搬送波位相測定値による 精密測位の理論及び解析処理 Precise positioning theory and analysis with carrier-phase measurements 技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU GPS/GNSS シンポジウム 2005
内容 Contents A.4.1 はじめに A.4.2 精密測位のモデル A.4.3 パラメータ推定の手法 A.4.4 相対測位 A.4.5 精密単独測位 (PPP) A.4.6 精密解析の実際 A.4. 付 座標系の定義と変換
A.4.1 はじめに 精密測位 Precise Positioning GPS/GNSS 搬送波位相測定値に よる高精度測位技術
A 擬似距離 測位コードにより測定された信号伝搬時 間 × 光速 観測時刻 ( 受信機時計 ) 送信時刻 ( 衛星時計 ) 測位コード (PRN コード )
A 擬似距離 測位コードにより測定された信号伝搬時 間 × 光速 幾何学距離 受信機 時計誤差 衛星 時計誤差 電離層 遅延 対流圏 遅延 観測誤差 (10cm ~数 m)
GPS/GNSS 搬送波位相角の連続測定値 A 搬送波位相 搬送波波長 (m) 搬送波位相 (cycle) 搬送波
GPS/GNSS 搬送波位相角の連続測定値 A 搬送波位相 幾何学距離 受信機 時計誤差 衛星 時計誤差 電離層 遅延 対流圏 遅延 観測誤差 (1mm ~数 cm)
GPS/GNSS 搬送波位相角の連続測定値 A 搬送波位相 搬送波位相バイアス (整数不定性)
A 幾何学距離 x y z Satellite Receiver 送信時
A 幾何学距離 z Satellite Receiver x y 受信時
A 幾何学距離 光差方程式 (Light-Time Equation) を解 く 観測点位置 ( 受信時 ) 衛星位置 ( 送信時 ) 電波伝搬時間
A 幾何学距離 光差方程式 (Light-Time Equation) を解 く 受信機 時計誤差 受信時刻 観測時刻 ( 受信機時計 )
A 衛星方位・仰角 衛星方位・仰角 Az, El z (Up) x (East) y (North) Receiver El Az Satellite
A 衛星軌道・衛星時 計 放送暦 (Broadcast Ephemeris) 航法メッセージ中に含まれる 精度 : 軌道~数 m, 時計~ 10nsec 精密暦 (Precise Ephemeris) 世界中の観測局データにより決定した 高精度衛星軌道・時計情報 : 衛星位置 : 衛星時計誤差
A IGS 精密暦
A 精密暦 衛星軌道 一定間隔の衛星位置 ( 地球固定座標 ) → 多次多項式補間 (10 次以上 ) 衛星時計 一定間隔の衛星時計誤差 ( バイアス ) → 補間誤差、時計の定義に注意
A 電離層遅延 : 搬送波周波数 (Hz) Total Electron Content 総電子数 (TECU=10 16 el/m 2 )
A 電離層フリー LC 二周波搬送波位相による電離層遅延項消去
A 電離層モデル Receiver Satellite Ionosphere Earth Ionospheric Pierce Point z’ z H RERE Single Layer モデル
GIM(Global Ionos Maps)
A 対流圏遅延 天頂静水圧遅延 (2.0 ~ 2.4m) 天頂湿潤遅延 (0 ~ 0.4m) : マッピング関数 静水圧遅延 湿潤遅延
A 対流圏遅延 天頂静水圧遅延 ( ZHD ) 天頂湿潤遅延 ( ZWD ) 未知パラメータとして推定 地上気圧 (hPa) 緯度 高度 (m)
A マッピング関数 NMF(Niell Mapping Function) 仰角 Receiver Satellite Zenith El a,b,c : 係数 ( 緯度、高度、通算日 )
A 受信アンテナ位相中心 Antenna Phase Center Antenna Reference Point (ARP) Geodetic Reference Point Satellite Antenna Phase Center Offset
A 受信アンテナ位相中心 アンテナ位相中心パラメータ L1,L2 アンテナ位相中心オフセット L1,L2 アンテナ位相中心変動 (PCV) アンテナ機種毎テーブル 地上精密計測データベース
A 衛星アンテナ位相中心 精密暦 : 衛星重心位置 衛星アンテナ位相中心オフセット補正
A 衛星固定座標系 z x y Sun Earth Satellite
A 局位置変動 地球潮汐: 月・太陽の引力による弾性変形 固体地球潮汐 (Solid Earth Tide) 海洋荷重 (Ocean Loading) 極運動潮汐 (Pole Tide) etc 局位置変動 (Site Displacement) 最大上下変動:~ 20cm
A 局位置変動 TSKB : 2004/1/1 0:00-1/2 0:00
A Phase Wind-up 効果 GPS 搬送波 右旋円偏波 衛星ー受信機アンテナの相対的回転 → 搬送波位相の進行、後退
A 相対論効果 特殊相対論効果:衛星時計の遅れ 衛星軌道離心率 ≠ 0 → 衛星時計誤差の周期変動 → 最大で 10m 以上 放送暦・精密暦時計:相対論効果を除 去 衛星時計誤差 衛星位置・速 度 ( 慣性座標系 )
A マルチパス・観測誤 差 マルチパス 電離層遅延・対流圏遅延補正残差 受信機雑音 カットオフ角 仰角による Weighting
A 線形結合
A 最小二乗法 観測量 観測モデ ル パラメー タ 観測誤差 観測方程式
A 最小二乗法 非線形最小二乗法 初期値 の周りで線形 化 n m
A 最小二乗法 非線形最小二乗法 初期値 の周りで線形 化 最小二乗推定値
A カルマンフィルタ 逐次推定法 観測データ 推定値 観測更新 時間更新
A カルマンフィルタ 観測更新 時間更新
A.4.4 相対測位 最も一般的な精密測位 基本観測量:搬送波位相二重差 基準観測点からの相対位置 ( 基線ベクトル ) 干渉測位、基線解析
A 二重差 Receiver a Receiver b Satellite A Satellite B
A 二重差 (短基 線)
A 相対測位の原理 Receiver r Receiver R Satellite 1 Satellite 2 Satellite 3 Satellite n
A 相対測位の原理 観測値 未知パラメー タ
A 相対測位の原理 最小二乗推定値 全観測値
A 整数不定性決定 搬送波位相バイアス:実数解 → FLOAT 解 搬送波位相バイアス: 整数条件を利用した整数化 → FIX 解 最小二乗推定値
A 相対測位の応用 RTK( リアルタイムキネマティック ) 仮想基準点
A.4.5 単独測位 軌道 / 時計 放送暦 ~ 3m/ ~ 10 ns 雑音 + マルチパス コード 0.1 ~ 1 m 電離層 補正モデル 1 ~ 10 m 対流圏 補正モデル ~ 0.3 m 測位精度 数 m ~数 10m
A.4.5 精密単独測位 (PPP) 軌道 / 時計 精密暦 ~ 3cm/ ~ 0.1ns 雑音 + マルチパス 搬送波位相 0.3 ~ 1 cm 電離層 2周波線形結合 ~ 0.5 cm? 対流圏 モデル+推定 ~ 0.5 cm 測位精度 1cm ~数 cm
A 精密単独測位の原 理 Receiver r Satellite 1 Satellite 2 Satellite 3 Satellite n
A 精密単独測位の原 理 未知パラメータ 初期推定値・共分散行列
A 精密単独測位の原 理 観測更新 (1)
A 精密単独測位の原 理 観測更新 (2) 推定値
A 精密単独測位の原 理 時間更新
A 精密単独測位の例 TSKB 2004/10/3 0:00-3:00
A 精密単独測位の応 用 キネマティック PPP GDGPS(Global Differential GPS) 精密時刻同期 GPS 可降水量
A.4.6 精密解析の実際 解析データ 解析データ編集 単独測位による概略値計算 受信機時計飛びの検出・修正 サイクルスリップの検出・修正 パラメータ推定 アウトライアの検出・除去
まとめ 精密測位のモデル 幾何学距離、電離層遅延、対流圏遅延、 アンテナ位相中心... パラメータ推定の手法 相対測位 精密単独測位 (PPP) 精密解析の実際