生体分子解析学 2017/3/2 2017/3/2 機器分析 分光学 X線結晶構造解析 質量分析 熱分析 その他機器分析
√ 演習 1. C=C二重結合の伸縮運動に伴う吸収の波数は、C-C単結合の伸 縮運動に伴う吸収の波数の何倍になるか概算値を求めなさい。 2017/3/2 演習 1. C=C二重結合の伸縮運動に伴う吸収の波数は、C-C単結合の伸 縮運動に伴う吸収の波数の何倍になるか概算値を求めなさい。 ただし、C=C二重結合のσ結合とπ結合の強さが共にC-C単結合 のσ結合の強さと等しいものと近似する。 C=C二重結合のσ結合とπ結合の強さが共に、C-C単結合のσ結 合の強さと等しいので、C=C二重結合の結合の強さはC-C単結合の 2倍になる。 即ち、バネ定数が2倍: kC=C = 2kC-C 波数 ν = = μ kC=C √ 2πc 1 2kC-C これより、 C=C伸縮運動の波数はC-C伸縮振動の √2 倍
√ √ 演習 2. C-H伸縮運動の波数は、C-D伸縮運動に伴う吸収の波数の何倍 2017/3/2 演習 2. C-H伸縮運動の波数は、C-D伸縮運動に伴う吸収の波数の何倍 になるか概算値を求めなさい。Dは2H(質量数2の水素原子)。 μC−H = = = m1+ m2 m1•m2 12+1 12×1 13 12 C-H結合の換算質量μC-Hは μC−D = = = m1+ m2 m1•m2 12+2 12×2 7 12 C-D結合の換算質量μC-Dは 波数 νC-D = = = μC−D k √ 2πc 1 (12/7) 12 7 波数 νC-H = = = μC−H k √ 2πc 1 (13/12) 13 12 これより、 C-D伸縮運動の波数はC-H伸縮振動の √7*13/12*12 倍
宿題 1. C-C伸縮振動よりC=C伸縮振動のほうが高波数側に吸収がある ことを下記の言葉を使って説明しなさい。 バネ定数、共有結合 2017/3/2 宿題 1. C-C伸縮振動よりC=C伸縮振動のほうが高波数側に吸収がある ことを下記の言葉を使って説明しなさい。 バネ定数、共有結合 共有結合はバネのような働きをする。C=C二重結合では共有結合 が2つあり、C-C単結合のバネ2個分に近い力で結合している。 従って、バネ定数kが大きくなることに相当する。波数はkの平方根 に比例するので、C=C伸縮振動のほうがC-C伸縮振動より高波数 となる。
赤外光領域の分光法・物理的背景 A-B A B A B m2 m1 波長 短 長 マイクロ 波 γ線 X線 赤外線 ラジオ波 分子 2017/3/2 赤外光領域の分光法・物理的背景 高 E (光子のエネルギー;単位: J) 低 波長 短 長 10-12 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 (m) 紫外線 可視光線 マイクロ 波 γ線 X線 赤外線 ラジオ波 分子 A-B バネの伸縮運動 単振動 A B 結合が 伸縮する A B m2 m1 原子は重り、共有結合はバネ
単振動:バネの動き x = −r•cos(ωt) ω: 単振動と周期が同じ回転運動の角速度 x / m r 振幅: r t / s −r t / s −r 周期: T (s) t / s 振動数 f(s-1) = 1/T(s) 周期 T(s) = 2π(=360°)(rad)/ω(rad/s) 出典: http://www.mars.dti.ne.jp/~stamio
√ √ 赤外分光法の物理 m ν 波長 短 長 マイクロ 波 γ線 X線 赤外線 ラジオ波 バネの伸縮運動 単振動 天井 2017/3/2 赤外分光法の物理 高 E (光子のエネルギー;単位: J) 低 波長 短 長 10-12 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 (m) 紫外線 可視光線 マイクロ 波 γ線 X線 赤外線 ラジオ波 バネの伸縮運動 単振動 天井 物理学A (高校物理) バネの端が固定された単振動 k: バネ定数 振動数 ν = m k √ 2π 1 単振動 m 波数 ν = = = m k √ 2πc 1 c ν λ
√ √ 赤外分光法の物理 A-B m1 m2 ν 波長 短 長 マイクロ 波 γ線 X線 赤外線 ラジオ波 = + = m1 1 m2 2017/3/2 赤外分光法の物理 高 E (光子のエネルギー;単位: J) 低 波長 短 長 10-12 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 (m) 紫外線 可視光線 マイクロ 波 γ線 X線 赤外線 ラジオ波 = + = m1 1 m2 m1•m2 m1+ m2 μ 分子 A-B k: 結合のバネ定数 μ = m1+ m2 m1•m2 m2 m1 換算質量: μ 振動数 ν = μ k √ 2π 1 分子振動 波数 ν = = = μ k √ 2πc 1 c ν λ どこも固定されていない単振動
赤外光と赤外分光法 m2 m1 m1 m1 m1 波長 波数 (単結合) C−H (三重結合) C≡C (二重結合) C=C (単結合) 2017/3/2 赤外光と赤外分光法 高 E (光子のエネルギー;単位: J) 低 波長 2.5×10-6 5×10-6 2.5×10-5 (m) 波数 4000 2500 2000 1500 400 (cm-1) (単結合) C−H (三重結合) C≡C (二重結合) C=C (単結合) C−C N−H C≡N C=N C−N O−H C=O C−O 特性吸収帯 指紋領域 m2 m1 m1 m1 m1
赤外分光(構造解析編) O-H伸縮振動 C=O伸縮振動 3300 cm-1付近の幅広くて強い吸収 1700 cm-1付近の 強い吸収 100 2017/3/2 赤外分光(構造解析編) 3300 cm-1付近の幅広くて強い吸収 100 50 O-H伸縮振動 3000 2000 1000 波数/cm-1 1700 cm-1付近の 強い吸収 100 50 C=O伸縮振動 3000 2000 1000 波数/cm-1
赤外分光(構造解析編) C=O伸縮振動の波数 約1745 cm-1 約1720 cm-1 約1645 cm-1 C=O伸縮振動 2017/3/2 赤外分光(構造解析編) C=O伸縮振動の波数 約1745 cm-1 約1720 cm-1 約1645 cm-1 1700 cm-1付近の 強い吸収 100 50 C=O伸縮振動 3000 2000 1000 波数/cm-1
紫外可視領域の分光法・物理的背景 波長 短 長 マイクロ 波 γ線 X線 赤外線 ラジオ波 高 E (光子のエネルギー;単位: J) 低 2017/3/2 紫外可視領域の分光法・物理的背景 高 E (光子のエネルギー;単位: J) 低 波長 短 長 10-12 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 (m) 紫外線 可視光線 マイクロ 波 γ線 X線 赤外線 ラジオ波 電子による X線の弾性散乱 分子の 回転運動 核スピンの 反転 物理現象 電子遷移 分子振動 紫外可視 分光法 回転 分光法 赤外分光法 X線結晶構造 解析 NMR 分光法 測定法 蛍光 分光法 ラマン 分光法 ESR 分光法 CD, ORD 旋光度 回折法 分光法
蛍光とリン光の化学的背景 S1 G 衝突や運動に よるエネルギー 放出(損失) 励起 最低振動準位 蛍光 ΔE1 = hν1 2017/3/2 蛍光とリン光の化学的背景 衝突や運動に よるエネルギー 放出(損失) S1 励起 最低振動準位 蛍光 ΔE1 = hν1 ΔE2 = hν2 励起 G 基底状態 最低振動準位 (一重項)
蛍光とリン光の化学的背景 S1 G 衝突や運動に よるエネルギー 放出(損失) 励起 一重項 最低振動準位 蛍光 ΔE1 = hν1 2017/3/2 蛍光とリン光の化学的背景 衝突や運動に よるエネルギー 放出(損失) S1 励起 一重項 最低振動準位 蛍光 ΔE1 = hν1 ΔE2 = hν2 励起 G 基底状態 最低振動準位 (一重項)
蛍光とリン光の化学的背景 S1 T1 G 衝突や運動に よるエネルギー 放出(損失) (禁制遷移) 電子スピン 反転 衝突や運動 励起一重項 2017/3/2 蛍光とリン光の化学的背景 振動遷移 回転遷移 衝突や運動に よるエネルギー 放出(損失) (禁制遷移) 電子スピン 反転 衝突や運動 S1 励起一重項 最低振動準位 T1 蛍光 リン光 励起 最低振動準位 ΔE1 = hν1 ΔE2 = hν2 ΔE3 = hν3 励起 リン光を出す 過程が遅い (禁制遷移) G 基底状態 最低振動準位 長く光る (一重項)
蛍光とリン光の化学的背景 S1 T1 G 衝突や運動に よるエネルギー 放出(損失) (禁制遷移) 電子スピン 反転 衝突や運動 励起一重項 2017/3/2 蛍光とリン光の化学的背景 振動遷移 回転遷移 衝突や運動に よるエネルギー 放出(損失) (禁制遷移) 電子スピン 反転 衝突や運動 S1 励起一重項 最低振動準位 T1 蛍光 リン光 励起 三重項 最低振動準位 ΔE1 = hν1 ΔE2 = hν2 ΔE3 = hν3 励起 リン光を出す 過程が遅い (禁制遷移) G 基底状態 最低振動準位 長く光る (一重項)
蛍光とリン光の化学的背景 S1 T1 G ν1 > ν2 > ν3 (禁制遷移) 電子スピン 反転 励起一重項 最低振動準位 2017/3/2 蛍光とリン光の化学的背景 (禁制遷移) 電子スピン 反転 S1 励起一重項 最低振動準位 T1 蛍光 リン光 励起 三重項 最低振動準位 ΔE1 = hν1 ΔE2 = hν2 ΔE3 = hν3 励起 リン光を出す 過程が遅い (禁制遷移) G 基底状態 最低振動準位 長く光る ΔE = hν ΔE1 > ΔE2 > ΔE3 ν1 > ν2 > ν3
蛍光とリン光の化学的背景 ν1 > ν2 > ν3 ν1 > ν2 > ν3 λ1 < λ2 < λ3 2017/3/2 蛍光とリン光の化学的背景 高 E (光子のエネルギー;単位: J) 低 波長 1.0×10-8 1.0×10-7 1.0×10-6 (m) 振動数 3×1016 3×1015 3×1014 (Hz) 入射光 蛍光 リン光 入射光 蛍光 リン光 ΔE = hν ΔE1 > ΔE2 > ΔE3 ν1 > ν2 > ν3 λ = c/ν ν1 > ν2 > ν3 λ1 < λ2 < λ3 蛍光・リン光は入射光より長波長 蛍光・リン光は入射光より低エネルギー
蛍光スペクトル:装置 λ2 蛍光 or リン光 透過光: λ1 励起光の残り 励起光(入射光): λ1 蛍光 or リン光 2017/3/2 蛍光スペクトル:装置 蛍光 or リン光 透過光: λ1 励起光の残り 励起光(入射光): λ1 蛍光 or リン光 λ2 蛍光は90°横から検出 色々な波長で 発光 透過光の混入を避けるため
蛍光スペクトル測定 λ2 蛍光 or リン光 光源から特定波長(λ1)の取出し 透過光: λ1 励起光の残り 励起光(入射光): λ1 2017/3/2 蛍光スペクトル測定 光源から特定波長(λ1)の取出し 蛍光 or リン光 透過光: λ1 励起光の残り 励起光(入射光): λ1 蛍光 or リン光 λ2 蛍光の波長掃引 色々な波長で 発光 励起光: λ1
励起スペクトル測定 λ2 λ2 蛍光 or リン光 励起光の波長掃引 透過光: λ1 励起光の残り 励起光(入射光): λ1 2017/3/2 励起スペクトル測定 励起光の波長掃引 蛍光 or リン光 透過光: λ1 励起光の残り 励起光(入射光): λ1 蛍光 or リン光 λ2 単一波長(λ2)の蛍光の取出し 色々な波長で 発光 λ2 励起スペクトル 蛍光: λ2 λ1を波長掃引した時の、 λ2の蛍光強度変化
2017/3/2 蛍光スペクトルと励起スペクトル 励起スペクトル (吸収スペクトル) 蛍光スペクトル 励起スペクトルと蛍光スペクトルの
蛍光スペクトルと励起スペクトル 励起スペクトル (吸収スペクトル) 蛍光スペクトル 励起スペクトルと蛍光スペクトルの 鏡像関係 2017/3/2 蛍光スペクトルと励起スペクトル 励起スペクトル (吸収スペクトル) 蛍光スペクトル 励起スペクトルと蛍光スペクトルの 鏡像関係
蛍光スペクトルによる分析 吸光度 (A=εcl) > 0.05 の時 定量性悪し セルの場所によって蛍光が 2017/3/2 蛍光スペクトルによる分析 吸光度 (A=εcl) > 0.05 の時 定量性悪し セルの場所によって蛍光が 吸光度 (A=εcl) < 0.05 の時 定量性良し セルの場所による蛍光 蛍光強度 F = kI0Φεcl ∝ c (濃度)
蛍光スペクトルによる分析 吸光度 (A=εcl) > 0.05 の時 定量性悪し セルの場所によって蛍光が変化 2017/3/2 蛍光スペクトルによる分析 吸光度 (A=εcl) > 0.05 の時 定量性悪し セルの場所によって蛍光が変化 吸光度 (A=εcl) < 0.05 の時 定量性良し セルの場所による蛍光変化無し 蛍光強度 F = kI0Φεcl ∝ c (濃度)
蛍光スペクトル:応用 1) 蛍光標識:タンパク質や核酸に蛍光プローブを結合させる 2017/3/2 蛍光スペクトル:応用 1) 蛍光標識:タンパク質や核酸に蛍光プローブを結合させる 2) 細胞内物質のイメージング:蛍光標識タンパク質を用いて、タ ンパク質の細胞内局在等を調べる。 3) 蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET):分子を二種類の蛍光プロー ブで標識し、蛍光のエネルギー移動効率から蛍光プローブ間 距離を見積もることが出来る手法
蛍光スペクトル:応用 3) 蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET):分子を二種類の蛍光プロー 2017/3/2 蛍光スペクトル:応用 3) 蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET):分子を二種類の蛍光プロー ブで標識し、蛍光のエネルギー移動効率から蛍光プローブ間 距離を見積もることが出来る手法 hν1 hν1 hν2 D D A hν3 A 蛍光プローブ1 蛍光プローブ2
蛍光スペクトル:応用 ν1 ν3 3) 蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET):分子を二種類の蛍光プロー 2017/3/2 蛍光スペクトル:応用 3) 蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET):分子を二種類の蛍光プロー ブで標識し、蛍光のエネルギー移動効率から蛍光プローブ間 距離を見積もることが出来る手法 hν1 hν1 hν2 D D A hν3 A 蛍光プローブ1 蛍光プローブ2 ν1 (ν2) 蛍光プローブ1 蛍光プローブ1の蛍光スペクト ルと蛍光プローブ2の励起スペ クトルの波長に重なりがある時 に起こる 蛍光スペクトル 励起スペクトル ν3 蛍光プローブ2 励起スペクトル 蛍光スペクトル 波長(λ)/nm
旋光度:光(電磁波) 電磁波:電場と磁場が相互作用して空間を媒体なしに進む波動 電場成分(x-y平面) y 磁場成分(x-z平面) x z 2017/3/2 旋光度:光(電磁波) 電磁波:電場と磁場が相互作用して空間を媒体なしに進む波動 電場成分(x-y平面) y 磁場成分(x-z平面) x z
2017/3/2 旋光度:光(電磁波) 電磁波:電場と磁場が相互作用して空間を媒体なしに進む波動 y 磁場成分(x-z平面) x z
2017/3/2 旋光度:光(電磁波) 電磁波:電場と磁場が相互作用して空間を媒体なしに進む波動 電場成分(x-y平面) y x z
2017/3/2 旋光度:光(電磁波) 電磁波:電場と磁場が相互作用して空間を媒体なしに進む波動 電場成分(x-y平面) y y x z z
旋光度:光(電磁波) 電磁波:電場と磁場が相互作用して空間を媒体なしに進む波動 電場成分(x-y平面) y y z x z 円偏光 2017/3/2 旋光度:光(電磁波) 電磁波:電場と磁場が相互作用して空間を媒体なしに進む波動 電場成分(x-y平面) y y x z z 円偏光
演習 宿題 1. 励起光と蛍光ではいずれの波長が長いか。理由も応えなさい。 (予習) 旋光性を示す化合物の特徴を説明しなさい。 2017/3/2 演習 1. 励起光と蛍光ではいずれの波長が長いか。理由も応えなさい。 宿題 (予習) 旋光性を示す化合物の特徴を説明しなさい。 (特に構造特性に着目して下さい)