構造物の長寿命化 2008 年 3 月 14 日
長寿命化のメリット 更新のための建設費用の節約効果 再建設に伴うエネルギーと資源の節減 施設取り壊し時に発生する廃棄物の削減 「土木用コンクリート構造物の長寿命化対策」渡 辺博志 『建設リサイクル』 2007 秋号 vol.41 pp ◎資源、廃棄物循環の流れを遅くする 「長寿命化を支える取り組み」鎌田隆英『建設リ サイクル』 2007 秋号 vol.41 pp.11-16
コンクリート構造物のリサイク ル 再生骨材の有効活用 – 技術基準や規格の整備( JIS) コンクリートガラの発生の抑制 新設コンクリートの長寿命化 – 材料や施工に起因する不具合が多い – 検査、施工に関わる仕様の導入
スケルトン・インフィル 建物を構造体と内装・設備に分けて設計 する考え方 「従来の木造住宅では耐震性を高めるために多く の柱と筋交いや耐力壁が必要になり、間仕切りも 壁も構造体の一部として設計しなければならず、 変化に合わせた間取り変更などは難しかった。」 p.81 『建設リサイクル』 2007 秋号 vol.41 内外装・設備・間取りが干渉しない耐久性の高い 構造物をつくれば、ライフスタイルに合わせた変 更が可能 – ★長期に使用するための変更可能性
住宅寿命の国際比較 住宅ストック更新周期 日本 30 年 ドイツ 79 年 フランス 86 年 アメリカ 96 年 イギリス 141 年 – 住宅の平均寿命の比較 日本 26 年 アメリカ 44 年 イギリス 75 年
建て替えのきっかけ – 「不具合や故障」が最も多く、その後に「高 齢者のため」、「広さ」、「外装の一新」、 「子供の成長」と続く。したがって、建築の 劣化、性能低下および維持管理の不備による 問題と、陳腐化および要求の変化に対応でき ない問題が、住まいの満足度を低下させ建替 えに至る要因になっている。」 p.12 「長寿命化を支える取り組み」鎌田隆英『建設リ サイクル』 2007 秋号 vol.41
材料・構法に対する予想耐用年 数 平均値 日本建築学会梗概集 – 構造材: 40 ~ 60 年 – 外装材: 20 ~ 30 年 – 建具: 20 ~ 25 年 – 設備: 12 ~ 17 年 「耐用年数は建築の部位によって異なるので、建 築の寿命を 100 年まで延ばすということは、構造 躯体を 1 周期としても、外装材を3~ 4 回、設備を 5 ~ 7 回変換できるような建築の更新システムが必 要である。」 – 「長寿命化を支える取り組み」鎌田隆英『建設リサイク ル』 2007 秋号 vol.41
陳腐化 – 「陳腐化は性能欠陥によるものでなく、変化 する要求を代替として満たすことができなく なるもので、機能面では時代の変化に対して 普遍性あるいは追随性が求められる。技術面 では断熱性、遮音性、設備機器性能など建築 の技術的変化に対する追随性と更新性である。 また、経済面では維持管理・運用のコストな ど低効率な部位に対する交換性が求められ る。」 p.13 「長寿命化を支える取り組み」鎌田隆英『建設リ サイクル』 2007 秋号 vol.41 ★変化に対応するフレキシビリティの確保
保守、修繕、改修 「保守は、日常的な保守・点検・清掃、故障に対 する軽微な補修作業である。リフォーム(修繕) は、低下した性能を建設当初まで戻すために行う 修繕で、実施内容には「外装の塗り替え」、「外 構の修理」、「外装部品の交換」、「防虫処理」、 「屋根葺き替え・樋の修理」などが多い。リノ ベーション(改修)は、建設当初の性能をその時 代に合った性能にまで引き上げたり、新たな要求 を満足させるための改修で、構造補強、模様替え、 健康カイゼン、環境改善、設備性能改善、および 福祉環境改善などがある。」 p – 「長寿命化を支える取り組み」鎌田隆英『建設リサイク ル』 2007 秋号 vol.41
再資源化の課題 ①単品に選別するときの素材の純度を高め粒度を揃える高 精度の選別技術を開発する。 ②再資源化の各作業相互の受け渡しに必要な受入基準や製 品スペックを整備する。 ③建設副産物に含まれる有害物質を特定、識別、選別、無 害化する仕組みと技術を開発する。 ④リサイクル品の品質保証、原料供給の不安定、情報不足、 コスト高など阻害要因を開発する。 ⑤リサイクル品普及のための中心課題が市場の整備である。 ⑥リサイクルシステムの有効性は、環境問題と資源循環に 対するライフサイクルの総合的な評価 (LCA) によって判断す る。 – 「長寿命化を支える取り組み」鎌田隆英『建設リサイクル』 2007 秋号 vol.41 p.15
情報管理 – 「建築のライフサイクルの経緯が追えるように、設 計・施工、保守・点検および修繕・更新・増築に関 する情報を保管・管理しメンテナンスしていく必要 がある。所有者、使用者および管理者が変わったり 変更・更新の手続きや保管場所の確保など種々の困 難を伴うが、建築を長期使用する上で重要な役割を 担うものである。 – 建築のライフサイクルでは、川上に遡る情報伝達が 重要であるが、ライフサイクル後半で起こり得るこ とが建築関係者に伝わっていないばかりか建築教育 でも取り上げられていないのが現状である。」 p 「長寿命化を支える取り組み」鎌田隆英『建設リサイクル』 2007 秋号 vol.41