CsIシンチレータと マルチアノードPMTを用いた 硬X線撮像装置の性能測定

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CsIシンチレータと マルチアノードPMTを用いた 硬X線撮像装置の性能測定 小澤碧 坂井道成 内山秀樹

目次 1.概要・目的 (坂井) 2.装置・原理 (坂井) 3.実験の方針 (坂井) 4.実験と結果 5.まとめ (小澤) 1.概要・目的  (坂井) 2.装置・原理  (坂井)  3.実験の方針   (坂井) 4.実験と結果     4-1 抵抗チェーン単体の位置分解能評価  (坂井)    4-2 シンチレータ・PMT内での光の広がり   (内山)    4-3 抵抗チェーン抵抗値による位置分解能の違い(内山)    4-4 位置分解能評価  (小澤)    4-5 エネルギー分解能評価  (小澤) 5.まとめ  (小澤)

1.概要・目的 2010年打ち上げ予定 次世代X線観測衛星 NeXT

2.装置・原理

一枚板CsI(Tl)シンチレーター 厚さ 2mm size:50mm×50mm×2mm 100keVの硬X線~80%の確率で光電効果起こす 減衰時間 1μsec ピクセル化は行っていない

マルチアノード光電子増倍管(PMT) 浜松ホトニクスH9500 SIZE: 52mm×52mm×39mm 16×16=256ch , 1pixel: 3mm (有感:49mm×49mm) GAIN: ~ 100万倍 (Max:Min=5.5:1) 52mm 16ch

抵抗分割の仕組み 2A 3A 1A 5個 10個

抵抗チェーン 縦比 横比 0

抵抗チェーン

3.実験の方針 今回使用するマルチアノードPMTは、16×16のピクセルを持つ。 以下では中心の8×8のピクセルの分解能を重視して実験を行う。

その理由

4.実験と結果 4-1 抵抗チェーン単体の位置分解能評価 4-2 シンチレータ・PMT内での光の広がり 4-1 抵抗チェーン単体の位置分解能評価 4-2 シンチレータ・PMT内での光の広がり 4-3 抵抗チェーン抵抗値による位置分解能の違い 4-4 位置分解能評価 4-5 エネルギー分解能評価

4-1 抵抗チェーン単体の性能評価 目的 PMT、シンチレータに因らない抵抗チェーン単体での位置分解能に与える影響を調べる。

方法 パルスジェネレーターの出力パルス高をチャンネルごとに調節し、電荷一定のパルスを入れた。 横1kΩ 縦13kΩ

結果 縦13kΩ横1kΩ 抵抗チェーン単体では誤差は生じない

4-2 シンチレータ・PMT内部での 光の広がりの評価 目的 シンチレータ・PMT内部での光子、電荷の広がりが 位置分解能に与える影響を調べる。

方法 3mm×3mm×20mm PMT1ピクセル 3.0mm 抵抗チェーンは付けない

結果 標準偏差 1枚板シンチ 1.06 ピクセルシンチ 0.71 ピクセルシンチでも光が広がっている

抵抗チェーンをつけて測定した。 ピクセル シンチ 一枚板 シンチ

位置分解能の定義 結果 断面

結果 35.8 48.9 39.6 47.4 ピクセルシンチ 一枚板シンチ 横比 分解能(%) 縦比 ピクセル シンチ 一枚板 (縦13k横1k) 35.8 48.9 一枚板 (縦13k横1k) 39.6 47.4

4-3 抵抗チェーン抵抗値による 位置分解能の違い 目的 抵抗チェーンの抵抗値による位置分解能の変化を調べ、最適な抵抗値を決める。

方法

結果 縦・横の抵抗値が同じ場合(縦13k横13k)

縦分解能が悪い理由 (CH1+CH4):(CH2+CH3)の比で縦方向の位置が決まる。 実際 理想 縦のチェーンに電流が流れる 縦方向の情報が失われる 縦のチェーンの抵抗を横のチェーンより大きくして電流が流れるのを防ぐ

縦13k横1k 縦13k横13k

位置分解能 抵抗値 横比分解能(%) 縦比分解能(%) 縦13kΩ横100Ω 76.7 41.7 縦13kΩ横1kΩ 39.6 47.4 62.2 81.7 縦50kΩ横1kΩ 57.4 52.8 縦50kΩ横5kΩ 54.5 65.8 縦50kΩ横50kΩ 58.0

4-4 位置分解能評価 目的 これまでの実験で分かった中での最適の抵抗値(縦13k横1k)でどこまで位置分解能が出るか調べる

方法 PMT1ピクセル 3.0mm

結果 縦比 横比

断面 評価 横比分解能(%) 縦比分解能(%) 43.0 48.9 隣接2点は分解できないが1点飛ばしなら分解できる。

実際に1点飛ばしの2点にコリメートしてX線を当てた 確かに分解可能!

4-5 エネルギー分解能評価 目的 エネルギー分解能を評価する。 PMTのピクセルごとのゲインの違いが影響を与えるか? ダイノードと4chの足し上げのどちらが有利か?

方法

結果

エネルギー分解能の エネルギー依存性 ゲイン最大のピクセルにコリメートした結果 エネルギー (較正線源) ダイノードによる エネルギー分解能(%) アノード4ch足し上げによるエネルギー分解能(%) 80keV (Ba133) 11.2 -  88keV (Cd107) 13.0 13.4 122keV (Co57) 7.8 11.9 356keV (Ba133) - 12.4

エネルギー分解能のゲイン依存性  Co57(122keV)をゲインの異なるセルにコリメートして当てた結果 PMTのセルの ゲイン ダイノードによる エネルギー分解能(%) アノード4ch足し上げによるエネルギー分解能(%) 100 7.8 11.9 80 8.5 9.8 57 10.3 40 8.0

5.まとめ 今回作成した硬X線撮像装置の性能 縦方向 3.4mm (1ピクセル3mm×3mm) エネルギー分解能 : 9.5keV (122keV,gain100のセル) いずれもFWHMで評価した

位置分解能の向上のために ・シンチレータ→一枚板よりはピクセル化したほうが多少は改善されるがPMTによる広がりの方が効いているように思われる。 シンチ・PMT無し チェーン単体 一枚板シンチ ピクセルシンチ

・光電子増倍管→光電面のガラスを薄くし、 光電子が広がらないような内部構造にする。

おしまい

補足1 隣り合う2点に           コリメート 4.4mm厚みの鉛使用

ゲインによるスペクトルの違い (57Co122kev) エネルギーチャンネル較正 補足2  エネルギー分解能 ゲインによるスペクトルの違い (57Co122kev) エネルギーチャンネル較正

補足3 抵抗値による比の違い

位置分解能(端) 抵抗値 X方向分解能(%) Y方向分解能(%) 縦13kΩ横1kΩ 67.0 59.6 縦13kΩ横13kΩ 69.2 79.1 縦50kΩ横1kΩ 65.6 52.8 縦50kΩ横5kΩ 54.5 65.8 縦50kΩ横50kΩ 58.0 62.2

位置分解能 縦の抵抗値>横の抵抗値の方がY方向分解能は良い 縦13k横1kが良い

端付近での分解能評価 横比分解能(%) 縦比分解能(%) 59.8 54.5