北朝鮮経済の現状
北朝鮮経済の特徴 *計画なき計画経済国家 *被援助大国 *ボーダフル・エコノミー
解放後の平和的建設期実績 49.9 1947~49 戦後復旧3カ年計画期実績 41.7 1954~56 5カ年計画期実績 36.6 1957~61(60) 7カ年計画期目標 18.0 1961~67(70)実績 12.8 6カ年計画期目標 14.0 1971~76(75)実績 18.4 第2次7カ年計画期目標 12.1 1978~84実績 12.2 第3次7カ年計画期目標 10.0 1987~93実績 N.A
計画なき計画経済国家 無謬でない計画 その計画すら予定通り達成されない → 無理な増産・繰上げ達成運動(千里馬運動 など) → 計画の途中変更 → 金日成 / 金正日の細かすぎる指示 → 三元化経済 → 軍需工業優先
被援助大国の実態 60 年代にはガラスや非鉄金属は総て 電力は 93.7 %が援助 → 中ソ対立の影響 → ブレジネフ時代(援助政策の見直し) → ソ連の崩壊(激減) →90 年代 中国も援助政策の見直し
ボーダフル・エコノミーの実態 貿易量の減少(極端な入超) → 生産減 → 輸出減 → 外貨減 → 輸入減 ( 06 年 経済制裁でさらに減少) 外資導入にも及び腰 四隅の開放 羅(津)先(鋒) 金剛山 新義州 開城
北朝鮮の経済の現状 90年代半ばの自然災害 → 飢餓、食糧援助を求める → 実際には60年代から経済は悪化 99年からようやくプラス成長 02年 経済管理改善措置 → 生産を回復させるインセンティブ・システム がない 03年5月 人民生活公債の発行 ハイパー・インフレと所得格差
経済関係が大きい中国から北朝鮮を見 る
増加する中国の対北朝鮮投資 件数 中国側投資〈万ド ル) ― 累計 ―
韓国の懸念は妥当か 中国の対北朝鮮経済関係が強化 → 「中国は北朝鮮を『東北の第 4 の省』にしよ うとしている」 「南北朝鮮が統一された後も中国は北朝鮮に 居座るのか」との懸念 貿易の増加 *清算勘定方式 →91 年以降ハードカレンシー決 済 *原油価格の高騰
投資の増加 *中国「走去出」(うって出る)戦略 → 多くの国で開発輸入 *対北朝鮮投資は全体の 0.02 %(金額) *採掘業や木材の伐採 → 逃げ足の速い投資 北朝鮮経済への波及効果が小さい *北朝鮮からの鉱石の輸入価格安価 江沢民時代は関係が希薄に 胡錦濤時代になって中国は関係の見直しを
鉱物資源輸入価格
中国の経済制裁はあったのか 北朝鮮は06年7月ミサイル発射、10月核実 験 → 中国の国連の決議案に対し、棄権ではなく賛 成票を投じる → 胡錦濤の対北朝鮮非難発言 → 核実験後、中国外交部は「悍然 」という言 葉を使い、北朝鮮を非難 → ただし「 1718 決議」という(制裁決議とは いわない) → 貨物検査、銀行送金の停止 → 06年10月31日「反マネーロンダリング 法」
月別中朝貿易
8月以降はむしろ安定的に推移(?) ただし原油の輸出量は不安定 (毎年2月の輸出量がゼロ) 中国は現在戦略的に原油輸出を行う (06年11月から原油に 5 %の輸出課税) 91年以降「友好価格」ではない 07 年 7 月訪朝した楊潔篪外相 「政府がガイドラインをつくり、民間が参加し、 市場が動かす」という原則
月別原油・石油製品対北朝鮮輸出
原油輸出価格(ドル / バーレル) 対世界対北朝鮮 04 年 年 年 1 ~ 6 月 年 7 月 年 8 月 年 9 月 66.5 n.a 年 10 月 年 11 月 年 12 月 年 1 ~ 6 月
食糧輸出も不安定 中国は3年連続の豊作 それにもかかわらず食糧輸出減少 (06年3月 トウモロコシの輸出割当決まらず トウモロコシをエタノールガソリンとして利用 → 国内価格が高騰したことから、輸出せず ( 06 年 85.5 %減の 3 万 9216 ㌧) (07 年上半期は前年同期 41.6 %減の 9525 ㌧ ) → 北朝鮮の食糧生産はやや回復しているが、核実験以 降、世界からの援助が減少し、 100 万㌧不足
6 カ国協議の開催と北東アジアの安定 03年 8 月から6カ国協議 (中国のシャトル外交) 05 年9月 共同声明 ( BDA の問題、北朝鮮のミサイル、核実験) 07年2月 核の無能力化の合意 07 年 9 月~北朝鮮「総ての核計画の完全な申告、総て の既存の核施設の無能力化に対する約束を真剣に実 施する」 他の 5 カ国「北朝鮮に重油 95 万㌧相当を限度とする経 済、エネルギー、人道支援を提供」する
中国の北朝鮮に対する考え方 「朝鮮は国内の連年の自然災害・・・国際社会 の反対を顧みず、ほしいままに核武装や遠距 離ミサイルを開発しているが、このようなや り方は国際社会に対する挑発であり、日韓両 国の実際の脅威となり、中ロに対する潜在的 な脅威となり・・・反対しなければならな い」 「このような国家に対して、我が国は全面的に 支持する道義的責任はない」