レセプト審査の最新事情2012 ~電子レセプト時代の返戻・査定対策~ レセプト審査の最新事情2012 ~電子レセプト時代の返戻・査定対策~ 平成24年 2月10日 有限会社メディカルサポートシステムズ 認定医業経営コンサルタント 第5590号 細 谷 邦 夫
本日の内容 返戻・査定の現状 電子レセプトのメリットが牙をむく 延期されていた新システムが本格稼働 査定が厳しくなるのか? どのようシステムで審査されるかを把握し、冷静にしっかりと対応する 査定が厳しくなるのか? 本来のルールが厳密になるだけ 機械的にレセプトが審査されるということでは無い 査定されないためにレセプトの基礎体力をつけましょう! ドクターに全てできる? 最初だけでなく開業1年後もチェックすることが出てくる
レセプト点検の重要性
レセプト(診療報酬明細書)とは レセプト点検の重要性 医療機関の収入の根幹 算定ミスが発生すると・・・ 本来予定されていた収入が確保できない ⇒請求漏れによる収入減 ⇒機器のリース料等支払の計算が狂う 実際に行われた医療行為が 保険請求に正しく反映されない ⇒過剰請求等による患者の不信感
レセプト(診療報酬明細書)とは レセプト点検の重要性 正しく請求するためには 各種医療関連法規の理解 診療報酬改定に注意 点数表や通知など 療養担当規則 明細の記載要領 診療報酬改定に注意 新点数の届出等は大丈夫か 解釈など情報収集は万全か 返戻・査定(減点)通知から請求ミスの原因を突き止め、その対策を考える 院内のインフラの整備 病名漏れ対策→ソフト、レセコン・電子カルテの機能 オンライン請求時の事務点検ASPの活用 ドクターに全てできる? 最初だけでなく開業1年後もチェックすることが出てくる
レセプト点検の重要性 レセプト審査の状況 保険者は点検を一層強化 審査支払い機関も体制強化 政府 保険者財源の赤字傾向の深刻化 財政破綻の危機 → 慢性的赤字傾向から脱却を目指す → 診療報酬請求事務能力認定試験等資格者を活用 外部委託の進展 →自前で点検を実施できない保険者は業者へ業務委託 審査支払い機関も体制強化 支払基金の民間法人化 容認率の低下への取組み レセプト電子化による審査技術の向上 政府 事業仕分けでも話題に 新システムの稼働で医療機関にとっては、ますます逆風が強くなる P12.13【H14】 ①健保組合=4003億円の赤字 80.6%の1347組合が赤字 政府管掌=5588億円の赤字(介護分も含めると6169億円) ②国庫補助金の交付 被保険者1人当たりの減額査定額が大きい市町村又はレセプト点検事務を充実強化した市町村に対して交付されている すなわち「査定した分だけお金をあげますよ」ということ 世田谷の例
レセプト点検の重要性 よくある算定漏れ・間違い事例 傷病名の付け方 同月内における初診料の複数回算定 患者の任意の中止による初診料の算定 複数診療科受診の際の同日初診 施設基準の届出漏れ・忘れ 傷病名開始日の間違いによる診察料の査定 時間外加算の対象となる時間帯における電話再診時の加算 休日の深夜の時間帯における診療を行った場合の深夜加算 小児科特例時間外加算の算定漏れ 他院から持参した検査結果等の読影料 薬剤の多剤投与の計算 ・前の病名が治癒していれば同月内に初診料が2回以上あることもある ・休日においても深夜の時間帯であれば深夜加算が算定可能 ・電話再診では外来管理加算、継続管理加算の算定は出来ないが、時間外、休日、深夜及び乳幼児の算定は可能 ・同一の保険医でなければ算定できる ・外来診療料には判断料及び採血料は包括されない
電子化時代のレセプト審査
電子レセプトの普及率 電子化時代のレセプト審査 医 療 機関数 オンライン フロッピー等 電子請求計 件数 % 病院 8、639 8、330 医 療 機関数 オンライン フロッピー等 電子請求計 件数 % 病院 8、639 8、330 96.4 198 2.3 8、528 98.7 診療所 87、901 36、922 42.0 34、308 39.0 71、203 81.0 計 96、540 45、252 46.9 34、506 35.7 79、758 82.6 医科件数ベース:94.3% 保険者:80.7% 歯科:35.4% 調剤:93.9%(機関数ベース) (社会保険診療報酬支払基金資料:平成23年12月31日現在)
審査の体制強化1 電子化時代のレセプト審査 電子点数表を用いたチェックの開始 平成23年7月審査分から 下記2点について、「1日につき」及び「同一月内」の条件で判定ができる算定ルー ルを点検するシステム 「包括」に関する算定ルールに対する適合性の点検 (例) 「○○に係る費用は、▲▲の所定点数に含まれるものとする。」と規定されているもの 「背反」に関する算定ルールに対する適合性の点検 (例) 「△△は、□□を算定している患者については算定しない。」と規定されているもの 「H23.7.14 支払基金プレスリリース資料より」
審査の体制強化2 電子化時代のレセプト審査 平成24年3月審査分(2月診療分)から支払基金がレセプトのコンピュータチェックを強化 突合審査・縦覧審査 本来は平成23年4月から実施予定であったが延期されていた 平成22年度診療報酬改定で記載要領の変更 平成24年4月からレセ電ファイルに診療日を記録 突合点検とは 処方せんを発行した医療機関のレセプト(医科・歯科)と、調剤を実施した薬局の調剤レセプトとを患者単位で照合する審査 縦覧点検とは 同一医療機関の同一患者のレセプトを複数月に渡って照合する審査
審査の体制強化2 電子化時代のレセプト審査 平成22年10月診療分から支払基金がレセプトのコンピュータチェックを強化 適応、用法・用量チェックは平成22年2月から実施済み 1955品目(H22.9月現在) 診療行為と病名(適応が明確化されているもの164項目) 各種処置、生活習慣病管理料、在宅酸素療法指導管理料 今後検査から特定保険医療材料まで拡大予定 医薬品と病名(病名禁忌・併用禁忌など791品目) ボルタレン(消化性潰瘍・アスピリン喘息・妊婦等は禁忌) イトリゾール(オーラップ・ハルシオン・リポバス等と併用禁忌) 今まで査定された事がないけど・・・ 禁忌チェックは目険ではすり抜ける可能性大 院外処方ではもう一つの理由で査定されない
院外処方せんの査定の流れ 電子化時代のレセプト審査 医科レセプトと調剤レセプトの突合審査 調剤レセプトが1500点を超えると突合対象だった 支払基金 国保連 医科レセ 調剤レセ 1500点超 1月診療分まで 医科と調剤レセの突合 医科レセプトと調剤レセプトの突合審査 調剤レセプトが1500点を超えると突合対象だった 査定は処方元から(2月診療分から責別確認) 薬剤師も審査委員に名を連ねる(H23.6~)
突合点検対応の流れ(医療機関側) 電子化時代のレセプト審査 突合点検の結果、査定の有無に関わらず請求通り支払われる 返戻等と一緒に『突合点検結果連絡書』が送付 請求翌月初め(診察の翌々月)に送付される 院外処方に関する査定内容が記される 処方せんの内容と異なる査定内容の場合には異議申し立てをする 『処方せん内容不一致連絡書』を送付 『突合点検結果連絡書』と同じ用紙 処方内容等が異なるものに○をつけ支払基金に送付 連絡書が送付された月の18日までに送付する 請求月の翌月=診療月の翌々月18日まで 土・日・祝日の場合は翌営業日 18日を過ぎた場合には再審査請求の手続きで行う
電子化時代のレセプト審査 突合点検対応の流れ(医療機関側)
突合点検対応の流れ(支払基金側) 電子化時代のレセプト審査 責別確認 注意が必要なケース 異議申し立てのあったレセプトについて、調剤薬局より処方せんを取り寄せる 内容を確認し、医療機関と薬局とどちらが原因かを明らかにした上で減点する 後発品に変更されて適応外となったケースは審査対象外? 注意が必要なケース 一包化、分割調剤、嚥下困難者への指示などで処方せんに不備がある場合には医療機関から調剤報酬が減点される
【参考】後発医薬品について 電子化時代のレセプト審査 効能違いの場合の取り扱いについて疑義照会 先発医薬品と効能効果に違いがある後発医薬品 先発医薬品と効能効果に違いがある後発医薬品について、一律に査定を行うことは、後発医薬品への変更調剤が進まなくなること、また、それに伴い、医療費が増える可能性があること等を保険者に説明し、影響を理解してもらうよう努めていただきたい。 「厚生労働省保険局長から支払基金理事長あて(平成24年1月17日・保発0117第1号)」 先発医薬品と効能効果に違いがある後発医薬品 内服薬23製剤・406品目 外用薬1製剤・18品目 注射薬9製剤・158品目 日本ジェネリック製薬協会調べ(平成24年1月19日現在)
【参考】処方せん新様式案 電子化時代のレセプト審査
医師の指示が必要な調剤報酬 電子化時代のレセプト審査 以下のものは調剤薬局に確認を 分割調剤 嚥下困難者用製剤加算 一包化加算 自家製剤加算 計量混合調剤加算 後発医薬品調剤加算 重複投薬・相互作用防止加算 等 ※診療報酬ではありません
縦覧点検対応の流れ(支払基金側) 電子化時代のレセプト審査 原則として6ヶ月分のレセプトを縦覧 注意が必要なケース 査定対象とするのはあくまでも請求当月分 保険者は過去に遡って査定することもあり得る 過去に遡っての減点はしない いきなり6ヶ月分ではなく、順次増やしていく 過去の傷病開始日を加筆・修正してもいいのか? 注意が必要なケース 複数月に1回とされるもの 骨塩定量検査、尿中アルブミン、尿中Ⅳ型コラーゲン、リポ蛋白(a)、シスタチンC、PSA 等 2回目以降逓減となるもの 心電図、超音波検査、内視鏡検査 等 患者1人につき1回とされるもの ウイルス疾患指導料、死亡診断加算、がん患者カウンセリング料、HCV特異抗体価測定
審査体制見直しの効果 電子化時代のレセプト審査 査定率の前年同月比推移 内訳 医薬品チェックが異常な伸び 間違いなくコンピュータチェックの効果 審査月 H22.12 H23.1 H23.2 査定件数 20%弱 約15% 20%強 査定件数率 15%弱 査定点数 約10% 約10% 10%弱 査定点数率 1%強 しかも再審査請求の件数(保険者)の件数が減っているのに上記の結果と言うことは、原審査(支払基金での1次審査)でで相当撥 ねられているということですな。 なので、実際は上記の数字以上の査定率になっていると考えて良いでしょう。 「支払基金プレスリリース資料より」
審査の体制強化で起こるあれやこれや 電子化時代のレセプト審査 レセプトの中身だけに留まらない 24年1月から再審査等に係る電子レセプトの画面による審査(医科・歯科)を開始 厚生労働省へ生活保護医療費データ提供 ① 生活保護受給者のレセプト件数が多い医療機関等、② 生活保護受給者のレセプト合計点数が高い医療機関等、③ 生活保護受給者のレセプト1件当たりの点数が高い医療機関等、④ 生活保護受給者以外の通院日数に比べて生活保護受給者の通院日数が多い医療機関等、⑤ 全体の請求件数に比べて生活保護受給者の件数割合が高い医療機関等、⑥ 生活保護受給者以外の請求点数に比べて生活保護受給者のレセプト1件当たりの点数が高い医療機関等、⑦ 生活保護受給者の居住地からみて県外受診が多い医療機関等(それぞれ上位100医療機関)(すべて厚生労働省から指定されたもの) 個人的に心配・・・酸素加算の届出 未届出は算定要件を満たさないので、減点される可能性有。レセプトに酸素代が記載されていれば、届出有として審査はする。しかし、厚生局から連絡が来ている届出価格との照合をすることもあり、そこで届出無ということがわかれば減点する(東京基金)
レセプトの審査 (対策を練るにはまず敵を知ることから)
審査とレセプトの流れ レセプトの審査 審査支払機関 保 険 者 保険医療機関 レセプト レセプト受付 一次 審査 審査専門部会 レセプト 保 険 者 レセプト レセプト受付 事務点検・事務共助 再審査請求時に病名の追加はまず認められないので病名漏れは致命傷となるので注意!! 再発や憎悪は日付 一次 審査 審査専門部会 返 戻 ・ 増減点連絡書 レセプト 二次審査 支 払 返 戻 ・ 支払調整額通知 再審査部会 再審査請求 再審査請求
なぜ1年も前のレセが? レセプトの審査 レセプトの流れ レセプトは1ヶ月単位で動いている ①レセプト 保険医療機関 審査支払機関 保 険 者 保 険 者 ③レセプト ②返戻 再審査請求時に病名の追加はまず認められないので病名漏れは致命傷となるので注意!! 再発や憎悪は日付 ④支 払 ⑥過誤通知 ⑤再審査請求 再審査請求
審査手数料 レセプトの審査 保険者が支払っている 受取り方によって値段が違う 電子レセプト 紙媒体 オンライン=医科・歯科:99.4円、調剤:49.6円 電子媒体=医科・歯科:100.7円、調剤:50.9円 紙媒体 レセコン=医科・歯科:111.4円、調剤:61.6円 手書き=医科・歯科:99.4円、調剤:49.6円 「H23.12.26 支払基金プレスリリース資料より」
返戻・査定とは レセプトの審査 返戻は以下のような理由でレセプトが返送される 査定=増減点 資格喪失 保険証の入力ミス 点数の誤り 診療内容に疑問のあるもの 等 査定=増減点 殆どの場合は減点 ごく希に増点してくれることもある!
査定のメカニズム レセプトの審査 根本的なこと レセプト点検の手法 非常に多い事例 保険診療への理解が不充分 診療報酬改正への対応不備 療養担当規則等への関連知識不足 レセプト点検の手法 単月点検・縦覧点検・突合審査・横覧点検 非常に多い事例 ケアレスミス 傾向診療 経済査定
査定の実例 レセプトの審査 1)傷病名漏れ 2)診療報酬上のルール 3)レセプト記載上のルール 「臨床的に当たり前」は要注意! ケアレスミスによる漏れ 「臨床的に当然」なので病名を付けなかった 2)診療報酬上のルール 算定出来ない組合せの検査等 3)レセプト記載上のルール 検査数値等の記載漏れ 「臨床的に当たり前」は要注意!
レセプト審査の着眼点 レセプトの審査 病名漏れ 明細の記載要領 療養担当規則 薬剤の添付文書の内容 薬剤の適応 縦覧点検(診療の流れを見る) 再審査請求をしても復活の可能性は低い 明細の記載要領 検査数値 検査実施日・前回実施日等の記載 薬剤投与開始日 療養担当規則 内服と注射の併用 外傷のレセプト 薬剤の添付文書の内容 禁忌 用法上制限のあるもの 定期的な検査の実施を求めるもの 薬剤の適応 病名漏れ 同種・同効薬剤の併用 内服と頓服 縦覧点検(診療の流れを見る) 検査のスパン・頻度 検査意義 薬剤の投与日数・量(維持量への減額等)
点検調査要綱とは レセプトの審査 単月点検調査(抜粋) 点検対象レセプト及び重点点検項目について、傷病名や、傷病名と医療機関の組合せ等により効果的なレセプト抽出を行い、次の内容に留意した点検調査を行う。 傷病名等から見て1件当りの診療点数が著しく高いもの 診療内容、請求内容から見て傷病名が著しく多いもの 傾向診療のあるもの(画一的処置、検査、投薬の有無) 診療内容が過剰と思われるもの(各種処置、検査、投薬および検査材料)
点検調査要綱とは レセプトの審査 縦覧点検調査(抜粋) 単月点検調査を行ったレセプトについて、保険医療機関単位に、連続した複数月レセプトを有する者について、原則3か月の縦覧点検調査を行う。 なお、次の内容に留意した点検調査を行う。 継続した診療内容に関する疑義の有無 漫然と長期にわたる診療内容の有無 診療内容が過剰と思われるもの(各種処置、検査、投薬および検査材料)
カルテとレセプトの関係 レセプトの審査 カルテ=レセプトでなければならない レセプト=カルテでは無い難しさ カルテにあってレセプトに無い ⇒ 算定漏れ レセプトにあってカルテに無い ⇒ 不正請求 レセプト=カルテでは無い難しさ 症状詳記などが無いと査定の原因となる
査定の真の恐ろしさとは レセプトの審査 査定は単なる減額ではない 審査録の存在 状況によっては不正請求とみなされる 指導・監査へ繋がる危険を孕む 最悪のケースでは過去5年に遡って自主返還 不服の場合は必ず再審査請求を!! 減額されたものが復活 ⇒ 増収 審査員へのアピール ⇒再審査請求書を書くことにより事務員も勉強になる 再審査請求時に病名の追加はまず認められないので病名漏れは致命傷となるので注意!! 再発や憎悪は日付
【参考】指導・監査の方向性 レセプトの審査 保険医療機関等に対する指導・監査の検証及び再発防止策に関する検討チーム中間とりまとめ(平成22年12月17日) コンプライアンス及び情報の迅速な共有を徹底する具体的仕組み 地方支分部局を含めた組織・人事の見直し 内部監察体制等の構築 保険医療機関等に対する指導監査業務の見直し等 指導監査の在り方に関しての見直し(平成23年度中) コンタクトレンズ検査料の在り方の検討(平成24年診療報酬改定に向けて) 再審査請求時に病名の追加はまず認められないので病名漏れは致命傷となるので注意!! 再発や憎悪は日付
返還の状況 レセプトの審査 平成22年度の保険医療機関等からの返還額 指定・登録取消の状況 特徴 取消の発端 約43億4千万円(対前年度13億1千万円減) 内訳:指導による返還分:約27億3千万円 監査による返還分:約16億1千万円 指定・登録取消の状況 保険医療機関等:11機関(対前年度同件数) 保 険 医 等 :13名(対前年度2名減) 特徴 架空請求、付増請求、振替請求、二重請求がほとんど 取消の発端 保険者・医療機関従事者・医療費通知に基づく被保険者からの通報が12件と大部分を占める
医療費通知について 窓口で負担金を貰ってないから大丈夫? レセプトの審査 保険者から患者様へのレセプト点数の通知 保険者の姿勢 無料健診で項目外の検査をしてあげたが・・・ 診療時に請求を忘れた検査項目があった・・・ 保険者から患者様へのレセプト点数の通知 苦情・医療機関への不信のきっかけ・説明責任が重要 一部負担金を貰わないのはそもそも健康保険法違反 保険者の姿勢 医療費削減の一環として強化する傾向 領収書を貰おう運動 ⇒ 領収書・明細書の義務化 医療費通知をさらに踏み込んだ内容の通知を行っている保険者もある 査定が発生した場合の差額は返金すべきか? 医療費通知
支払基金の審査情報(H23.9.26) インテバンSP・インフリー(S)カプセル・ボルタレンSRカプセル(錠)など レセプトの審査 偏頭痛・筋収縮性頭痛に対する処方を認める 薬理作用が同様 セロクエル錠(細粒)・セレネース錠(細粒・注)・ルーラン錠など 器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性に対する処方を認める バルトレックス錠(顆粒) 特発性末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺)に対する処方を認める など80例が紹介されている
支払基金の審査情報(H22.6.21) ロキソニン錠・ロキソニン細粒・そのGE レセプトの審査 ヒアルロン酸 偏頭痛・緊張型頭痛に対しての処方は認められる 薬理作用が同様 ヒアルロン酸 肝機能障害・肝細胞癌疑い・肝硬変では認められない 肝機能障害では慢性肝炎かどうか明確でない 肝細胞癌は診断の参考にならない 肝硬変の経過観察の参考とならない 慢性肝炎の病名がない肝細胞癌に対する測定は不可 経過観察や治療方針の決定には参考にならない 慢性肝炎の病名が無くても原発性胆汁性肝硬変に対する測定は可 原発性胆汁性肝硬変は診断時には必ずしも肝硬変とは言えず、ステージングの参考となる
返戻・査定の対策
査定通知が変わります 新たに導入される帳票 レセプトの審査 一部変更される帳票 突合点検結果連絡書=処方せん内容不一致連絡書 突合点検調整額通知票 突合点検調整額連絡票 一部変更される帳票 増減点連絡書 補正・査定後内容欄に査定のきっかけが記載される 縦覧点検 入外点検
返戻・査定を受けたら 返戻・査定対策 A B C D 区分 文 言 主な概念 審査委員会の決定による医学的な理由に基づく査定 (平成18年11月21日 基審発第136号) 返戻・査定対策 記号 区分 文 言 主な概念 A 審査委員会の決定による医学的な理由に基づく査定 療養担当規則等に照らし、医学的に適応と認められないもの 療養担当規則等に照らし、傷病名等から判断して、使用薬剤の効能、効果、もしくは診療行為に医学的有用性が認められないもの B 療養担当規則等に照らし、医学的に過剰・重複と認められるもの 療養担当規則等に照らし、診療内容を通覧して、薬剤の投与量、投与日数が医学的に過量であるもの、もしくは診療行為が医学的に過剰であるもの C 療養担当規則等に照らし、A・B以外の医学的理由により適当と認められないもの 診療内容を通覧して、A、Bに該当するもの以外で告示・通知等に照らし、医学的に不適当と認められるもの D 告示、通知に基づく査定 告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの 告示、通知に示された算定要件に、診療行為が合致しないもの
返戻・査定を受けたら2 返戻・査定対策 納得のいかない査定には再審査請求を! 病名は漏れていなかったか 入力項目は正しかったか 点数表上の回数制限等に抵触していないか 縦覧点検にかかるような内容ではないか 薬剤の添付文書(DI)に記載されている使用方法・適応はどうか 療養担当規則に抵触していないか 「保険医療費は,医療保険の加入者からの保険料や国庫補助等によりまかなわれているため,必要性が認められない診療,また妥当適切でない診療には支払われるべきではない」 納得のいかない査定には再審査請求を! あとは審査の内規だな
返戻・査定を受けたら3 返戻・査定対策 再審査請求の手続き 再審査請求書に必要事項を記載する 取り下げ請求 国保・社保で用紙が違う 国保はHPからダウンロード可 社保はOCR用紙なので取り寄せる 医師会によっては複写レセを付けて医師会に提出する場合も 取り下げ請求 レセプトを一度戻して貰い、修正の後再請求する手続き あとは審査の内規だな
返戻・査定の原因別対策1 返戻・査定対策 診療報酬の算定ルールによるもの レセプトの記載ルールによるもの 健康保険制度によるもの 臨床的な理由によるもの あとは審査の内規だな
返戻・査定の原因別対策2 返戻・査定対策 診療報酬の算定ルールによるもの 用語の理解 算定要件の再確認 病名との整合性=レセプト作成の基本 初診と再診 処置の左右 病態が定められているもの 等 病名との整合性=レセプト作成の基本 疑い病名での投薬 ビオフェルミンとビオフェルミンRの適応疾患 ロキソニンの投与方法 アダラートの病名は? 電子カルテ・レセコンの機能活用を! あとは審査の内規だな
返戻・査定の原因別対策3 返戻・査定対策 レセプトの記載ルールによるもの 健康保険制度によるもの 臨床的な理由によるもの 病名漏れ 検査の実施日 健康保険制度によるもの レセプト種別 療養担当規則 労災 臨床的な理由によるもの 検査・投薬等と病態との整合性 病気の事を知ろう 返戻・査定対策 あとは審査の内規だな
レセプト作成上の留意事項 レセプト作成上のポイント 保険診療・診療報酬の算定ルールについて正しく理解すること レセプトとカルテはイコールではない 傷病名と診療行為でしか表現できない 「説明不足」であることが多い 臨床の常識とレセプトの常識の乖離・思いこみ 自分が審査員であったらそのレセプトをどう見るか? 患者の希望は×
症状詳記について レセプト作成上のポイント 読みやすさを意識して書く サマリーではないということ 何故その診療行為が必要であったのかその理由を簡潔に記載する 簡単すぎる場合は返戻され詳細を求められる場合もある 症状詳記とレセプトの内容が一致するか注意 「患者の希望」、「予防のため」は論外 保険診療をよく理解する 患者の希望は×
まとめ 信頼される医療機関を目指して 正しいレセプトはリスクマネジメントに繋がる 電子化のメリットの反作用 医療事務職の存在がより重要になる 医療費通知・領収書・明細書・査定 電子化のメリットの反作用 レセプトの電子チェックの推進 レセコン・電子カルテの機能活用を! 電子カルテを使う医師こそが点数表を読むべき 手書きレセプトの時代に回帰 医療事務職の存在がより重要になる 臨床現場と保険診療の橋渡し役 レセプトは請求書作成という事務作業 医師の診療内容と保険診療のルールのマッチングを図る ドクターに全てできる? 最初だけでなく開業1年後もチェックすることが出てくる
ご清聴ありがとうございました 拙著が、じほう社より刊行されました 『患者さんと共有できる外来点数マニュアル 2010年度版』