滲出性中耳炎の治療経験 ジアテルミーとヒスタグロビン注射

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滲出性中耳炎の治療経験 ジアテルミーとヒスタグロビン注射  滲出性中耳炎の治療経験 ジアテルミーとヒスタグロビン注射 勝田耳鼻科 志井田守

滲出性中耳炎の難治例  外科的処置を要する所見 が  再燃してジアテルミー治療で  寛解しても年余にわたり治癒  しない例

ヒスタグロビンを用いた理由 ①学齢期以上ではジアテルミー治療(超短波25回 1クール)で軽快するのが普通であるが、学齢期まえ3~5才の幼児には難治例がある ②1~2才児の難治再燃性中耳炎に免疫グロブリン450mg(2回に分注)が有効であった ③鼻アレルギーにヒスタグロビン著効例があった ④成人の再燃性滲出性中耳炎で著効例があった

      反復再燃性中耳炎のグロブリン注射例 症例 S.O. 1.5 才 男 初診 H.16.1.15   H.16年   月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 月 通院  9 15 1 16 11 10  8  4  4 9 11 14 回 鼓膜切開 右 2 1 1 1 1 1 回    左 1 1 2 1 1回 ↑グロブリン注射     ↑マイクロ波 H.17年             月  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 月 通院 13 9 10  7  8  5  5  8  5  5 4  9 回         ↑超短波 ↑軽快

H. 11.9 Tympanogram B 型 会話音域レベル 37.5 dB 治療 左 鼓膜切開 デカドロン0.5ml 注入 滲出性中耳炎の治療経験  症例 H.S. 26才 ♀ 左滲出性中耳炎 右耳管狭窄症  H. 11.9 Tympanogram B 型 会話音域レベル 37.5 dB  治療  左 鼓膜切開 デカドロン0.5ml 注入       4ヶ月 ジアテルミー20 回 B 型 聴力改善せず  H.12.1 左摘出術後の残存扁桃を高周波凝固    12.3 鼓膜切開 デカドロン注入    12.5  鼓膜穿刺 ヒスタグロビン注射     2 回    12.6  鼓膜切開          注射     5 回    12.7                  注射     1 回      ジアテルミー25 回 バルサルバ法で通気でき 治療中断 2ヶ月     12.10 鼓膜切開 2 回 デカドロン注入 抗生剤内服 7日間                         注射     1 回       12.11 ~ H.13.5        注射  各月1 回  総計16 回  H.13. 2. 8  鼓膜切開 デカドロン注入  H.13.3. 29 Tympanogram A型 聴力改善 13.5.22 治癒終了

5.5才 H.16.2 両側急性中耳炎 (右耳漏、左鼓膜切開) 治療 5ヶ月 ジアテルミー25 回 Tympanogram A型 治癒 滲出性中耳炎の治療経験 症例 M.Y. ♀ 5.5才 H.16.2 両側急性中耳炎 (右耳漏、左鼓膜切開) 治療 5ヶ月 ジアテルミー25 回 Tympanogram A型 治癒 --------------------------------------------------------------------------------- 6.3才 H.16.12 両側急性中耳炎 (両側鼓膜切開) 治療 3ヶ月 ジアテルミー18 回 軽快せず 下記に移行 6.4才 H.17.2 両側滲出性中耳炎(鼓膜内陥、通気後水泡像) 治療 4ヶ月 ジアテルミー 25 回 軽快せず 副鼻腔炎の傾向   ヒスタグロビン注射 H.17.6   4 回     H.17.7   3 回 6.8才 H.17.9 Tympanogram C型 通気後 A型     ヒスタグロビン注射 H.17.12  1 回 計 8 回  7.8 才 H.18.6 鼓膜正常化 して治癒     

Tympanogram 右 C 型 -120dP 左 B 型 治療 3ヶ月 ジアテルミー 1Kur 滲出性中耳炎の治療 症例 Y.U. 男 4.5才 H. 16.11 両側耳管中耳カタル          Tympanogram C型 -110,-170dP           両側鼓膜に滲出液線がみられる                              治療 3ヶ月 ジアテルミー 25 回            Tympanogram A型 -50,-40dP 寛解  ------------------------------------------------------------------------------ 5才 H.17.5 左滲出性中耳炎 右耳管中耳カタル          Tympanogram 右 C 型 -120dP 左 B 型          治療 3ヶ月 ジアテルミー 1Kur      H.17.8 左鼓膜が黒黄色 : 中耳腔に血性滲出液の貯留          ヒスタグロビン注射  8月 1 回 9月 4 回                        10月 1 回  計 6 回               H.17.10 滲出液が減少            Tympanogram C型 通気後 A型 軽快     H.18.7  左鼓膜に斑状混濁  ジアテルミー継続     H.19.3  鼓膜正常化 Tympanogram A型 治癒

治療 6ヶ月 ジアテルミー 20 回 Tympanogram A型 治癒 以後1年間 月2・3 回通院 ジアテルミー20 回 滲出性中耳炎の治療 症例 R.U.♀ 2.3才 H.15.2 両側急性中耳炎 左鼓膜切開(耳痛) 治療 6ヶ月 ジアテルミー 20 回 Tympanogram A型 治癒     以後1年間 月2・3 回通院 ジアテルミー20 回   -------------------------------------------------------------------------------------- 3.8才 H.16.6 両側急性中耳炎 ミノペン 4 日 内服 3 回通院     H.16.7 滲出性中耳炎に移行 月 4 回 通院          8 右鼓膜切開 デカドロン0.5ml 注入         10 右鼓膜穿刺  12 右鼓膜切開 デカドロン 注入 4.1才 H.16.11 ヒスタグロビン注射開始 11月 2 回 12月 2 回     H.17.1~6 1月 2 回 2・3・4・5・6月 各1 回 合計 10 回    この間 17.1 左鼓膜切開 17.5 右鼓膜切開 デカドロン注入 4.8才 Tympanogram C 型 通気後 A 型  寛解 5.5才 H.18.2 発熱 右耳痛 抗生剤内服 4月 難聴目立つ     H.18.5 左鼓膜切開 快復早い     H.18.7 Tympanogram 通気後 A 型 鼓膜内陥 6才  H.18.9  7・8・9月 注射 5 回 追加 総計 15回

治療 4ヶ月 ジアテルミー 20 回 Tymp B 型 下記に移行 滲出性中耳炎の治療 症例 H.H. 男 3.5才 H.16.12 両側急性中耳炎 (右耳漏 左鼓膜切開)      治療 4ヶ月 ジアテルミー 20 回 Tymp B 型 下記に移行    ------------------------------------------------------------------------------------- 4才 H.17.4 両側滲出性中耳炎 鼓膜黒い とくに左が黒い      17. 6 ジアテルミー 20 回 滲出液減少 鼓膜に斑状混濁           Tympanogram B 型       17.7 左鼓膜黒い 内陥して黒い       17.8 左鼓膜切開 デカドロン0.5ml 注入 右鼓膜黄色い       17.9 ヒスタグロビン注射 5 回         10       2 回 左鼓膜 赤くなる        11 左鼓膜 黄色い 右鼓膜 滲出液線 4.6才 H.18.1 左耳少し悪い 右耳大変良い 通気後 右 A 左 C 型       18.3・4・5 ・8・9 ヒスタグロビン 月1 回  合計 注射 12 回       18.5.1 左耳痛 → 鼓膜切開 バナンDS 10日間 治り早い            鼓膜内陥 水泡像 滲出液線 月 2~4 回 通院継続       18.10 右 A 型 大変良い 左 B 型 中耳カタル  所見 消長

症例のまとめ 症 例 注 射 治 療 経 過 効 果 H.S. 26才 16回 2年 治 癒 (++) 症   例  注 射 治 療  経  過  効 果 H.S. 26才 16回 2年 治  癒 (++) M.Y. 5才  8回  1.5年 治   癒  (+) Y.U. 5才  6回 1.9年 治  癒 (+) R.U. 6才  15回  2年 寛  解 (+) H.H. 4才  12回 1.5年 寛 解 (+)

ま と め ジアテルミーを適用しても 難治 であった滲出性中耳炎の 5 例 にヒスタグロビン注射を行った 治癒 3 寛解 2 治療手段として        ま と め  ジアテルミーを適用しても 難治  であった滲出性中耳炎の 5 例  にヒスタグロビン注射を行った  治癒 3 寛解 2 治療手段として 有用で あった