m=0 状態の原子干渉計による パリティ依存位相の測定 p or 0 ? 東理大理工 盛永篤郎、高橋篤史、今井弘光

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m=0 状態の原子干渉計による パリティ依存位相の測定 p or 0 ? 東理大理工 盛永篤郎、高橋篤史、今井弘光 |2, 0(-B)> =|2,0(B)> |1, 0(-B)> =-|1,0(B)> p or 0 ? |1, 0(B)> 東理大理工 盛永篤郎、高橋篤史、今井弘光

ベリーの位相 M. V. Berry, Proc. Roy. Soc. London, Ser. A 392, 45 (1984) In 1984, Berry predicted that the wavefunction acquires geometrical phase for cyclic evolution of the Hamiltonian. Dynamical Phase Geometric Phase 磁場の1回転 B 磁気量子数×立体角 ベリー位相の1例 スピン1/2 の粒子 q=p/2で1回転すると波動関数は 1/2×2p= p 位相変化する

Robbins & Berryの位相(1994) Robins & Berry の提案 |F,mF=0> 粒子の半回転 J. M. Robbins and M. V. Berry , J. Phys. A 27 (1994) L435 |F,mF=0> 粒子の半回転 m=0 ベリー位相は起こらない Y軸周りに半回転 r→-r Parity-dependent Phase |1, mF=0> Robins & Berry の提案 磁場の反転している ペアは同時には組み合わせられない。

Usami & Kozuma の実験 (2007) K. Usami & M. Kozuma, Phys. Rev. Lett. 99, 140404 (2007) 87Rb 原子 磁場反転化で、F=1, mF=0⇔ F=2, mF=0 の位相差として        Rfラムゼー干渉計で測定。 得られた結果 (1) 断熱半回転でpの位相変化 (2) 速い回転ー信号減少 (3) 非断熱回転 位相変化なし |2, 0(-B)> =|2,0(B)> 最初の Robbins & Berry 位相の検証 |1, 0(-B)> =-|1,0(B)> |2, 0(-B)> と    |2, 0(-B)> |1, 0(B)> 原子干渉計でRobbins&Berry位相は測定できるか? 部分回転での位相変化は? 非断熱回転では何が起こるのか?

Ramsey型原子干渉計 W3 : Detuning Frequency t Phase Operation : Excited Cold Atom :Ground d t T p/2 p/2 t=20ms,T=160ms Population Probability of Excited S. W3 : Detuning Frequency

量子化磁場とラマン光のなす角をb1,b2とする. P LASER b1=0の場合 : 位相0 位相 p

実験(I) 断熱半回転 Na原子2光子誘導ラマン散乱 Na w w ~600 MHz P F ’ = 3 F ’ = 2 3P PRA 80, 050102(R) (2009) Na原子2光子誘導ラマン散乱 P F ’ = 3 F ’ = 2 3P 3/2 ~600 MHz w w 1 2 589.160nm m F=2 2 3S 1.771626GHz 1/2 1 F=1 Na

amp(x) OSC. amp(z) 回転磁場の作成 sin波形 cos波形 x z z 直交しておかれた2対の ヘルムホルツコイル y 回転磁場 21.5±0.3 mT ラーモア周波数 =150 kHz 磁場の回転周波数           1 kHz 断熱条件を満たす

PRA 80, 050102(R) (2009) 磁場半回転 (b) 磁場回転なし    位相差 3.16±0.03 rad (c) 磁場回転 60°⇒ 120° 部分回転に対する位相シフト : 位相0 位相 p 鮮明度

実験 (II) 非断熱回転 PRA 81, 042111 (2010) Bz=0 で ラーマ周波数 磁場の回転周波数 断熱領域 frot<<fLar 中間領域 frot ~ fLar 非断熱領域 frot>>fLar

1/frot Bx=0.6±0.1 mT fLar= 4.2 kHz 定磁場 (b) 反転磁場(断熱) frot= 2.7 kHz 3.13±0.03 rad (非断熱) frot= 2.7 MHz 0.03±0.03 rad       (中間) frot= 8.8 kHz 干渉しない!

Majorana遷移 m -1 F=1 0 1

PRA 81, 042111 (2010) 干渉信号の大きさ、鮮明度

結論 磁場回転に対する|1,0>と|2,0>準位の位相変化を 原子干渉計で調べた。 このとき、位相差は遷移振幅の符号に依存して起こる。 (1) 断熱半回転での位相差    干渉縞の鮮明度は,磁場の回転角が90°と、270°で    0になる。    位相差は、b1=0として,|b2|<p/2 で 0 rad,                   p/2<b2<3p/2 でp rad (2) 非断熱反転では位相は変化しない。    中間領域で鮮明度は0になる。    これらの現象は、ラーマ周波数と回転周波数を    パラメータとするMajorana 遷移により,説明できる。