電子マネーの導入と地域商店 街の活性化 文京学院大学経営学部 絹川ゼミ A 班
発表の流れ 1. 研究動機~商店街の現状 2. 商店街活性化に向けた取組み 3. 電子マネーを導入した商店会の訪問 4. 電子マネーのメリット・デメリット 5. まとめ
1 .研究動機~商店街の現状
研究動機 全国でシャッター商店街が増加( 90% が シャッター通り)。 都内でも、大型スーパーやコンビニの増加 により地元商店が圧迫。 金融サービス面で商店街活性化に役立って いるものはないか。実際の取組状況はどう か。
2 .地域商店街活性化に向けた 取組みと電子マネー
地域商店街による活性化の取 組 (1/2) 長野県駒ヶ根市「つれてってカード 」 支払いだけでなくチャージでも 0.5% のポイント発生。福利 厚生の支払いも可能。 静岡県富士市吉原商店街 商業高校の高校生が店舗運営を行い、大学生と連携して新 商品の開発に取り組んでいる 東京都品川区戸越銀座商店街 商店街のオリジナルブランド商品を開発・販売している
地域商店街による活性化の取 組 (2/2) 東京都墨田区キラキラ橘商店街 東京東信用金庫が商店主の方々と協力してサポートし、地元 密着型 + 高齢者をターゲットとした「キラキラ橘商店街」再生 の活動が進んでいる
地域商店街による活性化の取組 (電子マネーの導入) 巣鴨商店街では Suica が、横須賀の久里浜商店街で は WAON や PASMO が利用可能に。 セブン & アイと東京都信用金庫協会が協力して商店 街への電子マネー導入を検討( 9 月 25 日に、亀有リ リオ商店会の 5 店舗が nanaco の利用開始 )
現在普及している電子マネー 発行枚数月間利用件 数 利用可能店 舗数 Edy 5,140 万枚 2,500 万件 153,000 店 Suica 2,710 万枚 2,887 万件 69,700 店 PASMO 1,312 万枚 1,240 万件 57,000 店 nanaco 890 万枚 3,600 万件 27,541 店 WAON 1,090 万枚 2,610 万件 29,000 店 2009 年 8 月 : 日経流通新聞調べ
電子マネー発行件数の比較 単位:万 2008 年 2 月:アイワイ・カード・サービス 調べ 2009 年 8 月 : 日経流通新聞調べ 下段は 2008 年、上段は 2009 年のデータ
電子マネー利用加盟店舗数の 比較 2008 年 2 月:アイワイ・カード・サービス 調べ 2009 年 8 月 : 日経流通新聞調べ 単位:万 下段は 2008 年、上段は 2009 年のデータ
電子マネー月間利用件数の 比較 2008 年 2 月:アイワイ・カード・サービス 調べ 2009 年 8 月 : 日経流通新聞調べ 単位:万
電子マネーの主な利用者層 Edy や Suica の利用者の 6 割は男性 nanaco の男女比率は 50:50 WAON は 6 割が女性 ( 2009 年 9 月 9 日:日経流通新聞調べ )
電子マネー普及のために 何が必要か 広報を強化する(消費者に広く知ってもらうため に) 電子マネーの決済仕様の共通化 更なる利便性を求める利用者のニーズに応える 発生ポイントの倍化イベントや電子マネー限定割引 などのサービスの提供
電子マネー導入は経済効果を もたらすか? nanaco を全国展開しているセブン・イレブンでは nanaco 利用時の買い物単価が現金決済時の全平均 の 10% アップ。( 2008 年4月。東洋経済新聞記事 より ) イトーヨーカドーの 2009 年上半期の売上を見ると、 買い物単価が 19% 上昇 もっとも、大手スーパー、コンビニの例であり、商 店街については別との考えも成り立つ。
3 .電子マネーを導入した商店会の訪 問
亀有リリオ商店会への訪問 東京都信用金庫協会よりの働きかけにより、 9 月 25 日から電子マネー「 nanaco 」を導入した亀有リリ オ商店会を訪問しました
東京都信用金庫協会の役割 商店街(会)への電子マネー端末設置のた めに、電子マネー発行体との折衝だけでな く、カード読み取り端末設置料の交渉や、 都・区に対して設置補助金を申請する際の ノウハウを、地元商店街 ( 会 ) に提供している 亀有リリオ商店会への導入に成功
手数料還元の仕組み 商店街(加盟店) しんきん 協議会連合会 しんきん カード アイワイカード JCB 各区市 しんきん協議会 手数料 加盟店取次ぎ 補助金 FC契 約 nanaco 決済時 手数料 しんきんグループ 推進 (社)東京都信用金庫協会 加盟店業務 委託 手数料 地元に還 元 出典:東京都信用金庫協 会
亀有リリオ商店会代表の話 端末の設置費用は、プリペード型 nanaco の決済に 限定するか、チャージ利用(クレジットカード利 用)も可能にするかによって異なる。 顧客第一の考え(小額決済での利便性を重視)。 独自に普及拡大活動を行っているが、やはりセブン アンドアイグループによる広報活動が重要。 現時点での主な利用客層は 30 ~ 40 代。 売り上げ増加に結びつけば、さらに導入店舗を増や せるとの感触を持つ。
個人商店が導入を躊躇する理 由 現金決済が主流であり、抵抗感を覚える向きがある。 電子マネー読み取り端末の設置費用 費用対効果に不安。
導入した店舗の声 電子マネーは時代の流れだと思っている 電子マネーの導入を以前から考えていた
4 .電子マネーのメリット・デメ リット
電子マネーの普及に向けて 行われているサービス ポイント制とのリンク。加盟店間での買い 物なら、大手スーパー・個人商店いずれで も利用可能なポイントが溜まる(イトー ヨーカドーと亀有リリオ商店会。イオンと 久里浜商店街) 電子マネーを利用したスタンプラリー(亀 有 ) チャージ済みの電子マネーの無料配布(亀 有 ) 手数料の地域商店街への還元 (nanaco)
電子マネーの利点 加盟店舗共通のポイントカードにもなりう る(商店街・商店会ごとに独自のポイント カードを作るよりも安上がり)。但し、準 備に時間を要す。 決済手段の多様化で、顧客ニーズへの対応、 利便性の向上につながる。 店にとっては現金決済による人為的ミスが 起こらなくなり、顧客は小銭の持ち歩きが 不要になる 決済の速度向上(混雑時に効果を発揮 )
電子マネーの問題点( 1/2 ) 電子マネー端末の設置費用が引き続き高い。 電子マネー利用により、決済時に手数料が発 生する。売上が全て電子マネーにシフトすれ ば、手数料分マイナス 電子マネーによって異なるが、 nanaco の場合 は、決済後、現金が口座へ振り込まれるのは 2 ~ 3 週間後。 読み取り端末がまだ共通化されていないこと から、複数種類のカードを所持する必要があ り、煩雑。
電子マネーの問題点( 2/2 ) ポイント制の導入は、システム上は準備され ているものの、実際の導入には時間と費用が かかる 電子マネーカードサービスの導入は、商店街 活性化の抜本的な解決策と言えるのか 顧客を新規に獲得する方法として適切か (最終的に大手コンビニやスーパーが利益 を得るだけにならないか)。 電子マネー本来の機能(利用者の購買行 動などのマーケティング情報の取得)が活 かされるか。
5 .まとめ
まとめ (1/2) 「キラキラ橘商店街」の再生活動にもある ように、高齢者を商店街に誘い出す取り組 みは、地道だが商店街活性化の基本ではな いか。
まとめ (2/2) 東京都信用金庫協会にとって、地域商店街 の盛衰は都内の信用金庫の存立にも関わる 問題であるためか、率先して電子マネーの 浸透に向けた導入スキームの開発に取り組 んでいることに驚いた。 新たな決済手段として増加する電子マネー を活用するのは有効だが、それが抜本的な 商店街活性化につながるかははっきりしな い。あくまで電子マネーは一つの方策とし て、商店街に活気を取り戻すために正面か ら取り組んでいく必要がある
参考資料・協力 参考資料 「がんばる商店街 77 選」、「続がんばる商店街 77 選」日本 経済新聞 ) 週刊東洋経済 アイワイ・カード・サービス 日本銀行ホームページ 取材させていただいた先 東京都信用金庫協会 亀有リリオ商店会 信金中央金庫 東京東信用金庫 東洋経済新報社
ご清聴、誠にありがとうございま した。 矢澤 就吾 田辺 真裕 井上 奨 成田 早織 山崎 夏子