情報システム開発向け プロジェクト管理計画と その学習支援方法

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情報システム開発向け プロジェクト管理計画と その学習支援方法 静岡大学 佐川香織  湯浦克彦 NECソフト 中村厚之

目次 背景 目的 システム開発プロジェクトの調査 システム開発プロジェクト管理に おける方法の整理 コンテンツ作成 評価 今後の展望

背景1: 情報システムマネジメント ①教員 ②学生(グループ) ③計画書 静岡大学情報学部生向けのプロジェクト管理の授業 背景1: 情報システムマネジメント 静岡大学情報学部生向けのプロジェクト管理の授業 ①教員 ②学生(グループ) ③計画書   ・WBS ・コスト見積もり ・リスク管理計画 ・体制時図 ・スケジュール                 etc 講義 作成 PMBOKベースで プロジェクト管理に ついての講義を行う グループ毎に演習にてプロジェクトを発足。 (システム開発や イベント運営・企画) グループ毎に決めたプロジェクトについての計画書の作成。

背景2: 情報システムマネジメント授業に おける問題点 背景2: 情報システムマネジメント授業に おける問題点 情報システムマネジメント授業にて(2009~2011) ① ① 学生の成果物(演習) プロジェクト計画書作成 学生 ② 作業分解図(WBS) 分析 判明 ② 授業後アンケート ② コスト見積もり 問題を抱える

目的 プロジェクト管理学習支援システムの構築 対象者:プロジェクト経験のない学生 内容:PMBOKとシステム開発プロジェクト管理に存       プロジェクト管理者に興味を持つ学生 内容:PMBOKとシステム開発プロジェクト管理に存 在するギャップを解消する

研究の流れ ① ② ③ ・システム開発プロジェ クト管理の整理 ・PMBOK強化版の Web教材の作成 ・システム開発プロジェ  クト管理の整理 ・PMBOK強化版の  Web教材の作成 ② ③ ・ギャップを埋めるための  システム開発プロジェク  ト管理の調査

システム開発における プロジェクト管理についての調査方法 過去の経験と 開発資料を参考 主な参考資料 PMBOK 調査・分析 プロジェクト管理のガイド ライン 共通フレーム 2007 著者の一人:中村厚之 NECソフト勤務(約30年) 主に中~小規模 自治体システム開発 システム開発作業をまとめたガイドライン

システム開発プロジェクトの作業一覧 (共通フレーム2007より) ユーザ 第二次 ベンダー 開発 PMBOKが主にカバーしている範囲 組織

システム開発プロジェクト管理に おける計画方法の提案 ① ② ③ ・ギャップを埋めるための  システム開発プロジェク  ト管理の調査 ・システム開発プロジェ  クト管理の整理 ・PMBOK強化版の   Web教材作成

システム開発計画書とプロジェクト マネジメント計画書の対応表 1.基本方針 2.品質計画(非機能要件) 3.WBS(納入物&役割分担) 4.ベンダ体制 5.開発計画 6.進捗管理 7.コミュニケーション管理 8.仕様確定変更管理 9.コスト管理計画 10.調達計画 11.要員管理計画 12.リスク管理計画 PMBOK プロジェクトマネジメント計画書 1. 変更マネジメント計画書 2. コミュニケーション   マネジメント計画書 3. コンフィギュレーション マネジメント計画書 4. コスト・マネジメント計画書 5. コスト・パフォーマンス   ベースライン 6. 人的資源計画書 7. プロセス改善計画書 8. 品質マネジメント計画書 9. 要求事項マネジメント   計画書 10.リスク・マネジメント計画書 11.スケジュール・ベースライン 12.スケジュール・マネジメント 13.スコープ・ベースライン   ・スコープ記述書   ・WBS   ・WBS辞書 14.スコープ・マネジメント計画書 15.調達マネジメント計画書 PMBOKでは不足しているものがあり、対応が取れない。

システム開発計画書を作成するときに 必要な管理以外(PMBOK)の視点の作業 1.基本方針 2.品質計画(非機能要件) 3.WBS(納入物&役割分担) 4.ベンダ体制 5.開発計画 6.進捗管理 7.コミュニケーション管理 8.仕様確定変更管理 9.コスト管理計画 10.調達計画 11.要員管理計画 12.リスク管理計画 開発の視点 組織の視点 ユーザの視点 第2次ベンダーの視点

共通フレーム2007における開発の作業工程(フェーズ)とその成果物 1.6.2 ・要件定義書 ・総合テスト  仕様書 1.6.7 ・プログラム ・単体テスト  結果報告書 パッケージ適用手順に変える。

システム開発における WBSのテンプレート 判明した開発工程の成果物 開発するシステム システム要件 フェーズ 要件定義書 総合テスト 仕様書 外部設計フェーズ 内部設計フェーズ 製造・単体 テストフェーズ プログラム 単体テスト 結果報告書 結合テスト フェーズ 総合テスト フェーズ ユーザ検証 データ移行 本番フェーズ 判明した9つの開発工程 「作業見積もり」 誰?何人? 期間は?etc  →工数見積もり

システム開発計画書の作成に必要な 組織の位置づけと作業 1.基本方針 2.品質計画(非機能要件) 3.WBS(納入物&役割分担) 4.ベンダ体制 5.開発計画 6.進捗管理 7.コミュニケーション管理 8.仕様確定変更管理 9.コスト管理計画 10.調達計画 11.要員管理計画 12.リスク管理計画 開発の視点 組織の視点 ユーザの視点 第2次ベンダーの視点

システム開発プロジェクト当教材におけるベンダー側プロジェクト体制調査結果 プロジェクトマネジメントオフィス(PMO) 経理部門など プロジェクト マネージャ (PM)など 開発チーム NW・設備 保守チーム 基盤チーム 営業 組織 管理者 その他 PMBOKで言及している範囲 支援 プロジェクト・メンバ

組織の支援作業の一部例と システム開発のコスト見積もり手法 開発コスト 見積もりの例 組織 ・各プロジェクト開発期間 ・各プロジェクトで発生し  たコスト ・職種とレベルに応じた  作業者の単価 など 組織のデータ 過去のプロジェクトデータや企業の指標 登録&保管 プロジェクト管理者 データ参照 WBSの一番下に位置する作業毎に見積もった作業者の人数と作業期間に、作業者の単価をかけていく。

システム開発計画書の作成に必要な ユーザの作業 1.基本方針 2.品質計画(非機能要件) 3.WBS(納入物&役割分担) 4.ベンダ体制 5.開発計画 6.進捗管理 7.コミュニケーション管理 8.仕様確定変更管理 9.コスト管理計画 10.調達計画 11.要員管理計画 12.リスク管理計画 開発の視点 組織の視点 ユーザの視点 第2次ベンダーの視点

ユーザ側の計画書作成前のシステム開発 プロジェクトにおける作業調査結果 一部 ユーザ側の計画書作成前のシステム開発 プロジェクトにおける作業調査結果 一部 計画書作成前 (受注前) 検討 お願い 1.何のためにシス テムが必要か 2.こんなシステム    欲しい 2.予算はいくらか 3.いつまでに開発 して欲しいか    etc 回答 RFP ベンダー 計画書の 基本方針に 反映 基本方針 *Request For Proposal ユーザ

システム開発計画書の作成に必要な 第2次ベンダー視点の位置づけ 1.基本方針 2.品質計画(非機能要件) 3.WBS(納入物&役割分担) 4.ベンダ体制 5.開発計画 6.進捗管理 7.コミュニケーション管理 8.仕様確定変更管理 9.コスト管理計画 10.調達計画 11.要員管理計画 12.リスク管理計画 開発の視点 組織の視点 ユーザの視点 第2次ベンダーの視点

第2次ベンダーの 位置づけ 一部の例 依頼 (アウトソーシング) ベンダー 第2次 ベンダー 双方間にコミュニケーションも発生する! 第2次ベンダーの 位置づけ 一部の例 依頼 (アウトソーシング) この作業は、 別の会社に頼もう! 調達物(要員、成果物など) お金(コスト) ベンダー 第2次 ベンダー 双方間にコミュニケーションも発生する!

コンテンツ紹介 ① ② ③ ・ギャップを埋めるための システム開発プロジェク ト管理の調査 ・システム開発プロジェ クト管理の整理 ・ギャップを埋めるための  システム開発プロジェク  ト管理の調査 ・システム開発プロジェ  クト管理の整理 ・PMBOK強化版の  Webコンテンツ作  成

本システムの概要と構成 ① ② ③ PMBOK入門編 システム開発入門編 (PMBOK強化版) PMBOK編 WEB教材 学生 ② システム開発入門編 (PMBOK強化版) システム開発プロジェクト管理の調査結果を反映 TOTAL 画面数:約300枚 (1366×768ドット) 画像数:約100枚 ③ PMBOK編 PMBOKの全42種プロジェクト管理プロセスの解説

プロジェクト管理教育支援システム システム開発編のTop画像 受注までのユーザの主な作業をストーリ形式で解説(計画書基本項目のための作業) 書店ネット販売システム構築を例に、計画書作成手順を調査結果を基に解説。

WBS解説(テンプレート) システム開発入門編より

コスト見積もり手法の解説 システム開発入門編より

システム開発入門編 コンテンツの紹介② (リスク管理計画表) システム開発入門編 コンテンツの紹介② (リスク管理計画表)

評価の方法 主に情報システム・マネジメントの受講経験のある学生に構築したシステムの評価アンケートを回答してもらった。 8人の学生にPMBOK入門編を使用してもらい、その後、7人の学生にシステム開発入門編(PMBOK強化版)を使用してもらった。

評価(情報システムマネジメント 受講経験者を対象5人) ○計画書作成で問題を抱えていたものが解決できた割合

今後の展望 今年春に実施される情報システムマネジメントの授業内にて、当システムを実際に学生に使用してもらう。 システム開発以外のPMBOK強化版の作成。 例: (イベント企画・運営や卒業研究など) 発表者の同研究室の学生が作成したシステムと連携し、システム開発学習支援システムの構築行う。