厚生年金保険法 労組リーダーの知っておきたい法令 * 法の詳細部分は専門家にお聞きください 。
日本国憲法 25条 生存権の保障 28条 労働基本権 健康保険法 厚生年金保険法 国民年金法 生活保護法 雇用保険法 労働組合法 27条 労働の権利と義務 労働基準法 労働安全衛生法 最低賃金法 すべて国民は健康で 文化的な最低限度の 生活を営む権利を有 する すべて国民は勤労の 権利を有し、義務を 負う。勤労条件に関 する基準は法律でこ れを定める 勤労者の団結権、団 体交渉権その他の団 体行動をする権利は これを保障する
厚生年金保険法 第四章 厚生年金保険事業の円滑な 実施を図るための措置 第一章 総則 第二章 被保険者 第三章 保険給付 第五章 費用の負担 第六章 不服申立て 第七章 雑則 第八章 罰則 第一章 総則 (目的) この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡につ いて保険給付を行い、労働者及びその遺族の生 活の安定と福祉の向上に寄与することを目的と する。
加入と保険料納付 第1号被保険者 日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に加入し、将来、基礎年金を受 けます。 国民年金では加入者を3種類に分けています。 20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人等、第2号被保険者、第 3号被保険者でない者が第1号被保険者です。 国民年金の保険料は本人または保険料連帯納付義務者である世帯主・配偶者のいずれかが納めま す。 国民年金第1号被保険者及び任意加入被保険者の1ヶ月当たりの保険料は 15,250円です(平成26年度)
第2号被保険者 国民年金の加入者のうち、民間会社員や公務員など厚生年金、共済の加入者を第2号被保険者とい います。 この人たちは、厚生年金や共済の加入者であると同時に、国民年金の加入者にもなります。 加入する制度からまとめて国民年金に拠出金が支払われますので、厚生年金や共済の保険料以外 に保険料を負担する必要はありません。 なお、65歳以上で、老齢基礎・厚生年金、退職共済年金などの受給権がある人は第2号被保険 者とはなりません。 第3号被保険者 国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている 20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)を第3号被保険者といいます。 保険料は、第2号被保険者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担しますので、個別 に納める必要はありません。 第3号被保険者に該当する場合は、事業主に届け出る必要があります。
厚生年金保険料 AさんとBさんの保険料 は、毎月の給与と賞与に 共通の保険料率をかけて 計算されます。また保険 料は、事業主と被保険者 とが半分ずつ負担します。 A さん B さん ( 配偶者 ) 在職中(60歳前)の夫婦の ケース (共稼ぎのケース) 基礎年金部分 第2号被保険者
厚生年金保険料 Aさんの保険料は、毎月 の給与と賞与に共通の保 険料率をかけて計算され ます。また保険料は、事 業主と被保険者とが半分 ずつ負担します。 A さん B さん ( 配偶者 ) 在職中(60歳前)のケース (専業主婦のケース) 保険料には「報酬比例年金原資」と 「基礎年金原資」が含まれており、 専業主婦など第3号被保険者の基礎 年金分も第2号被保険者全体で負担 しています。 基礎年金部分 専業主婦or年収130万円未満 第3号被保険者 Bさんは保険料を 支払う必要なし 第2号被保険者
保険給付 ① 老齢年金 原則として 65 歳を越えてから受け取るリタイア後の年金です 。 ② 障害年金 年金加入中に病気やケガをし、障害が残り、日常生活や労働に支障が出 たときに受給される年金です。 ③ 遺族年金 年金に加入している人が死亡したときや 、 障害年金・老齢年金受給者 が死亡した場合に 、 遺族に支払われる年金です 。
①保険給付「老齢年金」 老齢基礎年金 国民年金に原則として25年以上加入した人が65歳から受ける、全国民に共通した年金です。 年金額は40年加入した場合が満額となり、加入年数がそれに満たない場合は、その期間に応じ て減額されます。 本人が希望すれば、60歳以降から繰り上げて、また、65歳以降に繰り下げて受けることもで きます。 老齢厚生年金 厚生年金に加入していた人が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしたときに、65歳から老齢 基礎年金に上乗せして受ける年金です。 年金額は「平均標準報酬月額×支給乗率×加入月数」で計算されます。 老齢年金には、「老齢基礎年金」(国民年金法)と「老齢厚生年金」(厚生年金保険法)がある。
老齢厚生年金 老齢基礎年金 報酬比例部分 (在職中の給料 に比例) 定額単価×加入月数 (25年以上加入者) A さん B さん ( 配偶者 ) 年金受給中の老夫婦のケース (ふたりとも厚生年金受給者)
厚生年金保険料 保険料は、毎月の給与と 賞与に共通の保険料率を かけて計算されます。ま た保険料は、事業主と被 保険者とが半分ずつ負担 します。 A さん 60歳を越えて働いている場合(60 歳から65歳未満)の在職老齢年金 60歳から64歳までの保険料はすべて65 歳からの「報酬比例年金原資」に充当されま す。「基礎年金原資」には回りませんので、 基礎年金加入月数からは除外されます。 老齢厚生年金月額+総報酬月額 ≤ 28万円 年金がカットされない 老齢厚生年金月額+総報酬月額 ˃ 28万円 年金が一部または全額カット される * 総報酬額 ( 給与月額 + 賞与 1/12 )
厚生年金保険料 保険料は、毎月の給与と 賞与に共通の保険料率を かけて計算されます。ま た保険料は、事業主と被 保険者とが半分ずつ負担 します。 A さん 65歳以上の在職老齢年金 65歳からの保険料はすべて退職後 または70歳からの「報酬比例年金 原資」に充当されます。 厚生年金への加入は70歳までです。 老齢厚生年金月額+総報酬月額 ≤ 46万円 老齢厚生年金がカットされない 老齢厚生年金月額+総報酬月額 ˃ 46万円 老齢厚生年金がカットされる * 総報酬額 ( 給与月額 + 賞与 1/12 ) (46 万円を超えた部分の 1 / 2) * 老齢基礎年金は全額支給されます 。
どんな時に受給されるのか? 年金加入中に病気やケガをし、障害が残り、日常生活や労働に支障が出 たときに受給される どんな病気やケガで受給されるのか? 目や耳、言語が不自由な方 心臓、腎臓、肝臓や呼吸疾患のある方 精神障害や精神遅滞の方 難病やガンにかかっている 糖尿病・高血圧で合併症がある方 年金額は障害の程度や 扶養家族の人数等によって異なる。 障害基礎年金には1級と2級がある。 障害厚生年金には1級・2級・3級 がある。 ②保険給付「障害年金」 「 障害年金 」 には 「 障害基礎年金 」 と 「 障害厚生年金 」 がある 。
③保険給付「遺族年金」 遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」がある。 遺族基礎年金 (1)国民年金に加入中の人 (2)国民年金に加入していた人で、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人 (3)老齢基礎年金を受けている人や受給資格期間を満たしている人、が死亡した場合に、 遺族に支払われる国民年金の給付です。 受けられる遺族は、死亡した人に生計を維持されていたその人の子(18歳の誕生日の属す る年度末まで、または20歳未満で1級または2級の障害の状態にある子) または子のいる配偶者です。
遺族厚生年金 厚生年金に加入している人が、 (1)在職中に死亡した場合 (2)在職中に初診日のある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡した場合 (3)障害等級1級または2級に該当する障害厚生年金の受給者が死亡した場合 (4)老齢厚生年金を受けている人や受給資格期間を満たしている人が死亡した場合に、遺族 に支払われる年金です。 受けられる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母 (夫、父母、祖父母においては死亡時において55歳以上であることが条件であり、支給開始 は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受 給できる)
遺族厚生年金 老齢厚生年金 遺族基礎年金 A さん死亡 遺族 B さん ( 配偶者 ) 18 歳未満の子 2 人 在職中の夫婦のケース ( A さん死亡 ) (報酬比例部分の3/4) 遺族厚生年金 ( 支給分 ) 専業主婦 772,800 円 + 444,800 円 ( 子の加算額 ) * 子のない妻の場合 、 遺族厚生年金が支給される ( 条件により有期給付あり )
老齢厚生年金 老齢基礎年金支給停止 老齢基礎年金 A さん死亡 B さん ( 配偶者 ) 年金受給中の老夫婦のケース ( A さん死亡 ) ( Aさん受給分の3/4 ) 遺族厚生年金 (支給停止分) ( 支給分 ) 遺族厚生年金 18歳未満の子はいなかっ たので遺族基礎年金は無し
遺族厚生年金 老齢厚生年金 老齢基礎年金支給停止 老齢基礎年金 A さん死亡 B さん ( 配偶者 ) 年金受給中の老夫婦のケース ( A さん死亡 ) (Aさん受給分の3/4) 遺族厚生年金 ( 支給分 ) 専業主婦
終わりに 健康で生きがいを持って一生を送れることが最高の生き方です。 そのためには将来に備えての生活設計が必要です。 総務省家計調査(2013年度)によると、現在の年金生活者の平均的な生活費は、単身者で15 万円強、夫婦世帯で27万円強でした。 国民年金の給付額平均が6万6千円、厚生年金の給付額平均が16万5千円ですから、不足分は貯 蓄の取り崩しでまかなうことになります。 厚生年金給付額は個人によって異なりますから、金融資産形成を各人で設計する必要があります。 不慮の事故で死亡したり、障害を負うことも考えられます。 公的年金制度だけでは不安ですから、助け合いの共済制度にも加入しておく必要があります。 健康でお金だけあれば幸せだともいえませんから、生きがいづくりにも意識した生活を送る必要が あります。 よりよい生活設計をおこなって、たった一度きりの人生をエンジョイしましょう。