1.白黒テレビからカラーテレビへ 2.ENGの登場 3.衛星放送のスタート 4.地上デジタル放送へ 5.難視聴地域(離島)でのテレビ視聴 放送産業の特徴(2) 技術の発展 1.白黒テレビからカラーテレビへ 2.ENGの登場 3.衛星放送のスタート 4.地上デジタル放送へ 5.難視聴地域(離島)でのテレビ視聴
1.白黒テレビからカラーテレビへ 1957年4月 実験局の免許申請(日本テレビ) 1957年12月27日 カラーテレビ放送実験局の予備免許交付(日本テレビ、NHK) 1960年9月10日 日本テレビ、ラジオ東京、朝日放送、読売テレビ、NHKはカラー本放送を開始 ※当時は白黒テレビと両立可能なNTSC方式が採用された。 しかし、カラー放送の普及はなかなか進まなかった。 ←受像機が白黒テレビの3~4倍
Fig.2 脚付きテレビ Fig.1 白黒テレビ Fig.3 国産第1号カラーテレビ
東京オリンピック(1964年)がカラー放送普及の転機 ←カラー中継 70年10月には在京テレビ局のゴールデンアワーはすべてカラー放送
2.ENGの登場 昭和40年代~50年代に登場 ←1975年の昭和天皇の訪米報道がきっかけ テレビに革命的変革(ソフト・イノベーション)をもたらした。 ENG=Electronic News Gathering(電子的ニュース取材) “フィルムを用いない”という意味 “小型テレビカメラ+携帯型VTR” “VTR一体型テレビカメラ” “軽量!”“携帯!”“機敏!” を用いること
Fig.4 ENG
フィルム取材:運版・現像が必要 ENG:伝送装置(FPU)につなげば、現場から放送局 に中継できる。 SNG(Satellite News Gathering)を用いれば、通信衛星に電波を発射してテレビ局に情報を送ることが可能。
3.衛星放送のスタート 2つの衛星放送 ①放送衛星(BS:Broadcasting Satellite) ②通信衛星(CS:Communication Satellite) (1)BSの歩み 1978年4月8日 実験用放送衛星(BSE)「ゆり」打ち上げ 1984年1月23日 実験放送衛星BS-2a(ゆり2号a)打ち上げ 5月12日 NHKの衛星放送(試験放送)開始 ⇒地上放送ー衛星放送並立の時代へ
1989年6月1日 NHKがBS1、BS2の本放送開始 6月3日 NHKがハイビジョン実験放送(1日1時間) 開始 ※ハイビジョンとは NHKが開発した高精細度テレビジョン High Definition television/HDTVの愛称 走査線が多いため映画フィルム並みの高精細な 画像となる。画面の縦横比(アスペクト比)は標準 (4:3)よりも横長の16:9。
日本では2006年現在で3種類の放送規格がある。 ・BSアナログハイビジョン(MUSE) ・衛星デジタルハイビジョン(ISDB-S) ・地上デジタルハイビジョン(ISDB-T) 1991年4月1日 民間衛星放送局WOWOWによる衛星放送開始 公共放送ー商業放送の並立時代へ 2000年12月1日 BSデジタル放送開始 →ハード・ソフトの分離
(2)CSの歩み 1989年10月1日 放送法改正施行 →通信衛星による直接放送許可 →委託放送制度の導入 1989年3月 JCSAT-1打ち上げ 1990年1月 JCSAT-2打ち上げ 1992年2月 スーパーバードーA打ち上げ(代替機) 4月~ 順次サービス開始 ※専門チャンネルが中心 1992年12月 スーパーバードーB打ち上げ( 〃 )
1996年10月1日 CSデジタル放送 パーフェクTV!開始 (3)衛星放送は何をもたらしたか ・難視聴の解消(←広域をカバーできる) ・全世界に同時期に同じ情報を供給できる (←広域性、大容量性) ・多チャンネル ・専門チャンネル ・受委託放送制度(ハードとソフトの分離)
4.地上デジタル放送へ (1)デジタル放送とは デジタル技術を活用した放送。 動画像を圧縮する符号化圧縮技術や全ての情報を0と1の信号で取り扱う技術。 →放送の多チャンネル化、高画質化、高機能化 →信号を通信やコンピュータと共有 ⇒多種多様なサービスを展開 ⇒他メディアとの連携・結合
具体的には、 ①高画質(ハイビジョン)放送である ②高音質 音質が劣化しない、二ヶ国語放送も可能。 ③データ放送が可能 ④双方向サービスを展開できる 視聴者参加型の番組も可能 ⑤モバイル受信
(2)地上デジタル放送の歴史 1987年 米で次世代テレビ放送方式の検討開始 1998年9月 英BBC放送で開始 1998年11月 米デジタル本放送開始 2001年1月 オーストラリアで放送開始 2001年2月 シンガポールで放送開始 2001年10月 韓国で放送開始 2003年12月1日 東京、大阪、名古屋で放送開始 2011年7月24日 アナログ放送停止
(3)アナログ放送が停止すると ・アナログのみに対応しているテレビ受像機は、新たなチューナーを導入しなければ何も映らなくなる。 →テレビの買い替え需要が増大? →テレビを見れない人が出てくる? ・地上アナログ放送に使用されている周波数帯(53~62ch)は、地上デジタルラジオ放送や移動体通信用に転用される。 →新たな媒体やブームの到来?
5.難視聴地域(離島)でのテレビ視聴 (1)離島であるがゆえに情報過疎地 e.g.東京都小笠原村、沖縄県南北大東島 東京から南南東へ1,000km。 船で25時間(6日に一便)。飛行場なし。
(2)メディアの普及 活字メディア:定期便により運搬。約一週間遅れ。 テレビ:1976年に父島、1977年に母島にケーブルテレビ局開局。←地元のニュースを伝えた。 1984年にNHKのBSを視聴開始。 国内のニュースよりも国外のニュースが伝 えられた。 1996年よりNHK、民放の地上波放送の視聴 開始。
参考文献 隈部紀生 (2004) デジタル放送とメディアの融合 松岡新兒・向後英紀(編著) 新現場からみた放送学 学文社 Pp. 120-140. NHK放送文化研究所(編) (2005) データブック世界の放送2005 日本放送出版協会 日本民間放送連盟(編) (1997) 放送ハンドブック(新版) 東洋経済新報社 前納弘武(編) (2000) 離島とメディアの研究―小笠原篇