コミュニケーション・マネジメントを 重視した IT サービス企画開発方法とそ の実施 静岡大学情報学部情報社会学科 湯浦研究室 4 年 六鹿槙美
目次 1. 背景と目的 2. IT サービス企画開発に関する企画・開発方法 3. 企画・開発方法比較 4. IT サービス企画開発の要件 5. IT サービス企画開発の手順 6. 開発ツール 7. IT サービス企画開発実施 8. 評価 9. 結論
1. 背景と目的 出典: App Annie スマートフォンアプリの市場は今後も成長し続けると予測され ている ▽ IT サービス企画開発に関する企画・開発方法の比較 ▽ IT サービス企画開発を定義、実践 ▽ IT サービス企画開発成功のための要素の分析 著:アッシュ・マウリャ 2012 年出版
2. IT サービス企画開発に関する企画・開発方 法 役務内容成果物 1. 全体計画 策定支援 1. システム化計 画の構想 システム化構想書 2. システム化計 画の立案 システム計画書 最適化計画 ( 最適化対 象システムの場合 ) 2. 調達支援 ( 要件定義 フェーズ ) 1. 最適化計画の 確認・評価・改 善・効果算定 最適化計画の確認・ 評価・改善・効果算 定に関する報告書 2. 要件定義の支 援 要件定義書 3. システムコス トの試算 システム構築経費積 算書 ( 案 ) 運用経費積算書 調達仕様書において記すべき事項 一部抜粋 出典:情報システム調達のための技術参照モデル (TRM) 平成 24 年度版 企画方法① 官庁や自治体における 情報システム開発の調達方 法 企画方法② 中小企業ビジネス支援サイト による事業計画 J-net21 で提供されるフォーマット一部抜粋 出典: J-net21 各項目にて成果物が大量にあり、時間をかけて企画を行って いる
2. IT サービス企画開発に関する企画・開発方 法 BABOK 7 つの知識エリア 出典:「 BABOK Guide version2.0 」 企画方法③ ビジネス分析技法 (BABOK) ・ 7 つの知識エリア システムの構想から要件定義に至るまでの過 程において必要となる顧客との対話やその分 析を網羅的に行うためのタスクが定義されて いる。 丁寧な分析により、時間がかかる 企業の目的、目標から ビジネスニーズを分析し、 妥当性のあるプロジェクトを設定 する
2. IT サービス企画開発に関する企画・開発方 法 企画方法④ リーン・スタートアップ ・ 2008 年:エリック・リース ・リーン・キャンバスを用いてビジネスモデルを 立案 ・構築 - 計測 - 学習の顧客主導型開発モデル ・最小限の機能の製品 (MVP Minimum Viable Product) リーン・キャンバス 出典: RUNNING LEAN アッシュ・マウリャ (2012) 顧客主導型開発モデル 出典: RUNNING LEAN アッシュ・マウリャ ( 2012) インタビューにより顧客ニーズを把握 MVP の製品で開発を短縮
2. IT サービス企画開発に関する企画・開発方 法 開発方法① ウォーターフォール開 発 開発方法② プロトタイプ開発 要件定義外部設計内部設計プログラミング単体テスト結合テストシステムテスト 構築 1 評価 1 構築 2 評価 2 構築 3 評価 3 ・・・最終評価 ・最もよく使われる開発手法 ・上流から下流にかけて戻ることなくプロジェクトを進 める ・開発者による構築と顧客による評価を繰り返し行いなが ら 機能を確定する
ウォーターフォール開 発 3. 企画・開発方法比較 スピード 遅 速 高 低 コミュニケーショ ン プロトタイプ開発 リーン・スタートアッ プ BABOK ・中小企業ビジネスサイトにおけ る事業計画 ・官庁や自治体における情報シス テム開発の調達方法
4. IT サービス企画開発の要件 人数 少人数 規模 小規模 短期間 視点 誰でも企画開発に参加できる 方法 リーンスタートアップ プロトタイプ開発 市場 スマホアプリ
5. IT サービス企画開発の手順 キャン バス優 先順位 構築 ( デモ ) 課題 イン タ ビュ ー 顧客イ ンタ ビュー 準備 学習 計測 ( ソリューショ ン インタビュー ) 構築 (MVP) 学習 計測 ( ソリューショ ン インタビュー ) 構築 ( 機能追加 ) 拡大 リリー ス リーン・キャンバス作成、修 正 プロトタイプ開 発 ◎リーン・スタートアップとプロトタイプ開発の接続 方法 リーン・スタートアップ
6. 開発ツール ◎ Application Craft ・クラウド上で Web アプリケーション、ハイブリッドアプリケーション、ネイ ティブアプリケーションを開発可能 ・データベースや他のクラウドサービスとの連携なども構築可能
6. 開発ツール ◎ Parse ・ 2013 年 4 月 Facebook が買収 ・ 2014 年 1 月現在 BaaS(Backend as a Service) の最有力候補の一つ モバイルアプリのバックエンドサーバーに必要な主な処理を あらかじめ用意し、 API で提供するサービスのこと。 ・ユーザー登録・管理 ・プッシュ通知 ・ GPS を利用した位置サービス情報サービスとの連携 ・ Twitter や Facebook など SNS との連携 ・データやコンテンツの保存・管理機能
7. IT サービス企画開発実施 約1ヶ月 約2ヶ月 細川努先生による講 義 ①リーン・スタート アップの理解 ②ツールの使い方 リーン・キャンバス 作成 期間:約 3 ヵ 月 メンバー: 4 人
課題 ・多くの人の予定を 把握するのが困難 ・既存のツールは 使いづらい (LINE, 調整くん, Google カレンダー ) ・イベントの発信が しづらい 顧客セグメン ト スマートフォンを所有し ている人 ソリュー ション ・個人の予定を グループ内で 公開、共有 ・予定調整にのみ 特化した インターフェイス ・イベント発信が可能 1 2 3 7. IT サービス企画開発実施
◎課題インタビュー (8 名 ) 顧客と課題の仮説検証 7. IT サービス企画開発実施
・ よく使うツール 1 LINE 2 Twitter 3 メッセージ その他 Facebook カカオトーク 7. IT サービス企画開発実施 ◎課題インタビュー
よく使うツールで不便に思う点 ▽見ていない間に話が進む ▽返事が来ない ▽発言しない ▽誰が何言ったかわからない ▽結局調整君を使う 7. IT サービス企画開発実施 ◎課題インタビュー
ユーザ DB 会員情報を入 力する ID と PASS を元 に会員情報を照 会・参照する 一致したら会員 のマイカレン ダーを表示する 会員情報を登 録する ID と PASS を入力し て ログインする 例 ) 会員登録・ログイ ン ユースケース図 7. IT サービス企画開発実施 ◎構築 (MVP) 機能:友人と予定を公開・共有、イベントの発信 開発チームとデザインチームに分かれて作業 成果物:ユースケース図、クラス図、画面遷移図、アプリケーショ ン (MVP) アプリケーションの構成
7. IT サービス企画開発実施 ◎ソリューションインタビュー (10 名 ) 顧客とソリューションの仮説検証 ▽友人と共有したくないイベントもある ▽カレンダーの表示を月別ではなく日別にできるページを 作る ▽イベント発信へのレスポンスが欲しい 追加機能検討 ▽公開・非公開を選択できるボタン追加 ▽参加・不参加を選択できるボタン追加
課題 ほぼ仮説通り 顧客セグメン ト スマートフォンを所有し かつ 予定把握をスマート フォンでしている人 顧客を拡大していく ソリュー ション イベント発信を メインにする ※予定把握を手帳で していても イベント発信は可能 1 2 3 7. IT サービス企画開発実施 ◎学習 顧客セグメント、ソリューションの内容を変更
7. IT サービス企画開発実施 ◎学習 リーン・キャンバス修正
7. IT サービス企画開発実施 ◎構築 ( 追加機能 ) 開発チームとデザインチームに分かれて作業 成果物:アプリケーション ( 追加機能 ) ◎リリース、計測 Test Flight 開発者向けの Web サービス テスト用のアプリケーションをテスターに配布 ▽動作が遅い ▽プッシュ通知が欲しい ▽ LINE との連携 ( 友人追加の円滑化 )
8. 評価 ①開発のスピード 使用したツールと開発方法のスピード感が合っていた ②顧客ニーズの吸収 顧客との直接のコミュニケーションにより、「本当に必 要」な 機能をアプリケーションに反映することができた ③ IT サービス企画開発を行うメンバーに求められること ①リーン・スタートアップの目的の理解 ・・・細川努先生による講義 ②プロトタイプ開発 ( 顧客志向 ) への慣れ ・・・チームの技術力を把握、スムーズな役割分担 ③ソフトウェアツールの使い方 ・・・細川努先生による講義 ④自立した開発メンバーとコミュニケーション ・・・友人関係、信頼関係、コミュニケーションの多さ
9. 結論 ① IT サービス企画開発における企画と開発の接続方法の 事例を示すことができた ② IT サービス企画開発をより効果的に実践するために チームのメンバーに求められる要素が明確になった 今後の課題 ①マニュアル作成 ・・・ IT サービス企画開発に取り組むためのメンバーへの条件を提示する。 ②リリース実験 ・・・実際に市場にリリースすることで新たな課題が出てくる可能性が高 い。 ③企画力・開発力・チーム力を養うために多くの学生に実践してもらい たい
ご清聴ありがとうございまし た。