4 次年度の省エネ・節電に向けて ~報告書データを踏まえて~ 4 次年度の省エネ・節電に向けて ~報告書データを踏まえて~
次年度の省エネ・節電に向けて ~報告書データを踏まえて~ 1 月別エネルギー使用量データの分析による改善 ①季節間の比較による改善例 ②年度間の比較による改善例 2 低コストで実施できる、空調の省エネ ①室温基準による空調管理 ②室外機のコイル洗浄 3 給湯・冷蔵などの温度設定の改善 ①温度設定の基準値の見直し ②季節に応じた温度設定の変更
1 月別エネルギー使用量データの 分析による改善 1 月別エネルギー使用量データの 分析による改善
オフィスAの月別電気使用量(H24年度実績) 1①季節間の比較による改善例 【地球温暖化対策報告書のデータより】 オフィスAの月別電気使用量(H24年度実績) (kWh) N証 S支店(A0937 0033) 【現場の状況】 OA機器増加などにより、中間期に冷房を使用するオフィスが近年増加。 → 中間期の空調エネルギーが増大している。
1①季節間の比較による改善例 【次年度に向けた改善例】 中間期に外気冷房を積極的に活用する。 中間期に外気冷房を積極的に活用する。 (「外の温度<室内温度」 かつ 室内が暑いとき、 外の空気を取り入れる量を増やす。 ) 外気冷房 :冷たい外気を建物内に導 入することにより、 冷房エネルギーを削減 <セントラル空調のケース> 20℃で そのまま給気 20℃ 20℃ 具体的には、 ・空調機の運転モードを 全外気運転に切替。 ・窓を開ける。 ・換気扇を回す。 28℃ 28℃で排気
【改善効果の試算】 光熱水費削減額 約19万円/年 CO2削減量 約5トン/年 1①季節間の比較による改善例 【改善効果の試算】 光熱水費削減額 約19万円/年 CO2削減量 約5トン/年 <試算の詳細(参考)> 用途:オフィスビル 延床面積:2,000㎡ 改善前の空調消費エネルギー量: 2,000m2×150kcal/m2÷860kcal/kW x10h/日x240日/年x負荷率0.35 ÷COP3.5=83,700kWh/年 削減エネルギー量:83,700kWh/年x15%=12,600kWh/年 削減金額:12,600kWh/年x15円/kWh=189千円/年 CO2削減量:12,600kWh/年x0.382t/千kWh=4,800kg-CO2/年 数値の最終チェックをお願いします。(電卓で)
1②年度間の比較による改善例 【地球温暖化対策報告書のデータより】 ・夏の節電が進む一方で、冬の節電は比較的進んでいない。 P本社 ・サンプルの事業所のエネルギー種別は、電気だけ、または、電気+上下水だけになっていますでしょうか? 念のための確認です。(石油とかガスとかが他にあるとNG)(OK) 【現場の状況】 ・夏の節電が進む一方で、冬の節電は比較的進んでいない。 → 電力需給逼迫の観点から、夏の節電意識・対策が冬に先行して 進んでおり、今後は冬の節電の余地が大きい可能性あり。
1②年度間の比較による改善例 過去年度対比の各月エネルギー使用量増減率を整理・夏冬の比較 →夏・冬の対策の実施内容の比較 →改善策の抽出 【次年度に向けた改善例】 過去年度対比の各月エネルギー使用量増減率を整理・夏冬の比較 →夏・冬の対策の実施内容の比較 →改善策の抽出 ※前年度との比較だけでなく、H22年度との比較を行うとなお良い。 <夏の省エネ対策リスト> 1 室温28℃の空調管理 2 こまめな消灯 3 デマンド監視による、 電力使用カット (空調一時停止) 4 空調の交互運転 <冬の省エネ対策リスト> 1 室温20℃の空調管理 2 こまめな消灯 比 較 <改善策の例> 冬も、デマンド監視による 電力使用カットを実施。 (デマンド警報発動値を夏より も低く設定。)
2 低コストで実施できる、空調の省エネ
2①室温基準による空調管理 【地球温暖化対策報告書の集計データより】 対策メニュー 平成23年度 実施率 平成24年度 温度計等による室温の把握と調整 ◆個票番号:57 ◆対策メニュー番号: C108・C207・C308・C507・C609・ C709・CA05・CB08 19.41% 18.50% 【現場の状況】 ・目安となる温度の基準がない → 従業員が適当に設定してしまっている。 ・設定温度の基準値はあるが、守られていない。 → 事業所の責任者自身が、 「基準値の設定温度にすると、室温が暑すぎる(寒すぎる)」 と感じており、形骸化 ・室温を計測しておらず、設定温度と室温にどの程度差が生じているか を把握できていないケースが多い。
2①室温基準による空調管理 【次年度に向けた改善例】 (1)継続して守れる“室温”の基準を設定する。 (<都推奨値>夏:室温28℃ 冬:室温20℃) (2)温度計を設置し、(1)の室温の基準を遵守する。 (客商売ならお客様エリアにも設置 → 特に、夏の”冷やし過ぎ”はコスト・CSの両面で損失) <ポイント> ・複数箇所に設置 (温度ムラへの対応) ・適切な箇所に設置 (日光や冷暖房の風が 直接あたる場所は避ける) ≪温度計の設置例≫
【改善効果の試算】 光熱水費削減額 約3万円/年 CO2削減量 約0.8トン/年 2①室温基準による空調管理 【改善効果の試算】 光熱水費削減額 約3万円/年 CO2削減量 約0.8トン/年 <試算の詳細(参考)> 用途:飲食店 延床面積:500㎡ 計算条件:夏冬それぞれ平均して1℃の空調緩和ができたとして試算 改善前の空調消費エネルギー量: 500m2×150kcal/m2÷860kcal/kW x10h/日x240日/年x負荷率0.35 ÷COP3.5=20,930kWh/年 削減エネルギー量:20,930kWh/年x0.10=2,093kWh/年 削減金額:2,093kWh/年x15円/kW=3万1千円/年 CO2削減量: 2,093kWh/年x0.382t/千kWh=800kg-CO2/年 数値の最終チェックをお願いします。(電卓で)
2②室外機のコイル洗浄 【地球温暖化対策報告書の集計データより】 対策メニュー 平成23年度 実施率 平成24年度 空調フィルターの清掃・点検 ◆個票番号:132 ◆対策メニュー番号 D104・D204 65.70% 70.76% 【現場の状況】 ・空調フィルターの清掃・点検の実施率は高まっている。 ・一方、室外機フィンコイルの洗浄を実施している事業所は少なく、 フィンコイルの表面が埃・カーボン等で汚れているケースが多い。 → 都の現地調査先事業所のうち、 約75%が洗浄未実施 → 空調エネルギー効率の低下
2②室外機のコイル洗浄 【次年度に向けた改善案】 空調機室外機の定期的な薬品洗浄を行う。 空調機室外機の定期的な薬品洗浄を行う。 ・具体的には、フィンコイルにアルカリ洗剤等の洗浄剤を散布後、 水道水で洗い流す。(最初は、専門の業者に依頼を推奨) →空調エネルギー効率の回復 <ポイント> ・3年に1回程度の頻度で実施(適切な頻度は、屋外機の立地等による) ・屋外機一台あたりの洗浄作業費は約1万円程度が目安 (室外機の個数が多くなるほど、一台あたりの費用は安くなる) ・汚れやすい立地の室外機で効果大(例:幹線道路近くの事業所の屋上)
2②室外機のコイル洗浄 出典:冷凍空調設備のサービス・メンテナンス(東京都一部加工) フィンコイル洗浄
【改善効果の試算】 光熱水費削減額 約9万円/年 CO2削減量 約2トン/年 2②室外機のコイル洗浄 【改善効果の試算】 光熱水費削減額 約9万円/年 CO2削減量 約2トン/年 <試算の詳細(参考)> 用途:オフィスビル 延床面積:1500㎡ 計算条件:設置されている屋外機能力28kW(10馬力)×10台とする。 現状の空調消費エネルギー量: 28kW/台x10台x12h/日x20日/月x12カ月x負荷率0.35÷cop3.5 =80,600kWh/年 削減エネルギー量:80,600kWh/年×0.07=5,640kWh/年 削減金額:5,640kWh/年x15円/kWh=85千円/年 投資金額:10台x12000円/台=120千円 投資回収年数:120千円÷85千円=1.4年 CO2削減量:5,640kWh/年x0.382t/千kWh = 2,150kg-CO2/年 数値の最終チェックをお願いします。(電卓で)
3 給湯・冷蔵などの温度設定の改善
3①温度設定の基準値の見直し 【省エネ診断結果の抜粋(設定温度基準)】 ・設定温度の基準はあり、守られているケースが多い。 食器洗い用 給茶用 事業所A 47℃ 事業所B 事業所C 43℃ 事業所D 事業所E 99℃ 事業所F 85℃ 推奨 38℃ 60℃ 【現場の状況】 ・設定温度の基準はあり、守られているケースが多い。 が、多くの事業所では基準値の見直しが行われていない。 → 不必要に高い給湯温度の基準が存在。
3①温度設定の基準値の見直し 【次年度に向けた改善案】 給湯温度設定の基準を見直す。 【改善の実例】 給湯温度設定の基準を見直す。 【改善の実例】 飲食店Cの給湯温度基準の見直し。(給湯の主な目的は、食器洗浄) ・改善前:43℃ ・改善後:41℃ 【改善による実際の効果】 ガス使用量:約5%減 【補足】 その後、検討を重ね、 現在、38℃を基準としている。
3②季節に応じた温度設定の変更 平成24年度 対策メニュー 実施率 中央熱源機器等の季節設定実施 【地球温暖化対策報告書の集計データより】 ◆個票番号:90 ◆対策メニュー番号 C310・C403・C509・C611・C711・C805・C129・ C311・C409・C519・C817 6.98% 季節に応じた温度設定の見直し ◆個票番号:91 C129・C311・C409・C519・C817 5.00% 【現場の状況】 ・中央熱源機器・冷蔵冷凍ケース・給湯等について、 季節に応じた温度設定の変更を行っている事業所は少ない。 → 季節別の設定変更により、コスト削減の余地あり。 ・対策メニューの1列目2行目と3行目のセルは、スライド9枚目の1列目2行目と同じレイアウトにしてください。
3②季節に応じた温度設定の変更 中央熱源機器・冷蔵冷凍ケース・給湯等の機器について、 季節別の温度設定を行う。 【中央熱源機器の改善例】 【次年度に向けた改善案】 中央熱源機器・冷蔵冷凍ケース・給湯等の機器について、 季節別の温度設定を行う。 【中央熱源機器の改善例】 商業ビルD(セントラル空調)の冷温水発生機の設定温度を以下の ように見直した。 ・改善前:<冷水>年間を通じて、 7℃で一定 <温水>年間を通じて、45℃で一定 ・改善後:<冷水>夏 7℃、中間期10℃、冬10℃ <温水>夏40℃、中間期40℃、冬45℃ 【冷蔵冷凍ケースの改善例】 スーパーEの清涼飲料水のショーケースの設定温度を以下のように 見直した。 ・改善前:夏5℃、冬5℃ ・改善後:夏7℃、冬10℃
3②季節に応じた温度設定の変更 【改善効果の試算】 (前スライドにおける中央熱源機器の改善例の場合) 光熱水費削減 約7万円/年 CO2削減量 約2トン/年 <試算の詳細(参考)> 用途:テナントビル(商業複合系) 延床面積:12000㎡ 現状の中間期の空調消費エネルギー量 =12000m2x部分負荷40kcal/hm2÷860kcal/kWx10hx中間期90日 x負荷率0.5÷cop3.5=71,700kWh/年 削減エネルギー量:71,700kWh/年×0.06=4,300kWh 削減金額:4,300kWh/年x15円/kW=65,000円/年 CO2削減量:4,300kWh/年x0.382t/千kWh=1,640kg-CO2/年 数値の最終チェックをお願いします。(電卓で)
【参考】目標設定の状況について 【H25年度地球温暖化対策報告書の集計データより】 選択項目 目標「無」 目標「有」 選択率 60.8% 【参考】目標設定の状況について 【H25年度地球温暖化対策報告書の集計データより】 選択項目 目標「無」 目標「有」 選択率 60.8% 39.2% 目標と する項目 ベンチマークレンジ CO2削減率 (前年度比) CO2排出量 (延床面積当たり) (総量) その他 目標設定 事業所数 10 1251 43 1441 ※ 目標値 の平均 ― 5.9% 57.4 kgCO2/㎡ 55.3t ベンチマークの目標値としては、「A4」や「A3」がやや多いようです。 その他の目標の記載事例 ・ 中規模テナントビルのCO2排出原単位平均値(78.1kg‐CO2/㎡) より20%以上低いCO2排出原単位水準を維持することを目標とする。 ・ 年間電力使用量目標:約2万9千kWhを達成する。