大向一行 京都大学 大学院理学研究科 物理学第二教室 SKA日本サイエンス会議 「銀河進化と遠方宇宙」 2013年2月12日 @コープイン京都.

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大向一行 京都大学 大学院理学研究科 物理学第二教室 SKA日本サイエンス会議 「銀河進化と遠方宇宙」 2013年2月12日 @コープイン京都

目次 21cm線でさぐる初期天体形成 宇宙初期の星形成 種族III星、種族II星 初代BH形成

宇宙137億年の歴史 主に観測的に アプローチ 137億 年 (現在) 理論による アプローチ Bromm & Larson Scientific American より 一部改変 10億年 1億年 1 00 万年 21cm線観測!

Were the population III stars indeed massive ? Which population of stars reionized the universe ? SKA will probe them by 21cm line ! 21 ㎝線で探る初期天体形成

Basics of 21cm transition Collisinal de-ex. coeff. Ly  coupling: Wouthuysen-Field effect T S  T K In the following environments: dense /hot/moderately ionized gas Abundant Ly  photons Furlanetto et al. (2006) x , x c: Ly  /collisional coupling coefficients T C (=~T K ) : Ly  color temperature For 21cm line to be observable, T S must deviate from T 

Global IGM evolution and its signal TKTK TT TSTS Absorption: cosmological Abs. & emi.: astrophysical z reion This trough shows the strength of Ly  flux Pritchard & Loeb (2008)

Reionization by Pop III vs Pop II Pop II Pop III Pop III stars: hot & top-heavy emit fewer Ly  photons than Pop II stars do. Pop II stars make deeper absorption trough (i.e., more Ly  coupling) than Pop III. Furlanetto (2006)

T b fluctuation signal Pritchard & Loeb (2008) cm power spectrum 1. High-z regime collisional coupling, tracks density field 2. Int.med.-z regime star formation  enhances Lya coupling reionization  reduces neutral gas rich in astrophysics 3. Post-z reion regime reflects distribution of residual neutral matter reionization First star formation

宇宙初期の星形成

原子冷却は T>10 4 K での み有効 それ以下では, H 2 による 冷却が重要 H 2 温度が高い ( >10 3 K )と形成 始原ガスの輻射冷却率 Barkana & Loeb 2001 始原ガスの輻射過程 衝突により回転状態 が励起される (第一励起エネルギー 0.044eV; 512K) 28μ m 光子(赤外線)を出して 元の状態に戻る 水素分子( H 2 ) 回転放射

初代天体形成 階層的構造形成 小天体が最初に形成 星形成が起こる条件 物質が集まってショック加熱 した後(ビリアル化)、さらに 収縮して星になるには輻射冷却 が必要 初代天体 (3  合) z~ 30, M ~ 10 6 M sun, T vir ~ 3000K H 2 輻射により冷却 Tegmark et al (Couchman & Rees 1986) ・何 σ の天体が適当か? νσ の天体の形成時期は z~νx10 くらい

初代天体(ミニハロー)の誕生 Yoshida, Abel, Hernquist & Sugiyama (2003) 600h -1 kpc ΛCDM モデル 密度揺らぎから初代天体の形成までシミュレー ション 初代天体 ヴィリアル温度が 1000 K 以上のハロー (初代天体; ~10 6 M sun, z~20-30 で誕生) 中では、水素分子の 回転遷移により ガスが冷却して より高密度になる。  星形成

原始星が誕生 水素分子冷却により 数密度 ~10 4 cm -3 で、 質量 ~1000M sun の高密度コアが形成。 その中で ~10 21 cm -3 の 原始星が誕生。 初期質量 ~10 -2 M sun 吉田、大向、 Hernquist 2008 ~1000M sun 高密度 コア ~1/100M sun 原始星 温度進化

最終質量は降着が いつ終わるかで決まる。 原始星形成までは分かった。 では、初代星の質量は? Collapse 終了時: M  の原始星 10 3 M  のガス

原始星への質量降着率 原始星形成後、外層がほぼ自由落下で降着する時 高温のガスによる星形成の際には降着率は大き い 原始星形成前形成時形成後 log n log r log n logr logn logr Z sun Z=0 λJλJ 種族 I (10K) で ~10 -6 M sun /yr, 種族 III (1000K) では ~10 -3 M sun /yr 初代星形成時の 降着率の時間進化

超大質量星形成か? ~100M sun で主系列星になる。 その後も、降着は止まることな く続く 星の寿命のあいだ降着がつづけ ば 900M sun (~コア質量)に達す る 原始星半径の進化 シミュレーションから予想される 降着率の 1, 2/3, 1/3 の場合 球対称性の仮定もと、 原始星と降着外層の進化を計算 降着率の時間変化 KO& Palla 2003, Yoshida, KO, Hernquist 2006

原始星の降着進化 原始星生成時の状態 宇宙論的シミュレーションから 初期条件を作る - run-away collapse 途中から開始 ( 中心密度 n c ~ 10 6 / cc の時 ) - n c ~ /cc になるまで軸対称下で collapse 計算 - その後中心に 10AU の星粒子 を置いて 降着期進化に切り替え 4000 AU ρ & v T 細川ほか 2011 吉田計算

降着期 :HII 領域の成長 M * =19M  M * =22.5M  M * =27.5M  M * =30M  電離領域 T ρ & v 降着円盤

電離領域膨張と円盤光蒸発 AU M * =35M   電離領域の膨張 - 極方向に大きく膨張 - 円盤の陰以外のガスは飛ばされ る  円盤光蒸発 a few x 10 km/s で極方向に抜け る

降着率の進化  UV 光 feedback の為に大幅に降着率が低下する  この場合、星質量~ 43 M  で星への降着が止まる。 質量降着率 ( M  /yr ) 星質量 ( M  ) No Feedback With Feedback

原始星の進化 星質量 ( M  ) 星半径 (R  ) log 電離光子 光度 (/sec ) ZAMS 断熱降着 K-H 収縮 主系列到達以前にも 強い feedback Kelvin-Helmholtz 収縮期 (有効温度& UV 光度 急上昇) 急激に UV feedback が働き 降着を止める。 ~40Msun で熱核反応 (CNサイクル)による 熱生成のため収縮が止まる → 主系列星へ到達

第二世代の始原星 ( 種族 III.2 星 ) 始原ガスからは大質量星しかできないのか? 始原組成でも、一旦電離を経験したガスは 熱進化が変わる ( Uehara & Inutsuka 2002 ) 。 HD 形成、冷却が重要になる。 – 1)電離  H 2 が多量(個数比 程度)に形成 (e 触媒 ) –2) H 2 冷却で、普通より低温 (<150K) となり HD 形成 (HD の方が少し (421K) 安定なため ) –3) HD 冷却によりさらに低温になる( CMB 温度近くまで冷 却)。 冷却関数

Pop III.2: Star formation in an initially ionized gas Ionized environments e.g., relicl HII region, SN blast wave, structure formation shock HD formation and cooling ionized neutral Nagakura & KO 2005 Yoshida, KO, Hernquist 2007 Temperature Evolution dense core mass scale ~ 40 M sun Initial ionization  H 2 forms abundantly

Hosokawa

Pop III.2 星形成( HD モード)への 光解離の影響 Vulnerable to FUV G 0 >~10 -2 no HD cooling This is due to H2 photodissociation (Not due to HD photodissociation) Relic HII region では現実の宇宙で は Pop III.2 は形成されない? Shocked region ではよさそう (Nakauchi+ in prep.) ? G 0 : strength of FUV ~1 in our Galactic disk

初代星も連星とし て形成 初期条件として 10 3 cm -3 で ほぼ平衡状態の球 (Bonner-Ebert 球 x1.01) +回転& bar-mode ゆらぎ)  回転パラメータ    ゆらぎ bar (m=2) A   + m=3 少しでも回転しているコア は分裂 (現在の星形成の場合以上に 連星形成しやすい) 回転エネルギー / 重力エネルギー 非軸対称性揺らぎの大きさ 町田、大向、松本、 犬塚(2008)

宇宙論的シミュレーションでも連星形成 2009- 宇宙論的な計算で も、連星 / 小星団形 成がおこることが 確認されている。 おそらく大質量 (数 10M sun )連星  GRB親星、重 力波源 一部は小質量 (<1M sun ) のまま放出  銀河ハロー中に 今でも見つかるか も! Greif et al Turk et al Clark et al Stacy et al. 2010

星の種族 III/II 遷移 宇宙の初代星 (種族III星) 理論から典型的に大質量(太陽の数 10 倍)と予想されている。 ( 連星形成の際に小さいものも出来るかもしれない ) 太陽近傍の星 (種族II,I星) 典型的に低質量 ( 太陽の 倍 )  宇宙の歴史の中で、典型的な星質量が大質量から小質量へ と遷移が起こった ( 種族 III/II 遷移 ) これはどのようにして起こったのか? 星間ガス中への重元素の蓄積とそれによる冷却 (たぶ ん) 磁場、乱流、外部輻射の効果など (具体的な機構は不明なのであまり真面目に考えられていない) 29

重元素冷却による分裂 2つの流派がある。 微細構造線冷却 [M/H] > -3.5 (Bromm et al. 2001;Bromm& Loeb 2003;Santoro&Shull 2006; Smith & Sigurdsson2007 ; Frebel et al など ) 不定性が少ない。観測とあう。十分低質量になるか? ダスト冷却 [M/H] > (Omukai 2000; Schneider et al. 2002, 2006; Tsuribe & Omukai 2006; Dopcke et al など ) 不定性が多い。観測と比較しにくい。十分低質量になる。 30

低金属度ガスの熱進化 1 1) ダストの熱放射による冷却 : [M/H] > ) ダスト表面反応による H 2 形成&冷却 : [M/H] > ) 微細構造線による冷却 (C と O): [M/H] > -3 これは1D計算 ダストの性質は近 傍の星間ガスと同じ とした。 [M/H] := log 10 (Z/Z sun ) Line-induced dust-induced 低質量(<1Msun)の分裂片はダスト冷却によってのみ形成される 大向, 細川, &吉田 2010

Dust-induced fragmentation [M/H]=-5.5 Z>Z cr ~10 -5 Z sun, fragmentation into low-mass (0.1-1M sun ) objects With slight Z enrichment, low-mass stars begin to form. Tsuribe & KO (2006; 2008) Dopcke et al. (2011) 10AU [M/H]=-4

Cなども入れるとこれまで でいちばん低金属度の星 D trans は D trans,crit 以下 (微細構造線理論では説明 できず。ダスト理論ならO K) Nature 477, 最近、ダスト理論に有利な発見

初代BH形成 Supermassive BH Ubiquitously exist at the center of galaxies BH mass correlates with galactic bulge mass M BH =2x10 -3 M bulge

降着による BH の成長 近傍の BH 質量密度は QSO が ε=0.1 で Eddington 降着しているとした予 想値とだいたい一致している (Soltan 1985, Yu&Tremaine2002) 。 Eddington-limited accretion  dM BH /dt) c 2 =L Edd =4  GM BH m H c/  T より M BH =M seed exp(t/t Sal ) ; ここで t Sal =  T c/4  Gm H =0.05Gyr   M seed =100M sun, M BH =10 9 M sun のとき、 t grow = t Sal ln(M BH /M seed )= 0.8Gyr (cf. 宇宙年齢 0.8 Gyr[(1+z)/8] -3/2 )

SDSS J1148 M BH =3x10 9 M sun, z=6.42 (0.87Gyr) ULAS J1120 M BH =2x10 9 M sun, z= (0.77Gyr) e-folding time 2ε High-z SMBH 成長時間はかなり厳しいが Eddington rate で降着が 続けば、辛うじて OK か

種 BH の成長 数密度 中性度 low phasehigh phase Eddington limit 平均すると降着率は Eddington limit の 30% Bondi 降着率の 0.2% 。 ⇒種 BH の成長は順調とは言えないようである。 Milosavlievic+2009 BH 100Msun

重力波放射による反跳 スピンが 反平行な場合 BH 連星の合体時、重力波放射の反作用として、 典型的に数 100km/s の kick velocity を受ける。 宇宙初期のハローの脱出速度を上回り、ハロー外に放出される ⇒合体による成長もあまりうまくいかないようである。 Koppitz+2007 Campanelli+2007

Head start は可能か? M BH =M seed exp(t/t Sal ) 種 BH の質量が最初から大きいと短い時間で SMBH へと成長する。 何らかの方法で巨大な種が形成できないか? 今回は宇宙初期に超大質量星 (>10 5 M sun ; post-Newton 不安定で BH に ) が形成される可能 性を考察する。

Requirements for SMS formation by direct collapse Fragmentation suppressed – Rapid cooling  fragmentation Without such cooling  no fragmentation. – H 2 cooling is suppressed by FUV photodissociation Formation timescale shorter than lifetime – High accretion rate >M * /t * ~10 5 M sun /2x10 6 yr ~0.05M sun /yr – If no H 2, T~10 4 K dM*/dt ~c s 3 /G~ 0.06M sun /yr (T/10 4 K) 3/2

primordial gas with strong FUV field FUV intensity J<J crit  at some density, H 2 cooling and fragmentation J>J crit  isothermal collapse continues (H 2 collisionally dissociated > 10 4 cm -3 ) Omukai 2001, Omukai & Yoshii 2003 T rad =10 4 K

SMS formation by the isothermal collapse Bromm & Loeb 2003 M~10 8 M sun halo virializing at z~10 (2over-density) with strong FUV J 21 ~4000 Fragmentation is inefficient  direct collapse to 10 6 M sun supermassive star non-rotating rotating

New scenario: high-density shock in primordial gas shocks at > /cc, with> several 10 3 K – H 2 collisionally dissociated – Fragments at 8000K with >~10 5 M sun – Isothermal collapse thereafter Supermassive star formation Inayoshi & Omukai 2012

Supermassive Star Formation is Common! The high LW fluxes required for SMS and direct collapse BH formation are present, even in our (4 Mpc) 3 simulation volume JLJ, Dalla Vecchia & Khochfar 2012; see also Agarwal et al. 2012, Hummel et al. 2012, Petri et al Supermassive stars may be more common than previously thought J. Johnson’s slide

Condition on Metallicity For [M/H] gas > -3, the condition for the isothermal collapse becomes more stringent. For [M/H] dust > ~-5, dust causes rapid cooling and fragmentation Note: dust formation in the early universe is inefficient. Only <~10% survives after SN reverse shock (Nozawa et al. 2006; Bianchi & Schneider 2007).  if so, [M/H] dust < -4 KO, Schneider, Haiman 2008 dust cooling Gas metals Dust For SMS formation; [M/H] gas < -3 [M/H] dust <-5

Possible sites of high-density shocks Galaxy merger driven inflow (Mayer et al. 2010)  probably metal-rich 大スケール 中心部 拡大

Possible sites of high-density shocks Cold-accretion-flow shock in the central ~10pc region of the first galaxy (Dekel & Birmboim 2006, Wise, Turk & Abel 2008)

First galaxy は BH の成長にも適した環境 cold flow による accretion は feedback をあまり受けず、 SMBH(M seed =10 5 M sun ) は順調に z~7 までに 10 9 M sun に成長。 以後、 hot accretion が主になると feedback を受けて成長が鈍化。 di Matteo+ 2011

分裂が回避できたとして 超大質量に成長できるだろうか? コラプス終了時: M sun の原始星 まわりに M sun のガス

New Branch at high accretion rate stellar radius : R * ( R  ) stellar mass : M * ( M  )  New evolutionary branch with higher rates of > 0.01 M  /yr  The star continues to expand, never contracting to the ZAMS Hosokawa & KO in prep.

Stellar radius : R * ( R  ) Stellar mass : M * ( M  )  Unique mass-radius relation: R * ∝ M * 0.5, which is independent of mass accretion rates  7000R sun ≒ M sun : “supergiant” protostars ∝ M * 0.5 At even higher accretion rates Hosokawa & KO in prep.

10 -3 M  / yr Most part of the stellar interior contracts, and central temperature increases H-burning begins at 700M , but the star is still bloating (different from the ZAMS ) Interior Structure

Evolution on the HR diagram NO UV feedback from bloated massive stars Very massive stars (> 100M sun ) could form via very rapid mass accretion with > 0.01 M sun / yr. (but still unknown if the star becomes supermassive (10 5 M sun ) or not)

まとめ (その1) 宇宙最初の星の誕生について分かったこ と 宇宙最初の星は z~20-30 に、 M sun のハロー中の、 数 100M sun の高密度コア中で、質量 40M sun の星として誕 生 おそらく連星~小星団として形成 コア崩壊型超新星として重元素を放出

星間ガス中に蓄積したダストの放射冷却により高 密度で温度の急な低下が起こる。これにより低質 量の塊が形成される。 ダストによる分裂に必要な金属量は太陽の10万 分の1くらい。 まとめ (その2) 種族III / IIの遷移について分かった こと

星質量BHからの成長は結構厳しい。 → 超大質量星起源の massive seed が最近好まれている。 超大質量星形成シナリオ 光解離かショック解離によりH 2 無しのまま等温収縮@8 000K この際の降着率は極めて大きい (~0.1M sun /yr) 普通の原始星とは異なる進化 “super-giant protostar” 表面温度が低くてフィードバック弱い → Hopefully evolve to a SMBH seed. まとめ (その3) 種BH形成について分かったこと