エネルギーと環境問題について 平成21年7月02日(木曜) 13時30分~15時30分 於 長崎県佐々町公民館 於 長崎県佐々町公民館 日本原子力学会シニアネットワーク会員 入江寛昭
目次 1. 人類とエネルギー 2. 我が国のエネルギー事情 3. 地球環境(温暖化)問題 4. 代替エネルギーの活用 1. 人類とエネルギー 2. 我が国のエネルギー事情 3. 地球環境(温暖化)問題 4. 代替エネルギーの活用 5. 原子力発電所のしくみ 全体の目次構成を説明 6. プルサーマルについて
1. 人類とエネルギー 国連人口基金HP2009より引用
アジア、アフリカの発展途上国人口は益々増加傾向
米国、中国、インド、日本、ヨーロッパ諸国、ブラジルでほぼ世界の60%強のエネルギーを消費
特に近年に入って経済成長著しい中国の発電電力量の伸び率が群を抜いている。
その証拠(宇宙から見た夜の地球) エネルギー消費の多い米国、中国、インド、日本、ヨーロッパ諸国、ブラジルは夜も皓々と輝いている。 NASAホームページより
1-08 主要国の一次エネルギー構成
2. 我が国のエネルギー事情
自給率 4%(原子力輸入扱) 19 %(原子力準国産エネルギー扱) 1-15 日本の一次エネルギー供給実績
3.地球環境(温暖化)問題 地球温暖化の原因については人為的な二酸化炭素大量放出説の他に自然変動要因説等もあり、現在、科学的に論争中。 外務省HPより引用
2-02 温室効果ガスの地球温暖化への寄与度
原子力発電は発電に伴ってCO2を排出しない。(発電所の建設や燃料の製造に伴い発生するCO2を考慮しても極わずか)
2-13 電気事業におけるCO2排出抑制対策
2-10 地球温暖化対策と燃料供給安定性に優れている原子力発電
地球温暖化問題を巡る国際的議論の動向 京都議定書(1997年)の課題と実効性 SNW石井正則氏資料より ①数値目標の公平性 ①数値目標の公平性 1990年基準・絶対値目標(EUに有利、米・日に不利) 日本▲6%、米国▲7%、EU▲8%の合理的根拠無し ②実効性 世界の排出量の1/4の米国が不参加、中国など途上国には削減義務なし カバー率:世界の約3割 削 減 量 :世界のわずか2%(3億トンCO2) 3億トン 出典:CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION 1971-2001 International Energy Outlook 附属書 B 国のうち、 京都議定書批准国 74億トン SNW石井正則氏資料より
美しい星へのいざない「Cool Earth 50」 国際交流会議「アジアの未来」 (2007年5月24日) クール・アース50 2050年の美しい星実現に向けて 世界の長期目標 2050年までに現状より CO2排出量を50% 2013年以降の国際的枠組構築3原則の提唱 ・主要排出国が全て参加 ・多様性ある枠組み ・環境保全と経済発展の両立
気候変動に関する政府間パネル(IPCC) (2007年11月12日~11月17日) 温暖化は疑う余地がない 温度上昇過去50年間0.65℃±0.15℃、雪氷融解、海面上昇 CO2などの大気中濃度上昇は、1750年以降の人間活動の結果 自然変動の範囲を上回っている確率90%以上 将来予測 21世紀中の気温上昇1.8~4℃、海洋酸性化、北極海氷減少、熱波・台風・洪水頻発 気候政策の追加が必要 気温上昇2℃以内、温暖化ガス濃度445ppmに留める 総合報告書より
福田ビジョン 日本記者クラブ (2008年6月9日) 福田ビジョン 低炭素社会の実現に向けて 日本の長期目標 2050年までに現状より CO2排出量を60%~80%削減 日本の中期目標 1年~2年以内にピークアウト2020年までに2005年より CO2排出量を14%削減
G8北海道洞爺湖サミット G8北海道洞爺湖サミット (2008年7月7日~7月9日) G8首脳会合宣言(7月8日) ・2050年までに温室効果ガスの世界全体 排出量を50%削減目標というビジョンを 国連気候変動枠組条約全締結国と共有 ・野心的な中期の国別総量目標を実施 主要経済国首脳会合宣言(7月9日) ・長期的な排出量削減目標を含む協調 行動に関するビジョンの共有を支持 ・先進主要経済国は中期の国別目標を実 施し、可能な限り早く排出量増加を止め る行動をとる。 G8 :日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、ロシア、EU 主要経済国:G8+中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、インドネシア、韓国、オーストラリア
温室効果ガス排出削減の中期目標 麻生総理記者会見 (2009年6月10日) 主要排出国の全員参加
地球環境問題とエネルギー問題 ~両問題は表裏一体の関係~ ・ 地球温暖化については人為的な二酸化炭素大量放出説の他に地球規模の自然変動要因説等を唱える学者もおり、現在、科学的に論争中である。 ・ しかし人為的な二酸化炭素の大量放出も原因の一部であることは事実である。 ・ 一方、資源論の観点から石油、天然ガス等の化石燃料時代は近い将来オイルピークを迎え終焉の方向にある。 ・ すでに世界的規模で資源争奪戦が始まっている。 ・ 従って我が国としては今後、化石燃料に代わる国産エネルギーの開発が急務である。
4. 代替エネルギーの活用 3-01 新エネルギーの定義
3-02 新エネルギー等の評価
3-05 太陽光・風力発電の出力変動
(注記)2008年の太陽電池市場についての調査結果によると欧州(特にスペイン、ドイツ)の伸びが著しい。その理由として太陽光発電買電価格を売電価格の数倍にする政策がある。
3-07 日本の風力発電導入量(出力)の推移
原子力発電、太陽光発電、風力発電の比較 ・原子力発電(現在53基)の全てを新エネルギー(太陽光や風力)で代替するのは 非現実的 非現実的 ・現時点では太陽光や風力は供給安定性(雨の日や風の吹かない日は発電しない) や経済性などの課題が存在 佐々町の面積は約32.3km2 太陽光発電は佐々町の面積の約2倍強、風力発電は佐々町の面積の約8倍強
5. 原子力発電所のしくみ どちらも蒸気を使って発電するのは同じ。蒸気の作り方に違いあり。
化学エネルギーと原子力エネルギーの比較 石炭 石油 天然ガス 原子の結びつき方が変化するとエネルギーが発生 石炭 石油 天然ガス 原子の結びつき方が変化するとエネルギーが発生 C + O2 → CO2 + 熱エネルギ- 熱エネルギー 核分裂 ウラン235 中性子 内部エネルギーが 大きくなり変形した ウラン236 核分裂生成物(FP) FP 熱エネルギー 原子の本体が変化するとエネルギーが発生 ウラン 熱エネルギー 核分裂反応を起こしやすくする ために、中性子の速度を落とす 減速材(水)を用いる。 ウラン235の1gで発生する熱エネルギーは 石油の100万倍以上! ウラン235の核分裂=69×106 KJ>> 石油の燃焼=42KJ ウラン235 1グラム 石油2,000ℓ 13
6. プルサーマルのしくみ プルサーマルとは使用済燃料から取り出したプルトニウムとウランを混合した燃料(MOX燃料)を現在の原子力発電所(軽水炉)で利用すること 「プルサーマル」はプルトニウムとサーマルリアクター(軽水炉)を合わせた和製英語
使用済み燃料 約3年後 新燃料
ウラン燃料炉心とMOX燃料炉心 ー簡単に表わせばー
ご静聴ありがとうございました。 NASAホームページより