非極性ZnOの結晶対称性の破れと電子構造の相関

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非極性ZnOの結晶対称性の破れと電子構造の相関 “偏光光学機能における理論的考察から実験的検証へ” 松井裕章 東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 電気系工学専攻

ZnOの極性及び非極性制御 極性方位: 非極性方位(本研究): “ヘテロ界面の分極不連続” “ヘテロ界面の結晶対称性の低下” *High electron transport Two-dimensional gas (2DEG) at MgxZn1-xO/ZnO heterointerfaces c-plane (0001) 非極性方位(本研究): “ヘテロ界面の結晶対称性の低下” *Highly polarized UV emissions Modifications of electronic structures at CdxZn1-xO/ZnO heterointerfaces m-plane (10-10) a-plane (11-20) H. Matsui et al., APL 101, 231901 (2012); APL 100, 171910 (2012); APL 98, 261902 (2011)

非極性ZnO量子閉じ込め効果と励起子発光の偏光度 (室温) Photon energy (eV) PL intensity (a.u.) Polarized PL as a function of well width (LW) Cd0.06Zn0.94O/ZnO QWs 単一量子井戸の励起子発光 LW = 2.0 nm LW = 4.8 nm Cd0.06Zn0.94O layer P = 0.52 P = 0.63 P = 0.72 Well Barrier [10-10] 3 nm [11-20] [0001] well 0.281 nm 0.287 nm 0.283 nm 0.282 nm 0.289 nm dxx = +1.4 % dyy = 0 % dxx = +1.8 % dxx = 0 % LW = 4.8 nm LW = 2.0 nm HAADF-STEM images FFT patterns 狭い量子井戸幅 発光偏光度の増強  異方的格子歪の重要性

量子井戸界面における結晶対称性の破れ: 非極性ZnO CdZnO 井戸 C6v C2v “Symmetry-broken QWs” “非極性CdZnO/ZnOヘテロ界面の格子歪” Theoretical calculation Lattice distortion eyy (%) Cd content (x) in CdxZn1-xO y // [10-10] Distortion x // [10-10] z // [0001] Symmetry breaking: C6v to C2v *Lattice strained CdZnO QW grown coherently on ZnO substrates

本研究の背景(1) “Junction-based photovoltaic” (iii) 分極構造に立脚した電荷分離と面内光電変換 Visible light Metal Semi. Yu et al. Appl. Phys. Lett. 96, 171102 (2010). Qin et al. Appl. Phys. Lett. 93, 122904 (2008). P Depletion layer Internal field EC EV EF Gap Vbi (i) p-i-n接合による電荷分離と面間光電変換 amorphous-Si, poly-Si GaAs, GaN, CuInGaSe2 (CIGS) Organic materials (ii) 金属・半導体ヘテロ (MOS) 接合と光電変換 Co (Cu) metal/ Si Ti/TiO2/Si pn接合及びSchottky接合に伴う電位勾配の利用 “Junction-based photovoltaic” (電荷分離:接合領域内の空乏層) (iii) 分極構造に立脚した電荷分離と面内光電変換 LiNbO3 (LNO) Pb(Zr, Ti)O3 (PZT) 自発分極に伴う電位勾配による電荷輸送 “Bulk-based photovoltaic” (電荷分離:バルク試料全体)

紫外域の偏光光学機能への応用 非極性ZnO: 誘電的性質と半導体性質の融合 ✓ ✓ ・偏光面の検出(光ディスク応用:DVD) *紫外偏光イメージングセンサー ・偏光面の検出(光ディスク応用:DVD) ・高透過率を有する偏光子フィルター ・偏光イメージングセンサー    (偏光情報:製品検査、セキュリティー) 生体模倣:紫外偏光検出 ・生体模倣:昆虫の複眼(光センサー)    “高感度な紫外偏光検出”  非極性ZnO:    誘電的性質と半導体性質の融合 ✓ 誘電的性質:   自発分極構造 半導体的性質: 電荷分離(キャリア輸送) ✓ P ウルツ鉱 [0001] [11-20] [10-10] z [0001] y [10-10] x [11-20] (無反転対称性) 自発分極 光起電流(IPC) (eF: 電場ポテンシャル)

ZnOの自発分極と光電機能の相関 Ps 室温・バイアス下における光電流 (Iph)評価 自発分極方向のみにおいて valence band [0001] [000-1] conduction band EF EGap e - h+ 室温・バイアス下における光電流 (Iph)評価 自発分極方向のみにおいて   “高い電子・正孔の電荷分離が観測” Bias voltage (V) Photo-response (A/W) Difference ZnO (0001) plane Iph⊥Ps DIph = 1.10 ZnO (10-10) plane Iph // Ps Iph⊥ ps DIph = 6.0 l = 365 nm Ps

光電機能における分極効果の検証(No.2-2) Mg0.20Zn0.80O/ZnO double heterostructures (DHs) ヘテロ構造の模式図    及びそのエネルギーバンドプロファイル Mg0.24Zn0.76O barrier (10 nm) ZnO (50 nm) ZnO Buffer (150 nm) O-polar growth (-c) Pbarrier PZnO *Pbarrier > Pwell Hole well Electron well EV EF EC 極性方位における電子バンド制御:    分極効果により空間的な電荷分離が促進 Charge accumulation Ps Photo-response spectra of DHs and ZnO Wavelength (nm) Photo-response Iph (A/W) DHs single Bias voltage = + 0.5 V

非極性ZnOの結晶構造と電子バンド構造 ウルツ構造における電子バンド構造 非極性ZnO (11-20)の原子配列 C.B. V.B. E⊥c : A-exciton G7 G9 (heavy hole) E⊥(//) c: B-exciton G7 G9 (light hole) E // c: C-exciton G7 G7 (Crystal filed) R. Laskowski, Phys. Rev. B 73, 045201 (2006). ウルツ構造における電子バンド構造 A-ex. B-ex. C-ex. C.B. V.B. G7 G9 E0 G15 J=3/2 G8 J=1/2 SO G5 G1 CF 非極性ZnO (11-20)の原子配列 [0001] [10-10] (E⊥c) (E//c) Photon energy (eV) Absorption (105 cm-1) Linearly polarized absorption spectra 2.8 3 3.2 3.4 E⊥c E // c Sample a (E⊥c) a (E//c) ・異方的な面内の原子配列(非極性方位) ・偏光吸収効果(異なる励起吸収遷移)  (E // c 及びE⊥c)

分極・電子バンド構造制御に立脚した偏光光電機能 “非極性ZnOの特徴” ・偏光現象(linear dichroism) ・バンドギャップエンジニアリング    (深紫外:250 nmから可視:600 nm) ・面内方向への自発分極 “紫外から深紫外へのバンドギャップ制御” UV(deep UV) Green ZnO (Mg, Zn)O (Cd, Zn)O 狭帯域・高感度な紫外偏光検出の応用へ *Point: 偏光と分極・電子バンド構造の相関 偏光吸収特性 偏光性能指数(F) E⊥c E // c a (E⊥c) Absorption a (105 cm-5) a (E//c) DE 高い偏光性能は: 大きいDaを実現     大きいDEを実現 Da = a (E⊥c) - a (E//c) 分極:電荷分離の大きさ Da (105 cm-5) 電子バンド構造:DE の大小の決定 Photon energy (eV)

電子バンド構造と異方的格子歪 E “高い偏光性能の実現 大きいDEを実現” 電子バンド構造解析:k・p摂動法 伝導帯 (C.B.) 価電子帯 (C.B.) E3 - E2 = DE “高い偏光性能の実現   大きいDEを実現” 電子バンド構造解析:k・p摂動法 ある点k0近くの特定のエネルギーをDk = k – k0 を摂動パラメータとして摂動展開する方法 G 価電子帯のエネルギー準位分裂の様子 (6 x 6行列) ただし、k = 0点(G 点) a-plane ZnO y [1-100]: eyy z [0001]: ezz x [11-20]: exx Hv: 光学遷移行列要素(transition matrix element) *価電子帯のエネルギー分裂の大きさ:DE       x,y, z方向に対する格子歪(exx, eyy, ezz)に依存

k·p摂動計算(価電子帯分裂:G点のみ考慮) k・p perturbation (with spin-orbital) “Energy splitting on the valence band” *e i, y (i and j = x, y, and z) E1 C6v symmetry C2v symmetry 重いホール 軽いホール スピン・軌道分裂 E2 E3 “結晶対称性の低下と価電子帯分裂” x [11-20] y [1-100] z [0001] x [11-20] C6v symmetry z [0001] y [1-100] C2v symmetry

試料面内の格子歪とエネルギー分裂“DE”の大きさ *エネルギー分裂の2次元マッピング DE31 = E3 - E1 (meV) DE32 = E3 - E2 (meV) 伝導帯 価電子帯 E1 E2 E3 DE31 DE32 *偏光吸収のエネルギー準位 30 55 35 50 40 45 eyy (%) 45 40 50 35 30 55 25 ezz (%) ezz (%) 大きなDEの実現:必要十分条件 ・必要条件   偏光吸収プロセス ・必要条件    面内の格子歪の方向 DE31 (E1, E3) (eyy , ezz < 0) or (eyy, ezz > 0) *価電子帯のエネルギー準位と偏光方向の特定が必要

偏光吸収(励起子)過程とエネルギー準位 E1 E2 E3 DE31 DE32 E1, E2及びE3の準位と偏光(x, y, z)方向の相関 *2種類の偏光吸収プロセス E1, E2及びE3の準位と偏光(x, y, z)方向の相関 *p軌道関数 価電子バンドの固有状態(線形結合)として: “格子歪と光吸収強度(振動子強度)" “エネルギー準位からの遷移確率”

励起子吸収遷移とその方向依存性 エネルギー遷移確率の方向依存性 “DE32 (E2, E3)” “DE31 (E1, E3)” ezz (%) ezz (%) eyy (%) E1 E2 E3 y [10-10] z [0001] 励起子吸収遷移とその方向依存性 eyy, ezz > 0 eyy, ezz < 0 “DE31 (E1, E3)” “DE32 (E2, E3)” “大きなDEの実現は”: 面内圧縮歪(eyy, ezz < 0)の導入 E⊥: y [10-10] E // c: z [0001] k vector: x[11-20] (i) eyy > 0, ezz > 0領域 E2: y-polarization , E3: z-polarization (ii) eyy < 0, ezz < 0領域 E1: y-polarization , E3: z-polarization エネルギー遷移確率の方向依存性

非極性ZnO薄膜の成長と格子歪 成長温度の系統的な変化 様々な格子歪を有する非極性ZnO薄膜が形成 成長温度の増大と伴にDEも増加 Photon energy (eV) Light absorption (a.u.) Tg = 350oC Tg = 450oC Tg = 550oC Tg = 650oC DE = 16 meV DE = 21 meV DE = 24 meV DE = 34 meV 偏光吸収スペクトル (E⊥c) (E // c) 格子変形:x, y, z方向 [11-20] [10-10] [0001] 引張歪 圧縮歪 結晶対称性の破れ C6vからC2vへ 成長温度の系統的な変化     様々な格子歪を有する非極性ZnO薄膜が形成     成長温度の増大と伴にDEも増加

格子歪と電子バンド構造の変化 試料面内の圧縮歪(In-plane compressive strains) エネルギー遷移の関係 Sample eii (i = x, y, z) DE Ei k・p calculation fy fz No.1 (Tg = 450oC) eyy = +0.42% ezz = -0.61% 21 E1 E2 E3 0.001 0.000 1.190 0.000 0.000 0.596 No.2 (Tg = 550oC) eyy = +0.27% ezz = -0.56% 24 0.007 0.000 1.183 0.000 0.000 0.595 No.3 (Tg = 650oC) eyy = +0.15% ezz = -0.65% 34 1.184 0.000 0.019 0.000 0.000 0.596 No.4 (Tg = 730oC) eyy = -0.10% ezz = -0.52% 42 1.178 0.001 0.034 0.004 0.003 0.596 DE32 (E2, E3 transitions) DE31 (E1, E3 transitions) 全体の格子歪 [e] = 膜厚による格子歪 [e : lattice] + 熱膨張による格子歪 [e: thermal] “格子歪に伴う価電子帯のバンド構造の変化” 試料面内の圧縮歪(In-plane compressive strains) eyy < 0 及び ezz < 0    大きなエネルギー分裂の観測     高い偏光性  

偏光吸収と性能評価 偏光フィルターの偏光度合(F) バンド端エネルギー差 量子井戸の適用へ Photon energy (eV) Sample No. IV Photon energy (eV) F (Tg = 730oC) Absorption (105 cm-1) Da (105 cm-1) exx = +0.28%, eyy = -0.10%, ezz = -0.48% DE = 42 meV Da = 8.4 x 104 cm-1 F = 18.6 偏光吸収スペクトル及び偏光性能 偏光フィルターの偏光度合(F) fi : 入射偏光角 Da: 偏光吸収係数の差分 d : 膜厚 (117 nm) f i = 45o の場合: F = 18.6 バンド端エネルギー差 *目標とするDE: 60 meV程度 量子井戸の適用へ [L: 井戸幅、e//: 面内格子歪] “量子井戸における偏光発光:DE = 52 meV H. Matsui, Appl. Phys. Lett. 100, 171910 (2012).

光電変換と量子収率 “ショットキー接合と電荷分離” “分光感度(s)と変換効率(h)” h = 6.2% (at 3.4 eV) Photon energy (eV) Response (A/W) 光起電流スペクトル及び偏光性能 R⊥/R// R⊥c R//c 受光部 E//c E⊥c Al電極 Au/Ti積層電極 SiOx絶縁層 Sample No. III (Tg = 650oC) R⊥/R// = 1.6 (3.32 eV) Bias voltage (Vb) = 0 V “ショットキー接合と電荷分離” Ec EF Ev e h V < 0 Au/Ti SiOx ZnO “分光感度(s)と変換効率(h)” e: 素電荷、l: 波長 h: プランク定数、c: 光速 h = 6.2% (at 3.4 eV)

まとめ 格子歪と電子バンド構造の相関(計算的考察) “高偏光機能の実現:面内圧縮歪(eyy < 0, exx < 0)” (i) スピン・軌道相互作用を含むk·p摂動計算 格子歪と電子バンド構造の相関(計算的考察) “高偏光機能の実現:面内圧縮歪(eyy < 0, exx < 0)” (ii) 偏光光学機能(実験的考察) 非極性ZnO薄膜(eyy = -0.10%, ezz = -0.52%)において: “バンド端エネルギー差:DE = 42 (meV) “偏光の度合:F = 18.6” (ii) 偏光光電変換の観測とその量子収率 “分光感度指数:s = 2 x 10-2 (A/W)” “変換効率:h = 6.2 (%)”