日本学術会議マスタープランへの提案 ガンマ線バーストを用いた初期宇宙探査計画 HiZ-GUNDAM 主査: 米徳 大輔(金沢大学) HiZ-GUNDAM WG 光赤天連シンポジウム「光赤外将来計画:将来計画のとりまとめ」( 2016/02/09 – 10 国立天文台.

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硬 X 線で探るブラックホールと銀河の進化 深沢泰司(広大理) 最近の観測により、ブラックホールの形成と 銀河の進化(星生成)が密接に関係することが わかってきた。 ブラックホール観測の最も効率の良い硬 X 線で 銀河の進化を探ることを考える。 宇宙を構成する基本要素である銀河が、いつ どのように形成され、進化してきたか、は、宇宙の.
COBE/DIRBE による近赤外線 宇宙背景放射の再測定 東京大学, JAXA/ISAS D1 佐野 圭 コービー ダービー.
2020 年( TMT 、 SPICA 時代)の すばる望遠鏡 高見英樹 ( 国立天文台) 年の光赤外の情勢 大きな流れ TMT 稼働開始 SPICA 打ち上げ、 JWST は? LSST 稼働開始、 HSC の役割は? Keck 、 Gemini は存続だが予算は厳しい、 VLT は着実.
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ガンマ線バーストを用いた 初期宇宙探査計画 HiZ-GUNDAM ガンマ線バーストを用いた 初期宇宙探査計画 HiZ-GUNDAM Hi gh - z G amma-ray bursts for Un raveling the D ark A ges M ission HiZ-GUNDAM WG メンバー.
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将来計画委員会 組織名 設置 人数 活動 高宇連 2013-, 名 宇電懇 なし? 惑星科学会 常設 7名
広視野望遠鏡を用いた ガンマ線バーストの可視光同時観測
HETE-2のバースト観測ネットワーク マウイ 副地上局 パラオ 副地上局 シンガポール 主・副地上局 赤道
2006年2月22日 宇宙重力波干渉計検討会 - 小型衛星とDECIGO - 川村静児 国立天文台
南極中口径望遠鏡計画 (AIRT) スーパーアースを持つ多惑星系のトランジット連続観測による系外惑星の大気構造の研究
HiZ-GUNDAM ガンマ線バーストを用いた 初期宇宙探査計画 HiZ-GUNDAM WG メンバー
Building Research Institute
ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
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プロポーザル準備/観測準備 ダストをたくさん持つ銀河 の赤外線分光観測の例 国立天文台 今西昌俊.
AOによる 重力レンズクェーサー吸収線系の観測 濱野 哲史(東京大学) 共同研究者 小林尚人(東大)、近藤荘平(京産大)、他
南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
ガンマ線連星LS 5039におけるTeVガンマ線放射とCTA
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突発現象のToO観測 野上大作 (京大 花山天文台) 2011/09/07(Wed)
高周波観測 大田 泉 (甲南大学理工学部) 空気シャワー電波観測ワークショップ2014@甲南大
LCGT Collaboration Meeting (2010年2月15日)
トランジット法による低温度星まわりの地球型惑星探索と大気調査
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WISHによる超遠方クエーサー探査 WISH Science Meeting (19 July 三鷹
みさと8m電波望遠鏡の 性能評価 富田ゼミ 宮﨑 恵.
S3: 恒星とブラックホール (上田、野上、加藤)
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WISHによるhigh-z QSOs 探査案 WISH Science Meeting (10 Mar. 三鷹
赤外線で見る宇宙の始め 京都大学 理学部 舞原 俊憲
宇宙の一番星が見えてきた ─ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドで 発見された131億光年彼方の銀河は一味違う─
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全体計画:「我国の取るべき道」 (Executive Summary 最終節)
国立天文台 光赤外研究部 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
銀河物理学特論 I: 講義3-4:銀河の化学進化 Erb et al. 2006, ApJ, 644, 813
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 天文科学センター 伊藤洋一
岡山188cm望遠鏡時間の 割り当て状況 泉浦秀行 国立天文台岡山天体物理観測所 1/17/ 光赤天連シンポ@京都大学.
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COSMOS天域における ライマンブレーク銀河の形態
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東邦大学理学部物理学科 宇宙・素粒子教室 上村 洸太
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小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
小型衛星パスファインダーによる総合的試験
京都大学理学研究科 中村卓史 2006年2月24日 国立天文台
京大他、東大やアデレード大学など日豪の16機関が共同で、オーストラリアの砂漠地帯に望遠鏡4台を建設しTeVγ線を観測している。
宇宙線研究室 X線グループ 今こそ、宇宙線研究室へ! NeXT
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光天連シンポジウム「2020年に向けてのロードマップ」
大学間連携第1回キャンペーン観測: δ Sct型脈動星IP Virの連続観測
超高光度赤外線銀河(ULIRGs)中に埋もれたAGNの探査
宇宙の初期構造の起源と 銀河間物質の再イオン化
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講義ガイダンス 「宇宙の物質循環を理解するために使われる物理・化学・数学」
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JASMINEワークショップ March 6-7,2003 松原英雄(宇宙研)
Introduction to the X-ray Universe
ようこそ Hot Universe へ Fes. 馬場 彩 Contents X線天文学とは?
天文・宇宙分野1 梅村雅之 「次世代スーパーコンピュータでせまる物質と宇宙の起源と構造」
すばる/HDSによる系外惑星HD209458bの精密分光観測
COSMOS天域における赤方偏移0.24のHα輝線銀河の性質
COSMOS天域における 高赤方偏移低光度クェーサー探査
ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 竹腰達哉 北海道大学修士課程2年 Collaborators:
形成期の楕円銀河 (サブミリ銀河) Arp220.
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日本学術会議マスタープランへの提案 ガンマ線バーストを用いた初期宇宙探査計画 HiZ-GUNDAM 主査: 米徳 大輔(金沢大学) HiZ-GUNDAM WG 光赤天連シンポジウム「光赤外将来計画:将来計画のとりまとめ」( 2016/02/09 – 10 国立天文台

宇宙科学探査プログラム検討チームによる研究分野の 目標,戦略,工程表に関する打ち合わせ資料( 2015 年 9 月 24 日版)より抜粋・追記

(1) 宇宙再電離時期の同定と大規模構造形成の初期段階の探査 ・ 赤方偏移 7 < z < 12 の銀河間物質において、水素の中性度が 50% よりも 高いような宇宙再電離の開始時期を明確に同定する。 z > 7 の GRB からを 4.5 ~ 11 例の中性 IGM の検出、 z > 10 に対しても 1.5 〜 4.5 例の 検出 ・ 中性度が 10% 程度の銀河間物質を検出し、宇宙再電離の進行度合いの 不均一性を測定し、大規模構造形成の初期段階および進化過程を探査する。 5 < z < 7 の 4 例の GRB から中性 IGM の検出 (2) 初期宇宙の星・ブラックホール形成史の解明を目的とした 高赤方偏移 GRB の発生率の測定 ・ 大質量星による宇宙再電離シナリオを検証するために、赤方偏移 z>7 に おける GRB 発生率を誤差 30% の精度で測定する。 ・ 赤方偏移 z > 7 におけるブラックホール形成率を測定し、 銀河中心の巨大ブラックホールへの進化を探る。 z > 7 の高赤方偏移 GRB を 15 ~ 37 例検出 (3) 低金属環境と宇宙最初の重元素の探査 ・ 炭素、酸素、硫黄、シリコンなどの重元素量を太陽組成の 0.1 〜 1% の精度で 測定し、 z > 7 以上の初期宇宙における化学進化を測定する。 21 等級 (AB) の GRB で、水素柱密度 log(N HI ) = 20 の環境の吸収線から [M/H] = -2.0 〜 等級ならば [M/H] = -3.0 検出期待値は (1) よりは多く、最大 (2) まで

X 線撮像検出器近赤外線望遠鏡 観測帯域 2 ~ 20 keV ( 要求値 ) 1 〜 20 keV ( 目標値 ) 0.5 μm < λ < 2.5 μm 観測視野 1 ステラジアン以上 20 分角( 10 分角よりも十分大きい視野) 方向決定精度 10 分角 ( 目標 2 分角 )2 秒角 赤方偏移の測定 ― 可視光・近赤外線の 4 色測光以上 検出感度 10 –8 erg/cm 2 /s ( 要求値 ) 10 –9 erg/cm 2 /s ( 目標値 ) レートトリガーで erg/cm 2 /s イメージトリガーで erg/cm 2 /s 10 分露光で 20.7 等級 (AB) (S/N=10) 0.5–0.9 μm (21.5 等級 ) 、 0.9–1.5 μm (21.3 等級 ) 1.5–2.0 μm (20.9 等級 ) 、 2.0–2.5 μm (20.7. 等級 ) アラート情報時刻、発生座標、明るさなど時刻、詳細な発生座標、明るさ、赤方偏移の情報 アラート時間に 対する要求 30 分以内 ミッション要求口径 30 cm のスペース望遠鏡

光赤天連「研究領域の目標・戦略・工程表」における位置付け 光赤天連工程表およびスペース将来計画工程表では、 SPICA 衛星が基幹計画 HiZ-GUNDAM は、 SPICA が網羅する宇宙よりも遠方を観測することで、 宇宙再電離や初期宇宙の星・ブラックホール形成史などを、多波長連携で 推進するミッションとして相補的に位置付けられている。 また、ミッション達成には地上大望遠鏡による分光観測との連携が重要であるた め、 HiZ-GUNDAM チームと地上観測研究者との協力体制の強化を促進していく ことも工程表に示されている ( 2015 年 2 月 2 日、光学赤外線天文連絡会 提出) ミッション機器開発の考え方 2 つのミッション機器である「広視野 X 線撮像検出器」と「近赤外線望遠鏡」については、 日本国内の体制(主に HiZ-GUNDAM WG )で完遂可能な概念設計を行なっており、 積極的な国際協力は考えていない。 アラートの運用方法については積極的な国際協力体制を構築すべきと考えている。 搭載望遠鏡は CIBER-2 実験をフロントローディングと位置づける。

人材育成・基盤整備等 HiZ-GUNDAM ワーキンググループは、飛翔体実験を経験してきた多数の研究者で 構成されており、責任を持って開発を進めてける。 近赤外線望遠鏡を担当するグループには、これまでに地上望遠鏡の開発を 行ってきた研究者も含まれている。衛星開発の有識者とともに研究することで、 将来のスペース計画を支える人材育成にも大きく貢献できると言える。 HiZ-GUNDAM 計画のスムーズで遅滞のない推進を実現するためには、 SPICA 計画を初めとする基幹プロジェクトとのリソースの調整や、 関連技術のノウハウの共有を促進すると共に、特にマンパワーの競合については 光赤外コミュニティ内で整理し、柔軟なリソースの配置を図ることが必要と認識している。 一方で、光赤天連では 2006 年に打ち上げられた「あかり衛星」以降、 SPICA の実現まで主要な衛星プロジェクトが無いことから、技術伝承・後継者育成が 困難な状況が続いていることも認識されている。将来の光赤外線天文学にとって スペース天文学を発展させることは必須であり、そのためには地上観測で培われた 技術やノウハウをスペースで活用するという考え方も必要であろう。 HiZ-GUNDAM を推進するグループは地上観測者メンバーも含むことから、 X 線・近赤外線の衛星プロジェクト経験者らのリードの下で共同開発することで、 人材育成にも貢献できるだろう。