火星の気象と気候 2004 年 11 月 10 日 小高 正嗣北海道大学 地球惑星科学専攻. 講義の概要 太陽系の惑星概観 太陽系の惑星概観 地球型惑星と木星型惑星 地球型惑星と木星型惑星 地球と火星の比較 地球と火星の比較 火星の気象と気候 火星の気象と気候 探査衛星による最新の気象画像 探査衛星による最新の気象画像.

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火星の気象と気候 2004 年 11 月 10 日 小高 正嗣北海道大学 地球惑星科学専攻

講義の概要 太陽系の惑星概観 太陽系の惑星概観 地球型惑星と木星型惑星 地球型惑星と木星型惑星 地球と火星の比較 地球と火星の比較 火星の気象と気候 火星の気象と気候 探査衛星による最新の気象画像 探査衛星による最新の気象画像 昔の火星の気候:かつて海があった? 昔の火星の気候:かつて海があった?

太陽系の惑星 水星 水星 金星 金星 地球 地球 火星 火星 木星 木星 土星 土星 天王星 天王星 海王星 海王星 冥王星 冥王星

惑星の内部構造と分類 岩石惑星(地球型惑星) 岩石惑星(地球型惑星) 金属鉄のコア+岩石質のマントル(+大気) 金属鉄のコア+岩石質のマントル(+大気) ガス惑星(木星型、天王星型惑星) ガス惑星(木星型、天王星型惑星) 岩石と氷のコア+ガス(大気) 岩石と氷のコア+ガス(大気)

地球型惑星 地面がある 地面がある 固体表面を持つ 「薄い」大気 「薄い」大気 大気の厚さ << 惑星半径 pvo_uv_ jpg formats/web.jpg

地球 太陽系の第3惑星 半径 6378 km 半径 6378 km 自転周期 1 日 自転周期 1 日 地表気圧 1 気圧 地表気圧 1 気圧 平均気温 15 ℃ 平均気温 15 ℃ 大気の組成 大気の組成 窒素 (78%) 窒素 (78%) 酸素 (21%) 酸素 (21%) アルゴン (0.9%) アルゴン (0.9%) 水蒸気 (0~0.2%) 水蒸気 (0~0.2%)

地球の特徴: 海の存在 表面の 7 割を占める 表面の 7 割を占める 地球は「水惑星」 地球は「水惑星」 生命誕生の舞台 生命誕生の舞台 冬の寒さ, 夏の暑 さを緩和 冬の寒さ, 夏の暑 さを緩和

火星 太陽系の第4惑星 半径 3397 km 半径 3397 km 自転周期 1 日 自転周期 1 日 地表気圧 気圧 地表気圧 気圧 平均気温 – 53 ℃ 平均気温 – 53 ℃ 大気組成 大気組成 二酸化炭素 (95%) 二酸化炭素 (95%) 窒素 (2.7%) 窒素 (2.7%) アルゴン (1.6%) アルゴン (1.6%)

火星の特徴: 寒冷乾燥した地表 「砂の惑星」 「砂の惑星」 地表は砂とれきに覆われている 地表は砂とれきに覆われている 寒冷、乾燥な気候 寒冷、乾燥な気候 地表に液体の水は存在しない 地表に液体の水は存在しない

火星の気象観測 人工衛星を火星へ 人工衛星を火星へ Viking 1 Mars Global Surveyor

火星の気象の特徴 大気の渦 大気の渦 地球の台風のような渦が存在 地球の台風のような渦が存在 大気が「凍る」 大気が「凍る」 大気主成分の二酸化炭素が冬極で凝結 大気主成分の二酸化炭素が冬極で凝結 ダストストーム ダストストーム 惑星全体を覆う砂嵐の発生 惑星全体を覆う砂嵐の発生

大気の渦

火星大気の渦

火星の気象の特徴 大気の渦 大気の渦 地球の台風, 低気圧のような渦が存在 地球の台風, 低気圧のような渦が存在 大気が「凍る」 大気が「凍る」 大気主成分の二酸化炭素が冬極で凝結 大気主成分の二酸化炭素が冬極で凝結 ダストストーム ダストストーム 惑星全体を覆う砂嵐の発生 惑星全体を覆う砂嵐の発生

極冠の形成 北極冠 南極冠

火星の気象の特徴 大気の渦 大気の渦 地球の台風, 低気圧のような渦が存在 地球の台風, 低気圧のような渦が存在 大気が「凍る」 大気が「凍る」 大気主成分の二酸化炭素が冬極で凝結 大気主成分の二酸化炭素が冬極で凝結 ダストストーム ダストストーム 惑星全体を覆う砂嵐の発生 惑星全体を覆う砂嵐の発生

ダストストーム /10/22

火星のダストストーム (1) /05

火星のダストストーム (2)

火星の気象の特徴 大気の渦 大気の渦 地球の台風, 低気圧のような渦が存在 地球の台風, 低気圧のような渦が存在 大気が「凍る」 大気が「凍る」 大気主成分の二酸化炭素が冬極で凝結 大気主成分の二酸化炭素が冬極で凝結 ダストストーム ダストストーム 惑星全体を覆う砂嵐の発生 惑星全体を覆う砂嵐の発生

ダストストームの謎 起こる年と起こらない年がある 起こる年と起こらない年がある 南半球が夏のときによくみられる 南半球が夏のときによくみられる 原因はまだよくわかっていない 原因はまだよくわかっていない いろいろな説がある いろいろな説がある 大気全体の循環が強まる 大気全体の循環が強まる ダスト台風モデル ダスト台風モデル 大気中の波動の重ね合わせ 大気中の波動の重ね合わせ

昔の火星は温暖だった? 水が流れてでき たような地形が 多数存在 水が流れてでき たような地形が 多数存在

火星の海の想像図

マーズローバー 水の証拠を探しに

マーズローバーの降りた場所 ビーグル 2 スピリット オポチュニティ

スピリットの降りた場所

水の存在を示す鉱物 鉄みょうばん石と赤鉄鉱 K 2 Fe 6 3+ (SO 4 ) 4 (OH) 12 Fe 2 3+ O 3

水が存在できるほど 温暖だったか? 昔の太陽は今よりも暗かった 昔の太陽は今よりも暗かった 昔の火星は今よりもっと寒いはず 昔の火星は今よりもっと寒いはず 本当に温暖だったのか? 本当に温暖だったのか? Yes: 厚い二酸化炭素大気による温室効 果Yes: 厚い二酸化炭素大気による温室効 果 No: 大気量が増えた分だけ凝結No: 大気量が増えた分だけ凝結 現在も活発な研究, 議論の的 現在も活発な研究, 議論の的

冷えてしまった理由 大気の散逸 大気の散逸 温室効果の減少 温室効果の減少 火成活動の衰退 火成活動の衰退 約 10 億年前に停止 約 10 億年前に停止 温室効果ガスの供 給が止まる 温室効果ガスの供 給が止まる 小さな惑星ほど内 部が早く冷える 小さな惑星ほど内 部が早く冷える

まとめ : 火星の気象と気候 火星の気象 火星の気象 台風のような大気の渦 台風のような大気の渦 大気の凝結と極冠の形成 大気の凝結と極冠の形成 惑星全体を覆うダストストーム 惑星全体を覆うダストストーム 火星の気候 火星の気候 現在は寒冷, 乾燥な気候 現在は寒冷, 乾燥な気候 昔は海が存在できるほど温暖だったか も 昔は海が存在できるほど温暖だったか も 現在も研究, 議論の的 現在も研究, 議論の的

なぜ火星を調べるのか 地球のことをもっとよく知りたい 地球のことをもっとよく知りたい 地球はなぜ地球なのか? 地球はなぜ地球なのか? 地球だけを調べてもわからない 地球だけを調べてもわからない 他の惑星と比べることで地球の個性が わかる 他の惑星と比べることで地球の個性が わかる