東京大学生産技術研究所(併任) 総合地球環境学研究所(本務) 地球フロンティア研究システム 沖 大幹

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Presentation transcript:

東京大学生産技術研究所(併任) 総合地球環境学研究所(本務) 地球フロンティア研究システム 沖 大幹 世界の水危機、日本の水問題 東京大学生産技術研究所(併任) 総合地球環境学研究所(本務) 地球フロンティア研究システム 沖 大幹

都会全体では約 330 l/人・日(散水、噴水、病院、…) 「水を使うことは水に汚れを運んでもらうこと」 日本人はどの位水を使ってる? 洗濯(50 l/人・日) 風呂(65 l/人・日) 炊事(55 l/人・日) トイレ(60 l/人・日) 家庭での水利用 250 l/人・日(東京都平成10年度) 都会全体では約 330 l/人・日(散水、噴水、病院、…) 飲み水は2~3 l/人・日 風呂、トイレ、炊事、洗濯 全部洗浄用!! 「水を使うことは水に汚れを運んでもらうこと」

NO! 農業用水はどの位使っている? 日本の統計だけだと、生活用水の3~4倍 国内だけを考えていれば良いのか? 食料の移動が大量の 「目に見えない水 “Virtual Water”」 仮想水の移動を引き起こしている!

生活用水だけ考えれば良いのか? 例えば…牛丼並盛1杯に 水資源が何m3必要? 合計:811+8,500=9,311リットル≒9.3m3 モノの生産には「水」が必ず使われている 水資源何m3? 例えば…牛丼並盛1杯に    水資源が何m3必要? ・ごはん:260g ・具材  :85g ごはん:0.26kg×0.4×7,800(l/kg)≒811㍑ 具材  :0.085kg×100,000 (l/kg)≒8,500㍑ 合計:811+8,500=9,311リットル≒9.3m3

水消費原単位の算定 あるモノ単位量あたりの生産に必要な水資源量 1kgの小麦を作るのに水何m3必要? 三宅基文君 東京大学工学部土木工学科卒業論文 2002年3月

水消費原単位の算出例 -日本における水稲のケース- 水消費原単位の算出例 -日本における水稲のケース- 日本における水稲の適切灌漑量:減水深 0.025m/日       〃      灌漑期間 :110日       〃      1haあたりの収穫量:5.35t   以上より、日本における水稲(精米前)の水消費原単位は 0.025(m/日)×10000(m2)×110(日)÷5.35(t)≒5100(m3/t) ・光合成量からの算出も試みたが、光合成に必要な水の量は、    蒸散量のわずかに0.1%程度 ・この値は、植物が生育期間中に吸い上げた水量(要水量)より  はるかに大きい。(水稲風乾物1gの要水量:200~400)   ←要水量には、蒸発や土壌浸透で失われる水量は含まれない! 要水量をはるかに上回る水を投入しないとならない

水消費原単位の算定 ー農作物ー 7800 5100 4500 3700 3400 2000 3200 800 主要穀物の水消費原単位 水消費原単位の算定 ー農作物ー 精米後 精米前 (m3/t) 7800 粒のみ 皮芯付 小麦粉 飼料用 精製前 8,000 5100 7,000 4500 水 6,000 消 3700 3400 5,000 費 2000 3200 4,000 原 800 単 3,000 位 2,000 1,000        米  とうもろこし   小   麦     大豆 主要穀物の水消費原単位

仮想水フロー -農作物ー 日本国内の年間農業用水使用量:590億m3/年 50 354 38 22 その他:22       総輸入量:486億m3/年

水消費原単位の算定 ー畜産物ー (m3/t) 牛肉は大量の 水資源が濃縮された産物 主要畜産物の水消費原単位

仮想水フロー ー畜産物ー 10 4 15 242 5 218 5 その他:40 総輸入量:539 億m3/年

仮想水フロー -工業製品ー 0.7 3.3 6.2 1.6 0.5 2.6 0.1 1.8 輸出 輸入 総輸出量:16億m3/年 仮想水フロー -工業製品ー 日本国内の年間工業用水使用量:120億m3/年 0.7 3.3 6.2 1.6 0.5 2.6 0.1 1.8 その他:3.0  その他:5.4   輸出 輸入 総輸出量:16億m3/年 総輸入量:10億m3/年

日本の仮想水総輸入量 10 54 15 596 5 27 256 牛肉 45.3% 総輸入量:1,035億m3/年 豚肉 小麦 とうもろこし 日本の仮想水総輸入量  54 596 256 10 15 5 27 その他:72           日本の仮想水輸入量 品目別シェア 18.6% 45.3% 4.3% 16.0% 12.4% 牛肉 45.3% 小麦 とうもろこし 大豆 豚肉 総輸入量:1,035億m3/年 日本国内の年間水資源使用量:890億m3/年

Virtual Waterを考えると… 合計約~1,500m3/年・人 日本人が1人あたり年間に使っている水量は… 飲む水: 約1m3/年・人 家庭用水: 約120m3/年・人 工業用水: 約120m3/年・人 国内の農業用水: 約500m3/年・人 海外の農業用水: 約800m3/年・人 合計約~1,500m3/年・人 日本の水資源問題を考えるときには、      世界の水資源問題にも目を向ける必要あり。

農業での水資源利用と 土地利用とカロリー供給

ー日本の食糧を賄う海外土地資源ー 土地面積合計:1,693万ha (日本国内農地面積の4倍;国土の半分!) 農作物換算量 単位面積あたり収量 青:農業生産 紫:畜産用飼料生産 単位:万ha 土地面積合計:1,693万ha (日本国内農地面積の4倍;国土の半分!)   農作物換算量   単位面積あたり収量 で算出 :飼料用穀物の栽培面積も算出

人口増加 エネルギー消費 食糧生産 有限の自然 気候変動 環境汚染 人類は生存し続けられるのだろうか? 未来可能性の探求 Sustainable Development (持続可能な発展) Sustainability Development (持続性の構築)

人口増加 エネルギー消費 食糧生産 有限の自然 気候変動 環境汚染 水循環の変化 水需要の増加 水資源の不均等性 水危機

グローバルな 水資源アセスメント 猿橋嵩之君 (現ニュージェック) 東京大学大学院工学系研究科 社会基盤工学専攻修士論文 2001年3月

アセスメント 水資源アセスメントの流れ 国別統計値 陸面水文植生モデル+ 分布データ 河川流路網+流下モデル 水資源取水量W 水ストレス指標 水資源賦存量 Q 水資源取水量W 全球0.5度格子 水ストレス指標 取水量対水源賦存量比 Rws= (W-S)/Q 1人当たり水資源賦存量 Awc= Q/C S : 海水淡水化 C: 人口 アセスメント

数値モデルによる月流量シミュレーション結果

国別統計値とグローバルGISによる 年水資源総利用量分布

Q W アセスメント総括 陸面水文植生モデル 河道網+流下モデル 国別統計値 格子点分布情報 水資源賦存量 水資源アセスメント 水資源賦存量 水ストレス指標の作成 Awc= Q/C (m3/y/c) Rws= (W-S)/Q <0.1 : ストレスなし 0.1―0.2:低ストレス 0.2―0.4:中ストレス 0.4< :高ストレス >1700 : ストレスなし 1700-1000:低ストレス 1000-500:中ストレス    500>:高ストレス 水資源アセスメント

水ストレス指標(年利用量/潜在的年利用可能量) Rws= (W-S)/Q 低 水ストレス      高

水ストレス指標ごとの世界人口(単位:10億人) 国ごと集計 グリッド集計 .5 .5 水ストレスが ← 高い ← 中程度 ← 低い ←極めて低い .8 1.4 1.8 1.5 1.4 1.5 .6 .4 .6 .4 2.1 1.7 1.5 3.0 3.2 1.8 2.0 1.7 China (Rws=0.26) is classified into Low for TRIP in the country base comparison. TRIP UNH UN TRIP UNH TRIP: 東京大学生産研の算定値   UN: 国連の推計値 UNH: ニューハンプシャー大学の算定値 (Science, 2000)

自然の河川流量と 現実の水資源賦存量 上流からの水が全て使えるわけではない 自然(natural)と現実(real)の乖離 上流での取水、水質悪化 取水のための社会資本設備の未整備 必要な時に必要な場所に必要な質の水? 自然(natural)と現実(real)の乖離 現実に利用可能な水資源量 Q=R+αΣD D:上流からの流入量 R:その場での河川流出量 α:人間活動との関わりを考慮

人間が上流からの水のうちの 利用可能な割合の影響

もうひとつの 水ストレス指標

一人当たり潜在的年使用可能水量(m3/年・人) 高   水ストレス       低

一人当たり年使用水量(m3/年・人) Rws= (W-S)/Q と Awc= Q/C(m3/y/c) の分布が近似。  1人当たり使用量(W-S)/C はグローバルに均一か?

2050年の将来推計 人口増加・経済成長水需要変化 気候変動水供給量変化

現状の水需要将来展望推定における仮定 人口は国連の中位推計 工業用水取水(補給)量はGDPに比例して増加し、回収技術の発展に従って減少する 家庭用水の水利用原単位は経済的・社会的発展に従って増加する。 灌漑用水の増加は、人口増加に比例 現状の欠点。3-(2)からの入力に期待。 CCSR/NIES GCMによる高解像度将来予測結果から、河川流出量変化を取り出して利用。

灌漑農地面積の将来展望 灌漑農地面積は人口に比例して 増加してきた過去の傾向が続くと仮定 1961年を1とした、人口、農地面積、 灌漑農地面積は人口に比例して 増加してきた過去の傾向が続くと仮定  1961年を1とした、人口、農地面積、 灌漑面積の推移 (1961~1995 : 1961 = 1.0 ) 人口 灌漑面積 農地面積

by CCSR/NIES AOGCM + TRIP 温暖化に伴う年河川流量の増減予測結果 by CCSR/NIES AOGCM + TRIP

水ストレスが 2050年における水ストレス指標ごとの世界人口 ← 高い ← 中程度 ← 低い ←極めて低い 10.0 9.0 8.0 2.4 (単位:10億人) グリッド集計 9.0 8.0 水ストレスが ← 高い ← 中程度 ← 低い ←極めて低い 2.6 2.4 2.5 7.0 6.0 0.9 0.9 1.0 5.0 1.0 0.9 1.0 4.0 3.0 4.3 4.4 2.0 4.2 1.0 0.0 人口増加 人口増加 +気候変動 人口増加+気候変動 +水消費原単位増加

推計結果の不確実性と今後の研究 水需要の将来推計: 温暖化予測結果のvariationの考慮 Hot Spotに関しては地域研究との連携を 人口、経済、土地利用(?)はIPCC/TARと整合? 経済的水ストレスを考慮可能な指標の開発 温暖化予測結果のvariationの考慮 CCC GCM+WBMのVorosmarty(2000)では、温暖化によって、グローバルな水需給が逼迫 CCSR/NIES GCM+TRIPでは、温暖化により、深刻な水需給(>0.4)人口は緩和(+90%+74%) 日単位変動、不確実性を表現できるとりまとめを! Hot Spotに関しては地域研究との連携を

人間と自然との相互作用環 自然人間 自然人間自然 自然人間自然人間 世界水政策決定支援ツール= 洪水や渇水などの自然の水循環変動 自然人間自然 潅漑や貯水池などの水循環の改変 森林伐採/農地拡大/都市化等の土地利用改変 自然人間自然人間 河川流量の枯渇、水質汚濁による水資源減少 地球温暖化等の環境変化 世界水政策決定支援ツール= 人間系・自然系の水循環情報ライブラリ + フィードバックを考慮した数値モデル

World Water Model 統合・総括 地球環境データライブラリと 世界モデルの統合による 地球環境データライブラリ 水危機管理システムの構築 地球環境データライブラリ (地球環境情報多次元同化システム) ・環境地理情報データ ・社会・経済データ ・気候変動予測データ ・リモートセンシング ・地上検証観測データ (気象・水文・水質・植生 etc.) 水危機管理 システム ・現在の水資源問題 ・水需要の将来予測 ・早期警戒システム ・計画支援・政策立案 World Water Model 水循環・水需要モデル (降水・蒸発・河川・ダム・灌漑・地下水・水の間接消費) 人口・産業モデル 国際交易モデル 物質循環・農業生産 モデル(植生変動・水質汚染) Internet 統合・総括

おわりに 人が水を利用するのは、水で洗うため きれいにすればまた使える 日本人1人が1年間に利用する水の量: 人が水を利用するのは、水で洗うため             きれいにすればまた使える 日本人1人が1年間に利用する水の量: 飲み水なら1m3 生活用には100m3 食糧生産用には1000m3     その水の源と土地に考えをめぐらせよう 日本は大量の仮想水を農業畜産製品の形で輸入      世界の水資源問題に思いを馳せよう 人口が増えると1人当たり利用可能な水が減る       節水農業、社会基盤整備の技術革新に期待 3,800km3で60億人40,000km3の20%までは利用可能になるとすると、現状の水利用で倍増までは平気?

生態系の水利用への 配慮も忘れずに!

考えよう…

現在の研究展開 Virtual Waterに関して: 世界水資源アセスメントに関して: 地球温暖化が水資源に及ぼす影響に関して: 水に関する体系的なLife Cycle Assessment 世界水資源アセスメントに関して: 人間活動を反映した広域水循環モデルの開発 より高空間解像度での将来の水需給推計 環境用水、淡水生態系への配慮 地域研究による水危機回避策の提言 物理的/経験的モデルによる降水量季節予報 地球温暖化が水資源に及ぼす影響に関して: 東京における1時間豪雨が増加しているかどうか?

日本の水資源 人が飲む水: 1日1人2~3リットル=約1m3/年 日本人が使っている水道水(家庭用水):  1日1人あたり約330リットル=約120m3/年 日本人が使っている農業用水:  家庭用水の約4倍=約500m3/年 ただし、農業潅漑のかなりの水量は再び還流利用されるので、取水量>>利用量。 工業用水を含めて合計約750m3/年・人 900億m3/年=90km3/年 水資源量:降水量1800mm /年ー蒸発量800mm /年=1000mm/年; ×38万km2≒380km3/年 年間利用可能量の約1/4を利用している。

(日本の)水資源の特徴 単位体積/重さあたりの価格が安い 貯留、輸送コストが相対的に高い 日本の水道水の原価で約200円/m3程度。 家庭用の売値は約120円/m3程度 ペットボトルの水は100円/500ml≒ 20万円/m3 貯留、輸送コストが相対的に高い 10m3の給水車の人件費~10万円/日? パイプライン? 巨大バッグでの牽引? 必要な時に、必要な場所に、必要な質の水がないと、水資源としては価値がない。

c CO2 partial pressure (35 Pa) o O2 partial pressure (2090 Pa) T e u c o p P IS IL z Tc Mc gc Vegetation Canopy T temperature (K) e vapor pressure (Pa) u wind speed (m s-1) c CO2 partial pressure (35 Pa) o O2 partial pressure (2090 Pa) z reference height (m) IS solar radiation (W m-2) IL thermal infrared radiation (W m-2) P precipitation rate (mm) p atmospheric surface pressure (101300 Pa) Surface Layer Tg Mg W1 W2 Root Zone Recharge Zone Td W3

下向き放射量 蒸発散量 陸面 水文 植生 モデル 降水量 流出量 地表面気象要素 土壌水分量 地表面物理量 CO2吸収量

陸面水文植生モデルから 河川流量への換算

水資源取水量分布の算定 農業用水取水量 都市・工業用水 潅漑面積分布 人口分布 国別面積あたり 国別統計値 原単位 国別原単位 地理情報システム 格子点データ (全球 0.5°) 国境情報 人口分布情報 潅漑面積情報 都市用水・工業用水の グローバル取水量分布 農業用水の グローバル取水量分布

世界水危機への地球環境学の貢献 信頼のおける水循環情報の提供 現在と過去のグローバルな水循環モニタリング情報 集中豪雨の様な激しい大気に関する準実時間予測情報 エルニーニョやラニーニャ等に伴う季節~数年スケールの気候の自然変動予測情報 地球温暖化といった気候変化時における水循環予測情報 どれだけの水が人間にとって現在利用可能であり将来それがどうなるのか、という点に関する定量的な推定 将来の水需要を満たす水供給を確保するためにはどの様な施策を取れば良いのかという選択肢の提示 仮想的な水の輸出入や間接消費の実態把握と「水資源安全保障」の枠組みの提示

Water Withdrawal to Availability Ratio 社会変化と温暖化に伴う水需給変化予測結果 2050年 2050 1995 1995年 低 水ストレス    高