樹木・木材の寄生生物 9班
カイガラムシ 体内から白い粉状のろう質物を分泌し 背中を覆うものから、ろう質物の固い貝 殻で覆われる頑強なものもある。 樹木の枝葉、果実に寄生する。 この分泌 物によって遮蔽されるため、薬剤による 防除が困難である。 食品に用いられるコチニール色素はコチ ニールカイガラムシ(エンジムシ)から 取られる。
カイガラムシの害 直接的な被害 1. カイガラムシそのものが美観を損ねる 2. 吸汁されるため生育に悪影響を及ぼす 寄生数が多いと新梢や新葉の出方が悪くなったり、枝枯れを 起こす。 間接的な被害 1. 排泄物の上にすす病が繁殖して葉が黒くなる 2. 光合成が妨げられ生育が悪くなる
カイガラムシ対策 ・成虫に到っては、薬剤は殆ど効果無い為、ふ化 したばかりの幼虫にオルトラン水和剤、アクテ リック乳剤を散布。 剪定で風通しや日当たりを良くする。 ・冬季に歯ブラシでかき落とす。
ナラタケ病 名前の通り、ナラタケ菌により起こる。 多くの広葉樹およびマツ類、ヒノキ類に 発生。 根系が菌に侵されることによって衰弱、 腐敗、枯死する。若齢樹、老齢樹では速 く進行する。 寄生性の強い菌ではなく、 根が傷ついたり滞水等で 弱った場合にかかりやすい、
ナラタケ病の症状 樹の地際部や、樹の皮をはいだ場合に、 きのこ臭のする白の扇状の膜がみられる。 病状の進んだものでは、黒色紐状の菌糸 の束もみられる。 秋には地際部から淡褐色のきのこが多数 群生し、胞子を飛散させ、別の樹が感染 する原因となる。
樹が感染した場合の対策 ・放っておくと、他の樹に感染する原因と なるので、被害樹の根系、切り株はきれ いに除去し、周辺の土壌消毒を行う。 ・弱った樹に感染するので、樹木の健全育 成に努める。 土壌消毒には、カーバム剤(NCS)な どでおこなうが、隣の樹の薬害に注意。
左はメス、右はオス カシノナガキクイムシ アンブロシア菌 写真:京大農・微生物環境制御学分野提供 写真:森林総合研究所関西支所提供
フラ ス 穴の大きさは 1.5mm 程度 穴は地面に近い方 に集中している 朝日庄内森林環境保全ふれあいセンター
赤褐色に変色している箇所が枯損している区域 写真:森林総合 研究所 関西支所提供 朝日庄内森林環境保全ふれあいセンター
◆伐倒駆除 *被害木の早期発見の重要性 スポット防除がポイント。林分当たり5本以内で発見し、作業効率を度 返ししてでも伐倒駆除することが重要。被害木に発見に予算を使うべきで ある。東山国有林では山岳連盟に情報提供を呼びかけている。 *対象木 フラスが出ている非枯死木から脱出する成虫の個体数は少ないため、 伐倒駆除は枯死木のみが対象である。 *丸太の処理方法 材の断面を確認しながら、変色域まで 50cm 間隔で玉切りする。急斜面 で玉切りすると、どこまでも転がっていくので、ある程度の大きさに切り、 転がる所まで転がしておくと効率的である。農薬取締法の農薬使用基準を 守るため、ドリルで 20cm 間隔の孔を穿つ。ドリルの歯は抜けやすいため、 サイズの合うものにするとよい。さらに、チェーンソーのバーで切り込み を入れると、より効率的に駆除できる。 NCS は 700cc/m3 必要。 シートで丸太を包む時は、ガンタッカーで仮止めすると便利である。カ ラス対策としてシートの上には枝葉をかぶせる。 *伐根の処理方法 伐根のできるだけ先端までドリルで孔を穿ち、NCS注入後ガムテー プとガンタッカーで留める。さらに根株の周囲をシートで被う。
マツの害虫 マツノマダラカミキリ Monochamus alternatus 体長 18 ~ 30 ミリ マツノザイセンチュウ Bursaphelenchus xylophilus 体長約 1 ミリメートル
松くい虫の伝染方法
診断 先に古い葉が、その後新しい葉が赤く変 色し垂れて枯れる。 樹皮に傷をつけても傷口からはヤニが出 なくなっている。 材(径3㎝程度の枝)を削り、材線虫を 抽出して顕微鏡で確認する。
対策および処置 カミキリの食害の防除は虫が羽化する時 期2回ほどに薬剤を散布して予防する 材線虫は2~3年に一度、1~3月に薬 剤を浸透させる 被害木が出た場合は、伐倒して、直径 30 ㎝以下の枝・幹を中心に焼却または薬剤 処理して、カミキリ幼虫を殺傷する。
穿孔性害虫 オオゾウムシ 【生態】 寄生樹:トドマツ,エゾマツ,カラマツ,ア カマツ,スギ,ヒノキ,ナラ,カシ,ブナ,クリ,ニ レ,サクラなど 【学名】 Sipalinus gigas 【分類】 コウチュウ目( Coleoptera ),オサゾウ ムシ科( Rhynchophoridae ) 【分布】 北海道,本州,四国,九州,沖縄;朝鮮半 島,中国,台湾,東南アジア 【特徴】 成虫は体長 14 ~ 25mm .幼虫は尾端背面の 突起あり. ← 幼虫. 2000/10 .
【被害】 湿り気味の丸太や 伐根 【防除法】 ・丸太を土場に置く期間はできる限り短く する. ・端材を放置せず早めに処理する. ・被害木を3週間以上水中に浸漬する. 孔道. 2001/4/11 . →
おわりに 寄生生物は早めに手を打たなければ他の 植物にも誘発するため、被害が出たその ときから薬剤散布、焼却、除去等の対応 が求められるが、まず早期発見が重要な ため、 樹木やその周りの環境を常に気を配るこ とが何より必要である。
参考文献 天敵 Wiki E0http://wiki.tenteki.org/index.php?%A5%AB%A5%A4%A5%AC%A5%E9%A5%E0%A5%B7%CE% E0 Wikipedia %E3%82%B7 %E3%82%B7 社団法人 農林水産技術情報協会 樹木の病気・害虫 オオワラジカイガラムシの幼虫 北海道立総合研究機構 .松下眞幸.森林害虫学. 410 pp .冨山房,東京.(生態) 1953 .井上元則.林業害虫防除論,中巻. 293 pp .地球出版,東京. %83%A9%E3%82%AB%E3%83%9F%E3%82%AD%E3%83%AA/ %83%A9%E3%82%AB%E3%83%9F%E3%82%AD%E3%83%AA/ %83%A9%E3%82%AB%E3%83%9F%E3%82%AD%E3%83%AA/ %83%A9%E3%82%AB%E3%83%9F%E3%82%AD%E3%83%AA/
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