健康教室 - 腹痛でわかるいろんな病気 - 大家昌源

お腹の部位 上腹部 下腹部

お腹の臓器

子宮 卵巣

痛みの部位による診断 上腹部⇒右側・・・胆嚢、胆管、肝臓、右腎臓等の疾患 上腹部⇒右側・・・胆嚢、胆管、肝臓、右腎臓等の疾患 真ん中・・・胃、十二指腸、膵臓疾患 虫垂炎の初期 左側・・・膵臓、脾臓、左腎臓等の疾患 その他・・・心疾患、血管 小腸、大腸の一部 下腹部⇒右側・・・虫垂炎、右尿管結石、種々腸疾患 下腹部⇒右側・・・虫垂炎、右尿管結石、種々腸疾患 卵巣疾患 真ん中・・・種々腸疾患、子宮、膀胱、大動脈 左側・・・種々腸疾患、左尿管結石、左卵巣その他・・・腹膜、腸間膜の疾患

吐き気を伴う：胃、腸の炎症、潰瘍、 吐き気を伴う：胃、腸の炎症、潰瘍、 消化管の閉塞、胆嚢、胆管の炎症、消化 器系の癌 消化管の閉塞、胆嚢、胆管の炎症、消化 器系の癌 食後に強い：胆嚢、胆管、膵臓、胃腸 食後に強い：胆嚢、胆管、膵臓、胃腸 空腹時に強い：胃、十二指腸潰瘍 空腹時に強い：胃、十二指腸潰瘍 発熱を伴う：胆嚢、胆管、膵臓の炎症 発熱を伴う：胆嚢、胆管、膵臓の炎症 消化管感染症等 黄疸を伴う：肝、胆嚢、胆管疾患（特に 閉塞性黄疸） 黄疸を伴う：肝、胆嚢、胆管疾患（特に 閉塞性黄疸）

触診：筋性防御、反跳痛⇒腹膜炎 触診：筋性防御、反跳痛⇒腹膜炎 お腹の張り：ガスが多い⇒腸閉塞等 お腹の張り：ガスが多い⇒腸閉塞等 腹水がたまっている⇒肝硬変、癌、腹膜炎等 腹水がたまっている⇒肝硬変、癌、腹膜炎等 蠕動運動：腸閉塞でカランコロン、キーンと いう金属のような音 蠕動運動：腸閉塞でカランコロン、キーンと いう金属のような音 炎症の強い場合は蠕動が低下（下痢を起こす ような腸炎の場合は別） 炎症の強い場合は蠕動が低下（下痢を起こす ような腸炎の場合は別）

よくある病気

急性虫垂炎 （いわゆる盲腸） 右下腹部痛 右下腹部痛 最初は胃のあたりの痛みのような症状 最初は胃のあたりの痛みのような症状 そのうち下腹部へ移動 炎症が強くなると発熱もみられます 炎症が強くなると発熱もみられます ガス、便は出なくなります ガス、便は出なくなります 悪化すると腹膜炎になり、大手術が必要に なります 悪化すると腹膜炎になり、大手術が必要に なります 血液検査、 CT 、超音波等で診断 血液検査、 CT 、超音波等で診断 治療は手術 炎症軽い場合は抗生剤のみの 場合も 治療は手術 炎症軽い場合は抗生剤のみの 場合も

胃、十二指腸潰瘍 空腹時の痛み 空腹時の痛み 症状は個人差がある（痛みがない、または 軽い場合もあります） 症状は個人差がある（痛みがない、または 軽い場合もあります） 出血（吐血、黒色便）でわかることもあり ます 出血（吐血、黒色便）でわかることもあり ます ピロリ菌や痛みどめ等の薬が原因であるこ とが多い ピロリ菌や痛みどめ等の薬が原因であるこ とが多い 内視鏡検査で診断 内視鏡検査で診断 治療はお薬 出血あれば内視鏡治療 治療はお薬 出血あれば内視鏡治療 大出血や穿孔（穴があく）すれば緊急手 術 大出血や穿孔（穴があく）すれば緊急手 術

胆石（胆のう、 胆管結石） 胆石発作：食後（脂肪の多い食事）に右 側の腹痛 背中や右肩が痛くなることも あります。 胆石発作：食後（脂肪の多い食事）に右 側の腹痛 背中や右肩が痛くなることも あります。 胆嚢炎や胆管炎を起こすと腹痛に加えて 発熱、黄疸がみられます。嘔吐すること も多い。 胆嚢炎や胆管炎を起こすと腹痛に加えて 発熱、黄疸がみられます。嘔吐すること も多い。 超音波、 CT 、 MRI 等で診断します。 超音波、 CT 、 MRI 等で診断します。 治療は内視鏡や手術（腹腔鏡） 治療は内視鏡や手術（腹腔鏡）

尿管結石 左右どちらかの結石がある側の側腹部～腰の 痛み 左右どちらかの結石がある側の側腹部～腰の 痛み のたうちまわるような強い痛み（私も経験） のたうちまわるような強い痛み（私も経験） 痛みは強いが診察でのお腹の所見は軽い 痛みは強いが診察でのお腹の所見は軽い 検尿（潜血陽性）、超音波又は CT で診断 検尿（潜血陽性）、超音波又は CT で診断 小さい結石は痛み止めで痛みを止めて、自然 に石が出るのを待ちます 小さい結石は痛み止めで痛みを止めて、自然 に石が出るのを待ちます 大きい結石は体外衝撃波（ ESWL 等）で破砕 します 大きい結石は体外衝撃波（ ESWL 等）で破砕 します

膵 炎 上腹部や背中の痛み 上腹部や背中の痛み 痛みが強い場合、体を反らすことができ ず、えびのように背中を丸めるような体 位をとることが多い 痛みが強い場合、体を反らすことができ ず、えびのように背中を丸めるような体 位をとることが多い アルコールを多飲する人に多い アルコールを多飲する人に多い 血液検査（アミラーゼが上昇）、 CT で診 断する（血液検査と CT で重症度が決まり ます） 血液検査（アミラーゼが上昇）、 CT で診 断する（血液検査と CT で重症度が決まり ます） 重症膵炎は合併症も多く、治療に難渋し ます 重症膵炎は合併症も多く、治療に難渋し ます

実際はこれが最も多いかもしれません。 実際はこれが最も多いかもしれません。 血液検査、超音波検査、内視鏡検査等を 行っても異常はみられません。 血液検査、超音波検査、内視鏡検査等を 行っても異常はみられません。 胃酸？知覚過敏？ストレス？消化管運 動？等いろんな要因が絡み合っていて、 胃酸？知覚過敏？ストレス？消化管運 動？等いろんな要因が絡み合っていて、 薬等の治療が効きにくい事も多いと言わ れています。が生命に関わる病気ではな いので、検査を受けて異常がないことで 安心することで症状が改善することもあ ります。 薬等の治療が効きにくい事も多いと言わ れています。が生命に関わる病気ではな いので、検査を受けて異常がないことで 安心することで症状が改善することもあ ります。

緊急を要する腹痛

お腹の中央にある腹部大動脈がこぶのよ うに膨らんだ状態（動脈瘤）になり、破 裂すると強い腹痛と血圧低下（ショック 状態）、意識消失等の症状がみられ、早 急に手術しないと死に至ります。 お腹の中央にある腹部大動脈がこぶのよ うに膨らんだ状態（動脈瘤）になり、破 裂すると強い腹痛と血圧低下（ショック 状態）、意識消失等の症状がみられ、早 急に手術しないと死に至ります。 診断には CT が必要です。 診断には CT が必要です。 破裂の予防（血圧のコントロール、定期 的検査）が重要です。 破裂の予防（血圧のコントロール、定期 的検査）が重要です。

胸痛、胸苦しさ、冷や汗等の症状が多い ですが、時にみぞおちの辺りの痛みがみ られることもあります。 胸痛、胸苦しさ、冷や汗等の症状が多い ですが、時にみぞおちの辺りの痛みがみ られることもあります。 症状がある時の心電図が診断には必要で すが、無症状の時の心電図をとっておい て比較することが重要です。 症状がある時の心電図が診断には必要で すが、無症状の時の心電図をとっておい て比較することが重要です。

診断が難しい病気

小腸や大腸の一部に栄養を送る上腸間膜 動脈が閉塞する病気です。 小腸や大腸の一部に栄養を送る上腸間膜 動脈が閉塞する病気です。 閉塞の程度等によっては腹部所見がさほ ど強くない場合もあります。 閉塞の程度等によっては腹部所見がさほ ど強くない場合もあります。 不整脈（心房細動）、動脈硬化の強い人 は要注意 不整脈（心房細動）、動脈硬化の強い人 は要注意 診断には造影剤を使った CT が必要 診断には造影剤を使った CT が必要 診断が遅れると広範囲に腸が腐ってしま うことがあります。 診断が遅れると広範囲に腸が腐ってしま うことがあります。

胃癌 胃癌 大腸癌 大腸癌 胆のう、胆管癌 胆のう、胆管癌 肝臓癌 肝臓癌 膵臓癌 膵臓癌 子宮癌 子宮癌 卵巣癌 卵巣癌 腎癌 腎癌 ・・・・・ 等々 ・・・・・ 等々

腹痛は急に起きることも多いですが、前 もって体の状態をチェックしておけば、 予測や診断がしやすくなり、対処も早く なります。（例えば普段から超音波検査 を受けていて、胆石や腎臓に石がないか どうかをチェックしておくこと等） 腹痛は急に起きることも多いですが、前 もって体の状態をチェックしておけば、 予測や診断がしやすくなり、対処も早く なります。（例えば普段から超音波検査 を受けていて、胆石や腎臓に石がないか どうかをチェックしておくこと等） 普段の体の状態を必ずチェックしておく ようにしましょう。 普段の体の状態を必ずチェックしておく ようにしましょう。