トラック運送事業者と荷主とのパートナーシップ構築セミナー 「トラック運送業における燃料サーチャージ導入促進に向けて」 1.軽油価格の状況 2.軽油価格上昇による影響 3.燃料サーチャージ導入に向けて 平成25年10月●●日 公益社団法人●●●トラック協会 ●●●● ●●●●
軽油価格の 状 況
2009年以降、軽油価格が上昇 軽油価格の推移 ドバイ原油の推移 上昇傾向 ドル円の推移 138.5円/ℓ 106ドル/バレル 2009年を底に上昇傾向 (原油高は燃料高に寄与) 出所:IMF資料より作成 ドル円の推移 98.5円/ドル 2009年初頭より、 約40%の軽油価格が高騰 急激な円安 (燃料高に寄与) 出所:(一財)日本エネルギー経済研究所 石油情報センター「一般小売価格 給油所 軽油価格」より作成 (http://oil-info.ieej.or.jp/price/price.html])
トラック運送業界の軽油価格の負担は増大 営業トラックの軽油の負担総額の推移 1.2兆円 負担増! 2.3兆円 2.2兆円 2.2兆円 (単位:億円) 1.2兆円 負担増! 2.3兆円 2.2兆円 2.2兆円 1.9兆円 1.7兆円 1.1兆円 出所:自動車燃料消費量調査 (国土交通省)、自動車保有車両数(財団法人自動車検査登録情報協会)より全ト協が試算 軽油価格は、前ページデータの年度別の平均値を採用。2013年は1月から9月末までの平均値を採用。
業界全体で1円上昇で167億円の負担増 167億ℓ 167億円 13.7億ℓ 13億7千万円 約6,400億円 約524億円 全国 東京都 軽油消費量 167億ℓ (営業用貨物自動車) 軽油消費量 トラック運送業界 への影響額 1円上がると年額で 167億円 コストアップ 2009年と比較すると約40円アップ 年額換算で 約6,400億円 軽油消費量 13.7億ℓ (営業用貨物自動車) 1円上がると年額で 13億7千万円 コストアップ 2009年と比較すると約40円アップ 年額換算で 約524億円 コストアップ ※ ※ ※ 軽油価格調査(全ト協)により、平成21年3月と平成25年3月のローリー価格の差額(38.25円)に167億円及び13.7億円をかけて試算。 出所:自動車燃料消費量調査 (国土交通省)、自動車保有車両数(財団法人自動車検査登録情報協会)・軽油価格調査(全ト協)より試算
軽油価格上昇による影響 5
事業継続できない軽油価格に突入 2ページの軽油価格を考慮すれば、極めて深刻な状況にあります。 事業継続が不可能になる「軽油価格」 ※ 事業継続できない軽油価格に突入 2ページの軽油価格を考慮すれば、極めて深刻な状況にあります。 事業継続が不可能になる「軽油価格」 ※ ※ 軽油価格でも事業継続可能な事業者は、トラック運送事業の他、倉庫・不動産業など関連事業も行っているものと思われる 出所:「軽油価格上昇による事業経営への影響等に関する実態調査」(公社)全日本トラック協会、平成25年3月調査 上記軽油価格は、各事業者の調達価格であり、地域要因、大量購入割引等が反映されているため、2ページの軽油価格 と一致しない場合があります。
軽油価格高騰に対処するための自助努力の徹底 ○軽油価格の上昇に対して多種多様な自助努力を実施していますが、現在の軽油価格の水準では経営努力も限界に達しています。 出所:「軽油価格上昇による事業経営への影響等に関する実態調査」(公社)全日本トラック協会
燃料価格上昇分は、運賃転嫁できない 出所:「軽油価格上昇による事業経営への影響等に関する実態調査」(公社)全日本トラック協会、平成25年3月調査)
約6割が自助努力は既に限界 トラック運送事業継続について 約6割が自助努力は既に限界 トラック運送事業継続について 出所:「軽油価格上昇による事業経営への影響等に関する実態調査」(公社)全日本トラック協会、平成25年3月調査)
燃料サーチャージ 導入に向けて 10
燃料サーチャージ制の導入の趣旨と必要性 国土交通省『トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン』 抄 燃料サーチャージとは (平成20年3月14日/平成24年5月16日改訂) 燃料サーチャージとは 燃料価格の上昇・下落によるコストの増減分を別建ての運賃として設定する制度。現状の燃料価格が基準とする燃料価格より一定額以上、上昇した場合に、上昇の幅に応じて燃料サーチャージを設定または増額改定して適用する。一方、燃料サーチャージの設定時点より下落した場合には、その下落幅に応じて減額改定し、また、燃料価格が基準とする燃料価格よりも低下した場合はこれを廃止する。 燃料サーチャージ制を緊急に導入する必要性 ①軽油価格高騰に対し運転転嫁が困難 トラック運送業者は荷主等に対し運賃交渉力が弱いため、ほとんど運賃転嫁が進まず、運送事業者自らが負担せざるを得ない状況 ②運賃の収受等取引の適正化が不可欠 運賃の「買いたたき」等の不適正取引の実態が明らかになっており、その是正を図ることが急務 ③中小企業の底上げが急務 ④緊急かつ試行的な措置 このような状況に対処するためには、内航海運・航空貨物等の他業種において広く導入されている燃料サーチャージ制を早急に導入する必要があることから、国土交通省では、公正取引委員会とも協議の上、『トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン(別添)』を作成し、荷主及びトラック運送業者に導入を働きかけている。
「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」P9以降参照 燃料価格上昇による影響額の基本計算式 「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」P9以降参照 燃料消費量の計算式 走行距離÷燃費 =燃料消費量 影響額の計算式 燃料消費量×上昇額 =影響額
距離制運賃における計算事例 事例1:「距離制運賃」(燃料価格ベース)の事例 事例2:「距離制運賃」(運賃比率ベース)の事例 燃料サーチャージ額=算出上の燃料価格上昇額(円)×燃料消費量(ℓ) (燃料消費量=平均走行距離(km)÷燃費(km/ℓ)) ※ 走行距離は、運行ルートごとに日ごろの走行距離を記録して計算します。燃費は車種別の平均値を用います。 事例2:「距離制運賃」(運賃比率ベース)の事例 燃料サーチャージ額 = 基本運賃額(円) × 転嫁率(%) 転嫁率は、燃料価格ごとに詳細に設定 ※ 基本運賃に対して、燃料価格上昇に応じた転嫁率を乗じて算出する。
時間制運賃における計算事例 事例1:「時間制運賃」(燃料価格ベース)の事例 事例2:「時間制運賃」(運賃比率ベース)の事例 燃料サーチャージ額=算出上の燃料価格上昇額(円)×1単位の燃料消費量(ℓ) (燃料消費量=1単位の平均走行距離(km)÷燃費(km/ℓ)) ※ 1単位当たりの平均走行距離を算出してください。 事例2:「時間制運賃」(運賃比率ベース)の事例 燃料サーチャージ額 = 基本運賃額(円) × 転嫁率(%) 転嫁率は、燃料価格ごとに詳細に設定 ※ 基本運賃に対して、燃料価格上昇に応じた転嫁率を乗じて算出する。
燃料サーチャージの導入事例① 事例1:十分な協議を重ねてサーチャージを導入した例 事例2:荷主が高い輸送品質を求める例 燃料サーチャージの導入事例① 事例1:十分な協議を重ねてサーチャージを導入した例 荷主は、高い輸送品質を求めるため、トラック運送事業者と輸送効率化、安全運行等に関して勉強会を実施するなど、日ごろから信頼関係を形成していた。 トラック運送事業者より、軽油高騰によりこれまでの輸送品質を確保するためには問題がある旨の申し出があったため、双方で何度も協議を重ねた。その結果、荷主は信頼関係を維持するために燃料サーチャージの導入を決断した。 事例2:荷主が高い輸送品質を求める例 荷主は高い輸送品質を求めるため、貨物の積み込み、積卸しでは厳格なマニュアルに即して作業する必要があり、ドライバーも熟練していないと対応できない等の理由がある中、トラック運送事業者は燃料高騰分の転嫁を要請した。 荷主は、トラック運送事業者からの提案を受け入れ、燃料上昇分については100%荷主が負担することで合意した。
燃料サーチャージの導入事例② 事例3:運送原価を検証してトラック事業者の自助努力を理解した例 燃料サーチャージの導入事例② 事例3:運送原価を検証してトラック事業者の自助努力を理解した例 トラック運送事業者は、これまで原価計算を行っていなかったが、軽油高騰に際し原価計算に取り組んだ。その結果、荷主との取引が赤字であることが判明し、燃料サーチャージ導入の申し入れを行った。荷主は、トラック運送事業者が提出した運送原価資料を検証することによって、コスト削減努力が限界であることを十分に理解することができ、その上で継続的かつ良好な取引を行うために、燃料サーチャージの導入が妥当と判断し、導入に踏み切った。 事例4:運送原価の引下げができるような改善を実施した例 荷主との話合いのなかで、トラック運送事業者は配送ルートの見直し、積載量の大きい車両を用意するなど、輸送の効率化に向けた取組を行い、燃料高騰分を相殺するだけの運送原価の削減を行うことができた。 また、こうした取組を踏まえ、荷主がトラック運送事業者における運送原価の詳細を理解したため、コスト削減しても吸収できなかった燃料高騰分については、燃料サーチャージを導入した。
燃料サーチャージの導入事例③ 事例5:地域を代表する企業としての社会的責任に配慮して導入した例 事例6:コンプライアンスに配慮して導入した例 燃料サーチャージの導入事例③ 事例5:地域を代表する企業としての社会的責任に配慮して導入した例 荷主は、地域を代表する企業(地元の名士)であり、社会的責任にも配慮し、また自らがリーダーシップをとるという強い意思があった。トラック運送事業者はそれを認識し、荷主に対し繰り返し燃料サーチャージの導入交渉を行った。その結果、荷主は燃料高騰分を運賃に転嫁した。 事例6:コンプライアンスに配慮して導入した例 トラック運送事業者は、荷主に対し日頃より燃料高騰の状況を説明し、燃料サーチャージの導入を要請していた。荷主は、独占禁止法(優越的地位の濫用)、下請法遵守の観点から、トラック運送事業者からの燃料サーチャージの導入の協議に応じないことはコンプライアンス上問題があることを認識し、燃料高騰分の転嫁を実施した。
燃料サーチャージの導入事例④ 事例7:着荷主から燃料高騰分の転嫁が認められた例 事例8:元請事業者から下請事業者に転嫁した例 燃料サーチャージの導入事例④ 事例7:着荷主から燃料高騰分の転嫁が認められた例 荷主は、トラック運送事業者から、繰り返し燃料サーチャージ導入の依頼があったため、取引先である着荷主に交渉して、燃料サーチャージ分の費用負担の了承を得られたため、燃料高騰分については運賃引上げにより対応した。 事例8:元請事業者から下請事業者に転嫁した例 ○下請事業者が元請事業者に対し燃料サーチャージへの理解を図り、元請事業者は荷主に対して、運賃転嫁交渉を余儀なくされ、導入に成功した事例 ○元請事業者の直下の1次下請事業者で、日頃から配車等のニーズに的確に対応しており、信頼関係が強固で元請から高く評価されている事例(他事業者に容易に変更できない) ○元請事業者が、運賃転嫁をしなければ安全確保が困難と判断した事例 ○高い輸送品質が求められ、下請事業者を簡単に変更できない特徴を有する輸送の事例(特に継続的取引の場合)
荷主の皆さまへのお願い 軽油価格高騰により、トラック運送事業者の自助努力は限界に達しており、多くの事業者が事業存廃の危機に瀕しています。今後も安定した輸送サービスを提供するため、トラック運送事業者から話し合いの申し出があれば、是非応じてくださるようお願い申し上げます。 国土交通省と経済産業省は、日本経済団体連合会(経団連)、日本商工会議所をはじめ多くの荷主団体を通じて、荷主事業者に燃料サーチャージの導入を働きかけています。 国土交通省は、「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン(平成24年5月改定)」を発出しています。 (http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000004.html) ★資料の入手方法 トラック 燃料サーチャージ 検 索