片寄 晴弘 関西学院大学 情報科学科・文学研究科 さきがけ研究21 音楽情報処理(第1回) 歴史的概観と用語説明 片寄 晴弘 関西学院大学 情報科学科・文学研究科 さきがけ研究21
音楽情報処理歴史的概観 音楽情報科学研究会発足 Radio Drum 指揮システム(森田) EMI キュリオ ハーヒーフン トヨタロボット 音楽感性情報処理(片寄) メロディ抽出(後藤) 音楽情報科学研究会発足 KTH音声合成
事例紹介(ビデオ等) 最初の自動作曲 イリアック組曲(1957) 演奏ロボット Wabot(早稲田大 1985) 音楽を聞いて感想を言うシステム(片寄 1989) トランペット自動伴奏( R. Dannenberg 1991) 音声合成システム(KTH 1991) セッションシステム(青野 Band Master 1993) Interactive Computer Music 竹管の宇宙(志村 1995) 自動作曲システム EMI (D.Cope ~1996) CDからのメロディ抽出(後藤 1999) トランペット演奏ロボット(トヨタ 2004)
音楽情報処理 音楽情報処理の直訳に当たる“Music Information Processing” はほとんど使われていない. 国際会議名から領域を探ると.... 「音楽分野におけるコンピュータ技術」 「音楽とAI」 「コンピュータミュージック」 Music Information Processingが使われない理由: 名詞を単純に並べて用語を作らないという文法的な理由 Music Information(音楽情報)に対する定義の難しさひいては抵抗によるもの 曖昧さを残した日本流のネーミングは音楽を軸とした学際的分野の結び付けに一役買っている(^_^).
DTM (Desk Top Music) パソコンを用いて手軽にコンピュータミュージックを楽しむ環境 外部接続されたMIDI音源/ソフトウエアシンセサイザ シーケンサ:MIDI形式の音楽演奏情報の記録,編集,再生を実施 音楽データの作成や編集 完成された音楽データのライブラリを鑑賞用 最近ではサウンドファイルの編集を行うものも増えている ノーテーションソフトウエア:楽譜の作成・印刷を主眼
トピック MIDI 1982年に発表されたディジタル楽器間のデータ転送及びハードウエアに関する設計規約 31.25Kbpsの電流ループによるシリアル通信で,鍵盤楽器をモデルとした各種の演奏操作イベント情報を転送する(1音の発音データに約1msかかる) MIDIメッセージ:1バイト(8ビット)のデータの並び. 1〜16のMIDIチャンネルの区別を持ったチャンネルメッセージとチャンネルの違いを越えてシステム全体に共有されるシステムメッセージ チャンネルメッセージ:ノートオン(音を鳴らす),ノートオフ(音を切る),モジュレーションホイールなど ディジタル楽器にとどまらず,スタジオ機器や舞台照明の制御まで,用途は広がっている. MIDIインタフェースの形状 (5ピンのDINコネクタ)
MIDI その2 キーボードの中央ドの音を目一杯押すと・・・・ 144:1chで示される音源のノートオン ステータスバイトと呼ばれる 連続するこのメッセージが何であるかという情報を示している. 128〜255までの値が使われる 60:ノートナンバーと呼ばれ,中央ドの音を示している. 127:音量 (光センサを用いて,キーボードの押される速さを検出し,それを音量に割り当てたため,ベロシティと呼ばれるようになった.) 指をはなすと,128,60,XX(144,60,0)という数値が送信されている. 計算機側からの同様のデータを送ると,キーボードに直接触らずとも同様の発音がある.
データ規約(MIDI関連) MIDI(Musical Instruments Digital Interface) USBー>USB2へ 31.25Kbpsのシリアル通信 ホットプラグ方式,ディジーチェーン接続可能,Mixingは専用ハード要 RS422に接続可,UART USBー>USB2へ 低速モード 1.5 Mbps, 高速モード 12 Mbpsのシリアル通信 ホットプラグ方式,ディジーチェーン接続可能 最近はUSB-MIDIが主流に IEEE1394 400Mbpsのシリアル通信 ホットプラグ方式で,ディジーチェーン接続が可能 MIDI, オーディオデータ,制御データを同時に流す形態へ YAMAHA M-LAN(CDもアンプもスピーカーも適当に繋ぐだけ!)
音楽配信とMP3 音楽流通 背景 MP3 今後 CD等メディアの購入スタイルから,インターネット等を介した「音楽配信」へ 2017/2/27 音楽配信とMP3 音楽流通 CD等メディアの購入スタイルから,インターネット等を介した「音楽配信」へ 背景 インターネットの普及 物流コストの軽減による経済性 オーディオデータの圧縮技術 MP3 MPEG-1 Audio Layer-3の略称 マスキング効果(小さな音が大きな音にかき消されて聞こえないという現象)や周波数毎の最小可聴限界など人間の聴覚特性を有効に利用した非可逆的データ圧縮法採用 元データのほぼ1/10程度までの圧縮が可能である. CD1枚分の音楽データがスマートメディア等の不揮発ICメモリに納められるオーダーに圧縮される. 今後 MP3チップがPDA, 携帯等に搭載される日もそう遠くない.(1999の見込み)
EMIプロジェクト D.Copeによって1981年から開始されたプロジェクト 「作曲とは,今までに作られた作品の事例の解析と再合成によってなされる」という考え方に基づく
EMIによる作曲例 システム生成例 モーツアルト K283,309,457 を題材