A Daytime Infra-Red Sky Background at Dome F, Antarctica

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星間物理学 講義4資料: 星間ダストによる散乱・吸収と放射 1 星間ダストによる減光 ( 散乱・吸収 ) 過程、放射過程 のまとめ、およびダストに関わるいろいろ。 2011/11/09.
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GLAO at Subaru Telescope
プロポーザル準備/観測準備 ダストをたくさん持つ銀河 の赤外線分光観測の例 国立天文台 今西昌俊.
JAXA宇宙科学研究所 海老沢 研、辻本 匡宏 西はりま天文台 森鼻 久美子
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南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
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平成14年度 修士論文発表会 ライダーとサンフォトメーターによる都市大気 エアロゾルの光学的特性に関する研究
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トランジット法による低温度星まわりの地球型惑星探索と大気調査
Astro-E2衛星搭載 XISの データ処理方法の最適化
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神戸大大学院集中講義 銀河天文学:講義6 特別編 観測装置の将来計画
F. Lascaux, E. Masciadri, and S. Hagelin MNRAS, 411, 693 (2011)
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南極から宇宙を見る 沖田博文 東北大学大学院理学研究科天文学専攻 市川隆研究室 南極2m望遠鏡プロジェクト
AIRT40+TONIC2 for JARE53/54 Winter-over Observation 新光学系の提案(最終案)
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南極サイト調査に用いるシーイング測定装置(DIMM)の開発
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小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
CCDカメラST-9Eの      測光精密評価  和歌山大学 教育学部           自然環境教育課程 地球環境プログラム 天文学専攻 07543031   山口卓也  
すばる望遠鏡による10GeV領域ガンマ線天体の観測
miniTAO望遠鏡による Be型星の Paschen α観測
クエーサーの内部構造はどうなっているのか? マグナム望遠鏡の威力
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
超高光度赤外線銀河(ULIRGs)中に埋もれたAGNの探査
星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
第12回 銀河とその活動現象 東京大学教養学部前期課程 2017年度Aセメスター 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
天文学における52次隊での 成果と将来計画 ○沖田博文1,3,4・市川隆1・高遠徳尚2・小山拓也1 第2回極域シンポジウム
○沖田博文(東北大学大学院理学研究科天文学専攻・国立極地研究所)
スターバースト銀河NGC253の 電波スーパーバブルとX線放射の関係
ALMAへの期待 -埋れたAGNの探査から-
COSMOS天域における赤方偏移0.24のHα輝線銀河の性質
地上分光観測による金星下層大気におけるH2Oの半球分布の導出
南極ドームふじのシーイング -雪面から高さ15mで0.2秒角-
CHANDRA衛星の観測結果による、 球状星団M4(NGC6121)のスペクトル解析
超高角度分解能X線望遠鏡 Xmas Project
ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 竹腰達哉 北海道大学修士課程2年 Collaborators:
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
南極サイト調査用DIMM (シーイング測定装置) の開発と試験観測
(FMOS戦略枠観測で余ったファイバーによる) M型星まわりのトランジット地球型惑星探し
Presentation transcript:

A Daytime Infra-Red Sky Background at Dome F, Antarctica Tohoku Univ. Okita, Hirofumi

研究背景 赤外線観測の重要性 しかし・・・ 赤外線天体観測は極めて困難 ・銀河はどうやって誕生したのか? ・第2の地球は存在するのか? Abell 426 ©2008 CFHT 2M1207 ©2004 ESO しかし・・・ 赤外線天体観測は極めて困難 (1)大気の輝線放射(OH夜光) (2)大気の熱放射 (3)望遠鏡の熱放射 (4)大気中の水蒸気による吸収 http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~iwamuro/LECTURE/OBS/atmos.html ・背景ノイズは可視光の1,000~1,000,000倍 ・観測可能な波長に大きな制限 Cox (1999)

研究背景 = 南極赤外線望遠鏡計画 そこで、南極大陸内陸高原 に着目 ・極低温(冬期 -80℃) ・極乾燥(PWV 0.2mm) ・極低温(冬期 -80℃) ・極乾燥(PWV 0.2mm) Yamanouchi+(2003) 赤外線天文学にとって地球上で最高条件の観測地 Burton+(2005) さらに近年、地球上で最も安定した大気が存在する事も分かってきた。 Lawrence+(2004),  Agabi+(2006) これらを踏まえて計算すると・・・ 世界最高性能の「すばる望遠鏡(口径8m)」と同等の性能が南極に設置した口径2mの望遠鏡で実現可能。さらに極夜を利用した南極オリジナルの2,000時間の連続観測も可能。 南極赤外線望遠鏡計画 = AIR-T Project すばる望遠鏡 ©国立天文台 なゆた望遠鏡 ©西播磨天文台

研究計画 観測計画 2010年12月下旬~2011年1月初旬(最大3週間) 第52次南極地域観測隊夏隊同行者としてドームふじ基地に赴き、観測条件調査・初期科学観測・駆動技術の立証を行う。 得られた観測データを解析し、「南極天文学」を創造する 観測データから地球環境のモニターが可能か評価する 冬期総合訓練 ドームふじ基地 ©極地研 観測計画  2010年12月下旬~2011年1月初旬(最大3週間) シーイング測定 DIMM, SNODARを用いて大気擾乱の高さ分布とシーイングの絶対値を測定する。 大気背景散乱光の測定 大気中の散乱物質の少ない南極では散乱も少ない。中間赤外線波長で日中の天体観測が可能かどうか評価する。 金星CO雲の2.3μm連続観測 金星の下層大気~雲層のCO吸収線の連続観測によって金星大気の三次元構造の把握を目指す。 低温下での駆動技術の立証  ドームふじ基地での観測によって低温下での駆動技術を確立する。

疑問 1:2011年1月の「日中」の観測は本当に可能か? →南極は空気が澄んでいるから昼間でも星が見える?? →赤外線観測なので背景散乱光は弱い?? 疑問 2:冬は2,000時間の連続観測が可能だがそれ以外の季節は? →夏は望遠鏡の整備に専念?? →中間赤外なら日中でも観測可能?? 背景散乱光の強度が「2010年度ドームふじ天体観測」の成否を分ける 背景散乱光の観測地・波長依存性によって南極望遠鏡計画の方向性が決まる A Daytime Infra-Red Sky Background at Dome F, Antarctica

A MODEL OF THE BRIGHTNESS OF MOONLIGHT (K. Krisciunas & B. E A MODEL OF THE BRIGHTNESS OF MOONLIGHT (K. Krisciunas & B.E. Schaefer 1991, PASP, 103, 1033) 月夜のSky強度(可視光)を調べるのが目的。観測+理論式。 月夜のsky = 新月のsky + 月の散乱光 月のフラックス Zsky skyの天頂角 Zmoon 月の天頂角 α 月の位相(満月=0°) ρ sky と月のなす角度 k 減光係数 エアマス 散乱係数 レイリー散乱 ミー散乱

A MODEL OF THE BRIGHTNESS OF MOONLIGHT (K. Krisciunas & B. E A MODEL OF THE BRIGHTNESS OF MOONLIGHT (K. Krisciunas & B.E. Schaefer 1991, PASP, 103, 1033) マウナケア2,800 [m] k=0.172 [mag/X] 月の散乱光 ロシアのデータ k=0.15, 0.24 [mag/X] 太陽の散乱光 ミー散乱 レイリー散乱 太陽の散乱光は強度以外月の散乱光と同じ m_sun=-26.7 m_moon=-12.7 散乱係数 → 観測地に寄らない

AN EXPOSURE GUIDE FOR TAKING TWILIGHT FLATFIELDS WITH LARGE FORMAT CCDS (N. D. Tyson & R. R. Gal 1993, AJ, 105, 1206) 最も効率的なSky Flatの露出時間ガイド。 薄明時のSky強度(可視光)の観測と理論的な裏付け。 S カウント/秒/pix τ 薄明時間係数 傾きkはフィルターに依らない 薄明中の背景光は3分20秒で2倍に 但し、Fig.1の傾きは ・太陽の昇る角度は季節、緯度で異なる   →”τ”で補正 ・月や街明かりによって影響を受ける ・火山の噴火によって赤外では直線から逸脱する (P. Harding, private communication)

AN EXPOSURE GUIDE FOR TAKING TWILIGHT FLATFIELDS WITH LARGE FORMAT CCDS (N. D. Tyson & R. R. Gal 1993, AJ, 105, 1206) 仮定 ・薄明時のskyは地球の影の外側の大気の散乱が原因 ・天頂での値を考慮 ・レイリー散乱の角度依存性は無視 ・太陽の大きさは無視 ・地球の影はシャープ ・地球の影の中の反射は無視 ・大気圧は視線方向の太陽光を散乱する粒子の総数を表す U.S. Standard Atmosphere 1976 (理科年表2006, P.313) 4.5 Z  高度 P  気圧 21.5 Baldry & Bland-Hawthorn(2001) z~250kmで観測と一致

CFHT Redeye Users’ Manual (http://www. cfht. hawaii K. Krisciunas & B.E. Schaefer 1991のデータ → Vバンド(0.55μm) 近赤外(J,H,K)ではどうか? V V-J =1.0 V-H=1.3 V-K=1.4 J 月のフラックス→赤い  レイリー散乱 波長の-4乗  ミー散乱    波長の-1.3乗に比例 K (減光係数k → 赤外で小さくなるか?)

CFHT Redeye Users’ Manual (http://www. cfht. hawaii ハワイの日中のSky Mauna Kea, Hawaii m_sun=-26.7[mag] Z_sun=40[°] k=0.15[mag/airmass] V-V=0[mag] lambda=0.55[mu m] I_darksky=21.7 [mag/ □’’]] V Mauna Kea, Hawaii m_sun=-26.7[mag] Z_sun=40[°] k=0.15[mag/airmass] V-Ks=1.5[mag] lambda=2.2[mu m] I_darksky=14.1[mag/ □’’]] Ks

Krisciunas & Schaefer (1991) 月夜の背景散乱光モデル 可視光 レイリー散乱・ミー散乱 散乱係数は観測地に依らない 月(or太陽)が低空の時 の扱いが不明 Tyson & Gal (1993) 薄明時の背景散乱光モデル 可視光 薄明は高層大気の散乱 (=観測地に依らない) 天頂の明るさのみ CFHT Redeye Users’ Manual 単純にK&S(1991)を応用 K & S (1991)を赤外に応用 太陽高度-20~20°の背景散乱光強度は結局よく分かっていない 薄明や月夜(日中)の背景散乱光は本当に観測地に依らないのか? 近~中間赤外線の背景散乱光はどうなのか?

A Daytime Infra-Red Sky Background at Dome F, Antarctica 可視光 赤外線 太陽高度-20~20°での 背景ノイズの空間分布を観測 仙台 ハレポハクorマウナケア山頂 ドームふじ 観測地依存性の検証 8月中旬にハワイで観測 GCOE若手イニシアティブA 35万 AIRT40 Celestron NexStar 4SE 10cm望遠鏡 TONIC2 Mode-A 浜松フォトニクス C9406GC 900-1700nm赤外ファイバー分光器

背景散乱光の強度が「2010年度ドームふじ天体観測」の成否を分ける 背景散乱光の観測地・波長依存性によって南極望遠鏡計画の方向性が決まる Dome A, Dome Cの状況 A Review of Optical Sky Brightness and Extinction at Dome C, Antarctica (S. L. Kenyon & J. W. V. Storey 2006, PASP, 118, 489) 観測効率・観測時間の議論 偏光板を用いて効率up Gattini: an multisite campaign for the measurement of sky brightness in Antarctica (A. Moore et al. 2008, proc SPIE, 7012, 701226) PLATOに搭載したカメラによる観測 g’バンド The Sky Brightness and Transparency in i-band at Dome A, Antarctica (H. Zou et at. 2010, arXiv:1001.4951v1) CSTARの観測データ median 19.81mag/arcsec^2 いずれも可視光・極夜の「最高条件」の研究(サイト調査) 誰も真剣に夕暮れ~薄明中の天体観測を可能性を考えていない 背景散乱光の強度が「2010年度ドームふじ天体観測」の成否を分ける 背景散乱光の観測地・波長依存性によって南極望遠鏡計画の方向性が決まる