難民問題の 背景にある もの 千葉大学 法政経学部 酒井啓子 1
今世界で起きている危 機: 世界に拡散する紛争、対 立 年 6 月 ~ IS のイラ ク制圧 月~ ロシア、 ウクライ ナ侵攻 月 チュニジ アで観光 客襲撃 月 サウジア ラビア、 イエメン 空爆 月 パリでの襲 撃事件 2015 ~. ヨーロッ パに大量のシリ ア難民流入 月〜 IS によるイラク北・西 部 支配 月〜 IS によるイラク北・西 部 支配 月 チュニジアで 観光客襲撃 月 チュニジアで 観光客襲撃 月 サウジアラビア、 イエメン空爆 月 サウジアラビア、 イエメン空爆 「シャルリ・ エブド」襲撃 事件 「シャルリ・ エブド」襲撃 事件 ボストンマ ラソンでの 爆破事件 ボストンマ ラソンでの 爆破事件 ボコ ハラム ボコ ハラム 月〜 ロシア軍、シリア空 爆開始 月〜 ロシア軍、シリア空 爆開始 パリ劇場カ フェ襲撃事件 パリ劇場カ フェ襲撃事件 月 マリでホテル 襲撃占拠 月 マリでホテル 襲撃占拠
ヨーロッパへ の難民大量移 動 3 リビア・イタリア経由の 海の脱出ルートで沈没多 数 → 陸路でトルコ → ギリシ ア → 東欧 中・東欧諸国の排外主義 遭難したアイラン君への 同情:クルド人一家
世界の難民数の推移 4
シリア国民の半分が国内外難民化 5
直接原因としてのシリア内戦 (2011 年 ) 6
「イスラーム国」( IS )の活動拡 大 (2014 年~ ) 7
世界の脅威と なった IS: 厳格な 統治、処刑、遺 跡破壊、アフリ カにも拡大 8
世界中のどこで「紛争」が発 生しているか (cf 年ロシアのウク ライナ侵攻 ) 9
米 Pattern of Global Terrorism pdf
Data by National Counterterrorism Center, (
米 Global Terrorism Databese によ る「テロ」件数( 2001 年以前と以 後):中東
IS の原因としてのイラク戦争:戦 後のイラク人民間人、米兵の死者 数 13
「イスラーム国」の根幹にある主張:カ リフ制の復興、欧米植民地支配への反駁 → 異教徒、異宗派への排撃 14
底流にある問題:イスラエルによ るパレスチナ占領 ( 西欧の対中東 政策のツケとしてのイスラエル建 国 )
抑圧されるパレスチナ難民・占領地住 民 → アラブ、イスラーム社会の共通の 憤懣
カリフ制の起源:初期のイスラー ム帝国
オスマン帝国の衰退と西欧列強による 浸食 (19 世紀~ 20 世紀 )
18 世紀アラビア半島 現地部族社会の荒廃 → ワッハーブ運動 原典への回帰主張 1930 年代 ムスリム同胞団の成立(ハサン・ バンナー) = スンナ派各地に同様の組織成立 穏健派(近代制度のなかで社会政治活動 ) 政権否定、暴力 的活動:ジハー ド団、アルカー イダなど イスラームに基づく国家建設 選挙容認・政権参加を 目指すイスラーム政党 ハマス(パレスチナ) ヒズブッラー(レバノ ン) ムスリム同胞団(エジ プト) 政府の弾圧 政府の親米・欧 化政策 19 世紀 西欧植民地進出 → 近代とどう対峙するか =イスラーム改革と祖国防衛 ジャマールッディーン・アフガーニー ( : イラ ン、エジプト、オスマン帝国など広範囲 ) ムハンマド・アブドゥ ( :エジプト ) 1908 年立憲革命 ( ウラマー中心 ) ウラマーの社会的 影響力 1979 年イラン革命 = イスラーム政権
イスラーム政党がなぜ社会的影響力 を持つか:紛争地域への福利厚生、 被抑圧者の思想的拠り所
シリア、イラクに流入する外 国人兵士 21
サウ ディアラビア、 イエメン空爆開 始 サウ ディ、シーア派 指導者処刑 → イ ランでサウディ 大使館襲撃 → 断 交 今後の不安材料としてのイエメン内戦 イラン、サウディアラビアの代理戦争として のイエメン、シリア内戦・・・宗派対立なの か ? 22
最後に:安保法制との関係 1月 人質事件 → 海外邦人の保護のための「自衛隊」利用 その一方で「対 IS 戦争には自衛隊は使わない」 海外邦人救出訓練に「島の奪回」シミュレーション 「ホルムズ海峡通過の石油タンカーの安全確保のために、ペルシ ア湾の機雷除去」自衛隊の任務として強調 → ペルシア湾は機雷が撒かれる状況なのか ? イランの対米接近 採決1週間前に「ペルシア湾への派遣はない」と発言 自国利益の追求のために「 IS に対する戦い」を利用する国々 23