1 フェーズドアレイ気象レーダーに よる局地的大雨の3次元詳細観測 佐藤晋介( NICT )、牛尾知雄、嶋村重治、円尾晃一 (大 阪大)、水谷文彦、和田将一(東芝)、花土弘、川村誠治、 浦塚清峰、井口俊夫( NICT ) 気象学会2013年度春季大会@国立オリンピック記念青少年総合センター 2013.

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宇宙開発事業団 (NASDA) が開発した、環境観測技術衛星「みど りⅡ」 (ADEOS- Ⅱ ) 搭載の高性能マイクロ波放射計 (AMSR) による オホーツク海の流氷 ( 海氷 ) 画像。左図は 2003 年 1 月 18 日の夜間 (20 時半頃 ) に取得されたデータによる擬似カラー合成画像。
1 フェーズドアレイ気象レーダの データ利用技術の高度化 佐藤晋介、花土弘、川村誠治、村田健史( NICT )、治 達人、溝渕智子、遠藤輝( ( 株 ) セック)、牛尾知雄、嶋 村重治、 円尾晃一(大阪大)、水谷文彦(東芝)、井口俊夫 ( NICT ) 日本気象学会 2013 年度秋季大会 2013.
COBRA データの情報化と3次元可視化 佐藤 晋介・花土 弘・川村 誠治・岩井 宏徳・ 村田 健史・安井 元昭・浦塚 清峰( NICT ) NICT-HyARC 平成 23 年度共同研究集会 2012 年 2 月 28 日@名古屋大学 ES 総合館 沖縄偏波降雨レーダ( COBRA) X-band.
リモートセンシング工 学 2007 年 1 月 11 日 森広研 M1 本田慎也. 第 11 章 気象レーダーによる観 測 雲、雨、風など 気象災害 → 特に台風、集中豪雨、竜巻、 ウインドシアー 大気の激しい撹乱現象をレーダーで 観測し防災に役立てることが重要.
降水セルから見た 甑島ラインの形成過 程. 諫早ライン 1997/07/11/16:00JST 2001/06/19/11:30JST 五島ライン 五島列島 甑島列島 長崎半島 甑島ライン 2002/07/01/12:20JST 長さ:約 80km 長さ : 約 70km 長さ : 約 150km.
フェーズドアレイ気象レーダーの概念検討 佐藤晋介、安井元昭、村山泰啓、井口俊夫、熊谷博 (NICT) 1.はじめに
反射波が支配的な状況下でのマルチパス誤差低減
下左の図が,最大1時間降水量,下右の図が,最大24時間降水量の分布を示したもの.宮川,海山,紀伊長島で異常な量の降水があったことがわかる.また,津近辺でも大きな降水量があったことがわかる.左の図の+は,AMeDAS観測点,◆は,解析に用いた県の観測点(AMeDAS欠測のため).紀伊長島の観測点が,微妙に強雨域から外れていることがわかる.そのため,あとで示す統計値が,小さく出る.
太陽多波長フレアデータ解析研究会 NSRO-CDAW10 ピーク時のループトップ電波源(2周波)の高さ (統計解析)
レーダー観測データの多くは、ネットワーク上でアーカイブ/公開されていない 高速スキャンを実現するフェーズドアレイレーダーのアンテナ部外観
(Precipitation Radar)
HETE-2のバースト観測ネットワーク マウイ 副地上局 パラオ 副地上局 シンガポール 主・副地上局 赤道
時空間的に連続な3次元レーダーデータの利用可能性
佐藤 晋介、井口 俊夫(NICT)、水谷 文彦、和田 将一 (東芝) 牛尾 知雄、吉川 栄一、河崎 善一郎(大阪大)
2008年度CANSAT活動報告 (Team SCOREs)
山口市における ヒートアイランド現象の解析
400 MHz帯ウィンドプロファイラ ・RASS観測による亜熱帯域温度微細 構造の観測
400MHz帯WPR/RASSによる 梅雨前線帯の降水過程と温度場の観測
修士二年 宮﨑一樹 鶴田佳宏,加藤貴裕,永峰健太,上津原正彦,眞庭知成
AOによる 重力レンズクェーサー吸収線系の観測 濱野 哲史(東京大学) 共同研究者 小林尚人(東大)、近藤荘平(京産大)、他
みさと8m電波望遠鏡の性能評価 8m (野辺山太陽電波観測所より) (New Earより) 和歌山大学教育学部 天文ゼミ  宮﨑 恵 1.
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資料2 気象の基礎知識 はじめに、気象についての基礎知識について説明します。.
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C11: 不正アクセスパケットの可視化 シャボン
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400MHz帯WPR/RASSによる風速と気温 プロファイルの定常観測の現状と課題
22/43 GHz帯フィルタによる 野辺山45 m鏡二周波同時観測の現状について
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梅雨前線に伴う沖縄島を通過した 線状降水システムの構造の変化
学部生対象 地球水循環研究センター(一部)説明会 趣旨説明
GPSハッキングとGPS信号の弱点 信号が微弱 2万km彼方に100Wの電球があるのと同じレベル
京大岡山3.8m望遠鏡用高分散分光器 京大宇物 岩室史英 サイエンス 太陽型星のスーパーフレア現象の解明
2015 年5 月下旬のインドの熱波について 報道発表資料平成27 年6 月2 日気 象 庁
竜巻状渦を伴う準定常的なスーパーセルの再現に成功
緊急地震速報の消防防災分野での活用に関する検討懇談会 市町村防災行政無線(同報系)による 緊急地震速報伝達システムの実証実験
佐藤晋介(NICT)、古本淳一(京大生存研) 科研費研究 「局地豪雨予測のための先端的データ同化と雲解像アンサンブル手法に関する研究」
JASMINEワークショップ March 6-7,2003 松原英雄(宇宙研)
関西空港周辺海域でのバイオテレメトリーによる魚類の行動測定 Ⅰ
400MHz帯ウィンドプロファイラとCOBRAで観測された台風0418号の鉛直構造
pixel 読み出し型 μ-PIC による X線偏光検出器の開発
C08011:大澤直弥 C08012:太田邦亨 C08013:大場友和 C08014:大矢英雅 C08015:岡井成樹
INDEX衛星によるオーロラ微細構造のin-situ観測
2018年7月西日本豪雨広島県呉市の1時間降水量と降り始めからの積算降水量
マイクロ波測定により、プラズマ密度、揺動計測を行いプラズマ閉じ込めについて調べる。
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
PRISM-FFAG電磁石の開発 大阪大学 久野研究室 中丘末広.
従来研究 本研究 結果 南極大型大気レーダーPANSYで観測された大気重力波の数値モデル再現実験による力学特性の解明
(目的) ・電波(12GHz)で見た太陽の直径を測定する ・彩層・低層コロナにおける微細構造が見えるかも? (方法)
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1 フェーズドアレイ気象レーダーに よる局地的大雨の3次元詳細観測 佐藤晋介( NICT )、牛尾知雄、嶋村重治、円尾晃一 (大 阪大)、水谷文彦、和田将一(東芝)、花土弘、川村誠治、 浦塚清峰、井口俊夫( NICT ) 気象学会2013年度春季大会@国立オリンピック記念青少年総合センター 2013 年5月 16 日

2 はじめに ・ 近年、局地的大雨(ゲリラ豪雨)や竜 巻に よる突発的・局所的気象災害が社会問題 となっている。 ⇒ いつどこで被害に遭うかという不安。 ・ 都市域ではXバンド MP レーダが整備さ れ 地上付近の降雨分布を1分間隔で観測。 ・ 大雨の前兆現象や発達過程の調査研究、 直前予測には3次元観測が重要であるが、 従来のパラボラアンテナによるレーダで は、3次元観測に5分以上の時間を要す る。 都賀川の鉄砲水( 2008/7/28 ) つくば市竜巻( 2012/5/6 ) 国交省 C バンドレー ダ 雨量計観測網と X- バンド MP レーダの 配備状況( ○ 印). フェーズドアレイレーダーに よる3次元立体観測(10~ 30秒) パラボラアンテナによる 3次元立体観測(5~10 分) 小型レーダによるネットワーク観 測 地球の曲率に伴う 未観測域 レーダ近傍の 未観測域 大型レーダ観測

3 約 2m <1次元アレイ/ DBF 技術を用いたアンテナ走査> 仰角方向は 1 次元のアクティブフェーズドアレイ アンテナを採用し、電子走査にて観測。 送信波は仰角方向に幅の広いファンビームを形 成 受信時は仰角方向に複数の細いビームをデジタ ル 処理( DBF )で同時形成 方位角方向はスロットアンテナにより機械的に ビーム を形成し、機械回転させて観測。 1 回転のみで三次元ボリュームの観測が可能。 <コストパフォーマンスの実現> ・一般的にはフェーズドアレイは高価 ・ 1 次元アレイ(仰角の電子走査)と DBF ( Digital Beam Forming) の組み合わせにより、 10 ~ 30 秒の 3 次元観測を実現 ・高価だったフェーズドアレイで パラボラアンテナ型気象レーダと 同程度の価格帯を狙う 空中線装置の外観 アンテナ走査の概念 方位角 仰角 1次元フェーズドアレイとDBFの概念

4 左:レーダ処理装置 (データ処理・監視制御・表示) 右:レーダ制御装置 (駆動制御・分電盤) アンテナ部 大阪大学吹田キャンパス(E3棟屋上) に 設置されたフェーズドアレイ気象レーダ 大阪大学に設置されたフェーズドアレイレー ダ クレーンで吊り上げ 設置中のレドーム (2012年5月18日)

5 レーダ観測範囲と観測データ 収録データ種別 1 レベル1レベル1 受信電力 (Pr-MTI) 2 受信電力 (Pr-NOR) 3 ドップラー速度 (Vr-MTI) 4 ドップラー速度 (Vr-NOR) 5 速度幅 (W-MTI) 6 速度幅 (W-NOR) 7 SN 判定値 (SN-MTI) 8 SN 判定値 (SN-NOR) 9 レベル2 レベル2 受信電力 (Pr) 1010 反射強度 (Ze) 1 ドップラー速度 (Vr) 1212 速度幅 (W) 1313 降雨強度 (R) AUTO.1 ( 10 sec. ) 300 range×320 sector ( AZ ) ×111 angle ( EL ) ×2 byte = 20.3 MB / file 13 file 合計サイズ(ヘッダー含む): 275 MB / 10sec ⇒ 220 Mbps AUTO.5 ( 30sec. ) 600 range×300 sector ( AZ ) ×110 angle ( EL ) ×2 byte = 37.8 MB / file 13 file 合計サイズ(ヘッダー含む): 493 MB / 30sec ⇒ 131 Mbps 吹田 京都 明石 関西空港 奈良

年 07 月 22 日の北摂山系における局地的大雨(京都府園部ア メダスで2 時間雨量 72.5 mm )の3次元構造(反射強度)を南 西から見た鳥瞰図. 18:00:20 ~ 20:00:50 のアニメーション(時 間分解能は 30 秒) . 10 フレーム/秒 → 300 倍速 10 km (高度) 40 km 大阪湾 淀川 六甲山

年 07 月 26 日,17:38:16 の3次元降水分布 けいはんな(精華町)付近の積乱雲エコーの3次元構造を北東方向か ら眺める ( Δx = Δy = Δz = 100m ).高度3~6 km にファース ト・エコーが現れて成長する様子が見られる. 17:00:16 ~ 19:00:46 の動画( 30 秒間隔). 8 km (高度) 3 km

8 まとめ・今後の課題 ● フェーズドアレイ気象レーダで観測された局 地的大雨の2事例について、反射強度の3次元 可視化を行い、その成長過程を捉えた。 ● 3次元降水分布を用いた短時間予測を目指し て、このような事例解析を積み上げることで、 急激に発達する降水エコーの特徴を調べる。 17:36:16 17:38:16 17:40:16