通風による建物冷却効果の検討 通風による建物冷却効果の検討について 後藤が報告いたします。 2033010 後藤 哲平.

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通風による建物冷却効果の検討 通風による建物冷却効果の検討について 後藤が報告いたします。 2033010 後藤 哲平

研究背景と目的 通風が重要 一方 夏季等における室温調節 夜間の通風に関しては夜間冷却 日中の蓄えられた熱を放熱 研究背景と目的 夏季等における室温調節には通風が重要といえます。市街地などでは大気汚染や防犯上の理由で窓を開けることが難しくなっていますが、暖かい地方での省エネと快適性からも日中の通風は効果的といえます。 一方、夜間の通風に関しては、冷気を利用して日中建物に蓄えられた熱を放熱する夜間冷却を行うこともあります。 日中の蓄えられた熱を放熱

実大建物風洞による通風時の建物冷却効果の検討 昨年までの研究 外部風速と流量の関係 本研究では 蓄熱した建物を通風 蓄熱除去作用 昨年までの研究では、外部風速と流量の関係について検討を行ってきました。 本研究では、夜間にかかわらず蓄熱をした建物を通風することによりおこる、蓄熱除去作用に注目し、実大建物風洞を用いた通風時の建物冷却効果についての検討を行いました。 実大建物風洞による通風時の建物冷却効果の検討

実大建物風洞 高さ3m 奥行き5.4m 幅5.4m 0.9m 1.8m 建物モデル 幅 :5.4m 奥行き:5.4m 高さ :3m θ 風向 実験施設は、独立行政法人建築研究所内にある通風実験棟です。 実大建物模型の寸法は幅・奥行き5.4m、高さ3mで開口部寸法は幅0.9m、高さ1.8mです。 ターンテーブルの上に実大建物模型が設置されており、回転させることにより風向を変化させることができます。 建物モデル 幅  :5.4m 奥行き:5.4m 高さ :3m 開口部寸法 幅 :0.9m 高さ :1.8m 風速3m/s ●:風速及び熱伝達率測定点

実大建物実験棟を対象とした 伝熱1次元モデルの計算 実大建物実験棟を対象とした 伝熱1次元モデルの計算 計算条件 ・建物内温度を30度、建物外温度を20度。 ・風向15度、風速3m/s ・蓄熱体として床面に石膏ボード9.5mm厚 ・通風開始から20分相当の計算 ・気層は模型内全体を1要素とした  次に実験前に先立ち、実験施設を対象とした、伝熱1次元モデルによる換気計算を行い、温度と除去熱量の時間変化についての予備的考察を行いました。  計算条件として、建物内温度を30度、外気温を20度とし、以下のように想定し、計算を行いました。 風向15度、風速3m/s、蓄熱体として床面に石膏ボード9.5mm厚を設置、通風開始から20分相当の計算、気層は模型内全体を1要素とし、計算を行いました。

温度計算 伝熱計算 9.5mm厚の石膏ボードを分割して計算を行った 蓄熱量 流入出気温差から求めた蓄熱量 床面からの流入熱量 ⊿t後の室温 現在の室温 室の熱容量 θf:室内空気温度 [℃] θo:外気温度 [℃] θs:固体の表面温度 [℃] Q:流量 [m3/s] cρ:空気の容積比熱 [J/m3・K] S:固体面積 [m2] αc:熱伝達率[W/m2・K] 伝熱計算 蓄熱で温度上昇 蓄熱量 流出する熱 流入する熱 cρ:床材熱容量 [J/m3・K]  x:固体の厚さ [mm] θ:温度 [℃] S:固体面積 [m2] λ:熱伝導率 [W/m・K] t:時間 [s] V:建物容積 [m3] 次に計算方法です。 ●流入空気と流出空気の温度差と流量から求めた蓄熱量と●床表面と室内空気の温度差から求めた床面からの流入熱量の和を●室の熱容量で割ったものを●現在の空気温度に足すことにより、●⊿t時間後の空気温度が算出できます。 伝熱計算では、石膏ボードを分割し●下層から流入する熱量と●上層に流出する熱量の差が、●その層に蓄熱された熱量という関係です。 9.5mm厚の石膏ボードを分割して計算を行った

計算結果 次に各風向の流量と 流量の一番多い風向15度、中間の60度、少ない90度についてのCase4による計算方法で計算した結果を示します。 風向15では20分後の床面温度が約4度下がっています、風向60度では約3.5度、風向90度では約1度下がるという結果になりました。 通風量の大小により除去熱量に大きな差が生じることがわかりました。

実大風洞実験棟を用いた建物内 温度分布の実測   実大風洞実験棟を用いた建物内   温度分布の実測 空気温度測定時 床面温度測定時 1670mm 石膏ボード スタイロボード 290mm 710mm 1190mm 2100mm A開口部 B開口部 次に実大建物模型の床表面及び空気温度の測定を行いました。 模型内の、床・壁・天井に断熱材50mm厚を敷き詰め、床面には蓄熱体として石膏ボード12.5mm厚を設置しました。 床表面及び、空気温度測定点は左の図に示した通りです。床表面温度測定では各室中央に石膏ボード裏表、断熱材裏、天井温度と290mm高さの空気温度を測定。空気温度測定では、各室中央で鉛直方向に5高度測定を行い、A開口部は真ん中に5高度、B開口部には6高度2列の測定を行いました。 1590mm 420 mm 1320mm 875mm 420mm 150mm 1590mm 720mm 280 mm 1320mm 1020mm 420mm 150mm ○は床表面測定点 ●は中央測定点 ・は空 気温度測定点

実験の流れ 規準化 時間 1 通風開始 建物内加熱 通風開始前の建物内平均温度 設定温度 通風中 外気温度 開口部を締め切り、ヒーターにより加熱し、室内及び石膏ボード温度が30度前後の設定温度に達したら開口部を開け通風を開始します。 流入空気温度は18度一定に制御しました。 これから使用する温度は開始温度に微妙なずれが生じるので、通風開始前の建物内平気温度を1とし、流入温度を0として規準化をしています。 外気温度 時間

細線熱電対φ0.05mm 次に設置状況の説明をします。 模型内を加熱するヒーターは●4つで、このように●部屋の中心に向けています。 ●床面と空気温度測定点はこのようになっています。各室の境目では空気温度は床面測定点の中間を取っています。 開口部の熱電対の設置状況●はこのようになっています。空気温度測定では、●細かい温度の時間変動も見るために直径0.05mmの細線熱電対を使用しました。●開口部の閉鎖状況はこのようになっています。

室内気流分布(床上230mm) 床表面規準化温度 (5分後) 風向15度 風速3m/s 空気規準化温度(1分後) 空気規準化温度(5分後) 次に風向15度の室内気流分布と通風開始から5分後の床表面規準化温度分布、と通風開始から1分後、5分後の空気規準化温度を示した図です。 床表面温度では流管に沿って温度が低下しており、流管から外れる部屋は0.4と温度が下がっていない部分が見られます。 空気温度は、測定開始から約1分後で、流管の部分は0.13と外気温との差がなくなります、5分後では場所によっては0.4と熱の残る場所が見られました。

通風による除去熱量の検討 H1 熱伝達率αc・面積A 空気温度Ts - 床表面温度Ta 196点αc H1:床面からの除去熱量[W] A:面積 [m2] αc:対流熱伝達率 [W/m2・K] Ts:空気温度 [℃] Ta:床表面温度 [℃] 熱伝達率αc・面積A 空気温度Ts - H1 床表面温度Ta 次に通風による除去熱量の検討を行いました。 一つは、●流入温度と床表面温度との差に対流熱伝達率と面積をかけて除去熱量H1を算出します。 196点αc

通風による除去熱量の検討 H2 流量Q 差 流入開口温度Ti 流出開口温度To H2:室全体からの除去熱量 [W] Q:流量 [m3/s] cp:空気の比熱 [J/m3・K] ρ:空気の密度 [g/m3] To:流出空気温度 [℃] Ti:流入空気温度 [℃] 流量Q H2 差 一つは、開口部温度差と●流量から除去熱量H2を算出します。 流入開口温度Ti 流出開口温度To

風向15度 風速3m/s 除去熱量 H1 H2 この図は、除去熱量H1とH2の時間変化を示したものです。

風速変化による除去熱量の違い 風向15度 積算値 (H1/H2:%) 次に風速変化による除去熱量の違いについて検討を行いました。 ひょうに風速を変化させたときの除去熱量の積算値の割合を示します。 除去熱量の多い初めの●5分間では風速2・1m/sで約7割となっており風速3m/sと同じ傾向を示しています。

右下がりの図を予想 風向90・105・120・135度流量も温度差も少ない 同一開口面内で流入と流出が同時に起きている場合! 次に除去熱量H2の方法で、風向0度~165度までの除去熱量を算出しました。 左の図は計算で使用した開口部温度差の通風開始前と5分後のデータと流量を示したものです。右下の図は開口部温度差と流量の関係を示したものです。流量の少ない風向では開口部温度差も少なく、●右下がりの図を予想していましたが。●風向90度~135度では流量も温度差も少ないという結果になりました。これは●同一開口面内で流入と流出が同時に起きることによるものと考えられます。 同一開口面内で流入と流出が同時に起きている場合! 全風向 流量と⊿T 5分後

風向75度多い 同じ流量だが除去熱量積算値が違う 風向120度少ない ほぼ比例関係! 流量 [m3/h] 除去熱量 積算値 [MW] 次の図は、風向別の流量と除去熱量積算値の関係について示したものです。ほぼ比例関係にあります。 しかし、●この風向75度と120度は、流量が同じだが除去熱量積算値に違いが見られました。 ほぼ比例関係!

多い 少ない 風向75度気流分布 床表面 5分後 規準化温度 空気 風向120度気流分布 床表面 5分後 規準化温度 空気 5分後 規準化温度 空気 多い 風向120度気流分布 床表面 5分後 規準化温度 空気 これは、風向75度120度の室内気流分布と通風開始から5分後の床表面及び空気規準化温度分布です。 風向75度の床表面温度と120度の床表面温度を比べると、75度では各部屋で温度が下がっていますが●120度には温度の下がっていない部屋が見られます。空気温度に関しても75度では室全体の温度が下がるのに対し、●120度では温度の下がりにくい部分がみられます。 少ない

これは建物模型内に煙を充満させ、レーザーシートをかけ可視化を行っている映像です。

風向75度 風向120度 流出口 流出口 流入口 流入口 これが風向75度と120度の可視化映像です。 75度では、このように部屋全体に風が行き渡るが、120度では流入した部屋は循環するがデッドになる部屋ができます。 流入口 流入口

通風量が同じでも、室内の気流パターンにより除去熱量に差が生じる 結論 通風時の床面及び室内空気温度変化を把握  通風経路と通風経路外空間では 温度低下の速さに差異が生じている 除去熱量は通風量にほぼ比例する  結論です。通風時の床表面及び室内空気温度変化を詳細に把握しました。通風経路と通風経路外の空間では温度低下の早さに差異が生じます。 除去熱量は通風量にほぼ比例しているのを確認しました。 通風量が同じでも、室内の気流パターンにより除去熱量に差が生じることがわかりました。 梗概は今回の発表に合うように改定します・・・・ 通風量が同じでも、室内の気流パターンにより除去熱量に差が生じる