米国視察報告 平成14年4月 (4月15日訪問)
KendlInternational Inc 訪問先:Kendle International Inc 所在地:1200 Carew Tower 411 Vine Street Cincinnati,Chio 45202 Tel:800 733 1572 Fax: 513 345 1621 面談者:Sherry L Gevedon,PhD,MBA & Susan Ewing E-Mail Address :gevedon.sherry@kendle.com URL:WWW.Kendle.com レポート担当者:角崎 正人
訪問先概要 事業業容概要 医療・バイオテクノロジー関係の調査・コンサルティング会社 1881年 Candace Kendle と Chris Bergen によって『Kendle Research Associates』として設立 従業員:1800名,売上:1億5430万ドル(2001年通期) 40カ国に業務を展開し、売上規模で年率28%(2000→ 2001)の急成長をしている。 地域別内訳は、北米:69%,ヨーロッパ゛:29%,アジア/ 太平洋:2%
e-ラーニングの活用状況概要 1.規模 社員1800人に対し、世界18箇所で受講可能な環境 利用可能コース200 2.内容 1.規模 社員1800人に対し、世界18箇所で受講可能な環境 利用可能コース200 2.内容 ① 自己学習型 レディーメイドコンテンツによるスキルアップおよび 独自教材による教育 ② ライブ バーチャルクラス、Webカンファレンス、Web上での ミーティング
1.会社概要------省略 2.企業内教育の歴史 1989年:企業内教育開始(業界初) 1997年:企業内大学の運用を開始(業界初) 医療関連の調査会社としては初めてe-learning へ進出した。 3.ビジネスチャレンジ ① 製品開発プロセスなどの従業員教育を継続的に実施 ② 市場のニーズに合わせたプロジェクト・事業目的の創出 とそれに沿った教育の実施 ③ 24時間、365日のアクセス ④ 場所・時間の制約を取り除く 4.ソリューション 企業全体にe-learningを適用しのビジネスの パフォーマンスの向上させ、競合他社への優位性を得る
5.戦略 ① 企業の目的に添ったコンピテンシーモデルを作る ② Just in time で業務に必要な知識が得られるよう にする。(トップからの指示事項) ③ ビジネスプロセスや戦略に合わせた組織的な 学習環境を提供する。 ④ プロジェクトや企業の目的に添ったコンテンツを 迅速に提供し、コアビジネスをサポートする。 成功のための重要なポイント ・教育の内容はコアビジネスに直結していなければならない。 ・e-learningそのものを企業の戦略に合わせなければ ならない。
6.導入過程 ① 2000.3-7 ・・・ ベンダのアセスメント(54社対象) ② 2000.8・・・・・・・ 組織としての了承 ③ 2000.8-10・・ ベンダとの契約のつめ ④ 2000.10・・・・・・ IT関係のリーダを雇用 ⑤ 2000.10-2001.5 ・・・・・・・ システム構築 ⑥ 2001.2・・・・・・・ インストラクションデザインを 行うチームを編成 (2人はインストラクタ,1人はLMS用のデータベース管理者) ⑦ 2001.5・・・・・・・・ e-learning開始 (ラテンアメリカを除く世界18箇所)
7.サービス概要 『eKendle College』は、200以上のコースを持ち 1800人の従業員が、世界18箇所で利用できる。 ① バーチャルクラス ② Webカンファレンス **①、②ともコラボレーションツールを使用して実施 ③ Web上での調査・研究者ミーティング **従来は2-200人の調査員を集めて実施していた。 ④ 専門家向け、ビジネス、PC、IT、医療・バイオ関連のコース **リーダシップ、時間管理など、ITとしてはマイクロソフト ⑤ 独自のWebベースコンテンツの開発 ⑥ e-learning関連コンサルタント事業 **製薬関連の企業のコンサルテーションを実施
8.プラットホーム 社内ホスティングし、世界的な規模のインフラを持つとともに 5つのパートナーと戦略的な提携関係を結んでいる。 ① Saba---LMS **開発当時に業界のリーダ的存在であった・ ② スキルソフト---キャリアアップ、ビジネスコース ③ Netg------IT関連コース ④ Centra----インターネット上でのライブ環境 ⑤ マクロメディア--オーサリングツール **すでにあるコンテンツの自己学習への 変換などに使用している。
9.成果 ① 『eKendle College』は、大変うまくいっている。 技術・情報をオンラインで迅速に発信することにより、 戦略的ビジネスプロセスを加速している。 ② 『just in time training』により外部の顧客にも 的確な対応が取れるようになった。 ③ e-learningを新サービスとして外部の顧客へ提供 できるようになった。
10.ROI ① 24時間、365日のグローバルな学習環境を構築した。 ② 従業員の50% 900人が利用している。 ③ 集合研修に比べ50%のコスト削減ができた。 ④ 旅費が75%削減できた。 ⑤ コース数を300%増加できた。
11.教訓 ① トップママネージメントの了承・支持を得ること。 ② お金がかかることを認識し、トップの了承を得ること。 ③ e-learnigの専門家が少ないことを認識すること。 ④ 強力なリーダシップが必要 ⑤ 企業のコアコンピテンシーとの整合性があること ⑥ 企業のコアビジネスに直結していること ⑦ ソフトウェアの選定を慎重に行うこと。 ⑧ パートナーとコンタクトを綿密に行うこと(特に契約) ⑨ 経験豊かで、結束力の強いチームをつくること (IT,ID,Web-IDなどの分野で従業員100人に対し1人) ⑩ 何を成功の尺度とするのかを明確にすること (コスト、社員のコース終了率、どこでも学習など) ⑪ 評価可能な環境としておくこと
12.デモ e-learningマガジンで賞をとった。 ① ekendle Collegeの使用例 ・ポータルサイト ⅰ CEUに関する項目(単位取得認可を得ている) ⅱ WBTを進めるためのマニュアル ⅲ ライブ情報など ・個人認証→個人登録画面 ⅰ 検索によるコース選択 ⅱ 学習履歴の参照 ② バーチャルクラスの使用例 過去のクラスの再生を行った。 パワーポイントと音声で、画像は無し。 (バンド幅があれば画像も送れるとの説明)
特色 1.ライブ環境を中心にしている。 最新技術をいち早く、多くの人間に知らしめるためには 1.ライブ環境を中心にしている。 最新技術をいち早く、多くの人間に知らしめるためには ライブでの教育が一番であるとの考え方。 また、コスト的な面の考慮も大きいと思われる。 2.短期間で全社的に適用している。 システムそのものとしては、大きな特徴はないが 短期間で大規模に適用した腕力には驚嘆するものが ある。 3.自己のノウハウをもとにe-learningを事業化している
質疑応答 Q1.:TOPへのプレゼンテーションを行った際のポイントは 何だったか Q1.:TOPへのプレゼンテーションを行った際のポイントは 何だったか A1:8人の副社長に対し、プレゼンテーションを行った。 ・ベンダに対するアセスメントの整理し分析データを示す (何をもって評価するかをを明示) ・ベンダの決定過程の説明 (意思決定のプロセスを含めて承認—信頼をかちとる) ・e-learnigの動向を説明 (WBT、教育手法、教育内容など) ・従来の集合研修とe-learnigの比較と導入効果 **トップの信頼の厚いリーダが必要、今回のケースでは 早い段階で200万ドルの予算を了承してもらった。
Q2:TOPダウンのアプローチか A2:yes。TOPのサポートがないととてもできない。 それでもタフな仕事である。 Q3:以前はe-learningはやっていなかったのか A3:まったくやっていなかった。 Q4:200コースのうちバーチャルクラスはどれくらい A4:内訳は、キャリアアップ:125,IT:45, バーチャルクラス:110である Q5:現場のインストラクタの受け取り方は A5:50%が協力的、残りはPUSHが必要であった。
Q6:コースのアセスメント結果を人事考課と関連付けているか A6:現在、プロジェクトはフェーズ2に入ったところで 個人個人の開発プランを作り、一年の終わりに評価 するという形で、HRMと結び付けて行く。 Q7:独自コンテンツを外部に公開する場合の考え方。 A7:Kendle社に関する情報は公開しない。 業界で認知されている情報は公開する。 Q8:どのようして実施コースを決めるのか Q8:コアビジネスに関するものは会社側できめる。 パッケージについては年1回マネージャーに アンケートを実施する。 Q9:e-learningに向かないコンテンツは A9:ないと考えている。
Q10:モチベーションを維持する方策は A10:従業員を子ども扱いするようなことはやらない。 各自に1年の学習プランを作ってもらい(強制的) 自主的に参加してもらうような体制をとっている。 このため、業務遂行に関連したコンピテンシーを 明確にし、毎年10-12コースを取るよう 指導している。 A11:集合教育はどうなったか Q11:現在は全く行っていない。(バーチャルクラスの コアとしての集合教育はある) A12:ライブでの時差の問題は Q12:実施時間には気を使っている(北米午前7-9時) しかし、アジアでは時間が合わないのプレイバック となっている。
Q13:Centraのビデオ化はうまく機能しているか A13:うまくいっている。プレイバック時に内容に 関する専門家を待機させている。 (50の接続ライセンスをサーバベースでもち 2000ドル/PCを使っている) Q14:Saba,Centraはカストマイズしているか。 A14:していない、ただ導入には複雑な問題があり 手間取った。 Q15:Centraを使った場合の音声などの遅延は Q15:北米で4秒,欧州で20秒の遅延があることは 認識しているが、費用対効果を考えれば 問題としては小さい。 Q16:ネットワークのバンド幅は A16:専門家でないのでわからない
Q17:自己学習型に変えてゆくつもりはないか A17:事前/事後学習用としての自己学習教材の有効性 は認識しているが、コストがかかる(1時間もので 25,000ドル程度)。 これに比べライブは低コストである。 Q18:問題点および定着させるポイント。 A18:資料にあるのであとでメールする。 (プレゼンテーションの『教訓』の部分と思われる) ・アーキテクチャーの確立時期が大変 ・思った以上にコストがかかる ・ROIの評価をしっかりと行う。 Q19:新規導入であればそれほど難しくないのでは Q19:全般的に、技術的に未成熟な部分が多く、 また多くのベンダをとりまとめて行く必要が あった。(互換性の問題で適用不可のもあった)