの電流の値を用いてr=e/iにより抵抗を測定する方法→○ Ex. 一定の電圧をかけた際に流れる電流の値iと抵抗値rの関係がe=irにより表すことができることを発見した→× Ex. 逆上がりの方法→× ※参考事例 事例:黄桃育種増殖法事件(最判平成12年2月29日民集54巻2号709頁) 事例:原子力エネルギー発生装置事件(最判昭和44年1月28日民集23巻1号54頁) ○天然物から人為的に分離した化学物質      ×天然物の単なる発見など 参考: 実用新案法2条1項    この法律で「考案」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。 特許法 2項1項 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。 特許要件の詳細は、次のスライドへ

18 同一発明につき、先に特許出願がされていないこと39条
1-3 特許を受けることができる発明 産業上利用 できる 29条1項柱書    新しい (新規性) 29条1項各号 該当しないもの: ①人間を手術、治療、診断 する方法 ②現実に実施することが できないことが明らかなもの ③個人的にのみ実施され、  市販などの可能性がないもの 該当しないもの:            ①特許の申請前にテレビなどで放送され、公然と知られたもの、  ②特許の申請前に製品として販売されるなどして、公然と実施されたもの、                 ③特許の申請前に、書籍やインターネットなどで公表されたもの 容易に考え出すことができない(進歩性) 29条2項 同一発明につき、先に特許出願がされていないこと39条 発明の要件 手続的要件 〔狙い〕 前のスライドで説明した要件である発明の成立性を満たす発明であっても、更に特許となるためには幾つかの要件を満たす必要が有ることを理解させる。 〔説明〕  「発明」であっても、ほかに一定の要件を満たさなければ、特許にはならない。  各要件を表す呼称(新しい→新規性、容易に考えだすことができない→進歩性等)についは後の講義でも使う用語であるので説明が必要である。  新規性、進歩性については、後のスライドで詳しく説明する。  その他の要件についても新規性、進歩性を説明した後に簡単にスライドを用いて説明する。 <参考条文> 第29条  出願書類が一定の要件を満たしている  36条 公序良俗に反しない  32条 紙幣の偽造機械など、犯罪につかわれるもの等でないこと ★前提: 「発明」であること(1-2.参照)

19 特許要件:産業上の利用可能性 1-3 産業上の利用可能性
産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。(29条柱書) ×産業として利用できるものに該当しないもの  ①人間を手術、治療又は診断する方法の発明   (→○医療機器、医薬自体は物に該当)  ②業として利用できない発明    ・個人的にのみ利用される発明(喫煙方法等)  ③理論的には発明の実施が可能であっても、その実施が実際上考えられない発明 〔狙い〕 特許要件の一つである、「産業上の利用可能性」(産業上利用することができる発明)という要件により、どのようなものが排除されるのかを概説する。 〔説明〕  産業上の利用可能性により排除される代表的なものとして、人間を手術、治療、診断する方法の発明について説明し、このような発明は特許の保護対象外であることを説明する。(その理由として、医師が治療を行う際に、特許を意識して萎縮することなどが起こらないようにすることなども必要に応じて言及する。)  その他の要件については、概略を説明する。 産業上の利用可能性

20 新規性・進歩性について 新規性 1-3 新規性が喪失 しているもの 公然と知られた発明 公然と実施された発明 刊行物等に記載された発明
詳細は、第2回で説明 新規性・進歩性について   1.特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明   2.特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明   3.特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明     又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明 (29条1項) 新規性 新規性が喪失 しているもの 公然と知られた発明 公然と実施された発明 〔狙い〕 特許要件のうち、最も重要である新規性の要件について概説するとともに、その例外規定である新規性喪失の例外について概説する。 〔説明〕 特許法29条1項において規定されている、公然と知られた発明、公然と実施された発明、刊行物やインターネットにより開示された発明に該当するものが新規性がないものとして特許を受けることができないことを確認し、それぞれの具体例を示す。特に、発明者自身が出願前に発表した場合であっても原則新規性を喪失することを強調し、研究発表などにおいて出願前に発表してしまうと、特許をとることができなくなることについて理解させる。また、ある特定の場合には、出願前に公知となっても特許が取得できる場合があることに触れ、後のスライドで詳しく解説することにつなげる。 新規性喪失の例外(第30条) ・自らが研究会発表 ・自らが博覧会へ出品 ・自らがTVに発表   等 刊行物等に記載された発明 ×発表、テレビ放映 ×販売、製造状況の不特定者見学 ×特許公報、論文、CD-ROM、書籍、インターネット 例外的措置!!

21 新規性・進歩性について 1-3 進歩性 新規性・進歩性の判断
詳細は、第2回で説明 特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない (29条2項) 当業者からみて、その発明に至る考え方の道筋が容易かを判断  ①公然と知られた発明や実施された発明を単に寄せ集めただけにすぎない発明  ②発明の構成要素の一部を置き換えたにすぎない発明 進歩性 新規性・進歩性の判断 〔狙い〕 特許要件のうち、拒絶理由として最も良く用いられる要件である進歩性についてその概略を理解させる。 〔解説〕  特許法29条2項に規定する進歩性の要件は、29条1項に規定する発明、すなわち出願時既に公知になっている発明に基づいて、当業者と呼ばれる発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたことである点を確認する。  そして、具体的な事例であるペンの事例を用いて、新規性がないということは、出願に係る発明と先行技術に差異がないと判断された場合であり、新規性があるとは、出願に係る発明と先行技術の間に何らかの差異があること(細線と太線用のペンが一体とされている点や、差し替え可能とされている点)、そして、進歩性があるとは、先行技術を組み合わせても、本願発明に到達しない場合であることを説明する。真ん中の例については、差異はあるが、この時点で例えば、赤鉛筆と青鉛筆とが一本になった鉛筆などが知られていたことを説明して、そのような技術を勘案すると容易に発明できたというような説明をする。

22 新規性喪失の例外 1-3 本人 他人 発表と出願のタイミング 対 象 期間 6月 必要 1年 不要 詳細は、第2回で説明 日本
新規性喪失の例外の適用 が受けられる場合 (特許法第30条) 発表と出願のタイミング 新規性喪失の例外規定 国際比較 本人 他人 期間 出願時手続 日本 すべての公知行為 (特許公報等による公開を除く) 6月 必要 米国 1年 不要 欧州 限定された国際博覧会 中国 所定の学術会議または技術会議 韓国 特許を受ける権利を持っている人 (発明者や発明者から権利を譲渡された者) の行為による ○刊行物やインターネットを通じた発表 ○研究集会(学会)での発表  や博覧会への出品 ○TV・ラジオでの公表 ○製品の販売    など 論文等で発表 6月以内 他人の出願 30条適用出願 30日以内 〔狙い〕 新規性喪失の例外規定がどのようなものか、また例外規定により出願することの危険性や限界について理解させる。 〔解説〕  新規性喪失の例外規定について、出願前に、自分で論文発表などにより公表してしまった場合でも、発表から6月以内であれば、出願と同時に申請を行うことで、その発表によって新規性が否定されないという取り扱いがされる制度であることを解説する。  そして、この新規性喪失の例外は、あくまでも例外的救済であって、危険性があることを強調して説明する。  すなわち、発表から出願の間に、第三者が同内容の発明を出願した場合には、特許を取ることができない場合があることや、この制度が各国により異なるものであり、特にヨーロッパには、このような例外がないため、特許を取得できない可能性が高いことを強調して説明をする。 証明書類の提出 その結果 発明が初めて 公知となる ○本人の出願→他人の先出願と同一であれば拒絶される。 ○他人の出願→論文が公知技術となり拒絶されるが、   本人も特許が取れない場合がある。

23 特許要件:その他 1-3 ○公序良俗に反する発明(32条) ○明細書等の記載(36条) ×紙幣の偽造機械 ×金塊密輸用ベスト ×麻薬
○当業者が実施できる程度に記載されているかどうか ○権利を求める技術的な範囲が明確か ○先行技術文献が開示されているか 〔狙い〕 その他の特許要件について概略を説明する。 〔説明〕  公序良俗に反する発明とは、「公の秩序又は善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明」が特許を取ることができないことを確認し、具体的には、紙幣の偽造機械や金塊密輸用ベストなどは犯罪を目的とするものであるから、この規定により拒絶されること、麻薬などは犯罪を誘発することのみならず、公衆の衛生を害するおそれがある発明であるとして特許を取ることができないことを説明する。  明細書の記載要件については、特許制度の目的の一つである発明を公開して利用を促進することを再度確認し、そのためには、発明の属する技術分野において通常の知識を有する者である「当業者」が実施できる程度に記載されていなければならないこと、また、特許権の範囲が明確でないと、特許権者以外の第三者は、どこまでその権利が及ぶのかの判断が困難となることから、権利を求める範囲(特許請求の範囲)の記載が明確でなければならないという要件が課せられていることなどを説明する。

24 手続的要件:先願主義 1-3 ○先願主義(39条) ○拡大先願(29条の2) 先願の特許請求の範囲と明細書、図面に基づいて判断する。
先に発明を完成した者でなく、先に特許庁に出願した者に特許  【ダブルパテント排除(同一出願人も適用) 39条】   ○特許請求の範囲が同一の場合は後願を排除 【拡大された先願の地位(同一出願人は除く) 29条の2】 ○出願公開等された先願の出願当初の明細書、図面、特許請求の範囲に記載 された発明と同一の発明は後願を排除 ○拡大先願(29条の2) 先願の特許請求の範囲と明細書、図面に基づいて判断する。 〔狙い〕 特許要件のうち先願および拡大された先願の地位について簡単に説明する。 〔説明〕  先願主義について説明する際に、必要に応じて、同日同一発明については、協議により定めたどちらか一方の出願にのみ特許が与えられること、協議が成立しないときは、どちらも特許を受けることができないことを説明する。  拡大先願については、詳しく説明すると初心者は混乱するので、先に出願した人が特許をとれるということのみを説明することも考えられる。

25 特許を受けることができる者(発明は誰のものか)
1-4 特許を受けることができる者(発明は誰のものか) 発明の完成 =「特許を受ける権利」の発生 「特許を受ける権利」は発明者が持つ 発明者が出願し、 権利者となる :単独で発明した場合 発明者 :2人以上で発明した場合 共同発明 →特許を受ける権利は 共有となる 〔狙い〕 特許制度においては、発明をした人が特許を取得する権利を有することが原則であること、企業等の研究者・開発者が職務により発明を創生した場合には、企業などの使用者の利益を確保するための調整規定である職務発明規定が存在することを理解させる。 〔説明〕  ここでは、職務発明の要件等(特許法35条)については企業の従業員がなした発明を念頭に置きつつ説明し、詳細な説明はしない。  その効果(通常実施権の発生、承継規定がある場合の取扱い)について講師の側で簡単に説明する。 :発明者が企業の研究者・技術者だった場合 職務発明 第6回で説明

26 インターネット経由の出願が可能 (専用ソフトを使用する) (現在では大半が電子出願である)
1-5 特許の申請(「出願」)をするには 【書類名】特許願  発明者や出願人等 を記載  【書類名】明細書   発明の内容等  (課題、産業上の  利用分野、従来技術、 実施の形態等) を記載 【書類名】特許請求  の範囲      権利を求める 発明の範囲の内容 を特定して記載 【書類名】図面    発明の内容理解に役 立つ図面を記載 (必要な場合)  【書類名】要約書   発明全体のポイント を簡素に記載 (公開特許公報への 掲載のみを目的) (審査対象としてではなく インデックスとしての 役割) 特許 印紙 〔狙い〕 特許出願の際、願書とそれに添付した明細書、特許請求の範囲などの書類を提出する必要があることを、イメージとして理解させる。 〔説明〕 特許の出願には、願書等の書類が必要であるが、現在は、パソコンにインストールした専用ソフトを使用して、インターネットを経由して出願する電子出願によるものが大半であることを説明する。詳細には立ち入らず、出願には、願書、明細書、特許請求の範囲、図面、要約書の提出が必要であるというイメージをつかんでもらう。 ※簡単な内容の発明についての特許公報と比較的高度な内容の発明についての特許公報を示して、各自読ませることで、特許の具体的な内容についてイメージを伝えることができる。話題になっている製品についての特許や紛争事例として話題となっている特許について示すことで学生に興味を持たせることができる。 書面による出願 電子出願 特許庁 インターネット経由の出願が可能 (専用ソフトを使用する) (現在では大半が電子出願である) 電子化手数料が必要 (1,200円+1枚700円)

27 特許の申請(「出願」)をするには 1-5 ※出願から特許取得までの流れ 20年 出願 方式審査 実体審査 特許権発生 特許査定 特許料納付
 特許の申請(「出願」)をするには ※出願から特許取得までの流れ 出願 1年6月 3年以内 出願公開 (公開特許公報) 方式審査 補正命令 補正書提出 出願審査請求 実体審査 拒絶査定 拒絶査定不服審判 意見書・補正書提出 拒絶理由通知 特許公報 特許査定 特許料納付 登録 無効審判(請求) 審決 (特許維持) (特許無効) 特許権発生 〔狙い〕 特許を取得するためには、出願することが必要であるが、特許出願後に、どのような過程を経て、特許が成立するのかについての流れを理解させる。 〔説明〕 特許を出願しただけでは、特許権は発生しない。出願後3年以内に審査請求をしなければならないこと、審査請求をすると、審査官が実体審査を行なうが、この際、審査官が先行技術を調査を行ない、出願にかかる発明と先行技術とを比較して、新規性・進歩性についての判断を行うことをはじめとする特許要件の審査が行われること、特許要件を満たすことが認められてはじめて特許が取得できるということを再度確認する。 20年 特許権消滅

28 補論:出願に当たり考慮すべき事項 1-5 より強い権利を取得するため 発明のポイントの掘り下げ、より広い概念で発明を把握する
 補論:出願に当たり考慮すべき事項 より強い権利を取得するため 発明のポイントの掘り下げ、より広い概念で発明を把握する 例:素材pを用いて、携帯電話の雑音を少なくする →素材pと同じ性状を持つその他の素材はないか (→ない →他のアンテナ素材と使用できるか) ⇒素材p´も使用できる                  ⇒素材P(素材pと素材p´をまとめた)をアンテナ素材として用いた携帯電話機を出願   ・・・仮に素材pのみをアンテナ素材として用いた携帯電話機を出願しているとすると、ライバル社等が素材p´をアンテナ素材として用いた携帯電話を製造販売していたとしても、権利主張ができない。 発明の表現形式に注意する 特許法では、発明を「物の発明」「方法の発明」「物を生産する方法の発明」の3つのカテゴリに分類している。発明は、どのカテゴリに定義されるのかによって権利がどのような範囲に及ぶのか違ってくる。 〔狙い〕 研究成果としての発明を出願するにあたって、出願人(研究者)がどのようなことを考えなければならないかを理解させる。 〔説明〕 創作した発明について権利化する場合に、自分のなした発明の概念や本質部分をしっかりと認識し、自分のなした発明がどの範囲までの概念を包含できる可能性があるのか、特許請求の範囲に記載する表現形式をどのようにすればよいのかを検討し、権利範囲を検討することが重要であることを確認する。 発明の本質部分を把握する 発明の本質とは、発明の機能・原理を指す。以下の点が本質の把握に重要である。 ①この発明による技術の進歩は何か ②発明の中心的機能もしくは解決しようとする中心的課題は何か ③機能を発揮する最低限の要素は何か ④どの範囲まで適用できるか

29 補論:出願に当たり考慮すべき事項 1-5 出願断念 NO NO YES ①発明の創作 先行技術の確定 YES ②発明の構成 が全く同一か
 補論:出願に当たり考慮すべき事項 ①発明の創作 先行技術の確定 出願断念 狭くする YES ②発明の構成 が全く同一か YES NO NO ⑤発明を狭くできるか       NO ③解決課題や作用・効果が 新しいか YES YES ④それは予測可能か 〔狙い〕 研究成果としての発明を出願するにあたって、出願人(研究者)がどのようなことを考えなければならないかを理解させる。 〔説明〕 創作した発明を特許出願するにあたって、先行技術との関係でどのような点を具体的に検討しなければならないかを、スライドのフローに従って説明する。 NO 把握完了・出願準備 大きい発明に変更 YES ⑥さらに大きな発明に広げられるか NO

30 第三者が無断で実施すると、特許権侵害となる
1-6  特許権の効力(存続期間)、利用 特許発明 発明を実施することはできない 第三者が無断で実施すると、特許権侵害となる 第三者 発明を実施する ことが可能 権利者 権利の存続期間は出願から 20年 ※特許権の存続期間の延長制度を利用した場合最大25年まで可能 〔狙い〕 特許権の基本的な効力(排他権)、存続期間について知る。 〔説明〕 特許を付与された発明は原則として権利者(特許権者)しか使用できないこと、 その権利の存続期間が20年という有限の期間であるということを説明する(20年間が過ぎたらパブリックドメインに帰することも説明する)。 <参考条文> (存続期間)第67条 特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもつて終了する。 (特許権の効力)第68条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。・・・ (定義)第2条 3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。 1.物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為 2.方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為 3.物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

31 特許権の利用の形態 1-6 自分が使う :特許を利用した製品を開発、商品化し、独占的に 市場に供給することによって、利益を得る。
 特許権の利用の形態 自分が使う :特許を利用した製品を開発、商品化し、独占的に   市場に供給することによって、利益を得る。 他人に使わせる :第三者による特許の利用を認める(契約など)   代わりに、ライセンス料を得る。 譲渡する :特許権自体を第三者に譲り渡す(売買など)。 〔狙い〕 特許権の利用の形態について、代表的な三形態を理解させる。 〔説明〕 ここでは概略なので深くは立ち入らず、特許権の活用についての簡単な認識を与える。詳細は後日検討する。

32 例外:権利者以外(第三者)が実施できる場合
1-6 例外:権利者以外(第三者)が実施できる場合 事業としてではない(個人的、家庭内での)実施 試験、研究としての実施 許諾(ライセンス契約)に従った実施 ※「実施」とは 発明を使うこと。物の発明であれば、その物を生産したり、その物を譲り渡したりすること。 〔狙い〕 原則特許権者がその発明を実施できるとの説明を前提に、例外的な場合を理解させる。 〔説明〕 原則に対する例外として、 ・事業としてではない実施については、「業としての実施」(特許法68条)でないことにあたる。家庭内での実施等を例として説明する。 ・試験、研究については、その文言にかかわらず、あらゆる試験、研究が含まれるわけではないことを説明する。 ・ライセンス契約に従った実施については、特許権者のライセンス契約という方法があることを説明する。 詳細については後日触れるので、ここでは簡単に触れるに留める。 <参考条文>第68条、第69条 ※参考事例 事例:ガン転移モデルマウス事件(東京地判平成13年12月20日判時1787号145頁) 参考: 「特許発明の円滑な使用に係る諸問題について」    「大学等の研究成果を特許出願するために」

33 1-6  権利が侵害された場合 差止請求(特許法100条) 侵害行為をやめるよう要求すること、侵害品を破棄するよう求め ること、侵害品の製造設備を破棄するよう求めることができる。 損害賠償請求(民法709条) 財産的損害(権利者が実施していれば得られたはずの利益等) の賠償(金銭の支払い)を求めることができる。 信用回復措置命令(特許法106条) 権利者の業務上の信頼を回復するのに必要な措置(謝罪広告 等)を求めることができる。 〔狙い〕 権利を侵害した場合にどのようなペナルティがあり、どういった不利益を被るのかを理解させる。 〔説明〕  権利侵害時に生じるペナルティについて、細かい内容、請求の具体的な方法等については立ち入らないものの、権利侵害の危険性については十分理解させる必要がある。  刑事罰(10年以下の懲役、1000万円以下の罰金。法人の場合  は3億円以下)


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